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第24話:ただいまと、おかえりと、祝福の輪
王都を出発して、数日後。
私たちは、懐かしいヴォルフガントの城へと、帰ってきた。
旅の終わりを告げる、高くそびえる黒い城壁が見えた時、私は、心の底から「帰ってきた」のだと実感した。
城門の前では、ゼバスさんをはじめ、城の使用人たちが、総出で私たちを迎えてくれた。
その列は、城門を越えて、城下町の方まで続いている。領民たちも、私たちの帰りを、今か今かと待ちわびてくれていたのだ。
「「「おかえリなさいませー!! カイ様、アリア様!!!」」」
割れんばかりの歓声と、祝福の拍手。
色とりどりの花びらが、空に舞う。
その顔、顔、顔が、心からの笑顔で、私たちの帰還を喜んでくれているのが、痛いほどに伝わってくる。
「……ただいま、ゼバス」
「ええ、ええ! お待ちしておりましたとも! 公爵様!」
カイの、ぶっきらぼうな挨拶に、ゼバスさんは、皺くちゃの顔で、涙を浮かべて喜んでいる。
そして、その優しい視線が、私に向けられた。
「アリア様。……いえ、これからは、奥様、と、お呼びせねばなりませんな」
ゼバスさんの、からかうような言葉に、私の顔が、カッと熱くなる。
「ぜ、ゼバスさん!」
「ほっほっほ。これは、失礼いたしました。いやはや、このゼバス、カイ様が、これほどお幸せそうなお顔をなさる日が来るとは……感無量でございます」
見ると、カイが、少しだけ、照れくさそうに、でも、とても嬉しそうに、微笑んでいた。
その笑顔は、領民たちの心を、一瞬で温かくしたようだった。
その日の夜。
城では、私たちの帰還と、正式な婚約を祝う、ささやかな、しかし、心のこもった祝宴が開かれた。
領内の有力者たちも招かれ、皆、私たちを心から祝福してくれた。
その中に、あの夜会で、私に敵意を向けてきた、クラリス嬢の姿もあった。
彼女は、私の前に来ると、深々と、本当に深く、頭を下げた。
「アリア様。先日は、私の嫉妬心から、大変、無礼な振る舞いをいたしました。私の、あまりにも浅はかな行い……どうか、お許しください」
「もう、気にしておりませんわ、クラリス様。私の方こそ、少し、意地悪な態度をとってしまいましたもの」
「そ、そんな……!」
「これからは、共に、このヴォルフガント領を、カイ様と一緒に、盛り立てていきましょう。あなたの力も、お借りしたいのです」
私がそう言って手を差し出すと、彼女は、ぱあっと顔を輝かせ、その手を、力強く握り返してくれた。
「は、はい! 喜んで! このクラリス・バーンズ、アリア様のために、いえ、未来の公爵夫人様のために、この身を捧げますわ!」
もう、この城に、私の敵はいない。
誰もが、私を、未来の公爵夫人として、温かく、そして力強く、受け入れてくれている。
宴が終わり、自室に戻る。
窓から、ヴォルフガントの、澄み切った夜空に輝く、美しい満月が見えた。
「……綺麗……」
「ああ」
いつの間にか、カイが、私の後ろに立っていた。
そして、そっと、私を後ろから抱きしめる。
彼の逞しい胸に、背中を預ける。その温かさが、心地いい。
「疲れただろう」
「いいえ。とても、とても、幸せな一日でしたわ」
「そうか」
彼は、私の髪に、顔をうずめた。その仕草が、とても愛おしい。
「アリア」
「はい?」
「……愛している」
耳元で囁かれた、ストレートな愛の言葉。
私の心臓が、甘く、高鳴る。
もう、この気持ちを、隠す必要なんて、どこにもない。
「……私も、ですわ。カイ。心から、あなたを、愛しています」
振り返って、彼の首に腕を回す。
自然と、唇が重なった。
それは、王都で交わした、初めてのキスとは違う、穏やかで、満ち足りた、安らぎのキスだった。
「おかえりなさい、カイ」
「……ああ。ただいま、アリア」
二人だけの、甘い囁き。
ヴォルフガントの夜は、優しく、静かに、更けていった。
