銀河戦国記ノヴァルナ 第3章:銀河布武

潮崎 晶

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第5話:ミノネリラ征服

#11

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 その『クォルガルード』の艦橋では、艦長を務めるマグナー准将の元へ、艦隊参謀が報告をもたらしていた。

「六分前の反応です」

「前衛の『ディルガルード』のものか」

 参謀が差し出したデータパッドに視線を注いで言うマグナーは、ノヴァルナの不在時に艦隊司令を兼任している。報告は同型艦で前衛である『ディルガルード』から届けられたもので、付近の雲海の内部から、何者かが超空間通信を行ったと思われる、“空間ゆらぎ”の反応が検出されたというものだ。

「これは…発見されたな」

 センサーの感度が悪くなるこのジャルミス暗黒星雲では、攻撃艇のような小型艇は探知が難しい。おそらくこちらの探知網を潜り抜けた、敵の偵察機か何かに発見されたに違いない。程なくして敵の襲撃があるはずだ。しかしマグナー准将は慌てる様子も無く、冷静に発令した。

「全艦、第一種戦闘態勢。索敵を厳とし、敵襲に備えよ。姫様にも状況を、お知らせするように」



 イチ姫のいる“輿入れ艦隊”発見の報は、“五十三家”母艦部隊を経由して即座に、スクイド星人のサキュラス=ヴァン率いる、『ミツルギCCCトリプルシー』十機からなる別動隊に伝達された。

「方位244プラス11、距離はおよそ8万…思ったより近いな」

 淡い水色の肌をしたサキュラスは、口の周りの短い触手を細かくもぞつかせながら呟く。触手を細かくもぞつかせるのは、思考を巡らせる時のスクイド星人特有の行動だ。

「この位置なら、艦隊を先回りさせた方が、いいかも知れん」

 “輿入れ艦隊”の発見位置が、司令部の思っていたより進んでおらず、自分達に近かった事から、サキュラスは万全を期して自軍艦隊を加速させ、先回りさせる事で挟撃を考えたのである。

「索敵隊が目標を発見した。我に続け」

 部下達に命じたサキュラスは、通信チャンネルを母艦部隊へ切り替えて、先回りと待ち伏せを指示した………




「総員戦闘配置。総員戦闘配置。対機動兵器迎撃戦に備え」

 戦闘輸送艦『クォルガルード』の艦内に戦闘配置のアナウンスが流れ、あらゆる間接照明が赤色に点滅する。艦橋ではマグナー准将のもとへ、右舷側を航行している同型艦の『ザルガルード』から、敵発見の連絡が入る。

「敵編隊発見。方位051マイナス07、距離8千」

「機数18。攻撃艇と思われる」

 オペレーターの報告が戦術状況ホログラムに反映され、立体映像化された星間ガスの雲海に、ゴマ粒のような反応が十八個現れる。

「さらに新たな反応。方位324プラス43、距離9千」

「機数9。攻撃艇と思われる」

 敵編隊は二つ。数はバラバラで、機種はいずれも攻撃艇。おそらく単機もしくは少数で行動していた索敵機が、こちらの位置を掴んだ事で、臨時の編隊を組んだのであろう。ASGULやBSIユニットはいないようだ。状況を判断しマグナーは落ち着いた口調で告げる。

「迎撃戦。距離4千で誘導弾発射。あとはCIWS(近接迎撃兵器システム)で、対処してみせよ」

 『クォルガルード』型戦闘輸送艦部隊は、ノヴァルナが使用する頻度も多いだけあって、非常に練度が高かった。敵攻撃艇編隊の接近を待って、八隻の艦が密集陣形を取り、タイミングを合わせ一斉に誘導弾を発射した。数は合わせて五十発と、そう多くはない。命中したのも四発のみだ。ところが誘導弾は牽制であり、それを躱したあとに待っていたのが、CIWSによる猛烈な防御火箭だった。まるでビームの壁のような威力に、攻撃艇部隊はたちまち粉砕される。




▶#12につづく
 
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