娘と二人、異世界に来たようです……頑張る母娘の異世界生活……ラブ少し!

十夜海

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第二章 異世界というものは

No.54

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「()」の中はテレパシーでの会話です。

______________________________________

鑑定で、結果。

――ドルゴレフ
――教会教主
――邪悪なる聖者
――謀りし者
――聖なる力を貶める。欲に負けし者
――スキルに低位の魅了(魔力ランクが下な者にしかきかない)を持つ。

んー、色々と突っ込みたいが……まず、鑑定力上がってない?
これは、単に神様ストーカーの仕業か、それとも私のレベルが上がったせいか……ん、8割方前者だろうなあと思うんだよね、
内容もねえ?もう、どうなの?ってくらいよ。
神父様が皆、聖人君子だとは思わないし言わないけどさ。
そもそもねえ、法王庁だって……色々黒い噂が絶えないわけだしぃ?
ある場所が場所だし、組織なんて肥大化すればするほど腐っていくしね。
まあ、なんだ。でっかい箱に詰められた果実って奴だよ。大きな箱に詰めてさ、一つ腐れば隣も腐るし、カビれば毒になるわけで。
欲に溺れる権力者なんて、まあ、定番中の定番だからねえ。
しっかし、教会トップか邪悪って……そりゃ流石にやばくないの?って、思ってしまうよ。
地球で言ったら法王様が悪魔教だったって言ってるのとおんなじだよ!
何を信じたらいいの?ってなるよね、
ありえないっつーの!
だって、聖なる力?のトップじゃん?邪悪って……。
まあ、私は八百万の神のいいんだけどさ。

「(ね。ママ、ヤバくね?)」
「(ん、やばいよね。)」
「(というか、もう『教会』として機能してないんじゃないの?)」
「(だよね。……ねえ、だから治癒の力がなくなってたりしてるとか?)」
「(ありうる、ありうる。よくラノベだとさあ『聖女』って、処女が鉄板じゃん?)」
「(……ああ、そうだね。)」

娘から『処女』なる言葉を聞くのは、ちょっと気まずいが。
魅了を持ってて、如何にも好色で欲に負けてるならねえ?って、下衆の勘ぐりかもしれないけどさあ。
たぶん、聖女となるべき少女を食ってしまってるんじゃないかなあ。
と、思ってしまうわけです。
テンプレって感じだね。

でもって、うちらが鑑定をして変な顔だったのを見たロドリヌスが、私の頭を撫でてから物凄い低い声を出しましたよ。

「……で?なんでお前がここにいる?」

うーん、殺気を纏った威圧的セリフだよね。
何故だか、王様の方がビクビクしているのに対して、教主はどこ吹く風だ。
そして、私を見つめてきてニヤリと笑いのたまった。

「いえねえ、第二王妃様方から『聖女』を名乗る者が登城すると聞きましたのでな。
……会わねばならないと思った次第でございますよ。」

んーと、直訳するとこんな感じか。
勝手に『聖女』を名乗るやつがいるって聞いたから来てやった。
そいつらか?と、上から目線的な奴?
っていうかさあ。
そもそも私たち自身で、『聖女』名乗ってないし?
そんな痛くて小っ恥ずかしいことできるか!

「何をおっしゃるのかとおもいましたら……ふふふふ。
そもそもこの子達は冒険者であって…………一切、『聖女』なんて名乗ったりしていないのだけど?バカな噂を本気になんてされてませんわよね?」

ミリオンが嘲笑するように言った。

「しかしですなあ、『聖女』としてあがめているものがおるというのは、やはり詐称しているのではありませんかな?
ですが、私どもは心が広い。少し聖なる力を持ってはいられるようですしな?我ら教団で、保護して差し上げよう。」

さらににやにやして、気持ち悪い!
保護という名の軟禁とかの間違いじゃないの?

「バカなことをおっしゃってるとお里が知れましてよ?」
「な、なんだと?」

あ、とうとうミリオン大魔王降臨した。
その笑顔、マジ怖いですよ~?

「あなた方、教会の『聖女』様ができない癒しをしたのだもの。助けられた兵士たちがショウやソカを聖女だ、女神だって言ったってしかたがないのじゃなくて?」

とさらに笑みを深くしながらも殺気が駄々洩れですぜ?魔王様!
しかし、王様喋らんな!

「教団にさからうと?」
「逆らう?異なことを。彼女らは『冒険者』であって、ただの庶民でもないのですよ?」

そう、冒険者はギルドに守られているからね。特に今回のことでギルドは、教会を嫌っている。

「しかし、聖なる光魔法を持つものは、この国では我らのもとに来る義務がっ「それは、光魔法しか持たぬもののみである!」

ずっと、黙っていた宰相おじいちゃんが静かな怒りの声を上げた。
こめかみに怒りマークが三つも浮かんでいるから、激おこしているらしい。
うーん、この世界優しい人ほど激おこモードは静かなのかも。
ちなみに、ラナンとハリーからも笑顔は消えて殺気を纏っている。
カタカタと王様、第二王子、第二王妃は震えている。そりゃそうか、こんなに私の後ろから殺気がすごいもんね。
なんか当事者である奏歌と私の置いてけぼりな感じがある意味すごいね。
この殺気を受けて普通でいられるのは、少しだけ賞賛できるかもね?
ただ、鈍いだけかもかもだけども。

「黙って、聞いて居ればなんとまあ勝手なことを!そもそもだ、なぜ、この席にお前ごときがおるのか?…………まあ、いや。このバカタレのせいであるのは、わかっておるがの?
しかしだ、、勘違いも甚だしいわ!『光魔法しか持たず、教会で神に仕えるべく意思を持ったものを教会で保護する』という条令をどうやったらそのようにバカな勘違いされるのか?本当に『お里がしれる』のお!」
「なんと、私をバカにするのか?我らがいなければ、病は治せぬというのに!」

