実はαだった俺、逃げることにした。

るるらら

文字の大きさ
61 / 103
復帰した俺に不穏な影

23





 スタンピート対策で国の周りには防壁を強化する魔法陣で固められ、続々と魔物討伐に集められた冒険者や、国を守るための騎士団が準備を進めている最中…俺は不機嫌だった。

 理由はご存知の通り先日帰ってきた保護者達の態度があまりにカンに触ったからだ。話は大きくなって俺に自由はないのかーっ!てところまで叫んでいた。

 お菓子作る自由くらい下さいよ!マーニアムとお茶会する為の仕度くらいさせて下さいよ!!全く、少し会わなかっただけで以前の過保護状態に似た様子に戻りうんざりしてしまった。

 そんなわけで、俺は暫く口は聞いていないし手作りクッキーもあげなかった。全部ギルドにいたマルさんとタサファンに渡した。エルダの分を含めてタサファンには多めにね。

 それを見た保護者達は愕然と項垂れた。たかがお菓子だが、マーニアムへあげたクッキーだと知った途端にあたふたとしてなんとか手に入れようとする姿は実に滑稽だった。

 心が廃れ気味の俺は罪悪感など感じず無視を貫き通した。それも今日で5日目、保護者達のご機嫌取りを一切相手にせずじろりと睨むだけ。

 もしこれが原因で保護者達がスタンピート殲滅の役割を放棄しても、意地でも俺は謝らないし、手を借りるつもりはなかった。

 マーニアムの加護がついたアムの神籠手があれば、乗り切れる気がするのだ。不思議と自信がついて負ける気がしない。そういうバフがかかるのかもしれない。

 そんなことを思いながら俺はギルドの中にある酒場でエールを喉に流し込んでいた。明日には魔物殲滅の為に戦場に出る。スタンピートが始まる前から少しずつ魔物を減らす為に先行して俺が向かうという話をギルドマスターにしたからね。

 当初の予定を変更し、俺は単独行動で保護者達にはダンジョン攻略をしてもらおうって話をしたら保護者達は全力拒否した。だがしかし有無を言わさない。俺はしばらく一人でいたいのだ。



 「考え直せアルディ…、アルよ…わざわざ離れて狩る必要もないであろう?なっ?」
 「何もそうヤケにならんでも……いや!すまない!そうじゃないんだ!ただ離れて戦うなど効率もわるいだろう?」
 「そうだよ~!今までも一緒だったじゃんか~!ね~?そろそろ許してよ~…。」



 いやだね!そんな俺の態度に保護者達は困り果てている。ついに諦めたのか凄く渋々納得して作戦は決定したのだった。










 「まさか……これは噂に聞いていた反抗期というやつではあるまいか。」
 「なん…だと…!?まさか俺達がいない間に思春期を迎えてしまったというのか!」
 「そっ、そんなぁ~…じゃあ~、アル様はずっと怒りんぼに、なっちゃうの…?」
 「反抗期は一時的なものだと聞いた…暫くは荒れるかもしれんな…。」
 「暫くっていつまで続くのぉ~……。」
 「わからん、しかし今は見守ることにしようぞ。」
 「なんと…そんな……。このように侘びしく思うことになろうとは…。」
 「仕方ないけど~…今はお話も聞いてくれないくらい~ご機嫌斜めだしねぇ~…。」
 「今回ばかりはアルディウスの言うことを聞いて乗り切るしかあるまい…。」
 「……しかし、あのアルの冷ややかな視線にはなにやらゾクゾクとさせられるな。」
 「普段見せぬギャップというやつかの。」
 「コハクはいつものアル様が一番好きだよ~。早く仲直りしたいな~。」



 