ここが、私の還る場所。
私の、幸せの在り処。
私たちは、懐かしいヴォルフガントの城へと、帰ってきた。
旅の終わりを告げる、高くそびえる黒い城壁が見えた時、私は、心の底から「帰ってきた」のだと実感した。
城門の前では、ゼバスさんをはじめ、城の使用人たちが、総出で私たちを迎えてくれた。
その列は、城門を越えて、城下町の方まで続いている。領民たちも、私たちの帰りを、今か今かと待ちわびてくれていたのだ。
「「「おかえリなさいませー!! カイ様、アリア様!!!」」」
割れんばかりの歓声と、祝福の拍手。
色とりどりの花びらが、空に舞う。
その顔、顔、顔が、心からの笑顔で、私たちの帰還を喜んでくれているのが、痛いほどに伝わってくる。
「……ただいま、ゼバス」
「ええ、ええ! お待ちしておりましたとも! 公爵様!」
カイの、ぶっきらぼうな挨拶に、ゼバスさんは、皺くちゃの顔で、涙を浮かべて喜んでいる。
そして、その優しい視線が、私に向けられた。
「アリア様。……いえ、これからは、奥様、と、お呼びせねばなりませんな」
ゼバスさんの、からかうような言葉に、私の顔が、カッと熱くなる。
「ぜ、ゼバスさん!」
「ほっほっほ。これは、失礼いたしました。いやはや、このゼバス、カイ様が、これほどお幸せそうなお顔をなさる日が来るとは……感無量でございます」
見ると、カイが、少しだけ、照れくさそうに、でも、とても嬉しそうに、微笑んでいた。
その笑顔は、領民たちの心を、一瞬で温かくしたようだった。
その日の夜。
城では、私たちの帰還と、正式な婚約を祝う、ささやかな、しかし、心のこもった祝宴が開かれた。
領内の有力者たちも招かれ、皆、私たちを心から祝福してくれた。
その中に、あの夜会で、私に敵意を向けてきた、クラリス嬢の姿もあった。
彼女は、私の前に来ると、深々と、本当に深く、頭を下げた。
「アリア様。先日は、私の嫉妬心から、大変、無礼な振る舞いをいたしました。私の、あまりにも浅はかな行い……どうか、お許しください」
「もう、気にしておりませんわ、クラリス様。私の方こそ、少し、意地悪な態度をとってしまいましたもの」
「そ、そんな……!」
「これからは、共に、このヴォルフガント領を、カイ様と一緒に、盛り立てていきましょう。あなたの力も、お借りしたいのです」
私がそう言って手を差し出すと、彼女は、ぱあっと顔を輝かせ、その手を、力強く握り返してくれた。
「は、はい! 喜んで! このクラリス・バーンズ、アリア様のために、いえ、未来の公爵夫人様のために、この身を捧げますわ!」
もう、この城に、私の敵はいない。
誰もが、私を、未来の公爵夫人として、温かく、そして力強く、受け入れてくれている。
宴が終わり、自室に戻る。
窓から、ヴォルフガントの、澄み切った夜空に輝く、美しい満月が見えた。
「……綺麗……」
「ああ」
いつの間にか、カイが、私の後ろに立っていた。
そして、そっと、私を後ろから抱きしめる。
彼の逞しい胸に、背中を預ける。その温かさが、心地いい。
「疲れただろう」
「いいえ。とても、とても、幸せな一日でしたわ」
「そうか」
彼は、私の髪に、顔をうずめた。その仕草が、とても愛おしい。
「アリア」
「はい?」
「……愛している」
耳元で囁かれた、ストレートな愛の言葉。
私の心臓が、甘く、高鳴る。
もう、この気持ちを、隠す必要なんて、どこにもない。
「……私も、ですわ。カイ。心から、あなたを、愛しています」
振り返って、彼の首に腕を回す。
自然と、唇が重なった。
それは、王都で交わした、初めてのキスとは違う、穏やかで、満ち足りた、安らぎのキスだった。
「おかえりなさい、カイ」
「……ああ。ただいま、アリア」
二人だけの、甘い囁き。
ヴォルフガントの夜は、優しく、静かに、更けていった。
ここが、私の還る場所。
私の、幸せの在り処。
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