103 / 124
第三章 異世界を満喫する
No.18
しおりを挟む「(まず、シャルといったか?人化を解け。多分だが……我らの亜種なのだろう?この子と同じ。)」
「……同じではない。」
「(とりあえず、とけ。)」
「なぜ?」
んー?
どうやら、シャルが仲間って言ってるみたいだ。
なんで?魔神じゃないの?
確かにシャルは男でも女でもなくて、初めはイケメンなビジュアルだった。
今は、美少女。
どちらにしても顔がいいことは確かだ。って、そんな話じゃなくて……。
ズキっと頭が痛くなる。
なんか、忘れている。
そうだ。
お城で、なんか嫌な目にあってすごく……嫌な気持ちになって……。
あの時銀色の………………………………………でっかい…………………………………もふもふの………………………………………………………………あっ!
銀の毛のどデカイニャンコ!!
「シャル、シャルなの?」
「何がだ?」
「ママ、なにがシャル?内容がないよう?」
「いや、ダジャレてる場合じゃなくて!あの時、お城でなんか嫌な……あーーー!思い出せない!けどっ、なんか銀色のでっかいもふもふが!ニャンコっぽいもふもふ銀色が!
見えた気がする!たぶん?絶対?……いた!たぶん。」
なんか、記憶があやふやすぎて、でもいた気がして、『銀』って言ったらシャルだよね?
「ママ!思い出した?!」
「うん?いや、なんでシャルっていうか……なんで銀のもふもふが出てきたかはわかんないけど、アレはシャルだよね?」
「……しかり。」
「やっぱり!ってことは、シャルって銀もふもふ?なんで?なんで、教えてくれなかったの?ってか、魔神って言われるより、銀のもふもふのニャンコのが断然いいじゃん!なんで、おしえてくれないんだぁ!
あれ?ねえ、まさか……知らなかったの私だけとか言わないよね?」
「「「………。」」」
「……知ってたんだ……。私だけ……。……シャルは、私に知られたくなかったんだね……。」
悲しいな。
信用されてなかったんだ。
「違うっ!我は我はっ……あの時は気が動転してつい獣体に戻ったが……我はあの姿が嫌いで……あの姿を見せたら……ショウに捨てられるのではと……自分で言うのも嫌だが……皆が恐怖に怯えるのだ………。だから、我を見たことも忘れたんだと。」
「「それは、絶対ない(ね)!」」
あ、奏歌とかぶった。
「ママだけが知らないんじゃなくて、ママが嫌なことも含めて忘れてるならいいかな?って、黙っていたのはごめん。でも、アレを忘れたママも悪くない?」
え?あれ?
忘れた私が悪いの?
え?そういう流れ?だった?
「そうだよ、ママが見ておいて勝手に忘れたんじゃん。だから、忘れたママが悪い、そうでしょう?だって私、悪くないもん。ちがう?そうでしょう?」
あれ?私が悪い気がしてきた。
確かに見ておいて忘れたって……。
「だって、勉強して見た場所がテストにでて、忘れて答えられなくても……教科書や先生が悪いわけじゃないじゃない?自分がわるいわじゃん?」
確かに、覚えてなかった自分がわるいわけで?
「……でも、教えてくれてもいいじゃん!」
「テストの答え教えてなんかくれないじゃん。でもさあ、仮に教えたらさ、ママはどうした?」
「いや、シャルに変身?してもらう。」
「シャルは嫌なのに?」
「え、嫌なら、無理強いしない、と思う。」
「……無理でしょう?ママには。」
「そんな無理じゃ……「絶対に!無理っ!」そんなきっぱり……。」
言い切りますか?
「まあ、あの姿みたらねえ……我慢できるとは……あたしも思えないわ。」
「うっ。」
「そしたら、頼むでしょ?シャルの主人であるママから言われたら、シャルは断れないよね?」
「うっ。」
そんな……だって。猫好きなんだもん。一緒に暮らしたいけど無理だったんだもん。
そりゃ、病院にきたトリミングの子とかさ、元気な患猫ちゃんとかを撫でまわすけどさ……若干同僚に引かれたりするけどさ……。
愛でたいじゃないかぁぁ。
ニャンコは大っきくても、ちっこくても可愛いんだもん。
この世界きてさ、もふもふ、あんま見ないんだもん。
荷車引いてるのは、なんかトカゲみたいのだし。ワンコもいないし……。
「(すまん……なんか、もめさせてしまったか?)」
黒サーベルパパが心配そうに口を開いた。
やべ、すっかり忘れてました。
「すいません、まあ、私が忘れていたことについては、とりあえず置いとく。
で、シャルは銀のサーベルであってるんだよね?」
「そうだ。」
「私はどんなに周りが怖いって言っても、猫を嫌いになんかならない。どんなに凶暴で噛み猫でも私は怯んだりしない!……シャルが嫌ならいいけど、もし、もしだよ?
私が嫌いになるからっていうなら絶対にない。」
「うん、それだけは私も保証する。あのシャルをママが嫌うことは天と地がひっくり返ってもあり得ないからっ!」
「……ほんとうか?」
「絶対!」
「………ならば。」
ふうっと息を吐いて、シャルが銀色の光を纏った。
そしてそこにいたのは、黒サーベルパパを凌駕するほど大きな銀のサーベルだった。
「は、これが完全なシャルの本体かっ。」
「前より大きい!」
「!!!!!!!!!!」
私は声にならなかった。
えっ!
マジ?
うそっ!
きゃーーーーー!
体が喜びに打ち震えて……これが、これがうちの子!
『主、やはり恐いか?』
震えた私を誤解したらしい。
目が悲しみに染まって、耳がもヘショリとしてしまった。
「まさかっ!きゃーーーーー!もう、シャル!だめっ、我慢できない。私を無視して話してていいからっ!
とっ、りっ、あっ、えっ、ずっ!」
「と、とりあえず?」
「もふらせてーーーーーっ!」
と叫んで座ったシャルの腹に飛びついたのだった。
……だって、私の猫だし?
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
神様、ちょっとチートがすぎませんか?
ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】
未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。
本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!
おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!
僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。
しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。
自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。
へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/
---------------
※カクヨムとなろうにも投稿しています
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる
仙道
ファンタジー
気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。 この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。 俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。 オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。 腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。 俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。 こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。
12/23 HOT男性向け1位
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
いきなり異世界って理不尽だ!
みーか
ファンタジー
三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。
自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
あっとさん
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる