乙女ゲームにこんな設定いらなくない?〜BL(受)の声優は乙女ゲームに転生する(泣)〜改

十夜海

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第四章 ありえないよね?不憫なのはハノエルだけじゃないのかも・・・ 

ヒャクジュウ

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痛くて……。気持ち悪いはずなのに……。

でも気持ちがいい気もして……。

嫌なのに……嫌で仕方ないのに……。

なのに……身体が受け入れてしまう。

薬のせいだってわかってる?
わかってるよ?

でも、もしかしたら?って。

言われた通りの『淫乱』なのかもしれない。

そんな役ばっかりあったから、なっちゃったのかもしれない。

違う?

子供の時からなのかもしれない?

『自分』の見た目に関係なく、いろんなものになることができたから『声優』になりたくて。
だから努力した。
努力したんだ。

でも、結局は悪い子だから?
だからなの?
だから……みんなを不幸にしちゃうんだろうか?
父を犯罪者にして、その生がなくなる価値が俺にあったのかなあ?

遠くで兄様の声がする。
気のせいかもしれない。
気のせいの方がいい。

だって……。
こんな『春樹』を知ったら……カレイド兄様に嫌われてしまうんじゃないかな?

俺は悪い子だから。

生まれる前から悪い子なんだって。
男を惑わす淫乱なんだって。
だから、みんなに嫌われるんだって。
ふと、兄様が見えた…気がした。
身体が震える。

いやだいやだいやだいやだ!
兄様にだけは、こんな自分を見せたくない。
利己的でも卑怯でもいい。
だから、こんな浅ましい自分を……。
でも、見えた。
見えてしまった……夢だとしても、一番いて欲しくない人が。


「いやぁぁぁぁぁぁぁ!見ないでぇぇぇぇ!」

ごめん、結局、同じだ。
ごめん、ハノエル。
見られたくない人に……見られた。
きっと、嫌われてしまう。
だって汚い。

汚い人間に汚されて、悦んで……そんな穢い人間を好きでいてなんかくれない。
自分が許せない……。

いやだ、もう、消えたい。

汚い汚い汚い汚い汚い汚い汚い汚い汚い汚い汚い汚い汚い汚い汚い汚い汚い汚い汚い汚い汚い汚い汚い……。


――ちがう!

違う?でも……。汚れたの。
悦んだの。

――にいちゃんは悪くない!

にいちゃん?
そう呼んでくれる妹は、ここにいないんだ。
いないんだよ……。

――大丈夫だよ、にいちゃん。守華は、にいちゃんが大好き。
だから、戻って?
大丈夫。にいちゃん、手を。

「せば、しゅ?」

――ふふ、どっちでもいいけど。最後に名前呼んでほしいな。
これはね?女神ちゃんからもらったの。大丈夫。ね?
守華の名において『開放』!

守華?
守華なの?
嫌だよ!もう、嫌なんだ。
どこいくの?
行かないで!
そばにいて……にいちゃんは『守華』が側にいてくれたら……強くなれるから。


そう……あの頃みたいに。




――暗いよ。

怖いよ。
誰か、助けて!

「にいちゃんを返しやがれ!この変態!」
「なん、のことかな?」
「誰かー!助けて!変態だよー!」
「な、な、この!」
「ライダーキック!」
「ぎゃ、いてぇ!このクソガキ!」

――たすけて!ここは暗くて苦しい。

「はーい、はいはい。そこまでね?」
「おまわりさん!コイツ、にいちゃんを拐う悪い奴!」
「ちが、違いますよ?この子の妄想なんです。」
「違くない!そのカバンににーちゃん入れた!」
「いや、これは旅行に行くんですよ!」
「うーん、まあ、そうだね。中を確認させてもらおうかな?
そしたら、この子の妄想かわかるよね?」
「いや、が、鍵を失くして……。」
「そうか、なら、簡単だよ。この商店街には鍵屋があるからね。すぐに開けよう!」
「いや、警察だって、それは横暴でしょう?」
「んー?なら、話を聞かせてもらうかな?そこに交番あるしね?」
「えっ?いや、急ぐし。」
「うん、大丈夫。この形なら簡単に開けてくれるよ。鍵屋さんが。そしたらすぐ容疑も晴れて、楽しく旅行ができるんだよ。
いやねえ、不審者情報が馬鹿になんなくてさ。確かめるのこっちも大変なんだよー?
ここ2、3日『スーツケースを持った不審者』がいるって、巡回してるんだよ。
だからね?
怪しくないなら、行こうか?」
「あれえ、おまわりさんじゃん。何してんの?」
「いや、このスーツケースあかないらしくさ。」
「なんだあ、簡単だよ?」
「うわ、やめろ!」
「やっていいよ。」
「ほいほい。」

