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第二章 異世界というものは
No.46
しおりを挟むゆさゆさと揺すられて、自分が深く眠っていたことに気づいた。
「んー?ふわぁぁぁ。」
でっかい欠伸がでてしまった。
「眠れたか?」
「うん、まだ眠いけど。……着いたの?」
「ああ。」
「ぴあぁ。」
ティアまで大欠伸です。やっぱ、夕方まで動き回っていたからねえ、子供の身には辛いよね。
で、トドメに王様との謁見じゃあね。
ん、というかさ。
黒猫ファッションのままだけどいいの?
正装じゃないけど?
前の時はとりあえず、少しはマシな服だったけど。
奏歌の服はわりと、かっちり見えるからいいけど。
ミリオンは、おしゃれな感じだし……まあ、王子という身の上だからなんでも大丈夫そうだ。
でも私は、パーカー系だし!
フードにドラゴン入りだよ?
不敬にならないのだろうか?
ちなみにロドリヌスもかなり砕けた格好ではあるけど……王様より偉いみたいだしぃ?
って、私だけ偉くもないのに普段着なんですけど!
「あのあの、ロドさん。」
「なんだ?」
「私、普段着、不敬、なる?」
って、なんでカタコト!
まだ、細胞が夕寝中か?
「大丈夫よ。いきなり呼びつけたのは、向こうなんだから。」
とのミリオンの言葉に少し肩をなでおろす。
でも。
「クリーン!」
と洗いたてにした。
「いつも、いい香りだな。お前のクリーンは。」
「そ?好きな柔軟剤の香りなだけだよ?」
「じゅーなんざい?なんだそれは。」
「んー、服を着心地よくするもの?香りは前に使ってたメーカーの柔軟剤の香りだけど。」
「甘い、花の香りだな。」
「ほんと、良い香りですわね。ロズリリーの香りに似てますわ。」
ロズリリーって、薔薇なの?百合なの?どっち?
「そのままでも大丈夫だとはおもうがな。」
「なんか、気持ち的に?というか。ロドさん、おろしてよ。歩くから。」
「……疲れてるんだから、今度な!」
おいっ!
って、ツッコミを入れようとしたら、前にずらりと兵士に並ばれた。突っ込む言葉は飲み込んでしまった。
「「「「「うぉーーーーー!女神様‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎」」」」
「「「「「天使さまーーーー‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎」」」」
と歓声が上がった。
……耳が壊れるかと思ったくらいだ。まだ、キンキンしている。
どうやら、助けた兵士さんたちみたい……。
これで完全に目が覚めました。
「静まれいっ!」
大きなバリトンばりの声が響くと、静かになってざっと左右に分かれた兵たちが跪く。
モーゼかい?
真ん中に侍従さんがコロコロとカーペットを広げた!
アレだよ、アレ!
レッドカーペットって奴。
それを踏まずに横から身分のたかそうなお爺さん?が現れました。
ちなみに助さん格さんはいませんよ?
「よう、来てくださいましたな。私は、この国の宰相を務めさせていただいております、スレイラスと申します。
前回、来られた時には坊主たちがしでかしたらしく、申し訳ない。
また、此度も脳き……ゴホンっ、陛下が大変なご無理を仰いまして申し訳ありません。
兵士たちからの報告を聞いて、ショウ様、ソカ様には大変感謝しております。
微力ではありますが、私でお二人の弾除け……くらいできたらと、お迎えに馳せ参じました。
脳き……ゴホンッ、陛下には、後ほど王妃様よりお仕置……ゴホンッ、お諌めがあることでしょう。
では、ショウ様、ソカ様。
どうぞこちらへ。
もちろん勇者様方もどうぞ。
冒険者代表で、ラナン様と英雄様方もお待ちにございますゆえ。」
低い腰をさらにおって、わたし達に礼を尽くしてくださるお爺さんに、私は好感がもてた。
しかし、宰相様!
脳筋って二度も言いかけていたし、お仕置きって……。
笑いそうになるのを堪えるが大変だったよ。
「参りましょう!」
と、エレノアさんが促す。
私たちは、宰相様とエレノアさんの後に続いた。
中に入ると、今度は侍従さんやらメイドさんさんやらが一斉にお辞儀をし、そのまま静止していた。
私はちょっと蝋人形館を思い出した。
「こちらにございます。」
宰相様が大きな扉の前にくると、その扉を守ってる騎士でいいのかな?が扉を開けた。
中には、なんだか沢山の多分『お貴族』様がいた。
なんで?
宰相様の後ろに続く私らをみてザワザワとしだす。
何か、感じ悪い。
はあ、と宰相様がため息をはく。
「やはり、脳筋に任せるんではなかった……。」
とポツリと呟いた。
あ、とうとう脳筋って言っちゃったよ。
宰相様の株が私の中でグーーーッと上がった瞬間だった。
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