娘と二人、異世界に来たようです……頑張る母娘の異世界生活……ラブ少し!

十夜海

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第二章 異世界というものは

No.4

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茶色の鎧(マジでGに見えるよ)がたくさんと銀の鎧が数人と……金の鎧が一人に白の鎧が一人と青の鎧が一人。赤の鎧がサンタに見えるのは、白いお髭のお爺さんだからでしょうかね?マッチョだけど。

「ようこそ、我が愛しのショウ。」

ものすごい鳥肌立ちましたが。だれ?え?まさか?

「……キショイなあ。でも…その声、ロドさん?あれ、髭ない。」

と腕をサスサスしながら奏歌が聞く。

「髭だと年寄りに見られるからな……これでミリオンと変わらないとわかったか?」
「いや、ミリしゃんのがわかいち。だいち、1000歳以上は年寄りでしゅよ?」
「言葉がすこし……?」
「あ、ん。まほうで。」
「……そうか。で?感想は?」
「にゃんの?」
「髭がない顔の。」
「んー、まあ。その方がいいかもね?」

というくらいだが、ロドリヌスは破顔した。

「そうか!」

破顔したまま、ラナンから私を抱き取る。いや、奪い取るがふさわしいかんじだ。
だが、そこにハリーが物申すって感じで割り込んだ。

「ロドリヌス様、ショウを離していただきたい。」
「ん?ハリーか?ついに継ぐか?」
「は?……違う。俺はショウを離せといっている。」
「ふーん。……お前もか?だが、相手は俺だぞ?」
「たとえ、ロドリヌス様でも。」

なんだか、二人の視線に火花が散った。一体、なんなんだよ……。

「いい加減にしたら?ショウがドン引きよ?」
「なんだよ、ミリオンまで来たのかよ!」
「ええ、しょうがないじゃない?」

睨み合いは、ミリオンのおかげで終了だ。

「まあ、いい。中に入るぞ。」
「お、おい。ロドリヌス。儂たちにも紹介せんか!」
「えー?めんどくせー。そこのラナンとか?ハリーとかミリオンとかに聞いてくれ。
とりあえず、俺たちは中にはいる。こんなところで、ショウが風邪引いたらこまんだろ?」

と、ハリーの言葉とかその他の言葉を無視して、私を抱いたままズカズカと城の中に入っていく。

「まって、ソカを置いていくにゃ!」

危なく、奏歌と離されるとこだった。

「おー?あ。はいはい。ソカ、こい。」
「おっさん、あ、ロドさん。どーすんのコレは?」

奏歌が走ってきて、指差してロドに問う。

「まー、だれかがなんとか収集すんだろ?それより、あったかいもん飲んで話そうな?ショウ。」
「あ?ん。でも、だいじょぶ?」
「まあ、いい大人だ。なんとかなるなる。」
「はあ、いいかげーん。」
 
ソカは呆れながらも素直についてくる。
ロドは、私に甘い微笑みを向けながら歩き続ける。幼女に必要ないぞ?いや、子供だから笑顔か?だが甘さはいらんよ。

しっかし、城って広いな。
かなり歩いた所で、兵が守る扉を開けてくれた。
さすがお城。主要な扉に守りの兵がいるのか。
中は、大広間かっつーくらい広いリビング?応接室?

すげーなおい!

あ、いけないいけない。言葉遣い……気をつけねば。
だかしかしだ……すごいとしか言えない。

「ま、ショウ!ぴ、ぴ、ピアノが!」
「ピアノだ。」

奏歌が大興奮で、指を指している。

「ん?ああ、ピッアノとかいう楽器らしい。誰も使えんがな。過去に異世界人とらわれびとが残したらしいな。」
「とらわれびと?って?」
「別の世界からとらわれた者だ。魔王によっていわれている。」
「別の……世界?」
「ああ、魔法も魔力もない人間らしいぞ?信じられないが。
その人間は『無垢なる器』という物になるようでな?魔力を貯めておける人間だそうだ。まあ、それを助けた後に、保護されていた時に作ったもんらしい。
助けたのは俺よりも、かなり前の勇者らしいからな。
作った人間もその旋律を聞いた人間ももういない。今はただの飾りだ。」

ほー、とらわれびとか。ピアノを作るなんてすごいな。

「ねえ?……調律狂ってるかな?」
「さあ?魔法でなおせるんちゃない?」
「あ、その手があったか。……よし、ロドさん!弾いていい?だめ?」
「あ?構わないが、鳴らせるのか?」
「鳴らす……ね。うん。いい?」
「ああ。」
「ひちゃちぶりー。」

奏歌のピアノを聴くのは久々だ。
いや、久々に思える。
実際には3日……程度。
ああ、ものすごく濃い日々だったなあ……。
奏歌がポンポンと鍵盤を叩いて確認する。

「んー、やっぱ少し狂ってるかな。でも、さすが魔法の世界?痛みないねえ。」
「ほー、そう鳴らすのか。」
「えーと。直すのはリペアでいいか?よし、リペア!おっ、やー、いい音。へー、コレ作った人すごいね。」
「まあ、頼んだのはそいつだが、作ったのはドワーフ族らしいからな。」

ドワーフ!
おー!さっすがファンタジー。
いるの?
じゃ、エルフも?
あ、こいつ、私を精霊とか言ってたもんな。いるのかな?

「まあ、ドワーフがもの作るなんてなあ、そいつを気に入らなきゃ作らねえがな。」

やはり、頑固者の職人のようだね。でも、会いたい。電子レンジとか作ってくんないかなあ。

「ふーん。よっし、指鳴らしに簡単なのからかな?」

娘は、ゆっくりと仔犬のワルツから弾き始めて……エリーゼのためになど、割合初心者向けと言われている曲を弾いていた。
まあ、楽しく弾いているからいいだろう。
と、やはり好きなのは歌なのか……簡単な伴奏で自分の好きな歌を歌い出した。
もう、オペラを目指すこともない。声楽家なんてこの世界にあるかわからない。なら、好きな歌を好きなように歌えばいいと思う。
ピアノ自体、ほっておかれるような世界なら……あまり音楽に関しては、期待できないだろうけど。
なら、奏歌の好きに生きれたらいいかなって思う。まあ、観客は私だけになるかもしれないけどね。
オペラは挑戦も出来ず一つ途絶えたけど、でも奏歌の根本は『歌が好き』だから……。

「ほうぅぅ、コレはなんと美しい歌声か……。」
「本当に。」

何故か、扉の方から声が聞こえる。奏歌は気づいていないようだ。

「……はあ。楽しかった。ママ、どうだった?」
「うん、すんごくよかったよ。」
「やっぱ楽しいね。歌うのは。」
「うん。ママはソカのうたがだいちゅき。」
「ありがとう、ママ。」

パチパチパチパチ……といつのまにか、さらには鎧軍団がおりまして。
ラナンたちも目を見開いて、おりました。

「すごいな、ソカ。」
「うわっ、ラナンさん。苦しいって。」

感激したらしい、ラナンに奏歌はぎゅうぎゅうと抱きしめられいた。

「お前の姉は、随分と特技があるな。」
「まね?で、いいかげん、おろちて?」
「いや、可愛いし。」

まあな!今日はお招き?だからさ。娘の服の形は変わらんよ?パープルに変えてみたが。コレがまあ、似合ってるんだ!
あ、で、私。そう。ふわふわですよ。
上はねー、青の奴。ふわふわのドレスみたいな奴なんだよ。短めの。下は流石に冒険者用に一応作ってるお店だね。スパッツだよ。ポケット付きの。スパッツにベルトをしてます。短剣装備でね。髪はポニーテールにしてるよ。なんかリボンされてますがね。
で、娘は三つ編みをゆるく編んでる。リボンはお揃いにしました。
という格好ではあるが……抱っこと可愛いはイコールではないと思います。

「で、ロドリヌス。紹介してくれよ。」
「ラナン、頼むよ。」
「いや、したよ?でも、信じないんだよ。」
「ちっ、めんどくせーな。
……ランバート、この子が俺が結婚を申し込み中のショウだ。
で、今ピッアノを鳴らして歌ってたのが姉のソカ。
二人は駆け出しの冒険者。
ソカは15、ショウは3だったか?
ショウは、15年後に俺の嫁になる予定。以上!」
「……嫁じゃねーし。」
「ショウ。だめなのか?」

