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第13話 パジャマ姿で戦場を制圧します
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上空から見下ろす『嘆きの谷』は、先ほどの私の『お掃除(極太浄化レーザー)』によって、劇的にその姿を変えていた。 視界を埋め尽くしていたドス黒い瘴気は霧散し、蠢いていた何万もの魔物の群れは、塵一つ残さず消滅している。 あとに残ったのは、湯気を立てる浄化された大地と、あまりの出来事に口を開けて空を見上げている砦の兵士たちだけだ。
「……ふぅ。これでスッキリしたわね」
私は部屋のソファで、焼きたてのスコーンにたっぷりとクロテッドクリームを塗りながら呟いた。 平和だ。 実に平和だ。 これなら、安心して遺跡の『コールドスリープ装置(永遠のベッド)』で眠りにつくことができる。
「リズ、油断は禁物だ」
向かいの席で、私の左腕(のぬいぐるみ)を愛でながら、アークライド王子ルイスが冷静に指摘した。
「モニターを見たまえ。ゴミがまだ残っているようだ」
彼が指差したのは、部屋の中央に設置された水晶モニターだ。 そこには、遺跡の入り口である巨大な石扉の前で、一人の男が立ち尽くしている姿が映し出されていた。
黒いローブ。 顔を覆うフード。 手には禍々しい骸骨の杖。 いかにも「私が黒幕です」という記号を全身に貼り付けたような男。 魔導結社の幹部、ゲオルグだ。
彼は空を見上げ、ワナワナと肩を震わせていた。
「……馬鹿な。ありえん」
マイクが彼の声を拾う。
「我々が数年かけて集めた瘴気を……数万の魔獣軍団を……たった一撃で消滅させただと!? しかも、あんな……あんなふざけた『ファンシーな空飛ぶ家』から!?」
ファンシーで悪かったわね。 父が外壁をピンク色に塗り直そうとしたのを、全力で阻止して白にしたのがせめてもの救いだ。
「許さん……許さんぞ、エリザベート! 私の計画を、私の出世を、二度も三度も邪魔しおって!」
ゲオルグが杖を振り上げる。 すると、地面から黒い霧が噴き出し、新たな魔物を召喚しようとする気配が漂った。
しつこい。 ゴキブリ並みの生命力だ。
「アレクセイ! フレデリック殿下!」
私は卓上のマイクに向かって叫んだ。
「あいつ、まだやる気よ! 私の安眠のために、速やかに排除して!」
「御意!!」
外のスピーカーから、アレクセイの勇ましい返事が響く。
「聞け、安眠守護騎士団! 眼下にいるのは、リズ様の快適な睡眠を脅かす害虫だ! 駆除せよ!」
「「イエッサー!!」」
空を覆う黒騎士たちが、ワイバーンを駆って急降下を開始した。 まるで黒い流星群だ。 先頭を行くアレクセイは、いつの間にか『オーガの金棒(私が捨てたやつ)』を装備しており、鬼神の如き迫力で突っ込んでいく。
「リズの敵は僕の敵だ! 行くぞ!」
フレデリックも風魔法で加速し、アレクセイに続く。
さあ、高みの見物といこうかしら。 私は紅茶をすすりながら、モニターでの観戦を決め込んだ。 彼らは強い。 腐っても(腐ってないけど)この国のツートップだ。 あの程度の魔術師一人、瞬殺してくれるはずだ。
――しかし。 現実は、そう甘くはなかった。
ドォォォン!!
