53 / 103
復帰した俺に不穏な影
15
頭ボサボサでぼんやりしながら目覚めたのは翌日の昼だった。流石に寝すぎた…起こしてくれればいいのに。背伸びをして凝り固まった肩を解しながらベッドから這い出る。リビングには相変わらずの面々がゆったりと過ごしていた。
昨日は夜ご飯も食べないで寝てしまったから空腹度もマックスである。寝起きなのにゴギュルルル!なんて激しく鳴っていた。
俺の腹の音に気づいたコクヨウがいそいそとご飯の準備してくれる。その間に歯を磨いて顔を洗うと、やっとパッチリ目が開いた。
リビングに戻ると温かいスープとベーコンエッグが並べられており、フランスパンに似た硬めのパンをカリカリに焼いたセットが出来上がっていた。
完全にモーニングセットだ。昼だけど。
「おはよう?」
「あぁ、おはよう。どうだ、疲れは取れたか?」
「うん、ゆっくり寝れたからかなりスッキリした。はぁ~、お腹空いた。」
「たんと食うが良い。で、西の森はどうであった?」
「大規模なダンジョンの集合体があって、上位の魔物がうようよしてた。ワイバーンとワームが。」
「ワイバーンか。煮込みにして食うか。」
「ワームは焼いてカリカリにしたら燻製みたいになるから美味しいよ~?」
「君たちは食べ物の話しか出来ないの?」
この期に及んで食べ物の話である。ここ最近そればっかりじゃないか。普通は上位の魔物を喰おうとは思わないのよ。野性味が強いとかそんな話じゃないのよ。
……でもまぁ、俺も食わされてわかったけど魔物の肉は美味い。普通にA5ランクの牛肉みたいなやつとか、大トロみたいなやつもいる。食わねばわからんってやつだね。体に異常も出ないから安心して食える。見た目がエグいだけなのだ。
「なかなかに規模が大きくなりそうよな。ギルドだけで賄えるのか?」
「全然むり、何ならヨルダンの騎士団やエンデルクロスの兵を集めても多分蹂躙されると思う。」
「ダンジョンは~、どんな感じだった~?この前(6年前)にコハクが行ったのと~、どっちが大きい~?」
「(この前……?)あぁ、3つある内の2つはコハクとハクアが前に行ったのと同じくらいのレベルかな?リーダー格のダンジョンはもっとデカそうだったよ?」
「え~!コハクまた行きたいな~!ダンジョン面白いから大好き~!」
白い髪をルンルンに揺らしてコハクがはしゃぐ。この子ったらもう遊びに行く感覚なんだから…あの規模のダンジョンの攻略なんてお出かけ感覚で処理出来ないの、普通はね…。
さすが長年生きてるだけあって力量は計り知れない。俺もまだ彼らの底を見たことがない。たまにめっちゃ怖いから、おちょくるのも程々に。
「それくらいの規模ならば久しぶりに肩慣らしに体を動かすのも良さそうだな。」
「ワイバーンをいくつ落とせるか競うかコクヨウ?」
「それならばワームをいくつ叩けるかのほうが良い。」
「(射的とモグラたたき…。)」
なんでそうゲーム考えてなの?国が必死にどう対策するか考えてるのに…。保護者達からするとその程度なのか…末恐ろしい。まさに縁日へ遊びに行く子供たちである。
俺は黙々とご飯を食べながら保護者達の話を聞いていれば、実に楽しそうに参加する気満々の彼らだが。果たしてギルドマスターや他の国の責任者さん達は納得するのだろうか?
あくまで秘密なんだよね、保護者達が神の眷属であることは。非常事態ってことでアントムさんが独断で対応するのかな?
「コハク早くダンジョン行きたいな~。」
「時期になるまでは大人しくしててくれ。俺に責任きて怒られるから。」
「は~い。」
あなたにおすすめの小説
【完結済み】乙男な僕はモブらしく生きる
木嶋うめ香
BL
本編完結済み(2021.3.8)
和の国の貴族の子息が通う華学園の食堂で、僕こと鈴森千晴(すずもりちはる)は前世の記憶を思い出した。
この世界、前世の僕がやっていたBLゲーム「華乙男のラブ日和」じゃないか?
