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第6話 温泉、それは筋肉の休息地
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「よいしょ、っと」
スパァァァァァァン!!
小気味よい音が、ベルシュタイン領北部の山岳地帯に響き渡る。 私が右手を振り下ろすと、目の前にあった巨大な花崗岩(かこうがん)が、まるで豆腐のように綺麗に真っ二つに割れた。
「うん、いい断面ですわ。これなら肌触りの良い浴槽になりそうです」
私は切断面を指先でなぞり、満足げに頷いた。 やすり掛けをする必要もないほど、鏡のように滑らかな仕上がりだ。 これは私の特技の一つ、『研磨手刀(ポリッシュ・チョップ)』による成果である。
昨日、私の拳によって劇的に開湯した『ベルシュタイン温泉』。 今日はその周辺施設を整えるための、楽しいDIY(という名の土木工事)の日である。
「さあ、ボブ! 次はこの岩をあちらへ運んで! ジョニーは配管用の溝を掘ってちょうだい! マイクは休憩所の屋根に使う木材を調達してきて!」
私が手を叩いて指示を飛ばすと、元盗賊の雑用部隊たちが「アイアイサーッ!!」と勇ましい声を上げて散っていく。
彼らの肉体は、ここ数日の『ベルシュタイン式ブートキャンプ』……もとい、スローライフのおかげで、見違えるほど逞しくなっていた。 最初は私の動きについてこれず、泡を吹いて倒れていた彼らだが、S級魔獣の肉を食べ、私のスパルタ指導(愛の鞭)を受けた結果、今では百キロの岩を軽々と担いで走り回れるようになっている。 人間、やればできるものである。
「姐さん! いや、総長! こっちの脱衣所用の岩組み、完了しました!」
ボブが全身から湯気を立てながら報告に来る。 その上腕二頭筋は、以前の倍ほどに膨れ上がっていた。
「あら、仕事が早いわね。素晴らしいわ、ボブ」
「へへっ、褒められると照れますね……。なんか最近、体を動かすのが楽しくて仕方ねぇんです。昨日の夜なんて、寝てる間に筋肉が成長する音が聞こえた気がして……」
「ええ、それは『マッスル・ウィスパー(筋肉の囁き)』よ。筋肉と対話ができるようになった証拠ね。おめでとう」
「あざっす!!」
ボブは感極まったように敬礼した。 完全にこちらの世界(脳筋)の住人になったようで何よりだ。
さて、私も負けてはいられない。 メインとなる大浴場の仕上げだ。
私は切り出した巨大な一枚岩の中央に立ち、深呼吸をした。 イメージするのは、王都のスパにあるような軟弱なジャグジーではない。 もっと野性的で、しかし優雅さを兼ね備えた、貴族のための至高の湯船。
「ふんっ!!」
気合と共に、私は岩の表面を撫でるように連打を叩き込んだ。
ドドドドドドドドドドッ!!
目にも止まらぬ高速の突きが、岩を削り取っていく。 削られた石粉が風に乗って舞い上がり、瞬く間に岩の中央が窪んでいく。 ただ穴を掘るだけではない。 背中を預けるのに最適なカーブ、足を伸ばせる深さ、そして半身浴を楽しむための段差。 すべてを計算し尽くした、人間工学に基づいた彫刻だ。
「仕上げに……」
私は指先に熱を集中させ、浴槽の底に魔法陣(という名の溝)を刻んだ。 これは『自動保温』と『自動循環』の効果を持たせるための、私のオリジナル術式(物理的な溝の配置による対流制御)だ。
「よし、完成!」
所要時間、十分。 そこには、二十人は一度に入れる広々とした岩風呂が出来上がっていた。
「セバスチャン、引湯(いんとう)をお願い!」
「御意」
控えていたセバスチャンが、昨日私が開けた源泉の栓(巨大な岩)を、小指一本でポンと抜く。
ドッバァァァァァァッ!!
