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俺は冒険者として生きている
幼馴染だった王子の嘆き2(王子視点)
「ここより離れた大型ギルドのある街にて灰色の髪をした齢20歳であろう男の目撃証言がありました。長い前髪の為、瞳の色は確認できませんでした。」
「……大森林ギルドか?」
「えぇ、あそこは多種多様な種族が集まります。灰色の髪も珍しいわけではありませんので、アルディウスと確証が持てる状態ではありませんでした。それに…。」
「さっさと言え。」
「その灰色の髪をした男はαだと思われます。身長が180cmを越える冒険者だと。」
エリンティウスが話す内容に耳を傾ける。今、必要なことは小さな情報でもアルディウスであるという可能性を信じることだ。あの可愛くヒヨコのようだったアルディウスがαだと考えにくいが、絶対などはない。
アルディウスがαであろうと、私の最愛であることには変わりないのだから。
……でも、想像してみる。アルディウスが長身で凛々しくαらしく支配者の力を持ち合わせていたとしたら。鋭い目つきでアルディウスに支配されたら、どれだけ幸せだろうか。ぶるり、体が興奮で震えた。
ぐずりと腹の中が熱くなる。私はαだ、支配する側でありながら、夢見がちな思考回路と従順な体はもしもを想像してαとしての定義がグラグラと傾いたのが分かった。
「……だらしないお顔になっておりますよロンバウト様。」
「うるさい、黙っていろ。」
「大森林ギルドには既に通達をし、アルディウスであろう可能性を考え確認をしに向かいたいとお話しておきます。」
「そうしてくれ。その時は私も向かおう…メンルートにも連絡しておいてくれ。」
私がそう言うとエリンティウスはフンッと小さく鼻を鳴らしてなら一礼し部屋から出て行った。ふてぶてしいあの態度が、俺にだけ向けられていると思うと腹立たしいが、あれは有能だ。
自国の中も、周りも調べ尽くして全くの手がかりなし。隣国のヨルダンはようやく後継者争いが収まり情報交換が出来る環境になりつつある。
もうすぐだ、もうすぐ…きっと次こそはアルディウスに決まっている。そうじゃなければ、また私は絶望するしかない。何回何十回、何百回目も君を求めて探し続けたんだ。
毎日のように、君を思い出しているんだ。最後に見せたあの生き生きとした笑顔が脳裏に焼き付いて離れない…あれは私に対する拒絶だった筈なのに、私の脳みそは都合よく受け入れる。
微笑まれたわけではないのは理解していたのに、あの笑顔は私のものだと無駄に独占欲が強まった。
「月末が終わったら時間が空くな。」
虚しい一人の仕事部屋。考える時間が増えると自然とアルディウスを思い出してしまうのは罪の自覚かただの自愛か……結局、自分の為なのだ。アルディウスを縛って留めて、今度は間違いなく逃さないようにしたいと仄暗い自己満足がぬらりぬらりと、日に日に黒く頭の中をはい回っている。
欲望だけで相手を縛るなんてことをしたいわけじゃない。でも、そうしないといつか自分が壊れてしまうのではないかと恐怖している。
可愛い可愛いアルディウス、潤んだ瞳が甘そうで、大事に大事にに私の宝箱にしまって私だけが愛でたい。
「アルディウス、アルディウス……会いたい……会いたいよアルディウス…
私のアルディウス私のアルディウス私のアルディウス私のアルディウス私だけのアルディウス…。」
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