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第二章 異世界というものは
No.41
しおりを挟む連れてこられた場所は。
あれ?一か月かかるんじゃ?
そう、ほぼ出来上がっていらっしゃるじゃ、あーりませんか!
え?何がって。
下宿ですよ!
「なんだかな、根無し草もなと思って急がせた。話をするにも、場所から探すのもな。もうすぐ兵たちも帰ってくることだし。」
「単純に目を離したくないって、言ったらいいのに?」
ミリオンがすかさず、チャチャを入れる。
「……まあ、それもあるし。いつまでも女宿だと……守りにくいし…………………。」
「聞こえないよ?ロドさん。」
「ふふふ、あたしには聞こえたわ。」
「俺も聞こえたー!……天下のロドリヌス様でもショウには敵わないのか!はっはっは!」
ガツンとハロルドがロドリヌスに叩かれた。
なんと言ったのかなあ。
……二人が揶揄うくらいだから、ロクでもないことだろう。
「あとは、家具をそれぞれの部屋に入れるだけだ。」
「ふーん。本当にできたんだねえ。」
「中を案内するか?」
「「うん!」」
新築のお家を見学するの楽しいよねー。よく建築会社の展覧会に行ってました。面倒な勧誘はあるけど、子供連れにはなかなか良いサービスがあるんだよねー。
移動動物園がきてたり、ふわふわドームがあったり。屋台があったりね。
お米貰ったりとかもあったなあ。
なかなか、楽しいよねー。
というわけで、新築内覧会が開始されました。
残念ながら、イベントみたいなものはないけどねー。
だいたいが図面通りだったよ。
話と図面では、奏歌と私の部屋は中の扉で繋がっているって話だったけど、違っていた。
なんていうのかな、奏歌と私の部屋にもう一つ部屋ができていた。
簡単に言えば、リビング的な?茶の間的な?
両方の部屋から入れるくつろぎの空間的な?
「ロドさん、この部屋は?」
「ああ、二人の事情を聞いた後に変更した。二人だけになるスペースというか、プライベートな場所が必要かと思ってな。」
そうか、他は独身の人だけど、私らは完全に二人家族だし……神様のことやスマホもあるしなあ。
たしかに、プライベート空間はあったら嬉しい。
でも、まさかそんな気遣いがロドリヌスにできるなんて……思わなかったよ。だって、幼女に『子供産め』なんて、プロポーズをするような男だったしね。
うーん、成長したもんだ。
うんうん。
「こんな感じだが、いいか?」
「うん、思っていた以上に、広かったけどね。」
「で、その二人からお願いされていた「「お風呂!」」そうだ。」
思わず、興奮してしまった。
お風呂好きなんだよね。
近所にあったお風呂館によく行きました。
といっても、二ヶ月に一度くらいの贅沢だったのだけど。
そこで、マッサージしてくれるおばちゃんが超上手くて!疲れが取れたんだよね!三十代の女の味方!
いま?今はなんていうか、疲れ残り知らず?って言うのかな?
一晩寝ると、元気百倍アンパ◯マン!的な感じだよ。
子供の体って!いいやね。
そんなことを思いながら、いざ、お風呂場へ。
すると!
なんとゆうことでしょう!
……ここは、銭湯ですか?
広すぎでしょう。
いや、寮とかで全員男だとか、女だとかならわかるよ?
みんなで入るじゃん?
でもね?みんなで入らんよ?
幼児だけども!
入りませんぜ?まあ、入っても奏歌とラナンとくらいだよね?
ん?でも奏歌とラナンを一緒はダメか?自由恋愛だったもんな!
「狭かったか?」
驚きに声を出せなかったわたし達を勘違いしたらしい。
なぜ、狭いとおもうんだ!
「王城の風呂場に、お湯を貯めるところを作ってみたんだが。
やはり、女性は美容係が沢山必要なのだろう?もう少し広い方が良かったか?」
「いやいや、十分すぎる広さだよ!第一、び、美容係ってなにさっ!」
「ん?身体を洗ったり、オイルを塗りこめるとかを女性はするんじゃないのか?」
「いや、しないからね?いや、金持ち……王族とかは、するかもしれないけども!うちら、完全庶民だからっ!お風呂は、基本一人で入るよ?」
「いや、ショウは危ないだろう?」
「は?一人でできるよ?」
「いや。危ない。俺と……はいるか?」
「バカちん!」
顔が熱い!な、何を言っとる!この男はっ!
「大丈夫だよ。マ、ショウとは私が入るから。そもそも、男女は別で入るっしょ?まあ、幼児だけど、ママは女だしねえ。」
「……そうか。」
「まあまあ、冗談はそれくらいで、午後は家具を見るのでしょう?その前に、『ティア』のこととかね?」
冗談?本当に?だって、ロドリヌスはがっくりと肩を落としてますけど。
いや、冗談にしておきましょう。
アレコレするのは育ってからだと言ったのだ(する気は今のところないけどね)、だが、幼女と風呂は楽しいか?
ロドリヌスに幼女趣味説が再浮上した瞬間だった。
しかも!
忘れてない?私は大人の記憶持ち!
一緒に風呂に入るなんて、目のやり場に困るだろうが!
