実はαだった俺、逃げることにした。

るるらら

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そして出会う俺とお前

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 それからという毎日は、定期的なロンバウトの来襲があること以外はとても平和だった。大森林ギルドに貴族が乗り込むこともなければ、スタンピートの後処理も無事に終わり。

 俺の拠点がアーダングラウド家に移ったところで口うるさいのが2人分増えただけで、保護者達ものんびりと暮らしている。任務の日は交代制で俺と組んで魔物退治に明け暮れている。

 スタンピートが収まり、魔物も活発化しなくなったのでゆとりができた毎日だ。あれから、ダンジョンがあった場所を詳しく調べると人工的に造られた魔石の痕跡と、口には出したくないほどの悍ましい生贄を捧げた跡があったそうだ。

 そこら辺はヨルダンで調べてくれるそうで、俺達はいつものように任務を熟すだけである。タサファンだけが毎日のように深刻な顔をしていて心配だが、彼にはエルダがいるから大丈夫だろう。

 アーダングラウド家に移って半年は親に会うことも無かったし、無理にパーティなんかにも参加しなくてよくて本当に助かった。俺、参加する側じゃなくて警備する側だったからな。




 「……で?お前は暇なの?」
 「暇ではないよ?アルディウスに会うために仕事はちゃんと終わらせて来てるから安心して?」
 「またエリンティウスに無茶させてないな?この前ミイラみたいになって帰ってきてビビったんだぞ?」
 「ちゃんとお休みは上げてるんだけどな。どうしてだろう?」
 「(だからロンバウトが無茶言うからだって…。)」




 とある平和な休日。俺の家と離れの間に簡易的なテーブルとイスが作られ、ハンモックまであるオシャレなスペースが出来た。そこでゆっくりするのが最近の俺のお気に入りなのだが、如何せん余計な奴まで勝手に参加している。

 毎日のように顔を合わせにくるので、慣れてしまって俺も過剰な反応をしなくなった。たまに頭のネジが緩んでハァハァしてくることもある参加者の奇行にもすっかり慣れて軽くあしらうのが当たり前になった。

 今日も今日とて拒否しようが関係なく目の前に現れるロンバウトはニコニコと嬉しげに俺を眺めに来る。手土産に王都でもかなり人気のケーキを買ってくるあたりここに暫く居座る気満々である。

 フィリスティウスが警備を強化してロンバウトの侵入を拒もうとした時期もあったが、いとも簡単にすり抜けて俺の目の前に現れるのですっかり諦め気味だ。




 「アルディウス、今日はケーキもあるけど最近手に入れた南のほうで作られた茶葉も持ってきたよ。凄く深みのある風味で甘いケーキと良く合うと思うんだ。」
 「へー、南のほうにはあんま行かないから興味あるな。」
 「私が淹れてあげるからアルディウスはゆっくりしててね。」




 大事に抱えた茶葉の入った缶を持って慣れた様子でティーポットとカップを用意してロンバウトは当たり前のように準備していく。

 ……俺に薬系の状態異常が効かないとわかったあたりから急に唐突な尽くし系にジョブチェンジしたロンバウトである。まぁ、寝込みを襲われなくなっただけいいんだけど。

 綺麗に盛り付けされたケーキとクッキーが目の前に置かれ、それから暫くして紅茶が淹れられたカップが置かれた。

 こちらを伺うロンバウトの視線が気になるが、紅茶も気になる。口に含めば思ったよりも後味がスッキリしていてとても飲みやすい。俺は紅茶の良し悪しなんてわからないけど、これは高い紅茶なんだろうなぁ、なんてひっそりと思った。




 「……どう?」
 「うん、美味しいよ。」


 
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