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第三章 異世界を満喫する
No.19
しおりを挟むお話し合いなんですけども……。
「(頑なに人化を解かないと思ったら、なんだよ……お前……。)」
ルークがシャルを見上げながらいう。
「(その姿、気にしてんのか?)」
「えっ!なんで?こんなに綺麗なのに?」
お腹に顔を埋めながら私は声を上げてしまった。
なんで?
マジで綺麗でしょ!銀の毛の猫なんて……ペルシャでいうならチンチラシルバーの本当に白銀のところだけってかんじ。
一見、白っぽく見えるかもだけど、毛先が光ってキラキラ……。
腹毛はふわふわだし、もう、寝るときはこの姿でお願いしたい。
「(我は綺麗……か?)」
「もちろんでしょ!」
「(だが、我の色は……。)」
「(ああ。もしかしてあなた……遥か遠くの東?の出ですか?)」
「え?シャルってこの国の出じゃないの?」
「(わからない。我は……短剣に封じられ……かなりの時を……。)」
「なんで、封じられたの?」
「(……我の姿を見たものが……幾度となく討伐にきた。故に、我は身を守るために応戦しているうちに……魔神と呼ばれ恐れられるようになった。そんな日を過ごし……ある時魔導士たちの罠に落ちた。
……内容は省くが……、殺せないのならば……封じると考えたらしい。
……気がつけば、短剣に宿っていて……主に会うまで気に入った魔力の持ち主には会えず……あのまま朽ちていくであろう………と。)」
つまり、勝手に恐いから倒そうとしたら、返り討ちにあって……でもソコにいるのが許せないから、何度も返り討ちにあって……結果、倒せないなら封じてしまえ!ってこと?
何だそれ?
随分勝手な言い草じゃない?
……人は……そうゆうものか……。
自分たちに直接、害はなくても『差別』という名の暴力はいつまでもなくならない。
前世でもこの現世の異世界でも。
「(確かに、キングより大きく黒ではないモノ……を遠く東の地の同胞は受け入れないと聞いたことがある。)」
「そうなの?」
「(うむ、その地では『黒』以外の黒サーベルは『悪魔』『忌子』とし、仲間とはしないという。……親はどうした?)」
「(片親は我を生み、すぐに死んだと聞いた。1年ほど一緒に暮らしていたが……ある日を境に帰ってこなくなった。……魔力すら消えた。)」
「(……屠られたか……。)」
「(それから……すぐにその地を追われることになった……黒サーベルに追われて、故に我は黒サーベルの仲間ではない。)」
そうか……だから、魔神なのか。
同じ黒猫からは、仲間じゃないって、追い出されて人から恐怖の対象として追われたら……そりゃあ、もう皆んな嫌いになるよね?
「(ぼくといっちょ?)」
「(ちがう!)」
「(我らの仲間達には一緒だ。)」
「(もし、貴方が私たちのキングの元に生まれていたならば、『ビショップ』となるべき存在です。その有り余る魔力と姿なのですから。)」
「(はっ?この呪われた姿を仲間だと?)」
「(はい。私たちには神々しくも思えますが……。)」
そうか、昔、日本でいう黒猫は幸運の象徴だったけど……欧米の魔女の使い魔的存在って話で黒猫は不吉な象徴になってしまった。
いわゆる黒猫が前を通り過ぎるとってやつね。
でも、イギリスでは黒猫が通り過ぎるとラッキーだという。
そもそも黒猫は、魔除け的な存在で。
うーん、何が言いたいかというと、どんな存在も物も……所変わればってことかな?って。
つまり、シャルのいた群ではシャルのような姿は、不吉の象徴で……このニャンコの群では、価値のある存在ってことだよね?
「そうなんだ。」
キング、ルーク、ポーン、ビショップって、もしかしてチェスの駒?
じゃ、ポーンって言った腹黒くんは一番下なのかな?
「じゃ、とりあえずはやっぱりシャルは綺麗ってことでいいのかな?」
そう言ったら、皆んなが大笑いしたんですけど?
解せぬ!なぜ?
シャルまで笑って!
あ、ロドリヌスまで笑ってる!
なんで?
私、そんな変なこと言った?
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