いや、だから。しょんぼりボンはやめや。

「だめちゅーか、あのね?
未来はふかくじつでちょ?
予定は未定にゃんだよ。
かってにきめるのは、よくにゃいわけ。
……おろちて。でにゃいと、はなすこともにゃいけど、いい?」
「……わかった。」

でっかいふっかふっかのソファに降ろされた。しかし即座に隣に座られた。
まったく。はあ、とため息をついたと同時に。

「あの、ソカ様と。」
「はい?」

白い鎧の騎士がソカに跪き、その手をとりキスをした。
うわあ、騎士だ!騎士がおる!

「うえ、な、何するんですか!」

奏歌はすぐに手を引き、上着で甲を拭いていた。

「ソカ様、ぜひ私の妻に。」
「えっと、嫌です。」

奏歌、即答。っていうか、あんた。手を拭われたのにオッケーくるわけないじゃーん。

「な、なぜですか?」
「いや、あの、知らない人に言われてもねえ……。」

まあ、確かにな。イケメンだけど、残念なイケメン臭がしますね。
はっ、と気づいた残念騎士は立ち上がると頭を下げた。

「あ、これは大変失礼いたしました。私、この聖光陽国せいこうひこく第二王子のクレオンと言います。どうか、私の妃に。」
「無理。」

やはり、即答。

「なぜですか?」
「いやいや、考えてみて?そもそもだよ?初めて会った人に嫁げないっしょ?」
「ふふふ、おうじしゃま?ソカは簡単にはあげないよ?第一、にゃんでいきなりにゃのさ。」
「あの歌声に一目惚れしたのです。」

歌?それだけ?

「ふーん、歌ねえ?たしかにきれいだよ?でも、それなら他をあたりにゃ、ソカをあんたにあげる気は全くにゃいから。」
「な、なぜですか?」

あ?

「ばかにゃの?」

馬鹿か?馬鹿なのか?
娘自身に惚れなきゃ意味がない。そして、一番は娘自身が好きにならなければ絶対に許さない。
たとえ、それが神でも。

「私は、王子ですよ?次の王です。幸せにできます。富もあります。」

やっぱり。大馬鹿だった。

「……ばかにゃの?」

ボソリと言ったら、周りがいきなり騒ぎ出した。

「なっ、いくら、勇者様の御婚約者様であろうと、失礼ですぞ!」
「そうでございます。王子に何という!」

そしたら、今まで見守っていたミリオンが静かに言った。それもちょっと怖い笑みを浮かべている。

「バカをバカって言って何が悪いのかしら?」
「み、ミリオン様!」
「な、ミリオン様がなぜ!」
「んー、それは私もソカを気に入ってるから?」

ほかの騎士?たちが騒ぎ立てる中、奏歌は呆れ顔だ。
そんな時に、ミリオンはいきなり口を出したわけさ。
様付きってことは、ミリオンって身分高いのか?もしかして。
そういえば、ミリオン。
あの時『逃げるわよ』って。ロドが来るのを知っていたようにおもえる。
それに『遅かったか』とも言っていた気がする。

「……兄上。」
「そうねー、貴方の兄ねえ。嫌になっちゃう。」

はあ、と心底嫌そうな顔でミリオンはため息をついた。

「あのさ……。」

娘は、二人に向かって呆れた声を出した。

「あのさ、私たちは勇者?
あ、元がつくんだっけ?のロドさんとママ……ショウとのことで、ここまでワザワザ来たわけ?
確かにピアノに歓喜して、場を乱したのは私も悪いけどもさ。
ショウが言うように、王子だろうが何だろうが、初めてあって求婚を受けるほど私は馬鹿じゃないの。
それに、『きゃー王子様、素敵ー!』って夢見るような恋愛脳じゃないしね。
で?
ロドさん、話がないならママと帰るよ。いい?」
「だよね?」
「しかし!」

なんか、周りが言葉を発しようとした瞬間。

「だあーーーーーーーー!」

いきなり、それまで静かだったロドリヌスが奇声をあげた。

え?壊れた?
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