80 / 124
第二章 異世界というものは
No.53
しおりを挟むで、扉を開けていみると。
「ここは、乙ゲーかよ……。」
ぼそりと奏歌がいった。
うん、わかるよ……私も一瞬目を疑ったよ。乙女ゲームの中には、転生した覚えはない。
よくよく見ればさあ…………イケメンとはいえオヤジは混じってるしねえ?
まあ……たまに先生やら騎士団長やら……オヤジ系も攻略対象になってたりするから…あながち間違いではないな、うん。
「ようこそ、お姫様♡」
なーんて、また、ミリオンがウィンクするから、余計に別の異世界転生なのかと思ってしまったよ……。
でそのまま何故か、フリーズ?
なんで?これはアレ?スチルってやつですかい?
いやあましかしなんだ。
着るもの着ると……イケメン度増し増しですねえ。
もともと、イケメンばかりではありましたが…………。
で、何故にラナンまでが男装よ……無駄に似合ってるけども!塚張りってやつですよ。
ハリーは、なんだかお貴族様っぽいなあ。
ミリオンはまんま王子だね。
ぜひ、あの白馬にまたがっていただきたいものだ。絵本にご登場!だね。
で、ロドリヌスなんだけども…………。
詐欺だなあ。ほんとマジで。
普段の姿からは、全く想像できないよねえ。
多分、不敬になるから言えないけども。王様だって言われたら納得しちゃうと思う。
それくらいカッコいいし威厳があるんだよねえ。…悔しいけども。
で、うちらも言葉をなくしていたんだけど、向こうもなんも言わないんだけど…なんでさ?
ミリオンが言ったのはもしかして錯覚だったの?何故に、みんなスチル化なんですか?
それとも私の脳内妄想だったのか?
わからん。
なにせ、ミリオンもそのまま固まってるし。
えーーっと、再起動しませんかねえ?
――コンコン
控えめなノックの音に、皆が再起動し始めた。よかった。なんかの魔法にでもかかったのかと…………心配してしまった。
「…………化けたな。」
「だよね~化けたよね?いやあ、ほんとに凄腕だよね?お城のメイドさんたちって。
こんなに綺麗なメイクとかって、初めてだよ。私もよくしてあげていたけどさ、やっぱ、プロってすごいよね~。」
「ママ、ロドさんが見ているのって、私じゃなくてママだと思うけど?」
「はあ?いやいや、私は口紅だけだし?」
んな変わった覚えはない。まあ、髪型が少し違うか。
「口紅だけで、そんな変わるものか?」
「軽く粉ははたかれたけどもね。私じゃなく、ソカはきれいでしょう?」
「まあな。だが………………。……危険だろ。」
「ってか、ノック無視してて良いの?」
エレノアさんがドアに向かい応対してくれた。皆が無視はよくないだろう。ってか、この部屋の主人が応対するもんじゃないのかね?ロドさんや。
「というかさー、ロドさんたちは、いつの間に着替えたの?」
「俺たちは、浄化してすぐにな。まさかドレス姿の女性を普段着でエスコートするわけにもいくまい?」
ああ、TPOってやつ?あれ?TPOでよかったよね?まあ、脳内だから間違っててもいいけどもね?
「用意が整ったようですわ。参りましょうか?」
「「はーい!」」
「う…………かわいすぎる…………。」
「まったくね。」
先が思い遣られるだなんだと言っていますが、気のせいだよ。私は、何度も言うが幼児なんだからね!
まあね、奏歌は確かに心配だけどね。マジ、可愛いもん。
でもって、ロドリヌスとハリーから手を差し伸べられた。
うーん、どっちをとってもなんかねえ?
奏歌は、奏歌でミリオンとラナンに差し伸べられてるし?
あ、でもあの子わりとはっきりするからなあ。
やっぱりだ。
迷うことなくラナンの手を取った。
私は…………よし、連行される宇宙人になることに決めたよ(泣)
つまり、両手に花ってやつ?いや、どうみても宇宙人だよね…………まあ、喧嘩されるのもめんどくさいから我慢だ、昭子。
ミリオンは軽くラナンを睨んでから、仕方ないとため息をついていた。
まね、母としたらミリオンを危険視しちゃうんで、我慢いただこうか?
私だって、がまんしてますからね?
で、捕らえられた宇宙人のごとく右手をロドリヌスに、左手をハリーと繋ぎながら歩くこと数十分…………無駄に広いよねえ?あ、ちなみにシャルは短剣の中にインしたままですよ。ティアはあぶれたミリオンが抱っこしています。
またまた重厚な扉ですね。
ちゃんと兵も守ってますし。
「ショウ様、ソカ様をお連れしました。」
「伺っております。」
そう言って兵が扉を開けてくれた。
中に入ると待っていたのは、脳タリンじゃなくて王様と王妃様ともう一人の豪華衣装な女性…………多分第二王妃かもしれないね…………と残念王子と宰相だった。…………いわゆる王族大集合ってやつですか?
なんだ、それは。
ものすごいめんどくさい匂いがする。
ん?
あと一人、なんだかとても嫌な感じがする。
白い衣装で、いかにも好々爺な顔をしてるけども目が笑ってないよ。
「改めて、あいさつをさせていただきたい。」
「はい。」
「…………陛下、まずは席についていただいてからでよろしいのでは?」
「おお、そうであったな。ささ、席につかれよ。」
宰相がため息ついちゃったよ。
まま、しかたないじゃない。なにせ、脳筋なんだからさ。
「「しつれいします。」」
と二人の手を離して座ろうとしたらひょいとロドリヌスに膝抱っこされてしまった。
後ろでハリーがくやしそうに舌打ちしていた。
ちょちょ、一応王族の前だよ。聞こえて不敬になったらどうすんの?あ、いまさらだな。
しっかし、いい大人がいったい何をきそっているのだか?
で、ミリオンもすかさず奏歌を自分の隣に座らせていた。
しかたなくなのかわからないけども残った二人は、座らずに横についた。なにか警戒してるのかな?
まあ、してるか。第二王妃もいるわけだしね。
でもって私の膝の上にはちゃっかりとティアが座った。
これはダブル膝抱っこだね。まあ、幼児がぬいぐるみを抱いてるようにしか見えないか。
とてもティアがエターナルドラゴンとは思うまい。
「茶の用意も整ったし、改めて儂が国王のランバートだ。第一王妃のルテリシア、第二王妃のメルテレ、第二王子のクレオンだ。」
あれ?王太子じゃないの?そう言ってたけどな?もしかして、自称だったの?
「で?そちらの方は?見たところ教会の方のようですわよねえ?」
ミリオンが目をキラリと光らせたようにみえた。
「おお、よくお分かりで。」
いやいや、白いローブに十字架のマーク…………わからいでか?
でも、マークが十字架なんて地球とおんなじなんだねえ?
ちょっとだけ、親近感わくけど。
でも、何だろうか?
この人から昔であった神父さまのような優しさを全く感じない。
すごく嫌な感じがする。背中のぞわぞわがとまらない。
私は初めて自分からスマホで人物を見ようと思った。
まあ、奏歌も一緒に構えましたけどもね。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
神様、ちょっとチートがすぎませんか?
ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】
未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。
本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!
おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!
僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。
しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。
自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。
へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/
---------------
※カクヨムとなろうにも投稿しています
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる
仙道
ファンタジー
気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。 この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。 俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。 オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。 腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。 俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。 こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。
12/23 HOT男性向け1位
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
いきなり異世界って理不尽だ!
みーか
ファンタジー
三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。
自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
あっとさん
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる