124 / 178
第四章 ありえないよね?不憫なのはハノエルだけじゃないのかも・・・
ヒャクニジュウヨン
しおりを挟む今日は清々しい朝だ。
あったらしい朝が来た!って歌ってしまいそうなくらいの清々しい朝だ。
だって、あの嫌な夢を見なかった。
全くもって、片鱗さえ見なかったのだよ、ふふふ。
おかげで体もなんか軽く感じる。
今ならラジオ体操第二飛び越え第四までできそう………すみません、嘘吐きました。出来るわけないよね!
あれは、無理です。体操選手じゃないんだからっ!
「おはよう。ハル。今日は先に起きてしまったんだね。」
と言いながらもキスを降らせてくる兄……いや、神石先輩……純日本人だったよね?
ですよね?まさか、ハーフやクオーターとかは……うん、プロフィールにもなかった!はず。
やはり、照れもなくあれだけの激甘なセリフを数多くこなす声優だけあるのかもしれない。
俺がそこまで上がるには経験値が足りなすぎる。
というか、自分のセリフを生活ないでシラフでなんて言えない。
言えるわけがない。
「さて、ハルの百面相も堪能したし、用意して朝食を食べたら……行こうか?セバスの部屋に。」
「はい!」
「元気なお返事だけど。少し焼けちゃうかな?」
だって……。
兄様も家族も大好きだし、その兄様は特にだけど……。
セバスは別の意味で特別なんだもん。
いつも一緒に居てくれたし。
気がつくと側にいたし。
気がつかなくてもいたし。
忍者かもしれないし。
ある意味ライナスの毛布的な?感じかもしれない。
あれ?兄もだ。
……兄の方がライナスの毛布かもしれない。
兄がいない時の穴を少しだけでも塞げるのは、セバスとリオーラだけなんだけど……。
『はるちゃん、ヴァルもいく、いっていい?』
「え?あ、兄様。ヴァルも一緒に行きたいって。」
「そうだね。ヴァルもセバスに懐いていたものね。いいのじゃないかな?」
『やったー。』
「よかったね。ヴァル。」
『うん。』
うーん。ヴァルはやっぱり人の言葉を理解しているんだね。
俺とは『心話』を使ってるけど。
兄とのは普通に兄が喋ったことを理解しているんだから。
賢い賢いと思っていたけど、やっぱりうちの子は超賢いらしい。
そんな猫ばか的なことを考えつつ、朝の支度をこれまた兄がこなしていく。
……兄がいないと何にもできない子になってしまいそうな自分が怖い。
食事も終わって、兄に抱っこされてセバスの部屋に向かう。
セバスの部屋に行くのはこれが初めてだ。
そもそも、セバスが眠っている姿を想像できない。
ヴァルが後ろから大人しくついてくる。
そして、自室からかなり離れた場所にセバスの部屋があった。
普段は殆ど使わない部屋らしい。
何故なら、普段は侍従部屋と言われる主の部屋の隣の部屋を使うから。
だから、あてがわれている部屋を使うことは、殆ど無いらしい。
それでも服や荷物を置いていたり、休日の日に過ごしたりするための部屋。
そんな部屋にはその人の『色』があるもんなんだけど。
扉の前にはルイくんがいて『どうぞ』と扉を開けてくれた。
部屋の中は……これがセバスの『色』というには殺風景だった。
シングルのシンプルなベッドに、白を基調とした布団でセバスは眠っていた。
昔見た某アニメの『これで死んでるんだぜ?』って言葉が浮かんでしまうくらい『生』を感じない。
一日一回魔法薬で栄養を癒し魔法で、体の不具合を癒す。
それで体は生きている。
そう、体は生きているんだって……。
周りを見ると小さなライティングディスクに数冊の本があるだけだった。
他には何もない部屋。
かろうじて、部屋の端にある洋服かけにセバスの服が数着かかっているくらい。
……全部執事服だけども。
セバス……私服は?
「兄様、おろしてもらっていい?」
「ああ。」
兄におろしてもらうとセバスの側にいく。
「お爺さまには、既に外傷はありません。でも、目覚めないのです。
……ハル様を助けることが出来て、安心されたのかもしれません。」
だから、深く眠り過ぎて目覚めないのでは?
とアズリアが言っていたそうだ。
でも、違うと思う。
きっと。
俺の呼びかけを待っているんだと思う。
――ムカシカラ $€*ğ üöハワタシニシカ ヘンジヲシナイノダカラ
ふっと何かの感情が浮かんだ。
なんだった?
思い出せない。
でも、セバスを起こせるのは自分だけだって……何故かな、確信できる。
「ハル様?」
俺はセバスの手を掴んで願う。
起きて、側にいてと。
「セバス、起きて?ハルは、セバスがいないと嫌だよ。
セバス、起きて。僕と一緒にいるって。」
約束したじゃないか。
……いつ?
でも、約束したよ。
いつかはわからない。
でも、確かにいつも側で……って。
――……様、私はいつまでもあなたのお側に……
そう、言ったよね?
