娘と二人、異世界に来たようです……頑張る母娘の異世界生活……ラブ少し!

十夜海

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第二章 異世界というものは

No.23

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「着いたぞ。ショウ。」
「ん……?ふわああ。」

すでに帯は解かれて、馬から抱かれたまま降ろされているところだった。

「ん?着いた?」
「おう、休憩してから集落に向かうぞ。」

なんでも火の草原手前に村というか、集落があるらしい。
火の草原近くのため、冬でも暖かく夏にしかならない植物も生息できるらしく成長も早い。
そのため、農作地に適しているらしい。
どうも火の草原は、砂漠とは違うみたいだ。
聞いた話からすると熱帯地域に近いのかもしれないね。
火の草原で熱せられた水分が周りの地に雨を大量に降らせるらしい。
でも不思議なことに火の草原には降らないという。
砂漠ではないにしろ、蒸発する水分がどこから来ているのか謎だ。
だがまあ、周りにある集落には命の糧が恵まれるため、人は一定数集まるようだ。ほどほどに栄えてはいるらしい。
たとえ、王都まで半日かかるほど遠くても。
なにせ、人の足なら一週間近くかかるらしいよ?馬は高いから、基本は歩きってやつ。この世界の馬はゆっくり走ってるといっても、サラブレッドより速いらしい。
(あれ?じゃあ、風景楽しめないんじゃない?いや。電車で見る感じ?)
話を戻すとつまりだ、私たちだけでここに来るには歩くしかないので一週間かかるわけだよ。
でも次からは転移できんじゃね? 
そんなことを話したら、転移はあまり軽々しくは使わない方がいいと言われた。
できる人間が極端に少ないからだそう。つまり、空間収納マジックボックスと同じで、その力は希少価値。それだけでも狙われやすいと言われてしまった。なんか、自分が天然記念物化してる気がする。
でもさ?
すでに王都では沢山の人(王様たちね!)の前で使ってしまっているし、今更じゃない?かと私は思うわけです。
それに何かあれば、転移で逃げればいいしと言ったら……説教をくらいました(泣)。
そしてついでに実践された。
つまりね、ロドリヌスから逃げ切れなかったわけ。
あとね、悲しいことにミリにも押さえつけられました(泣)。
確かに、奏歌と私の魔法はすごいけども……レベルが高い人間か、またある条件下ではレベルに関係なく捕縛されることもあるんだとか……。
そもそも、私などは体力もないわけさ。
体力を気づかれずに減らされたらすぐに昏倒する恐れがある。
なんでもスキルに体力操作系のものがあるんだって。マジか……。
ミリに至っては、勇者のスキルがあるんで魔力抵抗みたいなものを使うと魔王でも捕縛可能な条件スキルがあるらしいんですよ。
私は魔王か……。
とボソリといったら、近いかもと軽く笑われてしまった。
存外に人外宣言されて……すこしムカつきましたが(怒)。
相手が知らなければ上手く逃げるために使える魔法でも、相手がその使える魔法があるって知っていれば、私らを捕まえるための準備ができるというんだ。
逆に、ちゃんと自分らも準備してないと弱いやつからも逃げられないかもしれないんだって、散々言われた。
……まあ、魔法は万能じゃないって証拠ですね。
ちなみに、一番簡単な封じは魔力を持って触れていれば……ある程度強い魔力保持者なら一緒に転移してしまうって言うんだよ。
そう、相手も一緒に転移してきたら本末転倒ってこと。つまり、逃げられないの。
まあ、そんなで『転移』とかは切り札的にしておけといわれた。
確かに、『切り札』にはいいよね。……ならワープなんてどうかな?と思ったのは内緒だ。

「お昼ご飯どうぞ。」

とお弁当を出して広げた。

「すごい、美味しそう。」
「うまそうだ。」
「わーい。いただきます。」
「我もいただきます。」

賞賛にウンウンと答えていたら、一人増えた。
いつのまにか、人化したシャルまで弁当を囲んいたの。
まったく……ちゃっかりしているなあ。
しばし、食事に没頭。
今日のお弁当メニューは、まいまいの俵型おにぎり、魚のフライ、タコの唐揚げ、きゅうりとハムのポテトサラダ、人参のグラッセ、卵焼きである。
ちなみに全部が『ふう』であるが。だって、人参とかみたいのピンクだったし。
ハムは私が豚っぽい肉をボイルして、ハムっぽくしたものだしね。
味はきゅうりだけど、外側が青いんだよ?
タコも30本足があるんだよね。小さいし、なんかピシッとしてるけど。食べたらタコだった(たこ焼きつくってみたい)んだよ。
まあ、だから、全部風とか擬きってこと。

「しかし、あれね?やっぱり、ショウは空間収納マジックボックス持ちなのね?まあ、総色なら当たり前かしら?」
「だな。」
「……なんで?」
「おまえ、バックから出してる振りしてるがなあ、バレバレだ。」
「そうね、まずはフライもカラリとしてるじゃない?
貴女、この世界のフライ食べたことある?」
「え?」

そういえばないや。

「揚げてね?10分くらい経つだけで、油でべちゃべちゃになるの。だから、あんまり揚げないのよ?
まあ、揚げ方もあるんでしょうけど。昨夜にお弁当作って、マジックバッグに入れたにしては、美味しすぎるのよねー。温かいし。」

えーと、そんな理由でばれちゃうの?

「まあ、それもあるが魔力が微少だが流れるんだ。魔力探知ができるやつなら気付くぞ?」

マジで?うわあ、じゃ、バレちゃう?

「……そんなに魔力探知できる人いるの?」
「いや?だが、Aランク以上のやつは一応注意な。」
「わかった。」
「で?実はソカもできるとか?」
「うん。あっ………。」

奏歌は思いっきり返事をしてからヤバって顔をした。
まあ、一人が二人になったところで……ね?

「……ソカ、誰にも見せちゃダメよ?」
「見せる気ないけど、なんで?」
「簡単に言うと、また価値が上がったから。」
「つまり?」
「危険を犯してでも手に入れる価値。」
「……見せないです。でもさ、切り札で逃げたりは?」
「一度なら逃げれるでしょうねえ。でもね、みんながみんな正当方でくるわけないじゃない?
権力あるやつなんて、奴隷印とか平気で使うのよ?
この王国は奴隷を禁止しているし、ロド様が許さないからたぶんいないと思うけど。
でも、ほかの国は違うわ。
もしも、他国に連れていかれて奴隷化されたら……王国では裁けないのよ。」
「え?持ってることが罪にならないの?」
「持っていることは罪にならないの……まあ、犯罪奴隷がいるから……仕方ないのでだけど。
ただ、売り買いは王国内では禁止。奴隷化するのは国務内でそれも罪が確定して重い場合ね。
犯罪奴隷は国所有で、鉱山などで働かせるの。だから、国所属の奴隷ね。
それ以外の奴隷はこの王国の所有権にあたらない。
それに所有しているだけなら罪には問われないわけ。
それに首輪がね……主人に異を唱えさせないのよ。
奴隷にされて助けてほしいって言えないから、助けられないの。
奴隷のマスターは、この国の人間でも『奴隷』は所属している国が違うから……残念だけどその奴隷が助けを求めなければ助けられない国交規約きまりがあるの。」
「でも、この国でなら奴隷化されないわけでしょう?」
「この国ではね。」

含みのある言い方だね。
この国じゃなければ、奴隷化できるわけだ。
首輪をされてしまえば、逆らえない。
なら……。

「ショウは、気づいたな。」

コクリと頷く。

「どうゆうこと?」

まあ、平和な日本で平和に育ってきた15歳にはわからないかもしれない。私だって、ここまで言われなきゃ、想像できない。
ほら、拉致被害者とかの報道を聞いてる大人なら……わかる話だよ。

「つまりね、例えばよ?ショウの力に目をつけた誰かがいたとするわ。」
「うん。」
「ショウの弱点は体力がないじゃない?だから、そこをついてうまく捕まえたとする。」
「うん。」
「で、眠らせたままでほかの国……奴隷化できる国に連れて行くわけ。」
「あっ!その国で奴隷にして連れて帰る。でも、ショウは助けても言えない。」
「そう。」
「でも、私が訴えたら?」
「確かに相手が子供なら親なら口を出すことも可能だけど……。」
「自らが『無理に奴隷にされた』と伝えられなければ……無理なんだ。むしろ、命令で『なりたくてなった』と言わされたら……おしまいだ。もう、法では裁けないのさ。」
「つまり?」
「実力行使しかないが……見つかれば処分されるのは、助けにいったほうだ。
すでに奴隷は人とされないからな。になるんだよ、そいつのな。だから、ソレを奪うものは盗賊扱いだ。」
「うわー、理不尽。」
「だから、気をつけてくれ。他にも嫌な逃げ道は、あるんだ。蛇の道は蛇というだろう?」
「う、わかった。」

奴隷なんぞ嫌だ。ずぅぇったいに嫌!
まあ、でもスマホを見ればわかるかなあ。悪い奴。
ピコンピコンと着信音が響いた。
うぇ?
スマホを見ると久々(に思えるが……一週間くらいか?)の神さまラ◯ンだ。

『神様だお!元気?あ、元気だよね?知ってるー。
あのね、思いついてー、また機能を増やしたから!あ、もっちろん奏歌ちゃんの分もね?
嬉しい?嬉しいよね?感謝してくれたりしてもいいよ?(えっへん)
あ、レベリング頑張るとスキルとかも変化しちゃったりするかも~~楽しいね!
うん、楽しいよね。じゃ、頑張っちゃってね?』

……なんとも言えない空気が奏歌と私の間に流れた。
あのストーカー神さまは、いったい何がしたいのだ?
そして、何をさせたいの?
私たちは……幸せになるために、この世界に来たんだよね?

「機能……なんだろうねえ。」
「うん。」

とりあえず保留にした。
考えても仕方ないしねえ。
いや、考えると怖くなりそうじゃん?

「変な音がしたけど……大丈夫なの?それ。」
「うん、大丈夫。私たちのお守り?的なものだから。」
「そうなの?それで、身元とかわからないの?」
「わからないけど、気づいた時から持ってるから。」
「そうなのか?」
「うん。」

二人には厚めの黒いカードにしか見えないらしい。

「さて、そろそろ行くか?」
「「うん。」」

ともかく、火の草原のそばの集落まで移動を開始した。

一体どんな機能をつけたやら。





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