「……そうだね。あっ、まって、台所はみたいよ!」
「はいはい。こっちよ。」
撃沈しているロドリヌスをそのままに、ミリオンが自宅のように案内を再開。
そして台所!
「きゃーーーー!」
よいよい!広いし、真ん中には作業台!パンや麺打ちができるじゃあないですか!
アイルランド風って言うの?
壁一面が収納と作業台で、真ん中に三口コンロとシンクがあるの。
リビングとキッチンが一体型で、リビング側に高めの椅子があって、バタフライ型のバーカウンターみたいなテーブルつき。
つまり、ちょっとしたお茶をすぐ出して食べれる感じ?
で、リビングな真ん中にはでっかいテーブルと椅子が。
みんなで食べるところか!
「ここが食堂ね。台所と食堂を分けるか考えたけど、やっぱり『見ていたいから』一緒にしたみたいね。」
「すっごい広いね。」
「でしょう?で、さらに、こっちよ。」
私はダイニングキッチンに目を奪われていたら、ミリオンがさりげなく奏歌の手をとって、さらに奥に。
そこには!
ほぇー。日本じゃあんまりお目にかからないよー。
『サロン』ってかんじ?
こっちが、リビングか。
半分がサンルームみたいになっていて、ものすごい広い。真ん中には、黒いグランドピアノ!
本当にピアノを持ってきたのか。
それを眺められる位置に、大きなソファ。
陽がよく当たる場所には、カウチがあってお昼寝には良さげ。
ソファの側にもふかふかのラグがあったりして……寛ぐスペースは最高な状態だった。
そして、もちろん奏歌は、ピアノに釘付け!
「ピアノ!ひ、弾いていい?」
「もちろんよ。だって、ソカの為のピッアノだもの。」
「あ、ありがとう。」
「ふふ、お礼なら一曲聴きたいわ。」
「うん!」
そして、奏歌は指鳴らしに簡単な曲を弾いた後……Caro laccioを歌った。微妙に意味はかぶるけど、たぶん題名が『いとしい絆よ』だからかね。
私もあの子が歌う歌だけは、だいぶ詳しくなったかなあ。っても、クラッシックはあまりわからないんだけどもね。
「なあ?」
「なあに?」
「ショウは、歌わないのか?」
「……音痴だもん。」
「おんち?とは?」
えっ?音痴っていないの?
「あははは。」
「ソカ?」
「いやいや、ママ……ショウは、歌苦手というか、好きだけど音取りが下手なんだよー。」
そうなんだよねー。自分では聞いた通り歌ってんだけど。なぜか違うんだよねー。
音痴の不思議ってやつ?
なのに、こんな私の子守唄でよく音痴になんなかったなあ。
音楽教室様々ですね。
まあ、『絶対音感』っての?持っていたらしいんですけどねえ。
小さい頃の初めての質問なんだったと思う?
『ママのおうた、このおうたと違うのなんで?』
でした。まだ、音階ってのがわかってなかったので、元の歌と私が歌ってたのと別々に歌ってくれました。ははは……超黒歴史。
まあ、それですぐ音楽教室に入れたんですけどね。
私の音痴が浸透する前に!
「でも、聴いてみたいな。」
ロドリヌスが私の頭を撫でながら微笑んできた。
「うぇえ?」
期待されるような歌声じゃあないんだよ!
「ふふ、じゃあさ、この家でみんな揃ったら、引っ越しパーティーしようよ!その時にショウも歌うってことで、どうかな?」
と奏歌が爆弾投下。
やめてくれ……せっかく、可愛く強いショウちゃんが……音痴だとバレるじゃないか!
いや、バラされてるけども!
「よし、いいな。そうしよう。」
と勝手に決められてしまった。
ねえ、私のHPをこれ以上減らさないでよ。
「さて、和んだところでお話しましょうか?ね?ショウ、ティア。」
にーっこりとミリオン大魔王が微笑まれましたとさ。
続く。
になるわけないですよねー。
「話しますよ。話す気でいたし。」
私はお茶を淹れ、ソファの前に鎮座されていた高そうな大理石のローテーブルにお茶を置いた。
奏歌とミリオンはソファに座り、ハロルドはラグに直座り。私は何故でしょうか、ラグに座ったロドリヌスに抱き上げられて膝の上に置かれました。
「えっーと、一人で座るよ?」
「気にすんな。軽いから。」
いや、そんな意味ではない。
しかし、離す気は無さげだし……面倒くさくなり、諦めた。
「んと、結界した方がいい?」
「大丈夫だ。結界石を埋めている。」
「そうなんだ。じゃ、話すね。
えっと、さっきエターナルドラゴン知ってるか聞いたじゃない?
ソレだった。」
「「「は?」」」
「ティアは、ドラゴンだったの。」
「まてまて、たしかにこの世界に『ドラゴン』は存在すると言われているが、『エターナルドラゴン』は……伝説なんてもんじゃないぞ?」
「うん。でも、鑑定したらそうなんだよ。」
「ドラゴンの神だぜ?ほんとかよ。」
「エターナルドラゴンが……従魔。」
「……さすがショウだな。」
とロドリヌスの言葉にみんなが納得する。……どういうこと?
なんで、奏歌まで頷いてんのかな!
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