実はαだった俺、逃げることにした。

るるらら

文字の大きさ
84 / 103
そして出会う俺とお前

16





 会議室に設置された長いテーブルを挟むように保護者3人、向かいにお貴族3人……お誕生日席でビクビクしている構図が出来た。殺気が飛び交っている空間は息がし難くて辛いんだよなぁ…。

 保護者達は相変わらず余裕そうな表情にニヤニヤの口元で貴族側を煽っている。やめてよ怖くなるから…。

 そんな状態なものだから真っ先に煽られたフィリスティウスはもう鬼と化してるし、必死に我慢しているエリンティウスすら無表情の顔に血管を浮き立たせている。家を馬鹿にされたからだろうなぁ…。

 そんな2人とは違い、俺にトロットロの表情と視線でふやけてしまっているロンバウトをどうしたものか…視線がずっと俺に向いているのが気まずくて無視してるけど、気持ち悪いんだよ、見たことない表情でガン見されるとさ。

 ちょっとずつ乗り出して俺に近づいて来ているような、気がする…大人しく座っててよ。このままでは埒が明かないから俺から話を切り出すか。これじゃいつまでたっても終わらない。




 「………で?俺と何を話し合いたかったの?俺の中ではもう完結してんだけど。」
 「アルディウスは勘違いをしているんだ。何故そんなに家を嫌うのだ。」
 「家って言うか、あんたら兄弟とロンバウトから逃げる為に貴族辞めたんだけど。」



 俺の言葉にガンッと殴られたような表情でショックを受けるアンダーグラウド兄弟。ロンバウトは自覚しているので悲しそうにするだけである。




 「ってか、昔はあんなに俺の事無視してたじゃん。視界にすら入れなかったじゃん。フィリスティウスは舌打ちするし、エリンティウスは鼻で笑うし…親すら俺の存在無視する家だよ?いる意味無くないですかね?」
 「それは違う!」
 「何が違うんだよ…あの時の俺にはそうだった。間違いない。」
 「……確かにあの親はアルディウスに価値がないと宣う馬鹿でした。私達が関われば余計に立場が悪くなるとばかり思い、執事に貴方の事を任せ私達は家から離れた寮がある学園で過ごすことにしたんです。」
 「それって結局、自己満足だろ?俺の気持ちなんて関係ない。まともに会話もしないで勝手にそうすると決めたのはあんたらだ。」




 そう言えば何も言えなくなってしまったのか、フィリスティウスとエリンティウスは黙り込んでしまう。その話をあの時の俺に話してくれれば、もしかしたら少しは考えて家出なんてしなかったかも知れない。

 確かに寮に入った彼らはまともに家には帰ってこなかった。しかし、その間にロンバウトには散々虐められては悲しみに暮れる毎日だった。




 「それでも、それでも幼かったお前を守ってやるのは俺達では出来なかった。力のない子供であった俺は早く家督を継ぐために飛び級までして…あの両親が家から消えれば好きに過ごせることばかりが頭を埋めていた。
 すまない、……確かにアルディウスの言うとおり、自分のことしか考えていなかった。」
 「………そうですね、今も無理にアルディウスを縛ろうとしていました。しかし、これだけは知ってほしい。私達は決してアルディウスを嫌ってきたわけではない。」




 そう真剣にエリンティウスに言われ、真っ直ぐな視線を浴びてしまうと、それご本当のことのように思えてしまう。

 嘘のない眼差しであった。俺はどう応えていいのか分からなくなる。信用するつもりはない。ここまでするメリットがないのだ。




 「そこまでして、なんで俺を追いかけるの。家にはもう俺は要らないでしょ?ただの冒険者の俺には価値もないよ?」
 



 
 