「セバス!起きてטאלב !」
何かの呪文を言った気がする。
でも、意識せずに言った言葉は……なんと言ったかもわからない。
でも。
握った手が光ったから……魔法なんだと思う。
そして……。
セバスの瞳が開いた。
「セバス!」
『じーたん!』
「お爺さま!」
兄が、ヴァルが、ルイくんが、目を見開き呼びかけた。
「………様。」
「うん。セバス。」
セバスが握っていた手を握りしめて言った名前は……確かに俺の名前のはずなのに、なんと呼ばれたか……わからなかった。
でも、セバスが目を開けてくれた。
それだけで……嬉しい。
それだけでいい。
その後、屋敷の皆が大喜びした。
特に喜んだのは母だったのはいうまでもない。
そして、朗報が一つ。
クリスの翼も消えたことで、夜に父も帰宅できたということ。
明日の兄の最後の休み(まあ、毎週ありますが半期休みからのね?)には、家族全員が揃うみたいです(喜喜)。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
読んでいただきましてありがとうございます。
聞き取れない言葉の文字は当て字なので、意味はありません。
言葉自体はそのうち……出てきます。
3
あなたにおすすめの小説
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
穏やかに生きたい(隠れ)夢魔の俺が、癖強イケメンたちに執着されてます。〜平穏な学園生活はどこにありますか?〜
春凪アラシ
BL
「平穏に生きたい」だけなのに、
癖強イケメンたちが俺を狙ってくるのは、なぜ!?
トラブルを避ける為、夢魔の血を隠して学園生活を送るフレン(2年)。
彼は見た目は天使、でも本人はごく平凡に過ごしたい穏健派。
なのに、登校初日から出会ったのは最凶の邪竜後輩(1年)!?
他にも幼馴染で完璧すぎる優等生騎士(3年)に、不良だけど面倒見のいい悪友ワーウルフ(同級生)まで……なぜか異種族イケメンたちが次々と接近してきて――
運命の2人を繋ぐ「刻印制度」なんて知らない!
恋愛感情もまだわからない!
それでも、騒がしい日々の中で、少しずつ何かが変わっていく。
個性バラバラな異種族イケメンたちに囲まれて、フレンの学園生活は今日も波乱の予感!?
甘くて可笑しい、そして時々執着も見え隠れする
愛され体質な主人公の青春ファンタジー学園BLラブコメディ!
月、水、金、日曜日更新予定!(番外編は更新とは別枠で不定期更新)
基本的にフレン視点、他キャラ視点の話はside〇〇って表記にしてます!
異世界転移して美形になったら危険な男とハジメテしちゃいました
ノルジャン
BL
俺はおっさん神に異世界に転移させてもらった。異世界で「イケメンでモテて勝ち組の人生」が送りたい!という願いを叶えてもらったはずなのだけれど……。これってちゃんと叶えて貰えてるのか?美形になったけど男にしかモテないし、勝ち組人生って結局どんなん?めちゃくちゃ危険な香りのする男にバーでナンパされて、ついていっちゃってころっと惚れちゃう俺の話。危険な男×美形(元平凡)※ムーンライトノベルズにも掲載
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
分厚いメガネ令息の非日常
餅粉
BL
「こいつは俺の女だ。手を出したらどうなるかわかるよな」
「シノ様……素敵!」
おかしい。おかしすぎる!恥ずかしくないのか?高位貴族が平民の女学生に俺の女ってしかもお前は婚約者いるだろうが!!
その女学生の周りにはお慕いしているであろう貴族数名が立っていた。
「ジュリーが一番素敵だよ」
「そうだよ!ジュリーが一番可愛いし美人だし素敵だよ!!」
「……うん。ジュリーの方が…素敵」
ほんと何この状況、怖い!怖いすぎるぞ!あと妙にキモい
「先輩、私もおかしいと思います」
「だよな!」
これは真面目に学生生活を送ろうとする俺の日常のお話
転生したが壁になりたい。
むいあ
BL
俺、神崎瑠衣はごく普通の社会人だ。
ただ一つ違うことがあるとすれば、腐男子だということだ。
しかし、周りに腐男子と言うことがバレないように日々隠しながら暮らしている。
今日も一日会社に行こうとした時に横からきたトラックにはねられてしまった!
目が覚めるとそこは俺が好きなゲームの中で!?
俺は推し同士の絡みを眺めていたいのに、なぜか美形に迫られていて!?
「俺は壁になりたいのにーーーー!!!!」
記憶を無くしたら家族に愛されました
レン
BL
リオンは第三王子で横暴で傲慢で侍女や執事が少しでも気に入らなかったら物を投げたり怒鳴ったりする。家族の前でも態度はあまり変わらない…
家族からも煩わしく思われたていて嫌われていた… そんなある日階段から落ちて意識をなくした…数日後目を覚ましたらリオンの様子がいつもと違くて…
最弱白魔導士(♂)ですが最強魔王の奥様になりました。
はやしかわともえ
BL
のんびり書いていきます。
2023.04.03
閲覧、お気に入り、栞、ありがとうございます。m(_ _)m
お待たせしています。
お待ちくださると幸いです。
2023.04.15
閲覧、栞、お気に入りありがとうございます。
m(_ _)m
更新頻度が遅く、申し訳ないです。
今月中には完結できたらと思っています。
2023.04.17
完結しました。
閲覧、栞、お気に入りありがとうございます!
すずり様にてこの物語の短編を0円配信しています。よろしければご覧下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる