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第二章 異世界というものは
No.29
しおりを挟む初めての討伐依頼が終わって、今朝の目覚めは最高です!
よし、今日も頑張るよ。
現在、スマホ時間4/30時です。
この表示にも慣れた今日この頃。
さあ、頑張って朝ごはんとお弁当を作るよー。作るんだよ。作るとき、作れば、作るだろう……ってついつい三段活用とかしちゃうのは、やはりお笑い体質だから?
いや、古いから……昭和人間体質なだろうか……下手な駄洒落もすぐ言ってしまうしなあ。
HAHAHA。
「あ、シャル。手伝ってくれない?」
「了解した。」
返事と一緒に瞬時に出てきてくれたシャルが手伝ってくれる。
だって奏歌はまだ寝ているし、やはり子供には睡眠は大切なのだ。それに寝不足はお肌にも悪い!
魔法を使いつつ、料理をしていく。
シャルには重いものを持ってもらったが元が魔人(?)のせいなのか、とても力持ちだ、助かる。この世界、何でもかんでも重いしデカイ。小さめのであってもね。
シャルが男じゃなくなった(?)ので、なんだが身近に感じるしね。色々と頼みやすくなった。
もともとは、性別ないらしいんだけどさ、やっぱり安心感が違うよね。
女の子の姿にしてくれたロドリヌスにはちょっと感謝かな?
いやさ、ちょっと枯れ気味とは言ってもさ?やっぱ女だしさ。
大丈夫だと言われても奏歌と二人きりにとかはね?
いろんな意味で、ドキドキハラハラじゃん?すぐに心からの信頼は難しいよ。
それにイケメンなんだもん。
男だったシャルはさ。
今は……たぶん並ぶと三姉妹的な感じよねー。なんとなーく、顔の作りも似てるし。
長女ーソカ、次女ーシャル、三女ーショウ……なんてなあ。
なかなか良いではないですかね?
とはいえ、シャルは引きこもりにちかいけど。
ふふふ。
と色々と思いを馳せつつ、魔法のおかげもあってスピーディーに料理は出来上がって、そろそろ終盤です。
今日はねー、ご飯ケーキだよ。まあ、型がってやつなんだけどさ。
ボールにご飯を入れて、シャケを入れて、またご飯、ミッソーで味付けをしたそぼろを乗せたらまた、ご飯というように段々にしていく。本当は海苔が欲しい。でも海苔に似たものは、まだ見つかってない。でもさ、調味料もあまり使ってないから、海があれば見つかるかもしれない。
でもね、昆布みたいな葉っぱがあったのでそれを細く切って、昆布を煮たのでそれを乗せた。出汁にも使えそうだよ。
まあ、そんな感じで何段にもしたのを上からギューーーーーッと押さえる。
で、ぱかんってひっくり返すと丸いケーキみたいな段握りだ。
ああ、海苔がほしい。
で、それを切れば出来上がりだ。
ああ、海苔がほしい。
だって、大好きなんだよー。海苔!
なんか似てるのでいいからほしいなあ。いろんな葉っぱが売ってるから、探してみよう。擬きが見つかるかもしれない。
これを朝ごはん用だけを切り分けて、後は箱につめて空間収納にイン。
定番の唐揚げは、にんにく擬き風味。
スティックサラダとディップを作って、今日は甘々の卵やきにしてみた。
今日は、原始の森で薬草摘みなんだよ。奥ではないらしいからDランクへの依頼だった。そうなんですよ。Dランクだよ、なれたのですよ。だからね、原始の森の依頼ができるのですよ。カードも赤だよ。色変わったんだよ……嬉しい!
ということで今日は馬がいなくても大丈夫な距離なのです。馬に乗れば速いのはわかっているんだけどね。
でも私ら発案、空気ローラースケートで行けば大丈夫なのだ。
あれ?肉体強化?身体強化でもよかったのかな?でもさ、体力は温存したいから私には不向きかなあ。
あ、でねでね?
本当は二人だけで行こうとしたのよ。だって、馬いらんし。
でも、まだダメとかいってさ。
ロドリヌスたちは、馬に乗せたがったがるんだよね?なんでだ?
だけどさ、二人って許可されなくても少しは移動も二人だけでできるようなりたいじゃないさ。もと大人の女としては♪
なので、ロドリヌスたちも歩きで後ろから見守り隊になってもらいます!
「ん、まあ、う、おはよう……。」
「あ、おはよう。顔洗ってきなよ。ご飯にしよう?」
「はいぃ。ねむぃ。でも、ご飯だ。ご飯。」
娘はどうやら眠気に食い気が勝ったらしい。
そりゃ、よかった。……食い意地はってるからなあ。娘が私に似てないとこはいくら食べても太らないとこだな!……私が奏歌に似たかったよ!
でも今日で何日目だろ?
本当にラナンたち、大丈夫なのかな?
なかなか帰ってこないよ。話からすると数が多いだけですぐにおわるみたいだったのにな。
あ、でも場所が遠いからとかなもしれないね。
さて、今日も頑張りますか!
「ピーーーィ?(おはよ?)」
「ああ、おはよう。ちゃんと挨拶できるんだね。」
「ぴぴ?(えらい?)」
「うん、えらいよ。」
ティアは、今日はご機嫌なのか、私のフードの中から出てきていた。
ティアはどうも、怖がりらしく私の黒猫ファッションのフードの中で隠れていることが多い。お気に入りらしい。
まあ、おととい生まれたばかりで、赤ちゃんなんだから仕方がないよね。
でも、この子魔力的にはおっきい塊だったんだよね。
あの炎牛だっけ?アレと同じくらい。
「ピッピッピィ(ママも、おっきいの)」
あれ?心読んだ?
