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第二章 異世界というものは
No.55
しおりを挟む結局、お城では、不快なことばかりにはなってしまった。
でも、いい出会いもあったので、良しとしよう。
「ただいまー!」
と元気に言ってみた。なぜなら、ハロルドを一人でほったらかしてしまったのだから。
「おう、おかえり。だいたいは…………!」
「なに?」
「ああ、見違えたなあ。」
ああ、そうか、ドレスのままだったわ。
「すげえ、綺麗だ。二人とも!」
さらりと言われた。この世界に照れるという言葉はないのだろうか?
「あああ、ありがとう。」
こっちが照れてしまう。
「ハロルド、遅くなって悪かったな。」
「いや?どうせ、泊りだと思ってたしなあ。あと、一応、言ってたように家具とかは配置してもらったが、不都合がないか見てくれ。
で、多少予定が変わったみたいだけど、いつ越してくるんだ?」
「んー、あたしは、もう大丈夫よ?そもそも荷物はほとんどないしねえ。」
「あたいも、実家に預かってもらってるのを取ってくるくらいだしね。」
「俺はとりあえず、預かり屋においてるもんを取り行くくらいかな。」
預かり屋は、多少の持ち物を金銭で預かってくれるらしい。大体は、皆マジックバッグに持つらしいんだけど……。容量がね。
私たちのもつ、空間収納ってあまり持つ人もいないし、持つ人の魔法量とか?が影響するらしい。
っで、マジックバッグは容量が大きければ大きいほど高価なわけ。皆、戦いに邪魔だから大きさにもこだわるので、家財を全て持ち歩くのも難しい。だから預かり屋が、預かるらしい。まあ、私たちは多分行くことはないだろう。そもそも空間収納に入りきるだろうし?持ってる 猫バッグの容量すごいんだよ、買ったらえらい金額らしい。そんなものを作る『変態』の実力って実はすごいんじゃ、と思ってる。すごいと思えない残念な変態だけどね。
「俺ら、ってか、お前らじゃなくて、ソカとショウはどうするかなと。」
「んー、まあ予定通り、あしたでいいかな?って、思ってるよ。」
そう、だって荷物は空間収納のなかだしねえ。すぐにできるけど、よくしてくれた女宿のおかみさんには、挨拶しておきたいもんね。
「そうか、手伝いは?」
「手伝いはいらないけどさ、ま、ショウの代わりに食材かっておいてよ。ショウのご飯で引っ越しパーティしたいでしょう?」
「ショウの飯か!」
「そうだったな、そういや、ソカだけじゃなくてショウも歌うって、話だったな。」
「ああ!そうだったわね。」
「ふふふ、そうそう。」
って、覚えていたのか………。うう、忘れていてほしかった。
あれ?私、なんかわすれて…………。
「ああああああああああ!!!!!!」
「「「どうした!」」」
皆が大声を出した私にびっくりした。
まあ、あたりまえなんですけども!
だがだが、大声もでてしまうって。
やってしまった…………。
たぶんだよ?過ぎてるよね?
確実に……………………。
なにが?って?
母親が絶対にやってはダメなことですよ…………。
「ソカ――、ごめんよう。」
「ななに、ママ、なんでないてるの!」
「だあって~、ふえ~ん、ごべん~。」
「だから、なんで、泣くの?もう、どうしたのよ、ママ。」
「だって、ソカの誕生日~ずぎだ~。」
「ん?ああ、そっか、いつのまにやら、あたし16歳?でも、なんでなくの?私だって、忘れてたし?」
「でもでも~、ありえないよ~、かわいい愛娘の誕生日を忘れるなんて!」
私は奏歌に抱き着き泣いた。今まで忘れたことなんかなかったのにい!
「ん、まあ、いろいろあったしねえ。」
「だな。」
と、ミリオンとロドリヌスがなだめてきたが、私はまたしてもやってしまった。
「まて、ショウ。今、愛娘って、いったか?」
「姉では?」
「娘って、聞き間違えじゃあないね?」
「それは、そろったら話すって、言ってたことに関係してるのか?」
あ。
「んー、まあ、そうかな?ほら、ママ、しっかりしてよ。ね?濃厚すぎる日々だったんだから誕生日は、しょうがないじゃん、ね?
