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第二章 異世界というものは
No.25
しおりを挟む「おはよう。」
「うー、まだ……あと……むにぃ。」
私は奏歌の頭をペチリと叩いて起こした。
「あら、以外ね。ソカは朝が苦手なの?」
「んーーーむ?むむむ……。」
「ほらほら、顔、洗ってー!ご飯たべよー。」
「う、あ、あ、うぃーーー!……はあぁぁぁ。もう、ままは、元気、だ、ねー。」
まっね?朝はわりかし元気だよ。
夜は、電池切れを起こしますがね……。あれ?年いってたほうが体力あったよね。
でも一晩寝れば、ガッツリ回復できる子供の体はいいやね!
朝から元気いっぱい、元気百倍アン◯◯マーン!だよ。
まあでも前世でも、仕事いって帰ってバタバタしても遅くても10時には寝ていたしね。
なかなか、遅くまでおきていらんないんだよね。コレは子供じゃなくてもか……あははは。
この世界のお店は、商店なんかは日が暮れたら閉店。代わりに飲み屋とか食事処が繁盛しだす感じだ。
でも、飲み屋兼食堂といった形が多いかな?
朝ごはんは、この宿でも頼めるらしいけどもね。
やっぱり、持ってきたやつにしましょうと、部屋で広げた。楽チンだし。
基本はおにぎりだね。だって、五人分のお茶碗ないし。今度買うか……あ、どちらにせよ、家ができたら買うよね。
あとは、味噌っぽいミッソー?あれミソソ?……まあいいや、で味噌玉作ったの。腐らないからいいよね。色々な具材でつくった味噌玉。簡単味噌汁の素さ。だって、『レトルト』なんて売ってないんだよ?
今日の朝は、は魚の味噌玉だよー。顆粒はないから、出汁をとったのを瓶に入れてあるのだ!だしの素を使うのは邪道だって言われても、やっぱり簡単手軽じゃないと……ね。
それを魔法で温めながら、味噌玉の入ったカップに注ぐ。
あ、いいにおーい。
「あーーーー!おいっしい!魚の味噌汁うまっ、ママお代わりある?」
奏歌、絶賛。へへ、嬉しいねえ。
「んー、あるよ。」
「やったあ。おにぎりもうまい。でも、やっぱり、米、さいこー!」
はあ、と幸せそうに頬張る奏歌の隣で、やっぱり幸せに食べるミリオンは、なんか頷きながら食べている。
「うーん。おいしいわね。やっぱり、作り手が違うとこうも違うのねえ。あたし、マイマイはあまり好きではなかったんだけどな。」
「うまいな!俺もお代わりしていいか?」
ロドリヌスもバクバクと食べつつ、味わっているみたい。なかなか好評で、作り手としては嬉しいな。
「もちろん、たくさん作ってあるから大丈夫だよー。」
「じゃ、遠慮なく。」
と、20個出したおにぎりと卵焼きと野菜の煮物と味噌汁は……出した分は、残りませんでした(嬉)。
まあ、嬉しい悲鳴というやつですねえ。
でもって、お腹も膨れたしね。
出発です。
あ、そうそう。
「ろどさん、あたしは、今日は自分で歩く。」
私は宣言してみた。でないと、そのまま抱っこになるから。
聞いてるロドリヌスは、手をワキワキしてるし。
「なぜだ?」
「よーーーーーーーーく、考えて?」
「うむ。」
「今日は、あたしとソカで受けた依頼にいくんだよね?」
「うむ。」
「あたしたち二人でやる前提だよね?」
「そうだな。」
「なのに、討伐場所まで抱っこでっておかしいでしょ?」
「どこがだ?」
「いやいや、保護者付きになっちゃうじゃん。」
「いや、手を出さないぞ?」
「いや、歩かなければ体力すくないままじゃない?」
「そんなことはないと思うぞ?」
「まあ、レベルが上がれば少しずつ上がるけどさ。でも、鍛錬的に言えば、歩いた方が体力つくと思う。」
「……どーしてもか?」
「どうしても。」
「……帰りは?」
「帰りも歩く。」
当たり前でしょうが。
がっくりとうなだれることじゃないだろう。
まったく、過保護なんだからっ!
「さあ、ソカ。レッツラゴーよ!」
「ショウ、それはもう古いよ!」
「まじか?」
「まじ。」
古いって悲しい。
たまに感じるジェネレーションギャップ。泣きたくなりませんか?
割と近いので、歩くこと体感にして15分くらい?
といわけで、やってきましたよ!
火の草原。燃えてる草を想像してました。だって、ファンタジーっぽいし。
しかしなんのことはない、少し気温が高くて、草が赤いだけだった。
真っ赤だから、火の草原か。
何気に草に触ろうとしたら、ロドリヌスに抱き上げられた。
「ばか、その草は火傷草だ。切れて中の液体がかかると焼き爛れるぞ。」
ほえー、塩酸とか硫酸みたいだね!ああ、だから火の草原なのか?火傷するから!
結果が名前になった感じか。
「切らなければ大丈夫?」
「そうね、でも、切れやすいのよ。」
「え?じゃあどうやって?」
「さあ?どうやってでしょうか?」
問題かい。
うーん、切れやすい草で切れたら火傷か……。
でも、草原の中に入らないと、火のスライムはいないし。
…………!
道を作ったらいいんじゃない?
シュバーッと。
うん。
「わかったよ。やってみていい?」
「……何をするか聞いていいか?」
やる前に聞かれてしまいました。
「うん?ウィンドウルフで、シュバーッと道を作ろうかと。」
「………普通じゃないな。」
「えー?ダメなの?」
え?だって、なくなるじゃん。
「それは、火傷する液体が道に溢れて、足を痛めるんじゃない?」
と奏歌に言われてしまった。
あ、そうか……。
なんてことでしょう……母としての立場暴落中です。
「んと、じゃあ、結界で守りながら?」
「あなたたち二人ならできそうね。」
「水魔法の結界にすればいいかな?」
「あたり。」
「やった!」
奏歌がイエイと、私にドヤ顔じゃ。
「まあ、水じゃなくてもいいけど。基本的には結界を張りながら、行くのよ。」
「じゃ。やってみるねー。」
と二人で自分のそばに膜をはる。
イメージはジャポン玉の中に入ったかんじ。
親子だもん、にちゃうねー。
「じゃあ、あたしたちは後ろからついていくわね。」
「「はーい。」」
というわけで、とうとう討伐にむかいますよー。
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