断罪フラグをへし折った悪役令嬢は、なぜか冷徹公爵様に溺愛されています ~スローライフはどこへいった?~

放浪人

文字の大きさ
55 / 60

第55話:黒幕の尻尾と、父からの極秘指令

しおりを挟む
アレクシスの、前代未聞の、『恋は盲目作戦』によって、私たちは、王太子からの、糾弾という、最大の、危機を、脱した。
王都の、社交界では、『シュヴァルツシルト公は、色ボケの、腑抜けになった』という、新たな噂が、駆け巡り、宰相の、流した、『謀反の噂』は、完全に、立ち消えになってしまった。

まさに、怪我の功名。
いや、色ボケの功名、とでも、言うべきかしら。

その夜。
父、アルベルト公爵が、私たち二人を、密かに、執務室へと、呼び出した。
そこには、オルコット侯爵の、姿も、あった。

「……お前たちの、あの、大芝居、見事であったぞ」

父が、堪えきれない、といった様子で、笑いを、漏らした。
オルコット侯爵も、にこやかに、頷いている。

「いやはや、度肝を抜かれましたわい。まさか、あの、シュヴァルツシルト公が、あれほどの、役者とは」
「……買い被るな。俺は、本心を、言ったまでだ」

アレクシス公爵が、真顔で、そう言うと、父と、侯爵は、ますます、楽しそうに、笑った。
(あなた様、あれが、本心だったのですか!?)
と、私が、小声で、ツッコむと、「半分はな」と、返事が返ってきた。

一しきり、笑いが、収まると、父は、その表情を、一変させた。
厳しい、為政者の、顔。
部屋に、緊張が、走る。

「……本題に、入ろう。オルコット侯爵が、掴んでくれた。宰相ダリウスの、尻尾だ」

父の言葉に、私たちは、息を、呑んだ。

「侯爵が、密かに、調査を進めてくれた、結果……。やはり、宰相が、東方の、貿易商人と、頻繁に、会っているという、裏が、取れた」
「それだけでは、ございません」

オルコット侯爵が、言葉を、引き継ぐ。

「宰相は、どうやら、我が国の、貴重な、資源である、魔鉄を、その、貿易商人たちに、密かに、横流ししている、ようなのです」
「……なんだと!?」

アレクシス公爵が、声を、上げた。
魔鉄は、強力な、武器や、防具の、材料となる、重要な、軍事資源。
それを、他国に、密売するとは。
国家への、重大な、背信行為だ。

「そして、その、見返りとして……」

オルコット侯爵の、声が、さらに、低くなる。

「東方の国から、この国では、禁制品とされている、強力な、呪具の類を、手に入れている、節が、あります」

呪具。
その言葉に、私は、はっとした。
あの、湖に、沈められていた、『呪いの石』。

「……先日、我々の領地で見つかった、『呪いの石』も、その、一つである、可能性が、極めて高い、と」
「……!」

全ての、ピースが、繋がった。
宰相ダリウスは、国の、資源を、売り払い、私腹を肥やす、だけでなく。
その、見返りに、手に入れた、呪具を使って、政敵である、私たちを、陥れようとしていたのだ。
なんという、卑劣で、そして、巨大な、悪事。

「……決定的な、証拠さえ、掴めば。奴を、完全に、失脚させることが、できる」

父が、静かに、しかし、力強く、言った。
密売の、現場。
あるいは、取引の、証拠となる、帳簿。
それさえ、手に入れれば。

「……決戦の、時は、近い、ということだな」

アレクシス公爵が、その、夜色の瞳に、決意の、光を、宿らせて、呟いた。
そうだ。
もう、茶番は、終わり。
ここからは、本当の、戦いだ。

宰相ダリウスの、化けの皮を、剥がし、その、罪を、白日の下に、晒す。
そのための、最終決戦。

父と、オルコット侯爵が、具体的な、計画を、話し合う、その声を聞きながら。
私は、隣に立つ、アレクシス公爵の、手を、そっと、握った。
彼も、力強く、握り返してくれる。

私たちの、戦いは、いよいよ、最終局面へと、突入する。
その、先に、待つのが、どんな、未来であろうとも。
この人と、一緒なら、乗り越えられる。
私は、そう、確信していた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

死亡予定の脇役令嬢に転生したら、断罪前に裏ルートで皇帝陛下に溺愛されました!?

六角
恋愛
「え、私が…断罪?処刑?――冗談じゃないわよっ!」 前世の記憶が蘇った瞬間、私、公爵令嬢スカーレットは理解した。 ここが乙女ゲームの世界で、自分がヒロインをいじめる典型的な悪役令嬢であり、婚約者のアルフォンス王太子に断罪される未来しかないことを! その元凶であるアルフォンス王太子と聖女セレスティアは、今日も今日とて私の目の前で愛の劇場を繰り広げている。 「まあアルフォンス様! スカーレット様も本当は心優しい方のはずですわ。わたくしたちの真実の愛の力で彼女を正しい道に導いて差し上げましょう…!」 「ああセレスティア!君はなんて清らかなんだ!よし、我々の愛でスカーレットを更生させよう!」 (…………はぁ。茶番は他所でやってくれる?) 自分たちの恋路に酔いしれ、私を「救済すべき悪」と見なすめでたい頭の二人組。 あなたたちの自己満足のために私の首が飛んでたまるものですか! 絶望の淵でゲームの知識を総動員して見つけ出した唯一の活路。 それは血も涙もない「漆黒の皇帝」と万人に恐れられる若き皇帝ゼノン陛下に接触するという、あまりに危険な【裏ルート】だった。 「命惜しさにこの私に魂でも売りに来たか。愚かで滑稽で…そして実に唆る女だ、スカーレット」 氷の視線に射抜かれ覚悟を決めたその時。 冷酷非情なはずの皇帝陛下はなぜか私の悪あがきを心底面白そうに眺め、その美しい唇を歪めた。 「良いだろう。お前を私の『籠の中の真紅の鳥』として、この手ずから愛でてやろう」 その日から私の運命は激変! 「他の男にその瞳を向けるな。お前のすべては私のものだ」 皇帝陛下からの凄まじい独占欲と息もできないほどの甘い溺愛に、スカーレットの心臓は鳴りっぱなし!? その頃、王宮では――。 「今頃スカーレットも一人寂しく己の罪を反省しているだろう」 「ええアルフォンス様。わたくしたちが彼女を温かく迎え入れてあげましょうね」 などと最高にズレた会話が繰り広げられていることを、彼らはまだ知らない。 悪役(笑)たちが壮大な勘違いをしている間に、最強の庇護者(皇帝陛下)からの溺愛ルート、確定です!

