37 / 124
第二章 異世界というものは
No.14
しおりを挟むさて、と五人でテーブルを囲む。
ピロリと広げられたのは、大きな紙だった。それに書いてあるのは、かなりデカイ家の見取り図だ。
小さくていいのに……。
だが、しかしと考える。
デカイ身体をしてるんだもんね……奏歌と私サイズにしたら……狭いか?というか犬小屋サイズなってしまいそうだ……ん、我慢しよう。
「簡単に見取り図はあるんだが、あとはお前たち二人の要望を入れていく。」
「ふふ、私たちの案はもう聞いてもらってるの。だから、後は貴女たち二人の話ね。」
「そうなんだ?んと、もしかして、この二階の続き部屋みたいなところが、私たちの部屋?」
「そうだ。廊下からは一応別々の部屋になってるが、中で扉で繋がる。そこは、一応二人が了解すれば行き来出来るような鍵にするが、外からは完全にそれぞれの認証式だな。勝手には入れない。
まあ、招きがあれば入れるがな。」
「そんなに厳重に……が必要?」
まあ、安心といえば安心だけど。なんか一緒に暮らすにしては、かなり厳重じゃないかな?
「当たり前だ。言っておくが、お前たち二人は幼いが……極上の女だ。だから、たとえ俺たちだとしても油断は禁物だ。」
「まあ、牽制しあうけどね?でも、そうね……少しだけ抜け駆けしてもいいわよね?せっかく、ラナンたちがいないんだもの。」
「ぬけがけ?にゃんの?」
「ふふふ、そうねー。」
にっこりとミリが微笑んで、奏歌の手を取った。
「私は、ソカ、貴女をお嫁さんにしたいわ。」
にっこりとミリオンが微笑んだ。
「私をお嫁さん?ふーん。…………は?お嫁?わたしを?は?」
「そう、まあ?まだ先でいいけど。まあ、そういうわけだから。考えといてちょーだい?」
そう言って、奏歌の頰にキスをした。
「……ショウ、ごめんなさい。とりあえずは剣を下ろしてくれると嬉しいのだけど?」
私は、自分でもびっくりするくらい早く、斜め向かいに座るミリの首筋に短剣を当てていた。
いや、まあやろうとはしたけども、身体が勝手に動いた感じだ。
え?シャルの力?
『我は何していない。』
つまりは、自分の力か。
「早すぎて、反応できないなんて……私もまだまだね。」
私は自分の速さに動揺しつつも、それを悟られないようにする。
「ソカの手をはなちて?これ以上のことをちゅるにゃら、覚悟ちて?」
「ま、ショウ!だ、だ、大丈夫だから!と、とりあえずは、剣、しまって!」
なぜか、奏歌の方が慌てている。
ミリオンは奏歌から手を離し、降参のポーズをした。
イケメンはそれさえも優雅だね。
「まあ、まあ。ショウ。落ち着け。ミリオンも悪ノリしすぎだ。」
「あら?私は本気よ?」
「ちゅまり、ミリしゃんはソカがすきにゃのか?」
首に剣を当てたままで聞いた。
「ええ、結婚したいくらいに。……どうかしら?ソカ。」
首に短剣を突きつけられているというのに、優雅に微笑んでいるミリオンはかなり豪気な性格なのだろうか?
勇者であれば、このくらいでは慌てないのかもしれない。
「あの、あのさ。ま、前にも言ったよ?まだ、恋愛とかは考えられないって。だ、だから、こ、答えはむ、無理です!」
「うーん。すぐじゃなくていいわ。考えていてほしいの。まあ、そうね。恋愛を考えられる余裕ができたら真っ先に私を考えてくれたら嬉しいわ。」
「あ、はい、そ、それなら。」
「……ミリしゃん。ソカとあたちの許可にゃく、さわったらちゅぎは、首がはにゃれるからね?」
「……肝に命じとくわ。ショウ。それにしても、ロド様も大変ねー?」
「クク、いいだろう?絶対に誰にもやりたくないね。」
短剣を鞘にしまうと、ソカの手を取りミリから離した。
頰とはいえ、いきなりキスするなんて!まったく。
シャルも少しは守れ!
『うっ、了解した。しかし、我は主の……』
私より、奏歌を優先!
『り、了解した。』
人化しても心の中で喋れるのは、有難い。
ミリたちが何となく、ソカを気に入っているのは知っていたが……直接手を出すとは思わなかった。
……結婚してを子を産めというような男の後継だ。
うん、少し信用しすぎた。
いや、人としては信用してるよ?でも、男としては…ね?やはり、警戒すべきだった。
「厳重の意味がわかった。だから、しょれでいい。」
「で、ここが俺の部屋。」
「隣にゃの?」
「ああ、で、ソカの隣はラナンの部屋だ。」
「ふーん、まあ、ラナンしゃんにゃら。」
「あら、ラナンだって危ないじゃない。」
「ラナンしゃんは、おんにゃだけど、ちんちてきだも。」
「あら、私だって。」
「ちんちは、ちゅーちない。」
「ほっぺくらいいいじゃないの。」
「だめ。」
「なんで?」
「減る。」
「何がよ……。」
「いろいろ。」
そう、いろいろ減る。私の心とか、精神が主に減る。すんごく減る。
「はいはい、まあゆっくりするわー。」
「すな!」
「ミリさん、あんまりショウをからかわないでください。……もちろん、私も。」
「はーい。」
「……話を進めていいか?」
ロドリヌスが頭をかきながら、……少々呆れているように言った。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
神様、ちょっとチートがすぎませんか?
ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】
未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。
本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!
おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!
僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。
しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。
自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。
へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/
---------------
※カクヨムとなろうにも投稿しています
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる
仙道
ファンタジー
気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。 この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。 俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。 オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。 腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。 俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。 こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。
12/23 HOT男性向け1位
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
いきなり異世界って理不尽だ!
みーか
ファンタジー
三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。
自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
あっとさん
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる