チートを望んだ少年と最『恐』の竜。「友達になろう」「え?やですけど……」

滑るさん

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第5章 王族

第57話 王様もうざかった

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まるでダンスホールみたいな広い空間の奥に、金色に馬の彫刻が施された椅子に、俺達の足元には赤いカーペットが奥まで縦に伸びている。ここが王の間と言われる場所だろうか。
少しスペースの無駄遣い、王族のスペース感覚はどうなっているんだろう。この広さならシャトルランができそうだ。

ズカズカと騎士は進んでいき、俺達も続いた。
奥にある椅子に座っている人が、この国の国王なのだろう。頭には様々な宝石と代々受け継がれているような王冠。重くないのだろうか?


「お疲れであった。バベル殿。お前達は下がるがよい」

「はっ」


王様に言われ、扉から出ていく騎士団の人達。
俺達だけが残されて王様は口を開いた。


「今回の大規模な討伐は見事だった。兵士から噂を聞き、魔人と戦ったお前達を呼んだのは言うまでもない。どうだ、この王都に留まって王国を護ってくれぬか?」

「断る」


きっぱりと拒否したヘンリーだが、王様は顔色を変えずに言葉を続ける。


「なに。不便のない生活は保証しよう。ここに居るだけで食べ物もお金も平民も好きに出来る。自分のやりたいことが自由に、気ままに叶うのだぞ?天国と言って………。ん?何だ。騒がしいな」


自分勝手に話す王様は騎士団が出ていった扉を気にかける。
確かにガヤガヤと聞こえてきて、足音が此方まで聞こえてる。なんでこんな遠いのに聞こえるのかはわかんないけど。
扉は大きく開けられ、踏み入れたのは良く知る女性だ。
目は鋭く遠くにいる国王を睨みつけ、兵士を追い払いながら近づいてくる。


Jジェイ!?どうしてここに」

「宿泊に戻っても姿が見当たらなかったからな。宿泊の人に聞けば騎士に連れ去られたと言われ、慌てて走って(飛んで)きたさ。目的は明白だがな」


騎士団に連れていかれたなら耳に入るな。
宿泊から王宮まで着くのにかなり歩いたと思うんだが、ガチで来たんだな。俊足だったのかな?


「で、王様よ。うちの仲間をどうする気だ?ここに留まらせるんだったらお断りだが?」

「………う」

「う?」

「美しい‥」

「「「はっ?」」」


何言っているんだ、この王様は?


「私の妃にならんか?その冒険者の仲間なら留まらせる理由がある!その女を妃になるのだ!」

「………頭イカれたのか?」


J、俺もそう思ったよ。今までの発言もそうなんだけどさ。
王様は椅子から立ち上がり、Jの前で立つと手を取り、手の甲にキスを落とした。
う、わ。間近に見ると引くよ。キス落としてる相手はドラゴンだぞ?


「気持ち悪い。汚い手で触るな。お前の頭を潰してやろうか?」

「何を言う。私の妃になれば王族の血を引き継ぎ、自由になれるのだ。冒険者なんて生温い遊びは辞めて、私と結婚しよう。そうだ、結婚式は明日から執り行うとしようか」


知ってる人から見ればJはドラゴンだ。それも魔王を殺した竜。そんな相手と結婚するとなると、殴られたときにどうなるか………。
兵士は愕然としてるよ?
ほら、ひーちゃんもトキメキどころか何とも言えん顔してるよ。こんな顔そうそう見れないけど。


「遊びだと?お前達王族の方が遊んでいるだろう。妃にするぐらいなら、お前の国の政治家をどうにかするな平民の税金という金を減らしてくれぬか?ここ数十年。金がやけに高く付いていたのでな。何処かおかしいと思った」

「あれは貴族が平民の為にと価格を上げるしかなかったんだ。多少の犠牲はあろうが、平民はこれしきやり過ごせるだろう。平民はしぶといからな」

「なら、その平民の中に我が入るわけだぞ?男の分際で偉そうにするな」


偉そうにするなと言うけど。その人一応王様だよ?
ん?何ひーちゃん。え、帰りたい?俺もだよ。


「何を言う!お前以外の妃などこの世に存在しない!さあ、結婚するのだ!」

「………リュー。逃げるぞ」

「J?」


Jの周りが暴風に包まれ、王様は吹き飛ばされた。
兵士達に呼び出されたのか、騎士団が集まってきたが、そこには竜亮達の姿はなかった。


「………逃げられたか」

「国王様!大丈夫ですか!」

「なんともない。それより、奴らと妃は何処へ行った」

「………?妃様はお城でお茶会を開かれておりますが」


兵士は王様の言っていることが解らなかった。王様の妻である妃は友人を集いお茶会を開いているのを知っていると思っていたからだ。

騎士団もこの暴風が起きたように荒らされた王の間で、どんな事情が起きたか整理できずにその場で固まっていた。








「あんな人間は何度言っても聞かぬ。我はメスではないんだぞ」

「メスもオスも無いと本人が言ってなかったっけ??」

「それとこれとは別だ。ちゃんと我をわかってくれる奴ならまだ話が出来るだろう。リューも自分を想ってくれるメスは好きだろう」

「人間をメスというのも………」

「どっちも変わらん」


暴風の中、何処に移動されているかというと。
宿泊した部屋だった。ここはヘンリーとJの同室だろう。床には紙に大きな魔方陣が書き込まれている。


「魔方陣でワープしたってことか?」

「前にヒトミから教えてくれてな。ワープが出来ると思うてな。欠点なのは一回一回に紙に書き込まなければならんことだが」

「いや。あの場から抜け出せてよかった。俺も小僧もヒトミも助かった訳だが、何で妃と言ったんだろうな」

「我にもさっぱりだ」









ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
次回、王都から脱出


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