56 / 103
復帰した俺に不穏な影
18
しおりを挟む『スタンピート、ですか…。』
「そうなんだよ!多分意図的に発生させたのかダンジョン3つも出来てるし、上位の魔物はうじゃうじゃだし大変よ?」
『それはそれは…ご苦労さまですねぇ。』
「なんとか魔素溜まりを駆除しないと国が滅んじゃう規模なんだよ…誰だよほんとに迷惑かけやがやってさ~!」
神様ことマーニアムと世間話をしています。せっかくだから神様なんて呼ばないでマーニアムと呼んでほしいと言われ、確かに神様って複数いるし名前があるならそっちで呼んだほうがいいよな~って思った。
俺がこの世界にくるきっかけになった神様であり、時々声だけが降臨して俺に不便がないか心配してくれる神様。前に地上で暮らす俺にそんな関わって大丈夫なのか聞いたら、異世界の魂はとてもこの世界では大切だから少しばかり過干渉になっても問題ないと言っていた。
マーニアムが前世の俺を選んだのは偶然だったけど、とても大切にされているのは何となくわかった。異世界の魂ってだけじゃなく、仲の良い親戚のお兄ちゃんみたいな感じで時々様子を見てくれていたらしい。
今更ながらタメ口で話してるのを直すべきか悩んだら、そんな寂しいことしなくて良いと否定された。神様って一人の時間が長いから寂しくなるんだってさ。
『私が手伝ってあげたいのですが、流石にそこまでしてしまうと世界の理が揺らいでしまいます…う~ん…。』
「いや大丈夫っしょ。なんとかなるって。マーニアムはお菓子でも食べながら観戦しててよ。」
『………あっ、いいこと思いつきました!アルディウス、其方の愛用のガントレットがあるでしょう?あれをお貸しなさい。』
「ガントレット…?あぁ、籠手のことか。はいどうぞ。」
何を閃いたかマーニアムはむふふ、と含み笑いをすると俺の相棒にその長~い髪をひと束をクルクルと巻きつけて、キラキラの粉をかけた。
綺麗に磨き上げたばかりの籠手がさらにキラキラになって、巻きついたマーニアムの髪がしゅるりと絡むと蔦のような柄になって籠手に馴染んでしまった。
唖然とする俺に対して満足げにニコニコしながら進化した俺の籠手を撫でる。
「……何したの?」
『この子に私の加護をかけたんです。こうすれば、いつでも貴方を守れますから。』
「俺自体にもマーニアムの加護があったはずだけど?」
『それとは別です。その加護は其方の潜在能力を高める補助ですからね。今、この子にかけた加護は私と其方を直接繋ぐ道として私そのものが其方を守る為だけに発動する加護です。』
「とんでもないことしてない?それ過干渉通り越してない?大丈夫なの?」
『言ったでしょう?アルディウス自身には過干渉になっても良いんですよ、私はね。』
うっとりとした表情に何も言えなくなる。おう、これ本当に大丈夫か?そんな俺ばっかり加護貰ってしまって問題になったりしないの?大混乱の俺はマーニアムと籠手を交互に見ることしか出来ない。
俺はマーニアムの事情を知らない。だから、マーニアムがこの世界の神様で一番有名な“世界を見渡す守り神”であり“世を罰することのできる全神”『マーニ・コア・イ・アム世界神』と言う名であること。
そして何でも出来て、立場が高すぎて部下に距離を取られる可哀想な社長…みたいな感じで過ごす寂しがり屋な神様。
『やっと仲良くお話が出来る子が出来たんですよ?可愛がらないわけないじゃないですか。えぇ、それはもう目一杯……ね?』
180
あなたにおすすめの小説
【完結済み】乙男な僕はモブらしく生きる
木嶋うめ香
BL
本編完結済み(2021.3.8)
和の国の貴族の子息が通う華学園の食堂で、僕こと鈴森千晴(すずもりちはる)は前世の記憶を思い出した。
この世界、前世の僕がやっていたBLゲーム「華乙男のラブ日和」じゃないか?
