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そして出会う俺とお前
やっと見つけた宝物4(公爵視点)
毎日アルディウスに会うためには、膨大な仕事を熟さなければいけない。陛下に苦言されぬよう、アルディウスがアーダングラウド家に移ってからの集中力は凄まじかった。
鬼神のごとく仕事を捌き、エリンティウスに文句を言われぬよう事前にやるべきことは済ませる。なんなら逆にエリンティウスに仕事を振り、私の邪魔をさせないよう時間稼ぎもする。
そうやって過ごすうちに功績が認められ、陛下からさらに領地を褒美として与えられた。魔石が取れる鉱山とそれを管理しているドワーフが住む土地だ。もともとは王都から派遣された代理の貴族が対応していたのだが、不正を働き懐に金を着服していたのがわかったのだった。
そんなわけで、管理するべき人間がいなくなったので都合よく私が当てはめられたというわけだ。うまく扱えれば金などいくらでも入ってくる宝の山だ。これでアルディウスにプレゼントでも買おうかと思ったのだが、彼はあまり宝石や金には興味がない。
……私はアルディウスの好きな物を知らない。
「ど、どうしよう…。」
花は毎日のように贈ったし、形が残る物をアルディウスに贈りたい。冒険者として生きる彼には装飾品は邪魔になるからとあまり身に着けないし…保護者達から贈られたものは自分の力では外せないと言っていたから仕方無しにつけているのだろう。
武器を扱うのは苦手だからと体術を駆使する彼の装備もすでに一級品で、わざわざ私が新しく贈っても逆に質が落ちるかもしれない。
どうしよう、どうしよう…執務室で頭を抱えて悩んでいると、仕事してくださいと言わんばかりにエリンティウスに睨まれた。仕事はしてるぞ、ちゃんとな!
本日の仕事も間もなく終える。そうしたら街にでも出て何がアイディアを考えよう。そう決めて仕事を終わらせる為にペンを握り直した。
少し日が落ちて夕焼けになろうとしている時間に私は屋敷を出て街を歩く。まだ子供たちが遊んでいるのか笑い声が聞こえてくる。
いずれは私もアルディウスの子がほしいなぁ。αでも子を成せる方法は既に文献を読みあさり知識としているから、あとはアルディウスがそれをしてくれるか…。
ふらりと公園に寄りベンチに座りながら妄想に耽る。最近はだいぶ距離感も縮まり普通の会話くらいならしてくれるし、手を握っても振り払われないから、そろそろ受け入れてくれるのでは?
いやいや、焦ってはいけない。アルディウスを驚かせてしまってはいけないからね。今はまだ時期ではない。それよりもアルディウスに贈るプレゼントを考えなくては!
「おや、ロン坊ではないか。」
「その呼び方はやめてくださいハクア殿。」
「1人ベンチで黄昏れておる公爵様よ、共も連れずに如何したのだ?」
「貴方には関係のないことですので。」
「なんじゃ、悩みごとかの?我に話してみるとよいぞ?ん?」
「ニヤニヤと笑いながら聞くな!貴様面白がっているな!?」
「いや~、最近はアルディウスもしっかりしてきて保護者から見ても良い男になってきた。独り立ちには良い時期だが如何せん暇でなぁ。」
ワハハ、と豪快に笑うアルディウスの保護者を名乗る男。ただの人間ではないのは本能的に理解しているが気に食わない男だ。
嫌な男に絡まれてしまったな。内心舌打ちをしてしまうのも仕方がない。この男を含め、アルディウスの保護者を名乗る男共は、私のアルディウスが信頼を寄せた唯一だと知っているからだ。
私も早く彼らに追いつきたいが、上手いこといかないのである。
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