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第三章 異世界を満喫する
No.13
しおりを挟むそんな事を話しながらも麓の町までやってきた。
馬は馬の預け所に預けて、ここからは歩きになる。
『じゃな、ご主人の大切!』
『花嫁様またねー。』
「じゃないってばー!」
『照れないでー。』
『いってらっしゃーい!』
って、まったく話聞かないし。
もう、馬だから?馬だから馬k……。
ロドリヌスたちには、ヒヒンにしか聞こえないみたいだからいいけどね。
「うわー、いろんなの売ってるね?」
「本当だ!あ、キノコだ。キノコらしいキノコって、初めて見た。」
「本当だ!松茸っぽい?」
「あれは、チン茸だな。」
………コメントは無しでいいだろう。
なんで、そんな名前がついたのか……想像したくない。
なんか、ちょっと買いたくなくなってしまったのはいうまでもない。
でも、他にも色々あるし、帰りに買い物して帰りたい。
「アレは美味いぞ。焼いたのをそのまま食うのが一番美味い。中から旨味がじゅわっとな。」
うむ。それは美味しそうだ。形と名前はともかく。
……買って帰ろうかなあ。
「ふふふ、その小さなお口でそのままのを頬張ってほしいわね。」
……おまわりさん!
ここにゲスい変態王子がいます!
ミリオンのセリフで、素焼きをする気が一切なくなった。
ミリオン、やはりムッツリか?
いや、これはオープンというべきか?
「???美味しいなら食べてみたいけど……私は炊き込みご飯が食べたいな。ね?ママ。」
「うん、そうだね!やっぱりキノコご飯が最高だよね!」
だれが、ミリオンの妄想を叶えてなるものか!
「うん。」
ニコニコと笑う奏歌。
うん、そのまま清い奏歌ちゃんでいてください。
「しょおちゃあん?わかってて、邪魔してる?」
「なあに?ミリさん。なんのことかなあ。絶対に素のままなんて、焼いたりしないよ?
ソカは、炊き込みご飯が好きなんだからっ。」
絶対にするもんかっ!
「まあ、いいわ。そのうち、本物……ひっ……もう、言いません。」
「あ、外れちゃったあ。ごめんね?虫がいたから!」
「もう、ママ、危ないって。あーあ、ミリさんの綺麗な髪が切れちゃったじゃん。
ミリさん、大丈夫?」
「大丈夫よ。」
パサリとミリオンの髪が一房落ちた。
ちっ、これだからレベルの高いやつわ。
探検を投げた。半分くらい本気で。
でも、避けられた。絶対、髪の毛だって切れず避けられたはずなのに。
あれは奏歌の同情を買うためだ。ひっとか言ってるが、微塵も怖がっていないし……奏歌が頰が切れてないか確認し終わると、私に向かってニンマリと笑って見せた。
だめだ、なんか奏歌が16歳になって、ミリオンがあまり下心的な事を隠さなくなってきている。
しかし!
奏歌はお菓子作りはできるが、料理はそれほど上手くない。
まあ、ピアノがあるのであまり手を使わせなかったってのもあるけど。
だから、ご飯の作れない男にやる気はないぞ?
でもな……そうしたらハロルドだけになっちゃうじゃん。
それも、許せないしな。
って、そんな話じゃない。
ミリオンが実はエロオヤジだという話だ!
ったっけ?
「ショウ、ミリはお前をからかってるだけだと思うぞ?」
とロドリヌスに頭を撫でられた。
ん?
私をからかってる?
ミリオンが私を?
からかっていると?
「まあ、簡単に言ったらソカは割と冷めてるとこあるだろ?」
ん。まあ、今時の子らしく。
親父ギャグをいうとたまに『ハイハイ。』で終わられる。
「だが、お前は割となあ……。で、中身が大人だから色んなこともわかるからなあ。わざとだと思うぞ?」
「なんで?」
「楽しいから?」
「はあ?」
「ソカは、まだ中身もお子様だろ?多少冷めていてもな。」
つまり、私はミリオンのオモチャにされているってこと?
くーーーー!むかつくー!
「ショウはすぐムキになるしなあ、特にソカのことでは。」
「……ロドさんは、それがわかってて助けてくれないんだ?」
「ふふふ、無理ねえ。その反応みて『可愛い!』って楽しんでるもの。」
「まあ、ママはすぐに顔に出るしね。」
「ねえ。」
って、ミリオンと奏歌はニヤついてるしって、誰のためにムキになったのか、わからないじゃん。
奏歌め……。
しかし、私を娯楽にして楽しんでいた二人は許すまじ……。
ふっ、昭子さんの昭和パワーを見せてやんよ!
「まあ、それくらいにして行くっ、て、おいっ。」
私はロドリヌスの腕を上手くすり抜けて、ぴょんぴょんと山登りを始めるのだった。
「おっ、それぐー。私もできるかな?
っと、やり、できた。」
「ちょっと、あ、もう!」
「まて、って。」
私は靴に魔法の羽根をつけて、弾むように駆けていったのだった。
もう、抱っこを我慢なんてしてやんないだからね!
プンスカとブーたれながら、山道を上がって行くのでした。
しかし、やはりチートだね。
しっかりと奏歌もおんなじことしてるし。
え?背中にはやりませんよ?
だって、見られたら困るでしょう?
そんなものを見られた日には、絶対に面倒がやってくるもの。
「まてって。」
と言いながらも勇者二人はさすがですな。
たぶんだけど、身体強化で軽く付いてきている。
ティア、大丈夫?
背中のティアがちょっと心配になった。かなり揺れてる気がする。
『大丈夫。もう少ししたら、出てもいい?』
うん。山の中ならいいんじゃない?
『出てよくなったら言ってね?ティアも一緒に戦う。』
うん。
どうやらティアも戦う気らしいのですが……できたら私は戦わずに話し合いたいのです。
……私にニャンコと戦う意思はありません。
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