激しい爆発音が響き、私の部屋が少しだけ揺れた。
「……何?」
モニターを見ると、地上で黒い半球状の『結界』が展開されていた。 アレクセイの金棒も、フレデリックの攻撃魔法も、その結界に弾かれてしまっている。
「クックック……! 甘い! 甘いぞ!」
ゲオルグが高笑いしている。
「これぞ古代魔法『虚無の断絶(ヴォイド・シェル)』! 物理攻撃も魔法攻撃も、全て無に帰す絶対防御だ! 貴様らごときの力で破れるものか!」
「ぬぐっ……! 硬い! なんだこの硬度は!」
アレクセイが結界を叩きながら呻く。 フレデリックも魔法を連射しているが、全て吸収されているようだ。
「団長! こちらの攻撃が通じません!」 「くそっ、これではリズ様に良いところを見せられん!」
戦況が膠着した。 ゲオルグは結界の中で余裕の笑みを浮かべ、何やら詠唱を始めている。
「いでよ、深淵の守護者! 我が怨念を糧とし、全てを喰らい尽くせ!」
ズズズズ……。 結界の中から、巨大な影が膨れ上がってくる。 まずい。 あれは、上位魔神の召喚だ。 もし召喚が完了すれば、アレクセイたちでも危ないかもしれない。
「……ちっ」
私は舌打ちをした。 使えない男たちだ。 害虫一匹駆除するのに、どれだけ時間をかけているのよ。
「リズ、イライラすると眉間に皺が寄るよ」
ルイスが能天気に忠告してくる。
「どうする? 僕が計算したところ、あの結界を外部から破壊するには、戦術級魔法の集中砲火で約3時間かかる。その間に魔神が召喚されれば、君の騎士たちは全滅だね」
「3時間? 待てないわよ」
そんなに待っていたら、おやつの時間が終わってしまうし、何より眠い。 私は決断した。 他力本願はここまでだ。 自分の安眠は、自分で守るしかない。
「ルイス。貴方、さっき言ったわよね? この部屋は『質量弾としてのポテンシャルがある』って」
「……言ったね。まさか」
ルイスの碧眼が、面白そうに細められた。
「やる気かい? この『移動式絶対領域』による、直接打撃を」
「ええ。結界っていうのはね、一点に極大の質量をぶつければ割れるのよ。物理法則的にね」
「正論だが、乱暴だね。……好きだよ、そういう思考」
私は操縦席(魔法陣)に座り直した。 シートベルト代わりのクッションを抱きしめる。
「アレクセイ! フレデリック殿下! 退いて!」
私はマイクで警告した。
「え? リズ?」 「退避ーッ!!」
私が叫ぶと同時に、浮遊機関の出力を反転させた。 『浮遊』から『落下』へ。 さらに、部屋の周囲に展開している防御結界を『攻撃的硬化モード』に切り替える。
今のこの部屋は、総重量数千トン(推定)の、空飛ぶ鉄塊だ。 それが、重力加速度をつけて落ちていく。
ヒュオオオオオオッ!!
風切り音が部屋を包む。 窓の外の景色が、高速で上へと流れていく。
「な、なんだ!? 空が落ちてくる!?」
地上でゲオルグが空を見上げ、絶叫した。 彼の目に映っているのは、迫りくる巨大な洋館(の一部)の底面だろう。 恐怖しかない光景だ。
「ば、馬鹿な! 自爆特攻か!? 聖女がそんな野蛮な真似を……!」
「野蛮じゃないわ! これは『強制的訪問(押し掛け)』よ!」
私は叫んだ。 激突の瞬間、私はさらに魔力を込めた。
「必殺! 【絶対領域(サンクチュアリ)】――メテオ・ストライク・ハウス!!」
ズドォォォォォォォォォォンッ!!!!!
世界が揺れた。 轟音とともに、私の部屋がゲオルグの『虚無の断絶』結界に直撃した。
バリンッ!
甲高い音が響き、自慢の絶対防御があっけなく砕け散った。 当然だ。 魔法的な強度がいかに高くても、数千トンの質量によるプレスには耐えられない。
「ぎゃあぁぁぁぁぁっ!?」
ゲオルグの悲鳴とともに、部屋が着地する。 地面が陥没し、土煙が舞い上がる。 召喚途中だった魔神も、出鼻をくじかれて(というか潰されて)霧散したようだ。
衝撃が収まるのを待って、私は恐る恐る紅茶のカップを確認した。 ……一滴もこぼれていない。 完璧な慣性制御だ。さすがアークライドの技術力。
「……着地成功」
私は涼しい顔で言った。 モニターには、部屋の下敷きになる寸前で転がり出て、泥まみれになったゲオルグの姿が映っている。 腰を抜かし、パクパクと口を開閉させている。
「き、貴様……! 正気か……!」 「正気よ。玄関払いは失礼だと思って、屋根からお邪魔させてもらったわ」
私はマイクを通して告げた。
「さあ、そこを退きなさい。この部屋はまだ進むのよ。目的地は、貴方の後ろにある遺跡の中なんだから」
「い、遺跡の中だと!?」
ゲオルグが背後の石扉を振り返る。
「馬鹿を言え! この扉は古代の封印が施されている! しかも、サイズを見ろ! 貴様のその無駄にデカい部屋が入るわけがないだろう!」
確かに。 遺跡の入り口は、高さ5メートルほどのアーチ状だ。 対して、私の部屋は2階建ての洋館サイズ。 物理的に入らない。
普通なら、ここで部屋を降りて、徒歩で入るべきだろう。 だが、私はパジャマだ。 そして外は埃っぽい。 絶対に降りたくない。
「ルイス。アレを出して」
私は隣の王子に指示した。
「アレかい? ……ふふ、本当に使うのかい? あれは土木工事用の試作機なんだけど」
「いいから。アレで入り口を『リフォーム』するわ」
ルイスがニヤリと笑い、コンソールを操作した。 すると、部屋の床下から、ウィーンという機械音とともに、巨大な『魔法ドリル』が出現した。 アークライド王国の地下鉄掘削用シールドマシンのパーツだ。 なんでそんなものがついているかと言えば、ノアが「男のロマンだ」と言って勝手に取り付けたからだ。
ギュルルルルルルッ!!
