冷酷騎士団長に『出来損ない』と捨てられましたが、どうやら私の力が覚醒したらしく、ヤンデレ化した彼に執着されています

放浪人

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サブストーリー(カイン視点):氷の仮面の下で

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あの女を、初めて見た時。
神殿の床に、呆然と立ち尽くす、黒髪黒瞳の女。
その姿を見た瞬間、俺の魂は、歓喜に打ち震えた。

───見つけた。

五百年。
我がアシュフォード家に課せられた、悲願。
輪廻の果てに、再びこの地に現れるという、聖女アレイアの魂。
その魂の輝きを、俺は、あの女の瞳の奥に、確かに感じ取ったのだ。

しかし、次の瞬間、俺は、自らの心を、分厚い氷の仮面で覆い隠した。
期待してはならない。
ぬか喜びは、破滅を招く。
五百年前、我が祖先がそうであったように。
愛し、信じ、そして、目の前で失う絶望を、二度と繰り返してはならない。

魔力測定で、『魔力ゼロ』と判定された時、俺は、内心で安堵すらしていた。
これでいい。
聖女ではないのなら、国に、民に、犠牲を強いられることもない。
『出来損ない』の烙印を押された彼女を、俺の監視下に置く、完璧な口実ができた。

俺だけの鳥籠に、入れてしまえばいい。
誰の目にも触れさせず、誰にも期待させず、ただ、俺のそばに。

物置のような、粗末な部屋を与えた。
冷たい言葉を、投げつけた。
彼女が、俺に期待しないように。
俺が、彼女に、情を移してしまわないように。
すべては、臆病な俺が、自分自身を守るための、防衛本能だった。

だが、無駄だった。
氷の仮面の下で、俺の心は、日に日に、彼女に惹かれていった。
怯えながらも、その瞳の奥の光を失わない、強い魂。

弟のエリアスと、親しげに話す姿を見た時。
俺の中で、何かが、音を立てて、壊れた。
嫉妬。独占欲。
五百年分の、喪失への恐怖が、どす黒い感情となって、溢れ出した。

奪われる。
また、俺は、失うのか。
目の前で、守りたいものを、また、奪われるのか。

───もう、誰にも渡さない。

彼女の力が、覚醒したあの日。
俺を吹き飛ばした、あの聖なる光を見た時、俺は、恐怖よりも、歓喜に打ち震えた。
やはり、彼女こそが、俺が待ち続けた、運命の女だったのだと。

俺の行動は、歪んでいたのだろう。
彼女を閉じ込め、束縛し、恐怖させた。
だが、それしか、方法がわからなかった。
愛し方が、わからなかった。
ただ、ひたすらに、失うことが、怖かったのだ。

だが、彼女は、そんな俺の氷の心を、その温かい光で、溶かしてくれた。
「一人じゃない」と、言ってくれた。
俺の、弱さも、過去も、すべてを、受け入れてくれた。

リリア。
俺だけの、光。

もう、仮面は必要ない。
この腕の中にある、温もりを、今度こそ、俺は、命を懸けて、守り抜いてみせる。

永遠に、この愛を、誓って。
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