悪役令嬢に転生したので地味令嬢に変装したら、婚約者が離れてくれないのですが。

槙村まき
恋愛
 スマホ向け乙女ゲーム『時戻りの少女~ささやかな日々をあなたと共に~』の悪役令嬢、リシェリア・オゼリエに転生した主人公は、処刑される未来を変えるために地味に地味で地味な令嬢に変装して生きていくことを決意した。  それなのに学園に入学しても婚約者である王太子ルーカスは付きまとってくるし、ゲームのヒロインからはなぜか「私の代わりにヒロインになって!」とお願いされるし……。  挙句の果てには、ある日隠れていた図書室で、ルーカスに唇を奪われてしまう。  そんな感じで悪役令嬢がヤンデレ気味な王子から逃げようとしながらも、ヒロインと共に攻略対象者たちを助ける? 話になるはず……! 第二章以降は、11時と23時に更新予定です。 他サイトにも掲載しています。 よろしくお願いします。 25.4.25 HOTランキング(女性向け)四位、ありがとうございます!

悪役令嬢の断罪――え、いま婚約破棄と?聞こえませんでしたわ!

ちゃっぴー
恋愛
公爵令嬢アクア・ラズライトは、卒業パーティーの最中に婚約者であるジュリアス殿下から「悪役令嬢」として断罪を突きつけられる。普通なら泣き崩れるか激昂する場面――しかし、超合理的で節約家なアクアは違った。

「転生したら推しの悪役宰相と婚約してました!?」〜推しが今日も溺愛してきます〜 (旧題:転生したら報われない悪役夫を溺愛することになった件)

透子(とおるこ)
恋愛
読んでいた小説の中で一番好きだった“悪役宰相グラヴィス”。 有能で冷たく見えるけど、本当は一途で優しい――そんな彼が、報われずに処刑された。 「今度こそ、彼を幸せにしてあげたい」 そう願った瞬間、気づけば私は物語の姫ジェニエットに転生していて―― しかも、彼との“政略結婚”が目前!? 婚約から始まる、再構築系・年の差溺愛ラブ。 “報われない推し”が、今度こそ幸せになるお話。

虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました

たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。

魔法学園の悪役令嬢、破局の未来を知って推し変したら捨てた王子が溺愛に目覚めたようで!?

朱音ゆうひ@11/5受賞作が発売されます
恋愛
『完璧な王太子』アトレインの婚約者パメラは、自分が小説の悪役令嬢に転生していると気づく。 このままでは破滅まっしぐら。アトレインとは破局する。でも最推しは別にいる! それは、悪役教授ネクロセフ。 顔が良くて、知性紳士で、献身的で愛情深い人物だ。 「アトレイン殿下とは円満に別れて、推し活して幸せになります!」 ……のはずが。 「夢小説とは何だ?」 「殿下、私の夢小説を読まないでください!」 完璧を演じ続けてきた王太子×悪役を押し付けられた推し活令嬢。 破滅回避から始まる、魔法学園・溺愛・逆転ラブコメディ! 小説家になろうでも同時更新しています(https://ncode.syosetu.com/n5963lh/)。

【完結】私ですか?ただの令嬢です。

凛 伊緒
恋愛
死んで転生したら、大好きな乙女ゲーの世界の悪役令嬢だった!? バッドエンドだらけの悪役令嬢。 しかし、 「悪さをしなければ、最悪な結末は回避出来るのでは!?」 そう考え、ただの令嬢として生きていくことを決意する。 運命を変えたい主人公の、バッドエンド回避の物語! ※完結済です。 ※作者がシステムに不慣れかつ創作初心者な時に書いたものなので、温かく見守っていだければ幸いです……(。_。///) ※ご感想・ご指摘につきましては、近況ボードをお読みくださいませ。 《皆様のご愛読に、心からの感謝を申し上げますm(*_ _)m》

悪役令嬢が行方不明!?

mimiaizu
恋愛
乙女ゲームの設定では悪役令嬢だった公爵令嬢サエナリア・ヴァン・ソノーザ。そんな彼女が行方不明になるというゲームになかった事件(イベント)が起こる。彼女を見つけ出そうと捜索が始まる。そして、次々と明かされることになる真実に、妹が両親が、婚約者の王太子が、ヒロインの男爵令嬢が、皆が驚愕することになる。全てのカギを握るのは、一体誰なのだろう。 ※初めての悪役令嬢物です。

処理中です...