「ピピピァ(繋がったから)ピックピィピッピィ(そのうちティアも喋るね)?」
「喋れるの?」
「ピィ、ピッピィ(うん、その剣みたく)。」
ああ、心で?喋るみたいに?あれ?人化できるとか?
んん?
「ぴいぴいぴい?ピッコぴー(わかんないけど喋れる?になる)」
「うーん。本能的に知ってはいるけど、まだ赤ちゃんだからわからないってかんじかな?」
「そうだ。」
「うえ?シャルはわかるの?じゃ、もしかしてシャルはこの子がなんなのかわかる?」
「わかる。」
「えーーーー!教えてよ~。」
「……聞かれなかった。」
えーーーー!そーゆーこと?つまり、知らないから喋らないじゃなく、聞かれないから喋らなかったってか。
「……ショウは、我を頼ってこない。」
「ん?」
「……呼んでくれない。」
「んん?」
「昨日も、一昨日も我の力を使わない。」
「んんん?いや、でも一昨日は戦ったよ?」
「アレは、我の力を使っていない。主の力だ。」
とシャルが恨みがましい目でため息をつく。
え?
だって、硬いらしい角をスパッと。
んーんん?ってことは、シャルの力使ったらどーなる?
「ちなみにさ、シャルの力使って切ったら、どうなったの?」
「んん、聞いて驚け!我の力ならば、炎牛ごと大地を切りさ…「わあーーーーーーーーー!」
「なんだ?なぜ、遮る?」
「いやいや、大地きったらあかんやろう……。」
「ママ、なんで関西弁よ。」
いや、そこのツッコミいらんから!というか、この程度で『関西弁』って言ったら、関西の人に『舐めてるんか?』とどたま張り飛ばされるからね?
じゃ、なくて!
シャルの力を使ったらオーバーキルにも程があるじゃないか!
炎牛を殺す気は無かったしさ。
私は奏歌と仲間、自分にとって命にかかわるような敵じゃないなら殺す気はあまりない。というか、殺したくないかなあ。
この世界でわかったことの一つが魔獣と魔物の違い。ゲームだと一緒くたになってたりするじゃない?
基本、手に入れるのは解体後のドロップアイテムじゃない。
魔物はゲームみたいに倒せば、魔石がポン。血も出ない。だからあまり罪悪感はわかない。
でもね、魔獣はどうやら言葉(私限定だけど)を交わせるし、血はもちろん流れる。
何より倒したら解体しなきゃならないみたいだし。ほっときゃ腐る。
だからね、依頼が体の一部、それも外側なら炎牛みたいに殺さず手に入れたい派なんだよね。キャッチアンドリリースみたいな感じで。まあ、いい迷惑かもかもだけど、
でもさ、皮とか内臓系や目とかだったら……当分受けないかもしれないなあ、なんて思うわけ。
ただ、なんかあんまりねえ?
死にたいする心の揺らぎが少ないんだよね。
何故かはわからないけど一因になってる心当たりは二つある。
一つ目は、自分の大事なものが無残な姿で死んだのを見たから(言わずともわかりますね?我が娘だよ)。
二つ目は、神さまにいじられた体のせいかなって?
ほら寿命がわからなくなったわけじゃない?=死への生き物としての恐れが減った。
なんじゃないかなあって……おもうんだよ。
まああとは、『異世界』『非現実』『転生』……で、心に負荷がかかりにくくなったとか?
非現実感満載だから、現実味がイマイチないのかな。
って感じかなのかもね?
「ママ、たべていい?」
あ、忘れていた。まるでお預けくらったワンコみたいに、ご飯を見つめている奏歌。えらいね、待てたんだね。よしよし、と頭を撫でてやる。
「どうぞ。」
言った瞬間、奏歌はパンと手をうち。
「っただきます!」
と勢いよく食べ始めた。
すぐに、はにゃあっと表情が溶けた。
美味いらしい。よかったな。
「まーい!もう、最高だー!」
うん、この一言と奏歌の笑顔に早起きした甲斐がありますね!
私の活力だね。
さて本日のメニューでございます!
ご飯ケーキ、キノコのお味噌汁、野菜たっぷり和風オムレツ。
なのです。
ちなみに、食べ始めたシャルはご機嫌が浮上したみたい。
食べることはかなり好きみたいですね。
あ、もしかして!ちょっと思いついちゃった!
「ねえ、シャル。」
「なんだ?」
「シャルって切るときに血をださないとか、やっつけた瞬間に必要部位だけにしたりとかできる?」
「主の思う『ゲーム』とやらみたいに、『ドロップアイテム』だけにするということか?」
「うん、あと食べれる肉なら売ってるみたいに、肉塊にしてくれたら、なお、嬉しい。」
「つまりだ、魔獣を切り裂く時。瞬時に『解体後』というものにすればいいということか?」
「うん、できる?」
「できる。」
「マジで!」
「んと、『マジ』は本当か?だったな。マジだ。」
「やったー!」
これで恐怖の『解体』を体験せずに済むじゃかいか。
まあ、討伐依頼がなければあまりやる気はないけどねー。
「シャル!これもあげるよ!」
と唐揚げをあげた。
「肉!」
と喜んでいる。魔神は肉好き?らしい。
「そうそう、ティアは、なんか食べる?」
「ぴ?ぴーぴぴぴ(ママの魔力とミルク)。」
「魔力?ミルクはこれでいい?ウッシーのミルクだよ。」
「ピピピァぴーぴぴぴ(これに魔力入れれる)?」
「んーと、魔力を流せばいい?」
「ああ、それでいい。」
ティアの代わりにシャルがこたえてくれました。
あれ?ならシャルもキスいらなくない?
「却下」
その一言を残し、シャルは短剣に引きこもりました。
食事は全て平らげたあとに。
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