鈴森千晴なんて登場人物、ゲームには居なかったから僕のポジションはモブなんだろう。
もうすぐ主人公が転校してくる。
僕の片思いの相手山城雅(やましろみやび)も攻略対象者の一人だ。
これから僕は主人公と雅が仲良くなっていくのを見てなきゃいけないのか。
片思いだって分ってるから、諦めなきゃいけないのは分ってるけど、やっぱり辛いよどうしたらいいんだろう。
愛され方を教えて
あちゃーた
BL
主人公リハルトは自分を愛さなかった元婚約と家族のために無惨に死んだ…はずだった。
次に目が覚めた時、リハルトは過去に戻っていた。
そこは過去のはずなのにどこかおかしくて…
異世界転生してひっそり薬草売りをしていたのに、チート能力のせいでみんなから溺愛されてます
ひと息
BL
突然の過労死。そして転生。
休む間もなく働き、あっけなく死んでしまった廉(れん)は、気が付くと神を名乗る男と出会う。
転生するなら?そんなの、のんびりした暮らしに決まってる。
そして転生した先では、廉の思い描いたスローライフが待っていた・・・はずだったのに・・・
知らぬ間にチート能力を授けられ、知らぬ間に噂が広まりみんなから溺愛されてしまって・・・!?
流れる星、どうかお願い
ハル
BL
羽水 結弦(うすい ゆずる)
オメガで高校中退の彼は国内の財閥の一つ、羽水本家の次男、羽水要と番になって約8年
高層マンションに住み、気兼ねなくスーパーで買い物をして好きな料理を食べられる。同じ性の人からすれば恵まれた生活をしている彼
そんな彼が夜、空を眺めて流れ星に祈る願いはただ一つ
”要が幸せになりますように”
オメガバースの世界を舞台にしたアルファ×オメガ
王道な関係の二人が織りなすラブストーリーをお楽しみに!
一応、更新していきますが、修正が入ることは多いので
ちょっと読みづらくなったら申し訳ないですが
お付き合いください!
運命の番なのに別れちゃったんですか?
雷尾
BL
いくら運命の番でも、相手に恋人やパートナーがいる人を奪うのは違うんじゃないですかね。と言う話。
途中美形の方がそうじゃなくなりますが、また美形に戻りますのでご容赦ください。
最後まで頑張って読んでもらえたら、それなりに救いはある話だと思います。
転生したようだけど?流れに身を任せていたら悪役令息?として断罪されていた――分からないまま生きる。
星乃シキ
BL
発作の後に目覚めたら、公爵家嫡男の身体だった。
前世の記憶だけを抱えたまま生きるレイは、ある夜、男の聖女への嫌がらせの罪で断罪される。
だが図書室の記録が冤罪を覆す。
そしてレイは知る。
聖女ディーンの本当の名はアキラ。
同じ日本から来た存在だった。
帰りたい聖女と、この身体で生きるレイ。
秘密を共有した二人は、友達になる。
人との関わりを避けてきたレイの人間関係が、少しずつ動き始める。
時間を戻した後に~妹に全てを奪われたので諦めて無表情伯爵に嫁ぎました~
なりた
BL
悪女リリア・エルレルトには秘密がある。
一つは男であること。
そして、ある一定の未来を知っていること。
エルレルト家の人形として生きてきたアルバートは義妹リリアの策略によって火炙りの刑に処された。
意識を失い目を開けると自称魔女(男)に膝枕されていて…?
魔女はアルバートに『時間を戻す』提案をし、彼はそれを受け入れるが…。
なんと目覚めたのは断罪される2か月前!?
引くに引けない時期に戻されたことを嘆くも、あの忌まわしきイベントを回避するために奔走する。
でも回避した先は変態おじ伯爵と婚姻⁉
まぁどうせ出ていくからいっか!
北方の堅物伯爵×行動力の塊系主人公(途中まで女性)