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復帰した俺に不穏な影
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しおりを挟むさて、嫌な予感はともかく俺も準備はしなきゃいけないのでスタンピートが起こる前に装備の確認や一応回復薬の補充なんかをせっせとしている。
俺は武器を扱うのは苦手で専ら己の肉体を駆使して戦うタイプだ。1度だけ剣を振り回して空の彼方に飛ばして以来、武器を持たないようにしている。
決して俺が不器用なわけじゃない。剣が勝手にすっぽ抜けていくのが悪いのだ。
そんなわけで、拳を振るいキックで相手を粉砕する……構えは前世のスポーツのボクシングのようなタイプの戦闘スタイルの俺は生傷が絶えないのである。仕方ないね。
黙々と家で長年の相棒である銀の籠手は多少の傷はあるものの、補強し続けもう14年も使い続けている。磨き上げると、当時の輝きを失わず輝いてくれる。
大事な相棒を丁寧に磨き上げていくと、なんだか相棒も喜んでくれているのか輝きは増す一方だ、嬉しいね。
………しっかし、保護者達は出かけてからもう4日も帰ってこない。ちゃんと帰ってくるんだよな?寂しいとかじゃなくて、もし帰ってこなかった後が大問題なのだ。
スタンピートの前線を俺一人で担うの?しかも取りこぼしいっぱいになって、その責任もまさか俺が負うのでは…。ギルドマスターに大丈夫だといった手前、やっぱ無理かもなんて言い出せない…。言い出したのは俺だしな……これぞ自己責任…。
磨き上げた籠手をしまい、少し休憩しようとお湯を沸かしてお茶を淹れる。あまり考えすぎてもよくないよね。
「…………はぁ。」
『そう大きくため息をついては幸せが逃げてしまいますよ?』
「ぎゃっ…!か、神様!?急にどうしたの、びっくりしたじゃないか!」
使い慣れたマグカップを抱えながらため息を出した瞬間に、目の前に白く透き通った美しい神様が頬杖をついて座っていた。
マグカップ投げ飛ばすかと思った……音も気配もないんだから急に現れると心臓止まるかと思ったわ。はあ~、安堵の息をついて久しぶりに会った神様に視線を移した。
相変わらず長く美しい白い髪は地面を覆うほどである。自分で踏んづけて転んだりしないのかな…。
『いろいろな経験を得て成長したアルディウスと、久しぶりに話がしたくなりまして。』
「俺からは話しかける権限とかないもんねー。神様暇でもしてんの?」
『暇ではありませんよ?ただ、たまには気晴らししたいじゃないですか。其方達の生活は実に充実していて楽しそうで羨ましいです。』
「そう?たまには遊びに来てもいいのに。どうせ俺は任務の時以外は暇してるよ?」
神様ってやっぱ大変そうだもんな。ここに遊びに行る程度で気晴らしになるならいつでも来ればいいのに。任務の時以外は昼寝したり散歩したりしてるよ俺。
人目につかなきゃ散歩くらい大丈夫なんじゃないの?そう言えば少し驚いた顔になった神様だが、すぐにいつもの優しい顔になってうふふと笑う。
『私か来ても迷惑になりません?騒がしくなりませんかね?』
「元々騒がしいのに今更じゃない?貴方の眷属と従者に毎日振り回されてるの知らない?俺、お世話と言う名の過保護に悩まされてるの知らなかった?」
『うふふ、そうでしたね!たまに姿を拝見していると毎日が賑やかで少し…羨ましく思っていたんです。』
「神様、それに参加したかったらいつでもどうぞ?ハクアが、俺はマーニアム神の子のようなもんだって言ってたし。親が子を見守るのは当たり前だってハクアが言ってた。」
『それはそれは!くふふ、ではそうしましょうかね?アルディウス、今日はこれからどうするんです?私に話を聞かせてください。』
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