実はαだった俺、逃げることにした。

るるらら

文字の大きさ
89 / 103
そして出会う俺とお前

21




 ……で、結局どうなったのかと言えば。俺のにえきらない意見なんて通らず、保護者達が勝手にフィリスティウスと話し合って引っ越しが決まってしまった。俺は嫌だと言ったけど、俺でもよくわからない気持ちを読み取ったように保護者達は優しく笑うだけだった。

 なんだその顔!と、文句を言いたいが引っ越しが決まった途端にアーダングラウドの兄弟が破顔したので何も言えなくなってしまった。そう嬉しそうな顔されると文句も言いにくいよ…。

 そして、ロンバウトもまた俺を諦めるつもりが全くないのでアーダングラウドの家に入り浸りそうで怖い。寝込みとか襲われないだろうな…。気を利かせてフィリスティウスは引っ越したら保護者達と一緒に暮らした家のまま過ごしていいと言ってくれたのは救いである。

 話し合い?が、終わり会議室から出ると外はもう真っ暗。そういや腹減ったなぁ、と思ったらグォ~と情けない音が腹から鳴った。昼飯食ってないから仕方ないか…。



 「アルディウスの腹の音…可愛い…。」
 「今の可愛い要素あった!?」
 「アルディウスは全部可愛いよ?」
 「可愛くない!引っ付くなロンバウト!腰に手を回すんじゃない!」
 「アルディウスが嫌がってますよ?離れなさいロンバウト様。」
 「こいつ、ほんと見境なくアルディウスに手を出すな…いっその事、仕事部屋に縛りつけろエリン。」
 「これでも私より優秀なαなんです。無理なことを言わないでください兄上。」




 ぞろぞろと会議室から出ると、周りからの興味津々な視線を浴びて嫌な気分になる。まぁギルドに何度も乗り込んてくる貴族達と俺の関係がバレないわけないし、仕方ない気もする……だが!ロンバウトは本当に空気が読めないな!やめろって言ってるのに離れようとしない。

 頼みの保護者達はロンバウトと関わるとろくな事にならないのを分かってるのか見ているだけだ。守ってくれよ保護者達!



 「ロンバウト、また嫌われるぞ。」
 「それは困る。では手を繋ごうアルディウス。」
 「なんでそうなる!」
 「ア、アルディウスと手を繋ぐなんて初めてだ…!」
 「うっとりするんじゃない!」



 問答無用で両手でギュッとされた。なんだこいつの力は!振りほどけない!ってか振り上げようとしても抑え込まれるんだが!

 俺の左腕はロンバウトに占領されてしっかりがっちり絡まった。もうやだ、肩に頭乗せないで…。言い争う気力も削がれた俺はげんなりしたまま歩く。言葉通じないじゃないか…。

 そのまま絶望した顔で話し合いが終わった旨の報告をアントムさんにしに行くと、なんとも言えない顔をしていた。多分、俺も似たような顔してんだろうな。無表情の俺と満面な笑みのロンバウトの差よ。




 「まぁ、なんだ。ちゃんと話し合いが済んで良かったよ。」
 「結果的にはアーダングラウド家がアルディウスを引き取るが、本人の希望で大森林ギルドには席を残す。」
 「それは助かるが…いいのかアルディウス?」
 「俺に決定権はないのだ……。」
 「そ、そうか…。」
 「アルディウスは転移魔法を使えるそうだが、苦労はかけさせたくない。ギルドの一室に転移陣を引いてもいいか?」
 「良いですよ。今は使っていない個室があります。そこを後でマルに案内させましょう。」
 「わかった。」



 ギルドマスターとフィリスティウスで話が進められ、俺の引っ越しは完全に決定したのだった。あーあ…。


 

 