ドリルが高速回転を始める。 その轟音に、ゲオルグもアレクセイたちも凍りついた。
「え……?」 「ド、ドリル……?」
「行くわよ! 全速前進!」
私はスロットルを押し込んだ。 浮遊した部屋が、ドリルの先端を遺跡の入り口に向けて突進する。
「や、やめろぉぉぉ! 貴重な古代遺跡がぁぁぁ!」
ゲオルグの絶叫も虚しく。
ガガガガガガガガッ!!
ドリルが石扉に食い込み、粉砕していく。 封印? 関係ない。物理で壊せば封印もクソもない。 岩盤が削られ、通路が無理やり拡張されていく。
ズズズズズ……。 私の部屋が、遺跡の中へとねじ込まれていく。 壁と部屋の外壁が擦れて火花が散るが、結界が保護しているので無傷だ。
「入った!」 「リズ様の部屋が……遺跡を食い破って侵入した!」
外でアレクセイたちが歓声を上げている。 彼らも慌てて後を追ってくるようだ。
◇ ◇ ◇
遺跡内部。 そこは、青白い燐光を放つ苔に覆われた、神秘的な回廊だった。 ……はずなのだが。
ガガガガガガッ! バキバキバキッ!
今やそこは、私の部屋という名の重機によって蹂躙される工事現場と化していた。 狭い通路を、部屋がミチミチに詰まりながら進んでいく。 壁画が削れ、彫像がなぎ倒される。 考古学者が卒倒しそうな光景だが、知ったことではない。
「逃げろ! 逃げるんだ!」
前方では、ゲオルグが必死に走って逃げている。 彼は遺跡のトラップを知り尽くしているらしく、次々と罠を発動させてくる。
「かかれ! 『永劫の矢(エターナル・アロー)』!」
ヒュンヒュンヒュン! 壁から無数の毒矢が発射される。 しかし。 カンカンカンカン! 全て私の部屋の窓ガラス(強化魔力ガラス)に弾かれ、虚しく床に落ちる。
「くそっ! ならこれだ! 『底なしの落とし穴』!」
ガコンッ! 床が抜けて、巨大な穴が開く。 しかし。 私の部屋は『浮いている』。 穴の上を、スーッと何事もなく通過する。
「な、なんで落ちないんだぁぁぁ!」
「浮いてるからよ、バカね」
私はあくびを噛み殺しながら、追跡を続けた。 まるでパックマンだ。 逃げる敵を追いかけ回して食べるゲーム。 ただし、パックマンは家サイズで、ドリルがついている。
「はぁ、はぁ……化物め……!」
ゲオルグが息を切らしながら、最深部の大広間へと逃げ込んだ。 そこはドーム状の巨大な空間で、天井には星々を模した宝石が輝いている。 そして中央には、祭壇のような台座があった。
あった。 あれだ。 『星の聖杯』。 そして、その奥に見えるクリスタルの棺……『時の揺り籠(コールドスリープ装置)』!