「ああ…………、バカなんだね、うん。」

「!!!!!」

あれ?
やば、声に出てたわ。
でも、まあ、いいか。流石に私も疲れてきたよ。この茶番。

「なんだと?我ら教団をバカにするとは!幼子でも許さぬ!」

私がバカにしたのは、教団じゃない。
いや、でも、コイツを長にしてるからある意味、教団もバカなのかもしれないが。

「いやいや、教団をバカにしたんじゃないよ?」
「そうであろう?このように幼子でも我らの偉大さがわかるのだ!」
「やっぱり、バカなの?私がバカなんだなあって言ったのは、あんたにだよ?おじさん。もうねえ、バカすぎてバカすぎてかわいそうになるくらい。
……、それで、教団がある意味ってあるの?治療をしない医者なんて、ただの資格保持者だよ。それと同じだよね?治せないんじゃなくて、治さないならさあ……。教会を維持する意味あるの?もしも、それが、民たちの税金や寄付で運営しているなら。
ある意味、ただのごくつぶしだよね?」
「ななな、このがきがあ!!!!!!」

殺意とともに魔力が高まる。

ガキンッ!

「お前に彼女を傷つけることは、できねんだよ!」

ロドリヌスが掌で軽くドレゴレフの魔法攻撃を跳ね返した。
まあ、その程度じゃ結界も必要ないくらいだよね。
ま、張ってましたけどね?
でもさあ、王様のまえで攻撃までする?やっぱ、バカなんだろうなあ。
とりあえず護衛兵が、バカ教主を捕縛した。
もう、なんかすごく帰りたい。

「って、もうさあ…………、褒賞だとかねぎらい?だとか、もうめんどくさくなってきたからどうでもいいや。本もさあ、絶対に見たいってわけでもないし?
この国にいる限りここに来なきゃいけないなら、この国にいる必要も義理もないしね?
帰っていい?
なんだか、もう、ここにいると面倒なことばっか。いいかげん。うんざりなんだよね?」

もう、ほんとに!
あ、そうだ。釘はさしておかなきゃね!
これ以上の面倒ごとは嫌だもん。

「えーっと、この際さあ。
褒賞は、無礼講ってことでいいや。
失礼を承知で言うから。いい?」

呆けている王様の代わりに、宰相おじいちゃんが了承してくれた。

「構いません。」

「ありがとうごさいます。
じゃあまず、第二王妃さま?
私の可愛いソカによくも毒をもろうとしたね?一生許さないからね?
ふふふ、呪ってあげるよ。」
「な、無礼者!妾がななにを!」
「しらを切るき?あと、無礼講でって、言ったよ?それでもまあ、いいや。そうだね……。
あなたにじゃなくて、『ソカに悪意をもって傷つけようとしたものに死ぬより辛い呪いの祝福を』。
これで、何もなければあなたは犯人じゃない証明になるね。自信があるみたいだから、きっと何ごともないと良いね。
あと、第二王子だっけ?
言っておくけど、あなたには絶対にソカをあげないからね!
本当に勝手な思い込みで、ソカを婚約者呼ばわりしないでちょうだい?」
「なら、どうすればみとめるのだ!」
「ははは、みとめる?
絶対にありえないってはっきり言える。
第一、母親の蛮行すら見抜けない、止められないやつに私の宝は絶対にあげない。
…………そうだなあ、100歩譲って、正々堂々と勇者たちに勝てたら考えてあげる。候補としてだけどね。
で、王様?
貴方がこのままなら、この国はいつか絶対に滅びるよ?
トップが本当にバカならかならずね?
そうそう、私たちを権力を持って従えようとしたら……私は、私の持てる力を全て使って戦うから。
もちろん、私の大切なものに少しでも傷をつけたら沈めてあげるね?」
「え、あ、どこにだ…………?」

最後まで残念すぎる王様だな。

「それと、宰相様、ミリオンのお母さん、エレノアさん。ドレスとかいろいろありがとうございます。
で  す  が  !  
王様や第二王妃を甘やかせすぎです。バカに権力は与えてはいけない。
まあ、国が滅んでもいいなら私が口出すことじゃないんだけどもね?
だけど!
もう一度、王族やらにかかわることで、面倒なことが起きたら、私たちはこの国を出ていくんで。私たちが出て行くことで、国にとって困ることがあっても私たちのせいではないですからね?先に言っておきます。
というわけで、私たち帰りますね。
あと、教主さま?
あのね?宗教って、祈るものや信じる者がいなくなったら、そこで終わりなんだよ?
その状態で威張ってたらただの迷惑な人の集まりでしかないんだよ?」

なんか、第二王妃と教主は火が付きそうなくらい睨んでるけど、怖くない。
もっと怖いモノを知っているからね。

まったく反省ないけど、第二王妃がこの後…………どうなったかは、ご想像にお任せします。
私も後から風の噂で知っただけだから。真実は知らないし、知りたくもない。



こうして、私たちはさっさとロドリヌスの転移魔法で、帰路に就いたのだった。

ちなみに、私たちが出て行くことで国が困ることってのは、勇者たちが私たちについて来てしまうかもしれないってこと。
たぶん、絶対に付いてくる気がするもん。

後に宰相おじいちゃんと第一王妃さまから丁寧な謝罪の手紙と後見の証にとメダルが届きましたけどね。



…………でもたぶん使うことはないと思う。
もう、王族とかかわるのは勘弁です。


ようやく、普段の生活にもどれると思っている、私なのでした。









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