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第23話:フォルクェ=ザマの戦い 後編
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しおりを挟む夜明かたに佐久間大学織田玄蕃かたより
早鷲津山丸根山へ人數取かけ候由追々御注進在之
此時信長敦盛の舞を遊し候
人間五十年下天の内をくらふれは夢幻の如く也
一度生を得て滅せぬ者の有へきかとて
螺ふけ具足よこせと被仰御物具めされ
たちなから御食を参り御甲をめし候て御出陣
【信長公記 首巻より抜粋】
「出撃する! 皆に知らせ! 俺のパイロットスーツを持って来い!!」
インターコムの向こうにいるナガート=ヤーグマーに、叫ぶように命じたノヴァルナは、跳ねるようにベッドから起きて降りると、寝室を出てリビングに向かう。ノヴァルナの行く手を照らすようにオートモードの照明が、主君の接近に反応して明かりを灯していった。今日は妻のノアは別の寝室で休ませている。ウォーダの主君用の広い居住区画には、複数の寝室や個人用の部屋があるのだ。
この日が来た!―――
一世一代の大勝負だという想いを胸に、ノヴァルナはリビングに入る。するとそこにいたのは片膝をつくトゥ・キーツ=キノッサだった。宇宙要塞『マルネー』からの緊急電を取り継いだばかりの、小柄なこの若者の腕に抱えられるはノヴァルナの青いパイロットスーツである。ノヴァルナがヤーグマーに命じるより早く、用意してここに控えていたに違いない。
「サルっ!!」
「はっ!!」
キノッサが差し出すパイロットスーツを受け取りながら、叩き付けるように言うノヴァルナ。二人の間に張り詰めた空気が流れる。
「メシだ。インスタントヌードンで構わねぇ!!」
ところがキノッサは、ノヴァルナの言葉に対して首を左右に振った。
「その儀につきましては―――」
「は?」
その儀についてはノアの出番である。いつの間にか起きていたノアは、キッチンから姿を現すと、ノヴァルナに声を掛ける。
「おはよう」
「ノア…おまえ…」
▶#01につづく
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