私の目が輝いた。 ついに見つけた。 あの中で眠れば、二度と働かなくて済む。
「……ここまでか」
ゲオルグが祭壇の前で立ち止まり、振り返った。 追い詰められたネズミの顔だ。 しかし、その目には狂気じみた光が宿っている。
「よくぞここまで来た、エリザベート。褒めてやろう」
私の部屋も、広間の入り口で停止した。 ドリルを止める。 静寂が戻る。
「だが、ここが貴様の墓場だ!」
ゲオルグが叫び、祭壇の上の聖杯に手をかけた。 いや、聖杯ではなく、その横にあるレバーのようなものを引いた。
ゴゴゴゴゴゴゴ……。 地響きが鳴り響く。
「目覚めよ! 遺跡の最終防衛システム! 機神『タナトス』よ!」
広間の床が割れ、地下からとてつもなく巨大なものがせり上がってきた。 それは、全身がオリハルコンで構成された、巨人のような機械人形だった。 身長は20メートル以上。 私の部屋よりも遥かにデカい。 その手には、巨大な光の剣が握られている。
「……デカっ」
私は素直な感想を漏らした。 さすがに、あれとは押し相撲はできそうにない。
「ハハハハハ! 見ろ、この威容を! こいつは神代の兵器だ! 貴様のそのちっぽけな家など、一刀両断にしてくれるわ!」
ゲオルグが勝ち誇る。 機神タナトスの目が赤く光り、ターゲットを認識した。 ターゲットは……私の部屋。
ブォンッ! タナトスが光の剣を振り上げた。 その魔力密度は、これまでのどんな攻撃とも桁が違う。 直撃すれば、アークライド製の結界も、私の『絶対領域』すらも貫通するかもしれない。
「リズ! 逃げるんだ!」
追いついてきたアレクセイたちが、入り口付近で叫んでいる。 彼らも中に入ろうとしたが、私の部屋が通路を塞いでいて入れないのだ(自業自得)。
「……どうする、エリザベート嬢」
ルイスが珍しく真剣な顔をした。
「計算によると、あの剣の破壊力は測定不能だ。回避行動を推奨する。バックして通路に戻れば、直撃は避けられる」
「バック? 嫌よ」
私は即答した。
「目の前にベッドがあるのに、なんで後戻りしなきゃならないの」
「死ぬかもしれないよ?」
「寝る前に死ぬなんて、一番効率が悪いわ」
私はスロットルを握り直した。 逃げない。 私の辞書に「撤退」の二文字はない(「休戦」と「降伏」はあるが)。
「ゲオルグ。貴方、大きな間違いをしているわ」
私はマイク越しに告げた。
「間違いだと? 何を負け惜しみを!」
「貴方は言ったわね。『ちっぽけな家』だと。……訂正しなさい」
私は魔力を解放した。 体中の全細胞が叫んでいる。 「ここを私の寝室にするんだ!」と。
「ここは『家』じゃない。私の『城』よ! そして城主は、侵入者に対して容赦しない!」
私はコンソールの赤いボタン――ノアが「これだけは絶対に使わないでくれ」と言っていた『禁断のスイッチ』――を叩き押した。
「機動要塞モード、起動! 変形ッ!!」
ガシャン! ガガガガッ! 私の部屋から、ありえない音が響いた。 壁が展開し、屋根がスライドし、床下のアームが伸びる。 部屋が……変形していく。
パジャマ姿の私が乗ったまま、優雅な洋館は、無骨で凶悪な『人型決戦兵器(ただし頭部はテラス付きの寝室)』へと姿を変えた。 右腕には巨大ドリル。 左腕には浄化レーザー砲。 そして胸部には『絶対領域』の紋章。
名付けて、『スーパー・引きこもりロボ・リズカイザー』! (ネーミングセンスは父譲りだ、くそっ)
「な、なんだそれはぁぁぁぁ!?」
ゲオルグが目を剥く。 タナトスも一瞬動きを止めたように見えた。
「さあ、お掃除の時間よ!」
私は操縦桿(元はテレビのリモコン)を倒した。 リズカイザーが突進する。 機神タナトスが光の剣を振り下ろす。
激突の瞬間。 私は確信していた。 勝つのは私だ。 なぜなら、あちらは「破壊」のために作られた兵器だが、こちらは「守る(引きこもる)」ために作られた要塞だからだ。 引きこもりの防御力(ATフィールド)を舐めるな!
ドガァァァァァァァァンッ!!!!!
遺跡が揺れる。 閃光が視界を埋め尽くす。 そして――。
……バキッ。
嫌な音が聞こえた。 あれ? 今の音、どっちからした?
光が収まったとき。 そこには、互いにクロスカウンターを決めたまま停止した、二体の巨人の姿があった。 タナトスの剣は、私のロボの肩に食い込んでいる。 私のドリルは、タナトスの胸を貫いている。
勝ったか? いや、待って。
私の部屋(コクピット)の壁に、大きな亀裂が入っている。 そして、そこからシュー……という音とともに、お気に入りのアロマの香りが漏れ出している。
「……あ」
私が声を漏らした瞬間。 メキメキメキッ! ドカーンッ!
