実はαだった俺、逃げることにした。

るるらら

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復帰した俺に不穏な影

忘却の元幼馴染1(公爵視点)





 アルディウスとやっと会えると思って大森林ギルドに乗り込んで、アルディウスが大怪我を負ってリハビリをするために一時的に街から離れたと聞いて体中の力が抜けてしまった。

 また、まただ……また間に合わなかった。アルディウスに会いたいだけなのに!私はこんなにも彼を求めているのに!!

 放心状態になった私はもう何も考えることが出来ず、いつの間にかギルドから出て見知らぬ部屋にいた。部屋にはエリンティウスもいて、どうやらここが事前に予約を取っていたホテルだと気づく。

 項垂れてソファに座るエリンティウスから覇気はなく、目はどんよりと沈んでいた。普段のエリンティウスとはかけ離れた姿に私も同じような姿になっているのだと思うと何故か笑えてくる。

 涙すら出ない絶望感に何も行動を起こす気にならない。俺はいつになったらアルディウスに会える……もう二度と会えないなんてこと、ないよな?




 「気が付きましたかロンバウト様。」
 「あぁ、あまりにショックで目を開けたまま気絶をしていたようだな…。」
 「引きずって帰ってくるの大変だったんですから感謝してほしいです。」



 嫌味を言われつつもげっそりとしたエリンティウスは、あの後どうなったのかを報告した。

 アルディウスには保護者にあたる者が3人おり、彼らに連れて行かれたようだった。エルダという元冒険者宛に文が届いた内容によると、怪我自体は回復に向かっているが、体内にある魔力回路が壊れかけており、それを治す為に暫くは冒険者としての活動をしないとのことだった。

 それがいつまで続くのか、いつ帰ってくるのかはわからない。ギルドカードを通しても連絡が取れない場所にいるということだった。

 あの可愛らしいアルディウスが冒険者などと野蛮な輩になっているとは思わず、ついカッとなってしまい冷静さを欠いてしまった。

 あの金髪の冒険者は、随分とアルディウスと仲が良いのだろう。私との関係を聞くほどに信頼をしていることに、嫉妬してしまったのだ。……私に余裕がないのを見抜いていたのだろうか?

 いつか、あのギルドにまた現れるであろうアルディウスを私は待ち続けるしかないのだ。いつまでも、いつまでも…。



 「一旦、領に帰りましょう。何時までもここにはいられません。」
 「しかし…、またすれ違ってしまったらどうする…、私はもう…。」
 「アルディウスにだけ時間を割けないのは私も同じです。領の経営を投げ出すことは出来ない…そうお約束を陛下となさったでしょう?」



 エリンティウスがキツく目を瞑り、自分にも言い聞かせるように言う。彼もまた、私と同じくアルディウスを探し続ける人間だ。弟であるアルディウスの安否が確認出来ず不安なのだろう。

 言いたいことは良くわかる。私は我儘を貫き通し、王族を抜け一代限りの公爵をしているのだ。これ以上、陛下には迷惑をかけられない。領に住む民を困らせるつもりもない。



 「わかった。、一旦帰ろう。」
 「えぇ、、帰りましょう。明日の朝にはここを出ます。今日はもうお休みになられてください。」



 エリンティウスはそれだけ言って部屋から出ていく。こんなことで、諦める私ではない。誰よりもアルディウスを思い愛しているのは私なのだから。

 あぁ、また会えるその日まで準備をしておかないと。幼き日を思い出し、あの笑顔を思い出す。ざわつく心が落ち着かず、私は寝付くことができなかった。



 

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