あなたにおすすめの小説

【完結済み】乙男な僕はモブらしく生きる

木嶋うめ香
BL
本編完結済み(2021.3.8) 和の国の貴族の子息が通う華学園の食堂で、僕こと鈴森千晴(すずもりちはる)は前世の記憶を思い出した。 この世界、前世の僕がやっていたBLゲーム「華乙男のラブ日和」じゃないか? 鈴森千晴なんて登場人物、ゲームには居なかったから僕のポジションはモブなんだろう。 もうすぐ主人公が転校してくる。 僕の片思いの相手山城雅(やましろみやび)も攻略対象者の一人だ。 これから僕は主人公と雅が仲良くなっていくのを見てなきゃいけないのか。 片思いだって分ってるから、諦めなきゃいけないのは分ってるけど、やっぱり辛いよどうしたらいいんだろう。

愛され方を教えて

あちゃーた
BL
主人公リハルトは自分を愛さなかった元婚約と家族のために無惨に死んだ…はずだった。 次に目が覚めた時、リハルトは過去に戻っていた。 そこは過去のはずなのにどこかおかしくて…

異世界転生してひっそり薬草売りをしていたのに、チート能力のせいでみんなから溺愛されてます

ひと息
BL
突然の過労死。そして転生。 休む間もなく働き、あっけなく死んでしまった廉(れん)は、気が付くと神を名乗る男と出会う。 転生するなら?そんなの、のんびりした暮らしに決まってる。 そして転生した先では、廉の思い描いたスローライフが待っていた・・・はずだったのに・・・ 知らぬ間にチート能力を授けられ、知らぬ間に噂が広まりみんなから溺愛されてしまって・・・!?

流れる星、どうかお願い

ハル
BL
羽水 結弦(うすい ゆずる) オメガで高校中退の彼は国内の財閥の一つ、羽水本家の次男、羽水要と番になって約8年 高層マンションに住み、気兼ねなくスーパーで買い物をして好きな料理を食べられる。同じ性の人からすれば恵まれた生活をしている彼 そんな彼が夜、空を眺めて流れ星に祈る願いはただ一つ ”要が幸せになりますように” オメガバースの世界を舞台にしたアルファ×オメガ 王道な関係の二人が織りなすラブストーリーをお楽しみに! 一応、更新していきますが、修正が入ることは多いので ちょっと読みづらくなったら申し訳ないですが お付き合いください!

運命の番なのに別れちゃったんですか?

雷尾
BL
いくら運命の番でも、相手に恋人やパートナーがいる人を奪うのは違うんじゃないですかね。と言う話。 途中美形の方がそうじゃなくなりますが、また美形に戻りますのでご容赦ください。 最後まで頑張って読んでもらえたら、それなりに救いはある話だと思います。

転生したようだけど?流れに身を任せていたら悪役令息?として断罪されていた――分からないまま生きる。

星乃シキ
BL
発作の後に目覚めたら、公爵家嫡男の身体だった。 前世の記憶だけを抱えたまま生きるレイは、ある夜、男の聖女への嫌がらせの罪で断罪される。 だが図書室の記録が冤罪を覆す。 そしてレイは知る。 聖女ディーンの本当の名はアキラ。 同じ日本から来た存在だった。 帰りたい聖女と、この身体で生きるレイ。 秘密を共有した二人は、友達になる。 人との関わりを避けてきたレイの人間関係が、少しずつ動き始める。

ただ愛されたいと願う

藤雪たすく
BL
自分の居場所を求めながら、劣等感に苛まれているオメガの清末 海里。 やっと側にいたいと思える人を見つけたけれど、その人は……

時間を戻した後に~妹に全てを奪われたので諦めて無表情伯爵に嫁ぎました~

なりた
BL
悪女リリア・エルレルトには秘密がある。 一つは男であること。 そして、ある一定の未来を知っていること。 エルレルト家の人形として生きてきたアルバートは義妹リリアの策略によって火炙りの刑に処された。 意識を失い目を開けると自称魔女(男)に膝枕されていて…? 魔女はアルバートに『時間を戻す』提案をし、彼はそれを受け入れるが…。 なんと目覚めたのは断罪される2か月前!? 引くに引けない時期に戻されたことを嘆くも、あの忌まわしきイベントを回避するために奔走する。 でも回避した先は変態おじ伯爵と婚姻⁉ まぁどうせ出ていくからいっか! 北方の堅物伯爵×行動力の塊系主人公(途中まで女性)