私の『城』の右半分――キッチンとお風呂場がある部分が、崩れ落ちた。
「私の……お風呂がぁぁぁぁ!!」
私の絶叫が遺跡にこだました。 勝負には勝った(タナトスは機能停止した)。 だが、代償は大きすぎた。 私の安住の地が、半壊してしまったのだ。
その怒りが、次回、とんでもない暴力となってゲオルグに降り注ぐことになる。
「許さない……絶対に許さないから……!」
パジャマ姿の魔王が、壊れた部屋から這い出てくる。 震える手には、スタンガン(改・出力最大)が握られていた。
「……ふぅ。これでスッキリしたわね」
私は部屋のソファで、焼きたてのスコーンにたっぷりとクロテッドクリームを塗りながら呟いた。 平和だ。 実に平和だ。 これなら、安心して遺跡の『コールドスリープ装置(永遠のベッド)』で眠りにつくことができる。
「リズ、油断は禁物だ」
向かいの席で、私の左腕(のぬいぐるみ)を愛でながら、アークライド王子ルイスが冷静に指摘した。
「モニターを見たまえ。ゴミがまだ残っているようだ」
彼が指差したのは、部屋の中央に設置された水晶モニターだ。 そこには、遺跡の入り口である巨大な石扉の前で、一人の男が立ち尽くしている姿が映し出されていた。
黒いローブ。 顔を覆うフード。 手には禍々しい骸骨の杖。 いかにも「私が黒幕です」という記号を全身に貼り付けたような男。 魔導結社の幹部、ゲオルグだ。
彼は空を見上げ、ワナワナと肩を震わせていた。
「……馬鹿な。ありえん」
マイクが彼の声を拾う。
「我々が数年かけて集めた瘴気を……数万の魔獣軍団を……たった一撃で消滅させただと!? しかも、あんな……あんなふざけた『ファンシーな空飛ぶ家』から!?」
ファンシーで悪かったわね。 父が外壁をピンク色に塗り直そうとしたのを、全力で阻止して白にしたのがせめてもの救いだ。
「許さん……許さんぞ、エリザベート! 私の計画を、私の出世を、二度も三度も邪魔しおって!」
ゲオルグが杖を振り上げる。 すると、地面から黒い霧が噴き出し、新たな魔物を召喚しようとする気配が漂った。
しつこい。 ゴキブリ並みの生命力だ。
「アレクセイ! フレデリック殿下!」
私は卓上のマイクに向かって叫んだ。
「あいつ、まだやる気よ! 私の安眠のために、速やかに排除して!」
「御意!!」
外のスピーカーから、アレクセイの勇ましい返事が響く。
「聞け、安眠守護騎士団! 眼下にいるのは、リズ様の快適な睡眠を脅かす害虫だ! 駆除せよ!」
「「イエッサー!!」」
空を覆う黒騎士たちが、ワイバーンを駆って急降下を開始した。 まるで黒い流星群だ。 先頭を行くアレクセイは、いつの間にか『オーガの金棒(私が捨てたやつ)』を装備しており、鬼神の如き迫力で突っ込んでいく。
「リズの敵は僕の敵だ! 行くぞ!」
フレデリックも風魔法で加速し、アレクセイに続く。
さあ、高みの見物といこうかしら。 私は紅茶をすすりながら、モニターでの観戦を決め込んだ。 彼らは強い。 腐っても(腐ってないけど)この国のツートップだ。 あの程度の魔術師一人、瞬殺してくれるはずだ。
――しかし。 現実は、そう甘くはなかった。
ドォォォン!!