鈴森千晴なんて登場人物、ゲームには居なかったから僕のポジションはモブなんだろう。
もうすぐ主人公が転校してくる。
僕の片思いの相手山城雅(やましろみやび)も攻略対象者の一人だ。
これから僕は主人公と雅が仲良くなっていくのを見てなきゃいけないのか。
片思いだって分ってるから、諦めなきゃいけないのは分ってるけど、やっぱり辛いよどうしたらいいんだろう。
カミサンオメガは番運がなさすぎる
ミミナガ
BL
医療の進歩により番関係を解消できるようになってから番解消回数により「噛み1(カミイチ)」「噛み2(カミニ)」と言われるようになった。
「噛み3(カミサン)」の経歴を持つオメガの満(みつる)は人生に疲れていた。
ある日、ふらりと迷い込んだ古びた神社で不思議な体験をすることとなった。
※オメガバースの基本設定の説明は特に入れていません。
たとえば、俺が幸せになってもいいのなら
夜月るな
BL
全てを1人で抱え込む高校生の少年が、誰かに頼り甘えることを覚えていくまでの物語―――
父を目の前で亡くし、母に突き放され、たった一人寄り添ってくれた兄もいなくなっていまった。
弟を守り、罪悪感も自責の念もたった1人で抱える新谷 律の心が、少しずつほぐれていく。
助けてほしいと言葉にする権利すらないと笑う少年が、救われるまでのお話。
転生したけどやり直す前に終わった【加筆版】
リトルグラス
BL
人生を無気力に無意味に生きた、負け組男がナーロッパ的世界観に転生した。
転生モノ小説を読みながら「俺だってやり直せるなら、今度こそ頑張るのにな」と、思いながら最期を迎えた前世を思い出し「今度は人生を成功させる」と転生した男、アイザックは子供時代から努力を重ねた。
しかし、アイザックは成人の直前で家族を処刑され、平民落ちにされ、すべてを失った状態で追放された。
ろくなチートもなく、あるのは子供時代の努力の結果だけ。ともに追放された子ども達を抱えてアイザックは南の港町を目指す──
***
第11回BL小説大賞にエントリーするために修正と加筆を加え、作者のつぶやきは削除しました。(23'10'20)
**
モブらしいので目立たないよう逃げ続けます
餅粉
BL
ある日目覚めると見慣れた天井に違和感を覚えた。そしてどうやら僕ばモブという存存在らしい。多分僕には前世の記憶らしきものがあると思う。
まぁ、モブはモブらしく目立たないようにしよう。
モブというものはあまりわからないがでも目立っていい存在ではないということだけはわかる。そう、目立たぬよう……目立たぬよう………。
「アルウィン、君が好きだ」
「え、お断りします」
「……王子命令だ、私と付き合えアルウィン」
目立たぬように過ごすつもりが何故か第二王子に執着されています。
ざまぁ要素あるかも………しれませんね
公爵家の五男坊はあきらめない
三矢由巳
BL
ローテンエルデ王国のレームブルック公爵の妾腹の五男グスタフは公爵領で領民と交流し、気ままに日々を過ごしていた。
生母と生き別れ、父に放任されて育った彼は誰にも期待なんかしない、将来のことはあきらめていると乳兄弟のエルンストに語っていた。
冬至の祭の夜に暴漢に襲われ二人の運命は急変する。
負傷し意識のないエルンストの枕元でグスタフは叫ぶ。
「俺はおまえなしでは生きていけないんだ」
都では次の王位をめぐる政争が繰り広げられていた。
知らぬ間に巻き込まれていたことを知るグスタフ。
生き延びるため、グスタフはエルンストとともに都へ向かう。
あきらめたら待つのは死のみ。
愛しい番に愛されたいオメガなボクの奮闘記
天田れおぽん
BL
ボク、アイリス・ロックハートは愛しい番であるオズワルドと出会った。
だけどオズワルドには初恋の人がいる。
でもボクは負けない。
ボクは愛しいオズワルドの唯一になるため、番のオメガであることに甘えることなく頑張るんだっ!
※「可愛いあの子は番にされて、もうオレの手は届かない」のオズワルド君の番の物語です。
【完結】僕の異世界転生先は卵で生まれて捨てられた竜でした
エウラ
BL
どうしてこうなったのか。
僕は今、卵の中。ここに生まれる前の記憶がある。
なんとなく異世界転生したんだと思うけど、捨てられたっぽい?
孵る前に死んじゃうよ!と思ったら誰かに助けられたみたい。
僕、頑張って大きくなって恩返しするからね!
天然記念物的な竜に転生した僕が、助けて育ててくれたエルフなお兄さんと旅をしながらのんびり過ごす話になる予定。
突発的に書き出したので先は分かりませんが短い予定です。
不定期投稿です。
本編完結で、番外編を更新予定です。不定期です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる