娘と二人、異世界に来たようです……頑張る母娘の異世界生活……ラブ少し!

十夜海

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第二章 異世界というものは

No.22

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昨夜、私はお弁当を頑張った。
いや、別にピクニック気分とか思ってないんだよ?
でもさ、食べるってやっぱり一番大事だとおもうわけ。
それにさ。奏歌は、まだまだ育ち盛りでしょう?
もちろん、とりあえずは自分の空間収納マジックボックスに収納。だって、出来立てホカホカでご提供できるからね。だから作る端から突っ込んだんだ。一食分ならまだしも何食もだとね腐る心配もあるじゃない?
それに三日間でしょ?呑気かもしれないけど、服やらも必要じゃないですか。
それにラナンが言っていた。
基本、宿屋に宿をとっていても冒険者たるもの常に自分の荷物は管理すべきと。
まあ、それは何かのトラブルで帰れなかったりして支払いが滞った瞬間に残した全ての荷物は、宿屋の所有物に変わるからってのもあるみたいだけどさ。日にちすぎたら売られても文句言えないんだって。それも半日も待ってくれないらしい!うわあ、元の世界なら訴訟になりそう。
でね?
部屋でのことは自分たちの責任なんだって。つまり、留守の間に盗難にあっても宿屋に責任はないのだって!これも元の世界ならクレームもんだね!
女宿の場合は、男性が入れないだけ。そこだけは死守される。それだけ。つまり、女性で悪い考えを持つ人なら入れちゃうんだよ。
だから、結界をひいていくとかするらしいけど……力が消耗しちゃうらしいので、宿屋には荷物を残さないってのが鉄則ってことです。
はあ……平和な日本で生活していた私には分からん感覚だあ。
連絡手段がないもんね。あれ?でもラナンたちが、なんか使っていたなあ。今度きいてみよーっと。
奏歌とはスマホがあるから、あんまり気になんなかったなあ。
あ、話をもどすね。
まあそーゆーわけで、空間収納マジックボックスが大活躍なわけなのですよ。
ただ……空間収納マジックボックス持ちなのは、まだロドリヌスたちには伝えてないんだよね。
でもたぶん、あの二人にはバレてるような……気もするけど。なんかいろいろとね?
マジックバッグに入れるっていう選択もあるんだけどさ。
確かにこの猫型リュックはマジックバッグで中に物が沢山入るし、時間の経過はゆっくりだけど……冷めるし、時間が経ち過ぎればいたむはず。チンできるならいいんだけどさ。
でも、あれから私らは買い物していないからねえ。
あれだけの量を買って、バックだけに入れておくのもおかしいと私なら思う。あ、でも部屋のボックスに……全部入らないけど、もしかしたらって思ってないかなあ。無理か……?
なんとなーくロドリヌスには、感知的なもので色々知られていそうだし、ミリオンは何だろう、策士っぽいからなあ。
まあ、レベル的なものは話したし、前世の記憶しかもたないのも知っているから……どうだろうかね?
というか、あの二人なら持っている気がする。
ミリオンは、ちなみに5色持ちらしいし。そう、奏歌と同じ数なわけ。
でも、どの属性を持っているかは聞いていないけどね。
ロドリヌスは、私と同じだと言った。つまりは光、闇、火、風、土、水、無の七属性……希少らしいけども。
全ての魔物に有効なのは、光属性。あとは対極にある属性が多大な効果があるそうだ。もちろん、別に対極でなくても効くらしい。
ただ注意しなくてはいけないのは、その魔物の属性と同じ属性の魔法はどうやら相手を回復させてしまうらしい。というか、相手の力?んー、ご飯?あっ、リポD的?な感じになって、更に活性化するみたいだよ。
だから、相手の属性が見れることが一番なんだけど……鑑定持ちはそれこそ稀なんだってさ。
私たちは、スマホで簡単な鑑定ができるけども。人を見る限りは属性は出なかったし。
魔物とかを見てはいないから、どう出るかはわからない。
今日は、本来半日らしいけどほぼ1日かけるんだと。途中休憩を挟まないと、私が持たないだろうって。酷いよね!まあ、体力が低いですけど。
だから明日のスライムで見てみようかなって思うんだ。
なーんてことを考えていたら、二人が来たって連絡が部屋にはいりました。
取り次ぎは、別に男の人でもしてはくれる。中に入れないだけだ。もちろん、断りは可能ですよ。

着替えをして外に出る。
言われてる通り、部屋には何も残さないです。
空間収納マジックボックスに全て収納済み。
まったく、重さもないし。
洋服や菓子(えへ、クッキーもどきを作った。えっへん。)、飲み物は空間収納マジックボックスではなく、猫型リュックにいれたよ。
ロドリヌスやミリオンから逃げる気はないけど、何があるかわからない世界だもんね。せっかくのラナンの忠告は、ちゃんと聞くよ。
そう、私たちは用心することを学ばなくては。