ガタンって音がして、目が眩しい。

「逮捕だね?」
「うわーっ、俺が、俺が悪いんじゃない!」
「はいはい、話は署で聞くよー。」
「にいちゃん!……大丈夫かな?」
「とりあえず病院だなあ?」
「いま、救急車呼んだし。他の警察も呼んだよ!」

そのあとの事は、気を失ってしまって覚えていない。
気がついたら家だった。
母の話だと、すぐに連絡が来て病院には行ったが怪我などはないため、いったん帰っていいと言われたらしい。
また、明日……春樹が話せる状態なら警察に来てほしいと言われたそうだ。

「しゅかは?」
「ふふ、足元よ。」

見ると守華が足元に寝ていた。
今日も守華に守られちゃった。
お兄ちゃんなのにな。

「ねえ、お母さん。空手習いたいな?だめ?ごしんじゅつって言うんだって。」
「はるが?」
「うん!」
「そうねえ。でも、はるなら合気道とかのがいいんじゃない?」
「んー、と。しゅかを守れるならどっちでもいー!」
「わかったわ。いい道場がないか、聞いてみるわね?」
「うん!」


それから少したって、道場に通い始めた。守華と一緒に。
でも、いつも若いお兄さんが僕を着替える場所に連れて行くんだ。
上手く道着が着れてないって。
いつも脱がされる。
だから『ごめんなさい』って謝ると、反省の色がないって言われて裸にされる。
で、お尻を叩かれるんだ……そうすると心臓がドクンって痛くなって……怖くて動けなくなる。

そしたら、また守華が助けてくれた。
誰にも言えなくて。
だって『誰にも言ったらいけない。約束だ。約束を破る悪い子はもっと痛いお仕置きだからな?』って言われたから……。
怖くて、でも言うのも怖くて。
でも、守華が気づいてくれた。
そして、すぐにそのお兄さんは来なくなった。
でも、僕にも向いてないからって……やめることになった。
守華は、すごく才能があるって……マジすごいんだ!

「お兄ちゃん。」
「なあに?」
「お兄ちゃんは、しゅかが気持ち悪くない?」
「なんで?」
「だって……みんな見えないって。しゅか、嘘言ってないのに。みんな気持ち悪いって!」


守華が俺に抱きついて、泣いたんだ。
滅多に泣かないのに。
守華はどうやら『オバケ』が見えるらしい。
俺には見えないけど……。
テレビの特番はよくやってるし。
たまに、嫌な気配を感じると守華がそこを睨んでいたりするんだよ。
だから、守華は俺に見えない何かが、見えるんだってわかった。
でも、それはとても疲れたり大変じゃないかな?って思うことはあったけど、守華を気持ち悪いだなんて思った事は、まったくない!

「守華の目に何が見えていても、お兄ちゃんは、守華が大好きだよ♡」
「えへへ、守華もはるちゃんが大好き♡」
「ラブラブだねえ。」
「ラブラブだよー。」

そんな微笑ましい時代もありました。
育つと美少女。
黙ってれば美少女。
兄を足蹴にする美少女。
兄をパシる美少女。
に、成長しましたけどね。
でも、何があっても守華は俺の大事な妹で護りたい相手なんだ。
たとえ、自分より強い妹でも。


でも、また守華に守られたの?
守華がいてくれるだけで心はいつも強くなれたの。

でも、ごめん。

ハノエルに悪いけど、春樹は……もう兄様カレイドの側にいれない。

どんなに好きでも……。




……やっぱりゲームのシナリオからは抜け出せないのかな?





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