実はαだった俺、逃げることにした。

るるらら

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復帰した俺に不穏な影

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 甘い甘いクッキーの香りと、フワッフワのスポンジ生地に真っ白なホイップクリームを乗せたシフォンケーキ、色の濃い新鮮な卵で作ったカスタードのシュークリーム、滑らかな舌触りのミルクアイス……俺は天才だ!少し忘れていた部分もあったが、直感で何とかなったぞ!!

 保護者達が帰ってこないのをいい事に俺は一人の時間を満喫していた。まぁギルドからは何も連絡ないし、話し合いに俺が参加しても役に立たないので待ちぼうけするだけ。ならば有意義に時間を使ったほうがいいよね!

 ってな訳で。お茶会てもしようかな。みんな忙しいからマーニアムだけお誘いしよう。上手に焼けたクッキーは後で皆にあげよう。気合を入れ過ぎて作りすぎてしまった…。

 俺は部屋の真ん中で呟く。マーニアムに声は届くだろうか?




 「おーい、マーニアムー?今って暇してない?」
 『おやおや、どうかなさいましたかアルディウス?其方の為ならいくらでも時間を作りますよ?』
 「前の世界にあったお菓子作ったから一緒に食べようよ~。」
 『それは興味深いですね。ぜひ味あわせてください。』



 返事は意外とあっさり返ってきて、ふわりとこの前に見たままの美しいマーニアムが姿を現した。白い肌を少し赤く染めて可愛らしく笑うとするりとリビングのソファに腰掛けた。

 スラッとした足に目がいってしまうがマーニアムは男神だ。いけない、いけない…仕方ないくらい美しいから仕方ない仕方ない…。



 『アルディウスからお誘いがあるだなんて…嬉しいです。』
 「お礼も兼ねてな。おもてなしの精神でお菓子作った。マーニアムは甘い物好き?」
 『神界には果物くらいしか甘味がありません。なので、楽しみなんです。アルディウスが拵えた甘味を頂けるの。』
 「じゃあ目一杯満喫してくれ!」



 果物も美味しいけど、それしかないと飽きちゃうよね~。俺は自信作のカスタードのシュークリームを筆頭にお菓子をどんどん並べていく。見慣れないものが多いかもだけど、ちゃんと美味しいから安心してくれ!

 どうやって食べるのか悩むマーニアムを眺めつつ、ガシッとシュークリームを掴み構える。お菓子でも、こうやって豪快に食うと最高に美味いぞ!

 いただきます!そう言って大きく口を開きガブッと少し詰め込み気味にシュークリームを頬張る。カスタードが口の端から漏れ出てるなんて気にしない。重みのあるカスタードからバニラビーンズのいい香りがする。

 あぁ~っ!!たまらないっ!甘さを控えた中に入っているホイップクリームがカスタードと相まって丁度よい甘さになってる。香りまで美味しいって最高だぜ…!




 『そのように食べるのが正解なのですか?』
 「しゅきに食べてくだはい。」
 訳(好きに食べてください。)



 少し悩んでからマーニアムは意を決してシュークリームに齧り付いていた。口が小さいので俺の3分の1くらいしかシュークリームには歯型がつかなかった。それでも頬を膨らませてむぐむぐと食べる。姿はまるでリスのようである。

 マーニアムって本当に何やっても可愛いからズルいよな…。



 『おいひい!しゅごく、おいひいでしゅ~!!』
 「焦って食べなくてもまだあるからね。シュークリームは俺も大好き。」
 『こんな美味しい物は初めて食べました!これはシュークリームというのですね。』
 「マーニアム、シュークリーム以外もまだまだあるぞ!存分に満喫してくれ!」


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