激しい爆発音が響き、私の部屋が少しだけ揺れた。
「……何?」
モニターを見ると、地上で黒い半球状の『結界』が展開されていた。 アレクセイの金棒も、フレデリックの攻撃魔法も、その結界に弾かれてしまっている。
「クックック……! 甘い! 甘いぞ!」
ゲオルグが高笑いしている。
「これぞ古代魔法『虚無の断絶(ヴォイド・シェル)』! 物理攻撃も魔法攻撃も、全て無に帰す絶対防御だ! 貴様らごときの力で破れるものか!」
「ぬぐっ……! 硬い! なんだこの硬度は!」
アレクセイが結界を叩きながら呻く。 フレデリックも魔法を連射しているが、全て吸収されているようだ。
「団長! こちらの攻撃が通じません!」 「くそっ、これではリズ様に良いところを見せられん!」
戦況が膠着した。 ゲオルグは結界の中で余裕の笑みを浮かべ、何やら詠唱を始めている。
「いでよ、深淵の守護者! 我が怨念を糧とし、全てを喰らい尽くせ!」
ズズズズ……。 結界の中から、巨大な影が膨れ上がってくる。 まずい。 あれは、上位魔神の召喚だ。 もし召喚が完了すれば、アレクセイたちでも危ないかもしれない。
「……ちっ」
私は舌打ちをした。 使えない男たちだ。 害虫一匹駆除するのに、どれだけ時間をかけているのよ。
「リズ、イライラすると眉間に皺が寄るよ」
ルイスが能天気に忠告してくる。
「どうする? 僕が計算したところ、あの結界を外部から破壊するには、戦術級魔法の集中砲火で約3時間かかる。その間に魔神が召喚されれば、君の騎士たちは全滅だね」
「3時間? 待てないわよ」
そんなに待っていたら、おやつの時間が終わってしまうし、何より眠い。 私は決断した。 他力本願はここまでだ。 自分の安眠は、自分で守るしかない。
「ルイス。貴方、さっき言ったわよね? この部屋は『質量弾としてのポテンシャルがある』って」
「……言ったね。まさか」
ルイスの碧眼が、面白そうに細められた。
「やる気かい? この『移動式絶対領域』による、直接打撃を」
「ええ。結界っていうのはね、一点に極大の質量をぶつければ割れるのよ。物理法則的にね」
「正論だが、乱暴だね。……好きだよ、そういう思考」
私は操縦席(魔法陣)に座り直した。 シートベルト代わりのクッションを抱きしめる。
「アレクセイ! フレデリック殿下! 退いて!」
私はマイクで警告した。
「え? リズ?」 「退避ーッ!!」
私が叫ぶと同時に、浮遊機関の出力を反転させた。 『浮遊』から『落下』へ。 さらに、部屋の周囲に展開している防御結界を『攻撃的硬化モード』に切り替える。
今のこの部屋は、総重量数千トン(推定)の、空飛ぶ鉄塊だ。 それが、重力加速度をつけて落ちていく。
ヒュオオオオオオッ!!
風切り音が部屋を包む。 窓の外の景色が、高速で上へと流れていく。
「な、なんだ!? 空が落ちてくる!?」
地上でゲオルグが空を見上げ、絶叫した。 彼の目に映っているのは、迫りくる巨大な洋館(の一部)の底面だろう。 恐怖しかない光景だ。
「ば、馬鹿な! 自爆特攻か!? 聖女がそんな野蛮な真似を……!」
「野蛮じゃないわ! これは『強制的訪問(押し掛け)』よ!」
私は叫んだ。 激突の瞬間、私はさらに魔力を込めた。
「必殺! 【絶対領域(サンクチュアリ)】――メテオ・ストライク・ハウス!!」
ズドォォォォォォォォォォンッ!!!!!
世界が揺れた。 轟音とともに、私の部屋がゲオルグの『虚無の断絶』結界に直撃した。
バリンッ!
甲高い音が響き、自慢の絶対防御があっけなく砕け散った。 当然だ。 魔法的な強度がいかに高くても、数千トンの質量によるプレスには耐えられない。
「ぎゃあぁぁぁぁぁっ!?」
ゲオルグの悲鳴とともに、部屋が着地する。 地面が陥没し、土煙が舞い上がる。 召喚途中だった魔神も、出鼻をくじかれて(というか潰されて)霧散したようだ。
衝撃が収まるのを待って、私は恐る恐る紅茶のカップを確認した。 ……一滴もこぼれていない。 完璧な慣性制御だ。さすがアークライドの技術力。
「……着地成功」
私は涼しい顔で言った。 モニターには、部屋の下敷きになる寸前で転がり出て、泥まみれになったゲオルグの姿が映っている。 腰を抜かし、パクパクと口を開閉させている。
「き、貴様……! 正気か……!」 「正気よ。玄関払いは失礼だと思って、屋根からお邪魔させてもらったわ」
私はマイクを通して告げた。
「さあ、そこを退きなさい。この部屋はまだ進むのよ。目的地は、貴方の後ろにある遺跡の中なんだから」
「い、遺跡の中だと!?」
ゲオルグが背後の石扉を振り返る。
「馬鹿を言え! この扉は古代の封印が施されている! しかも、サイズを見ろ! 貴様のその無駄にデカい部屋が入るわけがないだろう!」
確かに。 遺跡の入り口は、高さ5メートルほどのアーチ状だ。 対して、私の部屋は2階建ての洋館サイズ。 物理的に入らない。
普通なら、ここで部屋を降りて、徒歩で入るべきだろう。 だが、私はパジャマだ。 そして外は埃っぽい。 絶対に降りたくない。
「ルイス。アレを出して」
私は隣の王子に指示した。
「アレかい? ……ふふ、本当に使うのかい? あれは土木工事用の試作機なんだけど」
「いいから。アレで入り口を『リフォーム』するわ」
ルイスがニヤリと笑い、コンソールを操作した。 すると、部屋の床下から、ウィーンという機械音とともに、巨大な『魔法ドリル』が出現した。 アークライド王国の地下鉄掘削用シールドマシンのパーツだ。 なんでそんなものがついているかと言えば、ノアが「男のロマンだ」と言って勝手に取り付けたからだ。
ギュルルルルルルッ!!
