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そして出会う俺とお前
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しおりを挟む「では3日後にギルドで。」
「は~い…。」
「なに、その気の抜ける声は。」
「だってやる気ないもん…。」
「もん、じゃない!アル!お前もう26歳なんだぞ!?そのような返事をするんじゃない!全く、子供みたいに不貞腐れて…。」
「あ~っ!本当に嫌なんだもん!皆一緒にいてくれるって言うけど、それでも嫌なものは嫌なんだーっ!」
ギルドの任務を熟した後、受付にいたマルさんに声をかけられ予定が確定したと話された。確定したらお貴族様の訪問ラッシュも一時的に収まってギルドマスターは大喜びだそうだ。俺は残念だけど!
マルさんは今日は午後はお休みらしく、少し酒場で呑んでいかないかと声をかけられ、現在、手にエールを抱えて俺は不貞腐れているのだった。
ギルドの横にある酒場でエールを流し込みながら駄々を捏ねるように言う俺にマルさんは叱る。……そうだ、俺もう26歳だった!俺まだ自分が18歳くらいの感覚だったわ…。
「しかし、毎日のようにアルを求めて通う公爵様方には脱帽だよ。あんなに必死な姿を見続けていると尊敬の念すら湧くよ。」
「…………。」
「君から聞いていた様子とは全く違う。反省しているんじゃないかな。」
「反省?あいつらが?ないない!」
「必死に謝りたいんだと毎日言っては悔しそうな顔をして帰っていたよ。本当に反省してないと、思う?」
「……正直、わからない。」
「話し合ってみることは、とても大切なことだよ?君は変なところで頑固だから、はじめは納得できないかもしれないけどね。」
マルさんはそう言うと手元にあったエールを飲んだ。暫く無言でいればテーブルに料理が運ばれ、軽く摘みながら頭の中を整理する。
俺以外の人間が、あいつらの味方みたいに思えて嫌な気持ちになった。いや、これはただの俺の勘違いだとわかっている。捻くれた考えになってしまうのは長くあいつらを恨んできたせいだ。
……ロンバウトの考えていることは理解できない。あの兄弟達が何故今更になって俺に関わろうとするのかも。思い出すだけで虫唾が走るくらいには嫌悪している対象を、今更理解できると思うか?
「そう難しい顔をしていても理解はできないよ?本当に君は昔から変わらないね。」
「ん?そうかな?」
「幼い君と出会ってから、今まで見てきた君は体こそ成長したけど内面は変わらない。なにもかもに興味がないような態度はクールを気取ってるのかと思ったけどさ。ハクア様と出会ってからは少し自分以外にも目を向けるようにはなったけど。そこがまた可愛いとは思うけどね。」
「それ、褒めてないでしょ。」
「どう思うかはアル次第だね。」
出会った時からずっと優しいマルさん。前世から転移した時から、俺は全然成長していなかったのかとマルさんの言葉で自覚した。
確かに、俺はどこかこの26年暮らした世界はリアルを感じていなかったのかもしれない。痛みを感じても、怒りや悲しみを感じてもどこか現実味がないのは、生きている自覚が薄いせいだ。
ふと、手に持っていたエールのグラスが前世のビール中ジョッキと重なる。指先に冷たい感覚が辺り、妙にそれが何よりもリアルに感じた。
ヤバイ…こんな状態で自覚なんてしたくなかった。俺、そうかちゃんと生きてるんだ。他の人も生きてるんだから感情くらい、あるよな…。
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