「おはよう、ロドさん。」
「おはようございます。」
「おう、おはよう。ショウ、ソカ。」
「おはよう、お二人さん。馬場に行くわよ?」
「「はーい。」」

馬場は、あの牧場みたいなとこだ。馬はあそこで預かるのがこの街の決まりなんだって。
流石に王城には、王族と騎士用の馬はいるって話。
兵士は基本的には馬には乗らない。いわゆる歩兵ってやつらしい。騎士は騎馬兵にあたるみたい。
冒険者はCランク以上になると馬を持つものが増えるんだって。
なんでって?思うでしょう?
もちろん理由がある。
馬自体も値段が高いってのもあるんだけど、馬が認めないほど弱っちいと馬が乗せないんだって。
良い馬ほど気位が高いんだってさ。まあ、主人が乗せると決めたものは我慢するみたいだけどもね。気に入らないとそれでも逆らうことがあるらしいよ?
あとは、馬じゃなくても乗る動物はいるみたいなんだ。
滅多に懐かないけど、黒サーベルなんかはすごく希少価値が高いんだって。猫に乗るの?じゃあ、少しは大きいのかなあ?山猫とかくらい?あ、豹くらいかな?
木も山も川も簡単に越えるほど身体能力が高いんだってさ。すごいよね!見てみたい。
乗れるってことは、イメージ的にはやっぱり黒豹ってかんじであってるよね?それともジャガー?
あとは羽馬とかトトカゲって。
何それ?だよね。
まあ、そのうち見れるかなあ。

『お前、なんだ?』
『なんだろ?不思議不思議不思議!』

また、このパターン?
馬が喋って聞こえるんだよねー。
ああ、ユニークスキルの獣語だっけ?

「私はショウ。貴方達は、誰のお馬?」
『言葉わかるのか?俺はロドリヌス様にお仕えしてる。すごいだろう?』

シルバーの馬が胸を張る。やっぱり三つ目だ。

『僕はミリオン様のだよ。』

白い馬がふふふと答える。
ミリオンは、白馬か……うん、王子様的なミリオンにはぴったりだなあ。ははは。
白馬の王子様……か。お約束かっての!

「ふーん。」
「ああ、ショウはジルバと話せるのか。ショウは、俺とジルバに乗る。」
『お前、ロドリヌス様のなんだ?』
「さあ?」
「どうした?ジルバは何と言ってる?」
「え?ああ、私がロドさんのなんなのか?って。」
「その答えがさあ?か?せめて、恋人は無理でも婚約者的なことを……。」
「……断ったよね?」

ジロリと睨むとロドリヌスは、盛大にため息をついてから馬に話しかけた。

「ジルバ。ショウは、俺の大切な人だ。よろしくな。」
『わかった。ロドリヌス様の大切なショウ、乗れ、乗せてやる。』

偉そうに言われたが、まあ、仕方ない。
ロドリヌスは、私を抱っこしたままで(そうですよ!ずっとまた抱っこでの移動ですよー。)ジルバに飛び乗った。
おお。
かっこいい。うん、見直してしまった。
ふと、横を見るとミリオンは奏歌を抱き上げ白馬に乗せてから、後ろに飛び乗った。

『ミリオン様、この子誰ですか?』
「ああ、スレイヤ。この子は、私の花嫁になる予定なの。よろしくね。」
『ミリオン様の!僕、頑張る!』
「あら、伝わったのかしら?」

いや、会話になってたし。ミリオン、実は喋れんじゃないの?
でも、白馬に奏歌が横座りでミリオンの前に座ってるって。
どんなロマンス漫画だよ……。
奏歌は頰を染めてるし……。見てるこっちが恥ずい。
ちなみに私は……馬の背中が広いのね?股を開くと股裂状態なため、ロドリヌスに寄りかかって膝を曲げてまたがってます。正座を崩したような姿勢になってますが、かなり楽だよ。
ちなみにロドリヌスは、帯で私を自分の腹に固定しやがりました。
え?奏歌?奏歌はね、ミリオンが片手で抱かれてますよ。
絵になりすぎて、むしろ笑える。
え?
羨ましいからじゃないもん!……絶対、羨ましくなんかないんだからねっ!
しかし、三歳児じゃあ、絵にはならん。……旅する親子じゃん。
どう座ってもね。ちくしょう……あっ、言葉が……脳内だから許してちょんまげ!(古)

ということで出発!だよ!

街から出ると原始の森とは逆の方向へ。
こうして考えると原始の森は近いんだね。危ない森らしいけども。
昼間でもね。

「どうだ?外は。」
「うん、気持ちがいいね。」

風があまりなく、気持ちがいい。
馬って体温高いなあ。
ロドリヌスとくっついて、さらには下から温められて……程よい揺れに……程よい揺れ?いや、こんなもんじゃなかったぞ?

「ん?不思議そうだな?俺がお前を乗せるのに結界をかけないわけなかろう?それに、高速移動じゃないしな。」
「……心読んだ?」
「いや?お前は顔に出やすい。…眠いなら寝ていいぞ?」
「ロドさんはエスパーか。」
「なんだ?エスパーって。」
「こっちの話~。うう、だめだ………。眠い…………。」

昨日、遅くまで料理していたせいもあるし。朝も早くに目が覚めた。……はい、遠足前のお子様ですよねー?
だから、寝不足も手伝って……心地の良い温もりと揺れに次第に目が……閉じていく。
ゆっくり目に走るって言うからさ、景色も堪能したかったんだけどな。

「ふわぁぁ。」
「くく、無理せず寝ろ。昼頃には水場に着く。そこで休憩するからその時起こしてやる。」
「ん、お願い………す………。」

そのまま、どうやら寝てしまったみたいだ。

「かわいいやつ。」

その言葉は夢か?現実か?分からなかったけども。
とにかく、私は幸せなうたた寝に突入してしまった。






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