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第二章 異世界というものは
No.58
しおりを挟むまあ、話しもすべて終わって……………………うん、この際神様云々は気にしないというし(それでいいのか?とも思うが…今更でしょう?)、私たちの能力については、これから一緒に暮らすわけだし……おいおいでいいといわれた。
彼らの能力についてもある程度教えてくれるらしい。
私たちの“なぜここにいるのか?的な身上話は、一旦お開きになった。詳しい話までしていたら(ステイタスのはなしとかね?)時間が無くなってしまうし。
で、話は戻り引っ越しパーティと奏歌のBirthdayParty!
急の急なのだけども、貴族じゃない限り……ノリでやるもんだろ?っていわれた。
まあ、前世でも前々から用意するのはプレゼントくらいだ。
ご飯は半日かけたこともあったけども……今ならば魔法で時短もできそう。
煮込み料理のさ下ごしらえとかが時間かかるからなあ。
んー、電子レンジの応用できないかなあ?
確か、マイクロ波が電界を発生させて電気双極子の水分子が回転、振動で摩擦しあって熱を生み出したよね?誘電加熱ってのだっけ?
マイクロ波の仕組みまでは私にはわからないけど、要は食材の水分を分子レベルで回転させて振動させて摩擦熱を起こさせるってことだよね?いけるんじゃない?
魔法でいけちゃうんじゃない?
これでさらに時短できるじゃん。中から温めると早いんだよね……火の通りが。
と、電子レンジに思いをはせていたらば……まったく話を聞いていなかった。
「じゃ、そういうことで行きましょうか?」
「え?ど、どこに?」
「ママ、どんだけ聞いてなかったの?」
「すいません。」
まったく聞いてなかった。
奏歌に呆れたようにため息をつかれた。
ロドリヌスには苦笑されながら頭を撫でられる。こいつは、私が38歳だと知ってるはずなんだけど。……抱っこ、頭をなでるなどの子供扱いをやめないくせに……父親扱いをすればぶっ飛んだ行動をするやつなのだ。……子供扱いでいいや。
「明日の食材を買っておこうって、ことになったんだよ。」
「ああ、そっか。確かにね。」
私が持っているものだけじゃ足りないだろうな。この人数だし……この頃、奏歌も食べるんだよね。こちら仕様の体だから?……マッチョになってしまうのかしら?ま、ま さ か だよねえ?マッチョな奏歌……ぐはっ、いやだ……な。
「お、おい!」
ロドリヌスの焦った声の直後にごんっと頭に衝撃を受けた。
「てててて……。」
「……大丈夫か?ショウ。」
「まったく、ぜーったいに変なこと想像してたでしょ!」
下に恐ろしきは血のつながりか……。
「ん?と、べ、べつにマッチョなソカになったら嫌だなとか、思ってないからね!」
「「「「「マッチョなソカ……。」」」」」
「そこっ!想像すんな!」
「ま……ならんだろ。」
「ならないわな。」
「んー、むりねえ。」
「ありえんわ。」
「ならねえな。」
「……うれしんだか、悲しんだか……複雑すぎるコメントありがとう。もう、ママが何を考えてソレを想像したのか…もう、いいや。どうせ、ご飯の量が増えてるとか、この世界に適用された体なんだとか……そんなところだろうから。」
「あは、あはははは。」
図星をさされて、笑ってごまかすしかないってね。
「もう、いいです。さあ、行こうよ。それでなくてもいろいろ、いろいろ、いろいろ!ありすぎて疲れてるんだから。さっさと済ませて帰ってゆっくりしたい。」
「はい……すいません。」
私も疲れてるんだけど……全部話してすっきりしたせいかな?
テンションが高め。あ、あれかな?疲れすぎると、ハイテンション化するやつ。
ちなみに仕事で疲れMAXになると、なります…私。
このままじゃいつまでたっても埒があかないと、奏歌が立ち上がるとそれに続くようにみんなが立ち上がる。
「じゃ、ロドさん。おろして。」
にっこりとロドリヌスにいうと、ロドリヌスもにっこりとほほ笑んだ。
「やだ。」
「は?」
なに、おっさんが可愛く言ってんだよ。そのイケボで、『やだ』って……やべ、かわいいとか思っちゃったよ。……私、疲れすぎだろ。
「顔が赤いな?熱か?」
って、おでことおでこがコツリとあたる。
おでこで、熱計るのは万国共通……異世界共通ナンデスネ……。
「熱はないか……。よし、じゃ、このままな。行こうか。」
「……はい。」
「ほんとに、大丈夫か?」
「ダイジョブデス。」
「そうか?具合が悪くなったら、すぐに言えよ?」
コクリとうなずくと、先に外に出ていた面々に呼ばれて、ロドリヌスに抱っこされたまま外に向かった。シャルは見えなくて短剣にいつの間にか戻っていたらしい。
っていうか、ロドリヌスよ……………………お前の行動で体調不良なんですがっ!
恥ずいよ、恥ず過ぎるよ……気まずいよ……。
でも、嫌じゃなくて……でも……………………。
――シラナイカラ……………………。
ぶんぶんと頭を振って気づいてはいけないものを頭から追い出す。
「どうした?」
「んーん。なんでもない。」
「そうか?」
心配そうな優し気な瞳を向けられる。そんな優しい真っすぐな瞳は知らない。
全てを見透かされそうで、ロドリヌスから瞳をそらした。
そしてひと際明るい声をだした。
「さあ!者ども!美味しものが食べたいなら、美味しい食材を見つけるのだ!」
というわけで、一行は市場に向かったのだった。
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