偽りの聖女と呪われた騎士団長 ~追放された落ちこぼれの私、実は伝説級の浄化能力で無自覚に最強騎士団を救っちゃいました~

放浪人

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第24話:黒鉄の砦への凱旋と盛大な祝福

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王都を出発してから、約一週間。
私たちは、ついに、懐かしい、あの場所へと、帰ってきた。
『黒鉄の砦』
かつては絶望の象徴だったその場所が、今は、温かい我が家のように感じられる。

私たちが、門の前に、たどり着くと、砦の中から、割れんばかりの、歓声が、上がった。
「団長ー! エリアナ様ー! おかえりなさーい!」

門の上には、留守番部隊の騎士たちが、ずらりと、並び、私たちを、出迎えてくれたのだ。
彼らの手には、『祝・ご帰還&ご婚約!』と書かれた、手作りの、横断幕まで、掲げられている。
……ご、婚約!?
王宮での一件は、もう砦中に知れ渡っているようだ。

私が、隣のアレス様を、見ると、彼は、したり顔で、笑っていた。
「……はは。どうやら、カイの奴が、先走って、報告したようだな」
「もう、カイさんったら……!」
恥ずかしいけれど、嬉しい気持ちで胸がいっぱいになる。

門が、開かれ、砦の中へ、入ると、そこには、信じられない、光景が、広がっていた。
あれほど、殺風景で、陰鬱だった、砦の中庭が。
色とりどりの、花で、埋め尽くされているではないか。

「これは……」
「エリアナ様が、いらっしゃらない間に、皆で、育てたんです! エリアナ様が、お戻りになった時に、驚かせようと思って!」
留守番部隊の、一人が、誇らしげに、胸を張る。
みんな、私のために、こんな素敵なことを……。
胸が熱くなり、視界が滲んだ。

その日の夜は、砦の、大食堂で、盛大な、祝宴が、開かれた。
もちろん、料理は、私が、腕を振るった。騎士たちの好物を、山のように作った。

宴も、たけなわになった頃。
カイさんが、おもむろに、立ち上がった。
「えー、皆の衆! 静粛に! 静粛に!」
「ご存知の通り! 我らが、アレス団長と、我らが、女神、エリアナ様が! めでたく、ご婚約と、相成った!」
「「「ヒュー! ヒュー!」」」
食堂が、興奮の坩堝と化す。
「つきましては! ここで、改めて、団長から、エリアナ様へ! 愛の言葉を、いただこうでは、ないか!」

ええええええ!?
こ、こんな、皆の前で!?
私が、真っ赤になって、固まっていると、アレス様は、やれやれ、といった顔で、ため息をついた。
しかし、彼は、逃げることなく、すっくと、立ち上がった。
そして、私の前に、進み出ると。
なんと、その場に、跪いたのだ。

「え……!? アレス、様……!?」
「エリアナ」
彼は、私の手を、優しく、取り、その、真っ直ぐな瞳で、私を、見つめた。
「……王都の、クソッタレ共の前でも、言ったが、改めて、言わせてくれ」
「エリアナ・フォン・リヒト。俺は、お前を、愛している。世界中の、誰よりも、何よりも。お前のいない人生など、考えられない。だから、どうか、俺と、結婚してほしい。俺の、生涯、ただ一人の、妻になってくれ」

それは、あまりにも、ストレートで、心のこもった、プロポーズだった。
私の瞳から、涙が、ぽろりと、こぼれ落ちる。

「……はい……! 喜んで……!」
私が、そう、答えた瞬間。
食堂は、この日、一番の、割れんばかりの、歓声と、拍手に、包まれた。

アレス様は、私の手に、優しく、口づけをすると、私を、軽々と、抱き上げた。
いわゆる、お姫様抱っこ、というやつだ。
「きゃっ!?」
「ははっ。これで、お前は、名実ともに、俺のものだ。もう、誰にも、渡さん」
彼は、そう、宣言すると、私を、抱きかかえたまま、食堂を、後にしようとする。

「ちょ、ちょっと、アレス様!? どこへ、行くんですか!?」
「決まっているだろう? 俺たちの、部屋だ」
「えええ!? まだ、宴の、途中ですよ!?」
「あんな、野郎どもは、放っておけ。……今夜は、お前を、朝まで、離してやるつもりは、ない」

耳元で、囁かれた、甘く、そして、危険な、言葉。
私の顔は、茹でダコのように、真っ赤になった。
こうして、私たちの、黒鉄の砦での、新しい生活は、最高に、幸せで、そして、少しだけ、刺激的な、幕開けを、迎えたのだった。
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