で、いろいろ、込み入った話だからさ。とりあえず、着替えていい?
ドレスって、窮屈だしね。」
「あー、そうだな。とりあえず、着替えて来い。茶くらいは、いれておくさ。」
「ありがとう。ほら、ママ行こう。」
「…………はい。」
「もう、気にしないって。」
「…………。」
完全に親子逆転してませんかね?
そう思いながらも奏歌に手を引かれ二階に上がり、奏歌の部屋に入った。
そこで、奏歌にもういちど謝る。
「もう、いいって。私も完全に忘れてたし。でも、ってことは、この世界では『成人』になるわけか。まあ、前の世界でも結婚出来る年になったわけだ。」
むむむむ、これは警戒せねばいけないんじゃないの?
「さてと、洗面台みたいだけどドッレサーみたいでもあるね。よし顔を洗おうっと。わ、ホントにお湯が出るな。赤がお湯か。でも、程よい温度だね。へー、思って触るだけで止まるなんてすごいな。ここは、ほんとに変なとこがハイテクだよね。」
「うん。」
「ほらほら、ママもさっぱりしようよ。」
「うん。」
「どうせ、前世が親子ってのは知ってもらう予定だったんだし。私だってママ呼ばわりしてたし。ね?気にしててもしょうがないじゃん?そもそも、誕生日って、この世界だと一か月前くらい?のこの世界に誕生した日になるんじゃない?
はは、そしたら、ママと誕生日一緒だね。来年、お祝いしよう!」
「うん。」
なんだか、娘にさとされてしまったな。
昔からいうもんね。老いては子に従えって。
それか…………。って、まだ、老いたくないぞ!
よし、頑張って母の権威を取り戻そう‼おーーー!!!
お互いにドレスのボタンをはずしあって、いつもの服に着替える。
うん、ようやく楽になりました。
やっぱり、正装って肩コルじゃない?まあ、普段からスーツな方は、あんまり気にしないかもだけどさあ。ラフな格好ばっかだった私にはちょっとね。仕事着も動きやすいものだったしね。
いつもの自分に戻り少し落ち着いた。
やっぱり、緊張してたのかもね。
用意が整った奏歌と手をつなぎ下に降りていく。
ティアがまたフードに入ろうとしたのだけど、入らないとピーピー泣き出した。
そして、洋服を出したので、空っぽになった猫のマジックバッグをじっと見ている。
マジックバッグって、生き物入るんだろうか?
「ねえ、ロドさん。このバッグにティア入れたらまずい?」
よくあるラノベには時間停止の空間収納には、生き物は入れられなかった。この世界のマジックバッグは、時間がゆっくりすぎるだけ。暖かいものは冷めるし、冷たいものはぬるくなる。どうなんだろうか?
「まあ、入るなら大丈夫だろ?ただ、蓋は開けとけ。そしたら時間経過もかわらない。蓋を閉めたら、時間がゆっくりになるからあまり成長しなく…………、そのほうがいいか?」
「いやいや、成長はしないと。」
だって、いつまで一緒にいられるかわからないもの。ドラゴンとしての役割とかもあるかもしれないし。
「ティア、これにはいる?」
「ぴーーーー!(はいるーー!)」
リュックから顔を出して、ティアはご満悦だ。私が座る背もたれにリュックをひっかけると、ティアは気持ちがいいのかうとうとし始めた。簡易なハンモックのようですな。器用に腕をひっかけているから落ちないだろう。まあ、落ちても飛べるから大丈夫かな?
そしてすぐに安定の膝抱っこをロドリヌスにされたのは、言うまでもないだろう。
って、すごく話しづらいんだけどなあ。
あまりにもぶれないロドリヌスにほだされつつある気もしないでもない私なのでした。
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