おっきな猫とおひとり様生活の予定がひどい異世界で、優しい魔族に溺愛されたので人を許せそうです。

十夜海

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二話 お化けだとでも?

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「え?」

嘘でしょう?前には何もありません。
つまり、占い屋さんもいないのです。

え?なんで?

慌てて立ち上がると、今まで確かに座っていたはずの椅子もなくなったではありませんか。

なに?なんで?
まさか、幽霊とか?

いやあ!やだよやだよ~。
私、強そうだけど……幽霊とかおばけは苦手なのに!
本当にダメなんです。一人暮らしだから、特番で怖い話になろうものなら、速攻でチャンネル変えるくらいダメなんです。

私は、逃げるようにその場をあとにした。
ええ、久しぶりに走りましたよ!

しばらく行くとようやくその場所も見えなくなって落ち着く。というか、息がきれました。
心臓バクバクでしたもの。
これが可愛い女の子なら、声をかけてくれる人もいたかもしれませんが……男みたいな奴ではね?
変な目しか向けられません。

でも、怖かったです。本当に。
まあ、顔には出ませんけどね。
さて、心臓の方も落ち着いてきたところで帰りましょう。
落ち着いて見ればいつもは入らない路地のようです。そこで、ふと露店商が目に入る。
輸入雑貨を置いているらしい。
私の琴線にビンビン触れます。

うわっ!綺麗……。

品が並ぶならで見つけたもの。
ピンクのグラデーションの石でできた薔薇のついたネックレス?
どうやったらこんな色合いがでるのかしら?

すごく欲しいな。でも、高そう。

「プレゼントかい?」
「いいえ?じぶんのよ。」
「ああ、失礼。お嬢ちゃんかい。間違えたお詫びに五百円にしとくよ?」
「男にはよく間違えられるから気にしないわよ?でも、本当に500円でいいの?」

それなら絶対買う。本当は仕事も辞めたから節約した方がいいのはわかってる。
でもね?慰めに5000円くらいはかけてもいいのじゃない?
なら、その10分の1くらいかけてもバチは当たらないわよね?

「ああ、いいよ。石は君がいいらしい。」
「?はい、500円。でもすごく綺麗ね。」
「そうかい?ふふふ、ありがとよ。まいどあり。君にいいことがありますように。」
「ありがとう。」

立ち上がり、今度こそ帰ろうとあるきだした。
でもなぜかしら?
コレをすぐにでもつけてみたくなった。
首にかけてから、気になって……後ろを振り向くと露店商が消えている。

え?また?
なに?なんなの?
なんで消えちゃうの?あの一瞬で店終いにして、帰っちゃうなんて……魔法でもなきゃ無理でしょ?
でも、夢でも幻のでもない。
なぜなら、私の首には確かな証拠があるから。

怖くなった私はまた走り出した。
あともう少し。
もう少しで家につく。
そして、角を曲がった瞬間、ゼリーに飛び込むような感覚とプルプルした何かに包まれような感覚がした。

けれど、気がしただけでそこから先を私はまったく覚えていない。




…………ってことがあったのは多分昨日の夜だとおもうのよ。
で、現在進行形で私がいるのは、大都会のジャングルではなんてものではなく、マジな木がボーボーの草ボーボーのジャングルなんですけども!

どーゆーことなんでしょうねえ?
おかしいですよね?
おかしくないですか?
おかしいことだらけですよね?

夢ではない証拠に服は昨日のままで、しっかり首には薔薇のネックレス……。
ただ、しかし……少し違和感があるんです。
なんだか痩せた気がするの。

そう、ウエストゆるいです。
ものすごく、ゆるゆるなんです。
ギリギリ、落ちませんが。

それくらいですなのですが………まさか痩せるほど寝ていませんよね?
そんななら、お腹ぺこぺこどころじゃないと思うんです。
今のところ、飢餓感はないですし喉も渇いていません。

だからそんなあり得ないことなんて、おきてませんよねえ?

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