あなたにおすすめの小説

【完結済み】乙男な僕はモブらしく生きる

木嶋うめ香
BL
本編完結済み(2021.3.8) 和の国の貴族の子息が通う華学園の食堂で、僕こと鈴森千晴(すずもりちはる)は前世の記憶を思い出した。 この世界、前世の僕がやっていたBLゲーム「華乙男のラブ日和」じゃないか? 鈴森千晴なんて登場人物、ゲームには居なかったから僕のポジションはモブなんだろう。 もうすぐ主人公が転校してくる。 僕の片思いの相手山城雅(やましろみやび)も攻略対象者の一人だ。 これから僕は主人公と雅が仲良くなっていくのを見てなきゃいけないのか。 片思いだって分ってるから、諦めなきゃいけないのは分ってるけど、やっぱり辛いよどうしたらいいんだろう。

愛され方を教えて

あちゃーた
BL
主人公リハルトは自分を愛さなかった元婚約と家族のために無惨に死んだ…はずだった。 次に目が覚めた時、リハルトは過去に戻っていた。 そこは過去のはずなのにどこかおかしくて…

流れる星、どうかお願い

ハル
BL
羽水 結弦(うすい ゆずる) オメガで高校中退の彼は国内の財閥の一つ、羽水本家の次男、羽水要と番になって約8年 高層マンションに住み、気兼ねなくスーパーで買い物をして好きな料理を食べられる。同じ性の人からすれば恵まれた生活をしている彼 そんな彼が夜、空を眺めて流れ星に祈る願いはただ一つ ”要が幸せになりますように” オメガバースの世界を舞台にしたアルファ×オメガ 王道な関係の二人が織りなすラブストーリーをお楽しみに! 一応、更新していきますが、修正が入ることは多いので ちょっと読みづらくなったら申し訳ないですが お付き合いください!

異世界転生してひっそり薬草売りをしていたのに、チート能力のせいでみんなから溺愛されてます

ひと息
BL
突然の過労死。そして転生。 休む間もなく働き、あっけなく死んでしまった廉(れん)は、気が付くと神を名乗る男と出会う。 転生するなら?そんなの、のんびりした暮らしに決まってる。 そして転生した先では、廉の思い描いたスローライフが待っていた・・・はずだったのに・・・ 知らぬ間にチート能力を授けられ、知らぬ間に噂が広まりみんなから溺愛されてしまって・・・!?

運命の番なのに別れちゃったんですか?

雷尾
BL
いくら運命の番でも、相手に恋人やパートナーがいる人を奪うのは違うんじゃないですかね。と言う話。 途中美形の方がそうじゃなくなりますが、また美形に戻りますのでご容赦ください。 最後まで頑張って読んでもらえたら、それなりに救いはある話だと思います。

転生したようだけど?流れに身を任せていたら悪役令息?として断罪されていた――分からないまま生きる。

星乃シキ
BL
発作の後に目覚めたら、公爵家嫡男の身体だった。 前世の記憶だけを抱えたまま生きるレイは、ある夜、男の聖女への嫌がらせの罪で断罪される。 だが図書室の記録が冤罪を覆す。 そしてレイは知る。 聖女ディーンの本当の名はアキラ。 同じ日本から来た存在だった。 帰りたい聖女と、この身体で生きるレイ。 秘密を共有した二人は、友達になる。 人との関わりを避けてきたレイの人間関係が、少しずつ動き始める。

ただ愛されたいと願う

藤雪たすく
BL
自分の居場所を求めながら、劣等感に苛まれているオメガの清末 海里。 やっと側にいたいと思える人を見つけたけれど、その人は……

公爵家の五男坊はあきらめない

三矢由巳
BL
ローテンエルデ王国のレームブルック公爵の妾腹の五男グスタフは公爵領で領民と交流し、気ままに日々を過ごしていた。 生母と生き別れ、父に放任されて育った彼は誰にも期待なんかしない、将来のことはあきらめていると乳兄弟のエルンストに語っていた。 冬至の祭の夜に暴漢に襲われ二人の運命は急変する。 負傷し意識のないエルンストの枕元でグスタフは叫ぶ。 「俺はおまえなしでは生きていけないんだ」 都では次の王位をめぐる政争が繰り広げられていた。 知らぬ間に巻き込まれていたことを知るグスタフ。 生き延びるため、グスタフはエルンストとともに都へ向かう。 あきらめたら待つのは死のみ。