ドリルが高速回転を始める。 その轟音に、ゲオルグもアレクセイたちも凍りついた。
「え……?」 「ド、ドリル……?」
「行くわよ! 全速前進!」
私はスロットルを押し込んだ。 浮遊した部屋が、ドリルの先端を遺跡の入り口に向けて突進する。
「や、やめろぉぉぉ! 貴重な古代遺跡がぁぁぁ!」
ゲオルグの絶叫も虚しく。
ガガガガガガガガッ!!
ドリルが石扉に食い込み、粉砕していく。 封印? 関係ない。物理で壊せば封印もクソもない。 岩盤が削られ、通路が無理やり拡張されていく。
ズズズズズ……。 私の部屋が、遺跡の中へとねじ込まれていく。 壁と部屋の外壁が擦れて火花が散るが、結界が保護しているので無傷だ。
「入った!」 「リズ様の部屋が……遺跡を食い破って侵入した!」
外でアレクセイたちが歓声を上げている。 彼らも慌てて後を追ってくるようだ。
◇ ◇ ◇
遺跡内部。 そこは、青白い燐光を放つ苔に覆われた、神秘的な回廊だった。 ……はずなのだが。
ガガガガガガッ! バキバキバキッ!
今やそこは、私の部屋という名の重機によって蹂躙される工事現場と化していた。 狭い通路を、部屋がミチミチに詰まりながら進んでいく。 壁画が削れ、彫像がなぎ倒される。 考古学者が卒倒しそうな光景だが、知ったことではない。
「逃げろ! 逃げるんだ!」
前方では、ゲオルグが必死に走って逃げている。 彼は遺跡のトラップを知り尽くしているらしく、次々と罠を発動させてくる。
「かかれ! 『永劫の矢(エターナル・アロー)』!」
ヒュンヒュンヒュン! 壁から無数の毒矢が発射される。 しかし。 カンカンカンカン! 全て私の部屋の窓ガラス(強化魔力ガラス)に弾かれ、虚しく床に落ちる。
「くそっ! ならこれだ! 『底なしの落とし穴』!」
ガコンッ! 床が抜けて、巨大な穴が開く。 しかし。 私の部屋は『浮いている』。 穴の上を、スーッと何事もなく通過する。
「な、なんで落ちないんだぁぁぁ!」
「浮いてるからよ、バカね」
私はあくびを噛み殺しながら、追跡を続けた。 まるでパックマンだ。 逃げる敵を追いかけ回して食べるゲーム。 ただし、パックマンは家サイズで、ドリルがついている。
「はぁ、はぁ……化物め……!」
ゲオルグが息を切らしながら、最深部の大広間へと逃げ込んだ。 そこはドーム状の巨大な空間で、天井には星々を模した宝石が輝いている。 そして中央には、祭壇のような台座があった。
あった。 あれだ。 『星の聖杯』。 そして、その奥に見えるクリスタルの棺……『時の揺り籠(コールドスリープ装置)』!