あなたにおすすめの小説

【完結済み】乙男な僕はモブらしく生きる

木嶋うめ香
BL
本編完結済み(2021.3.8) 和の国の貴族の子息が通う華学園の食堂で、僕こと鈴森千晴(すずもりちはる)は前世の記憶を思い出した。 この世界、前世の僕がやっていたBLゲーム「華乙男のラブ日和」じゃないか? 鈴森千晴なんて登場人物、ゲームには居なかったから僕のポジションはモブなんだろう。 もうすぐ主人公が転校してくる。 僕の片思いの相手山城雅(やましろみやび)も攻略対象者の一人だ。 これから僕は主人公と雅が仲良くなっていくのを見てなきゃいけないのか。 片思いだって分ってるから、諦めなきゃいけないのは分ってるけど、やっぱり辛いよどうしたらいいんだろう。

愛され方を教えて

あちゃーた
BL
主人公リハルトは自分を愛さなかった元婚約と家族のために無惨に死んだ…はずだった。 次に目が覚めた時、リハルトは過去に戻っていた。 そこは過去のはずなのにどこかおかしくて…

異世界転生してひっそり薬草売りをしていたのに、チート能力のせいでみんなから溺愛されてます

ひと息
BL
突然の過労死。そして転生。 休む間もなく働き、あっけなく死んでしまった廉(れん)は、気が付くと神を名乗る男と出会う。 転生するなら?そんなの、のんびりした暮らしに決まってる。 そして転生した先では、廉の思い描いたスローライフが待っていた・・・はずだったのに・・・ 知らぬ間にチート能力を授けられ、知らぬ間に噂が広まりみんなから溺愛されてしまって・・・!?

流れる星、どうかお願い

ハル
BL
羽水 結弦(うすい ゆずる) オメガで高校中退の彼は国内の財閥の一つ、羽水本家の次男、羽水要と番になって約8年 高層マンションに住み、気兼ねなくスーパーで買い物をして好きな料理を食べられる。同じ性の人からすれば恵まれた生活をしている彼 そんな彼が夜、空を眺めて流れ星に祈る願いはただ一つ ”要が幸せになりますように” オメガバースの世界を舞台にしたアルファ×オメガ 王道な関係の二人が織りなすラブストーリーをお楽しみに! 一応、更新していきますが、修正が入ることは多いので ちょっと読みづらくなったら申し訳ないですが お付き合いください!

運命の番なのに別れちゃったんですか?

雷尾
BL
いくら運命の番でも、相手に恋人やパートナーがいる人を奪うのは違うんじゃないですかね。と言う話。 途中美形の方がそうじゃなくなりますが、また美形に戻りますのでご容赦ください。 最後まで頑張って読んでもらえたら、それなりに救いはある話だと思います。

転生したようだけど?流れに身を任せていたら悪役令息?として断罪されていた――分からないまま生きる。

星乃シキ
BL
発作の後に目覚めたら、公爵家嫡男の身体だった。 前世の記憶だけを抱えたまま生きるレイは、ある夜、男の聖女への嫌がらせの罪で断罪される。 だが図書室の記録が冤罪を覆す。 そしてレイは知る。 聖女ディーンの本当の名はアキラ。 同じ日本から来た存在だった。 帰りたい聖女と、この身体で生きるレイ。 秘密を共有した二人は、友達になる。 人との関わりを避けてきたレイの人間関係が、少しずつ動き始める。

ただ愛されたいと願う

藤雪たすく
BL
自分の居場所を求めながら、劣等感に苛まれているオメガの清末 海里。 やっと側にいたいと思える人を見つけたけれど、その人は……

時間を戻した後に~妹に全てを奪われたので諦めて無表情伯爵に嫁ぎました~

なりた
BL
悪女リリア・エルレルトには秘密がある。 一つは男であること。 そして、ある一定の未来を知っていること。 エルレルト家の人形として生きてきたアルバートは義妹リリアの策略によって火炙りの刑に処された。 意識を失い目を開けると自称魔女(男)に膝枕されていて…? 魔女はアルバートに『時間を戻す』提案をし、彼はそれを受け入れるが…。 なんと目覚めたのは断罪される2か月前!? 引くに引けない時期に戻されたことを嘆くも、あの忌まわしきイベントを回避するために奔走する。 でも回避した先は変態おじ伯爵と婚姻⁉ まぁどうせ出ていくからいっか! 北方の堅物伯爵×行動力の塊系主人公(途中まで女性)