私の目が輝いた。 ついに見つけた。 あの中で眠れば、二度と働かなくて済む。
「……ここまでか」
ゲオルグが祭壇の前で立ち止まり、振り返った。 追い詰められたネズミの顔だ。 しかし、その目には狂気じみた光が宿っている。
「よくぞここまで来た、エリザベート。褒めてやろう」
私の部屋も、広間の入り口で停止した。 ドリルを止める。 静寂が戻る。
「だが、ここが貴様の墓場だ!」
ゲオルグが叫び、祭壇の上の聖杯に手をかけた。 いや、聖杯ではなく、その横にあるレバーのようなものを引いた。
ゴゴゴゴゴゴゴ……。 地響きが鳴り響く。
「目覚めよ! 遺跡の最終防衛システム! 機神『タナトス』よ!」
広間の床が割れ、地下からとてつもなく巨大なものがせり上がってきた。 それは、全身がオリハルコンで構成された、巨人のような機械人形だった。 身長は20メートル以上。 私の部屋よりも遥かにデカい。 その手には、巨大な光の剣が握られている。
「……デカっ」
私は素直な感想を漏らした。 さすがに、あれとは押し相撲はできそうにない。
「ハハハハハ! 見ろ、この威容を! こいつは神代の兵器だ! 貴様のそのちっぽけな家など、一刀両断にしてくれるわ!」
ゲオルグが勝ち誇る。 機神タナトスの目が赤く光り、ターゲットを認識した。 ターゲットは……私の部屋。
ブォンッ! タナトスが光の剣を振り上げた。 その魔力密度は、これまでのどんな攻撃とも桁が違う。 直撃すれば、アークライド製の結界も、私の『絶対領域』すらも貫通するかもしれない。
「リズ! 逃げるんだ!」
追いついてきたアレクセイたちが、入り口付近で叫んでいる。 彼らも中に入ろうとしたが、私の部屋が通路を塞いでいて入れないのだ(自業自得)。
「……どうする、エリザベート嬢」
ルイスが珍しく真剣な顔をした。
「計算によると、あの剣の破壊力は測定不能だ。回避行動を推奨する。バックして通路に戻れば、直撃は避けられる」
「バック? 嫌よ」
私は即答した。
「目の前にベッドがあるのに、なんで後戻りしなきゃならないの」
「死ぬかもしれないよ?」
「寝る前に死ぬなんて、一番効率が悪いわ」
私はスロットルを握り直した。 逃げない。 私の辞書に「撤退」の二文字はない(「休戦」と「降伏」はあるが)。
「ゲオルグ。貴方、大きな間違いをしているわ」
私はマイク越しに告げた。
「間違いだと? 何を負け惜しみを!」
「貴方は言ったわね。『ちっぽけな家』だと。……訂正しなさい」
私は魔力を解放した。 体中の全細胞が叫んでいる。 「ここを私の寝室にするんだ!」と。
「ここは『家』じゃない。私の『城』よ! そして城主は、侵入者に対して容赦しない!」
私はコンソールの赤いボタン――ノアが「これだけは絶対に使わないでくれ」と言っていた『禁断のスイッチ』――を叩き押した。
「機動要塞モード、起動! 変形ッ!!」
ガシャン! ガガガガッ! 私の部屋から、ありえない音が響いた。 壁が展開し、屋根がスライドし、床下のアームが伸びる。 部屋が……変形していく。
パジャマ姿の私が乗ったまま、優雅な洋館は、無骨で凶悪な『人型決戦兵器(ただし頭部はテラス付きの寝室)』へと姿を変えた。 右腕には巨大ドリル。 左腕には浄化レーザー砲。 そして胸部には『絶対領域』の紋章。
名付けて、『スーパー・引きこもりロボ・リズカイザー』! (ネーミングセンスは父譲りだ、くそっ)
「な、なんだそれはぁぁぁぁ!?」
ゲオルグが目を剥く。 タナトスも一瞬動きを止めたように見えた。
「さあ、お掃除の時間よ!」
私は操縦桿(元はテレビのリモコン)を倒した。 リズカイザーが突進する。 機神タナトスが光の剣を振り下ろす。
激突の瞬間。 私は確信していた。 勝つのは私だ。 なぜなら、あちらは「破壊」のために作られた兵器だが、こちらは「守る(引きこもる)」ために作られた要塞だからだ。 引きこもりの防御力(ATフィールド)を舐めるな!
ドガァァァァァァァァンッ!!!!!
遺跡が揺れる。 閃光が視界を埋め尽くす。 そして――。
……バキッ。
嫌な音が聞こえた。 あれ? 今の音、どっちからした?
光が収まったとき。 そこには、互いにクロスカウンターを決めたまま停止した、二体の巨人の姿があった。 タナトスの剣は、私のロボの肩に食い込んでいる。 私のドリルは、タナトスの胸を貫いている。
勝ったか? いや、待って。
私の部屋(コクピット)の壁に、大きな亀裂が入っている。 そして、そこからシュー……という音とともに、お気に入りのアロマの香りが漏れ出している。
「……あ」
私が声を漏らした瞬間。 メキメキメキッ! ドカーンッ!
私の『城』の右半分――キッチンとお風呂場がある部分が、崩れ落ちた。
「私の……お風呂がぁぁぁぁ!!」
私の絶叫が遺跡にこだました。 勝負には勝った(タナトスは機能停止した)。 だが、代償は大きすぎた。 私の安住の地が、半壊してしまったのだ。
その怒りが、次回、とんでもない暴力となってゲオルグに降り注ぐことになる。
「許さない……絶対に許さないから……!」
パジャマ姿の魔王が、壊れた部屋から這い出てくる。 震える手には、スタンガン(改・出力最大)が握られていた。
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