白濁した熱湯が、私が作った石のパイプを通って浴槽へと注ぎ込まれる。 モウモウと立ち込める湯気。 硫黄の香りと、微かな薬草のような香りが混じり合い、辺り一面が幻想的な霧に包まれる。
お湯が溢れ出し、岩の縁からサラサラと流れ落ちる。 その音を聞いているだけで、肩の力が抜けていくようだ。
「……素晴らしい」
私は自画自賛した。 目の前には、絶景の山々を望む露天風呂。 背後には、魔界樹(鉄より硬い木)を組み上げて作った、ログハウス風の休憩所。 完璧だ。これぞ、私が求めていたスローライフの拠点。
「総長! こりゃすげぇ! 王都の高級リゾートホテルより豪華ですよ!」 「このお湯、近くにいるだけで傷が治っていく気がします!」
部下たちも大興奮だ。
「ふふ、そうでしょう? さあ、今日は工事完了の祝賀会よ! みんなも入っていいわ。ただし――」
私は釘を刺すように人差し指を立てた。
「私は一番風呂をいただきますから、あなたたちはその後よ。それと、男湯はあっちの岩陰に作っておいたから、そっちを使いなさい。覗いたら……分かっていますわね?」
私がニッコリと微笑みながら、手元の余った岩を握りつぶす(バキィッ)と、全員が青ざめて首を縦に振った。
◇
更衣室(もちろん、私が丸太を素手でくり抜いて作った個室だ)で、ドラゴン皮の作業着を脱ぎ捨てる。 鏡に映る自分の肌は、連日の肉体労働と魔獣肉のおかげか、以前よりもハリとツヤが増している気がする。 やはり、ドレスの中に押し込められているより、自然の中で呼吸する方が肌に良いのだ。
タオルを一枚巻き、湯気の中へと足を踏み入れる。 外気は少し肌寒いが、足元から伝わる温泉の熱が心地よい。
ちゃぽん。
かけ湯をしてから、ゆっくりと肩までお湯に浸かる。
「はぁぁぁぁぁぁ~……」
思わず、おっさんのような声が漏れた。 しかし、誰も聞いていないから問題ない。 これだ。この瞬間だ。 全身の毛穴が開き、蓄積された疲労物質が溶け出していく感覚。
「極楽、極楽ですわ~」
私は浴槽の縁に頭を預け、空を見上げた。 青い空を、ワイバーンの群れが悠々と飛んでいくのが見える。 平和だ。
この温泉、ただのお湯ではない。 肌に触れた瞬間、ピリピリとした心地よい刺激が走る。 分析するに、地下深くのマナ溜まりを経由して湧き出している『高濃度魔力泉』だ。 入浴するだけで、魔力回路が洗浄され、身体能力が活性化する効果があるようだ。 いわば、天然のドーピング剤である。
「これなら、明日の筋肉痛も心配ありませんわね」
私はお湯をすくい上げ、顔を洗った。 お湯に含まれるミネラル成分が、肌をコーティングしてくれる。 湯上がりたまご肌、間違いなしだ。
三十分ほど堪能しただろうか。 体が十分に温まったところで、私は「ふぅ」と息を吐いて立ち上がった。 湯上がりの楽しみが、まだ残っている。
休憩所に移動すると、セバスチャンが氷の入った桶を用意して待っていた。 桶の中には、ガラス瓶に入った白い液体が冷やされている。
「お風呂上がりの一杯、ご用意しております」
「さすがね、セバスチャン。分かっているわ」
それは、領地の牧場で採れたての『ハイランド・カウ』の特濃ミルクだ。 乳脂肪分が高く、まるで生クリームのように濃厚だが、後味はスッキリとしている奇跡の牛乳。 私は腰に手を当て、瓶の蓋をポンと開けた。 そして、一気に煽る。
ゴクッ、ゴクッ、ゴクッ……。
冷たい液体が、火照った喉を通り抜けていく。 濃厚な甘みとコクが口いっぱいに広がり、脳が痺れるほどの幸福感が押し寄せる。
「プハァァァッ!!」
私は空になった瓶をテーブルに置いた。 口元に白い髭がついているが、気にしない。
「最高……! これ以上の幸せが、この世にあるかしら!」
「お嬢様がご満足そうで何よりです。……おや、旦那様たちが到着されたようですな」
セバスチャンの視線の先、男湯の方からドスドスという地響きが近づいてきた。
「ガハハハハ! エリー! いい湯を掘り当てたな!」 「ああ、これは凄ぇぞ! 古傷の痛みが一発で消え失せた!」
父バルバロスと兄ヴォルフガングだ。 二人は腰に巨大なタオル(というかテント用の布)を巻いただけの姿で、筋肉を見せつけながら現れた。 その肌は茹でダコのように赤くなっており、頭からはもうもうと湯気を上げている。
「お父様、お兄様。気に入っていただけました?」
「気に入るもなにも、これは革命だぞ!」
父が興奮気味に鼻息を荒くする。
「ただ温まるだけじゃない。筋肉の繊維一本一本が引き締まり、魔力の巡りが良くなっている。これを毎日兵士たちに入浴させれば、我が軍の戦闘力は三割増しになるぞ!」
「商売としてもいけますね」 兄が冷静な、しかし鋭い眼光で補足する。 「『奇跡の湯』として売り出せば、王都の貴族どもが大金を払ってでも入りたがるでしょう。療養地として開発すれば、莫大な利益が見込めます」
「まあ、商魂たくましいことですこと」
私は苦笑した。 「でも、ここは私のプライベート・リゾートですのよ? あまり騒がしくなるのは困りますわ」
「ガハハ、分かっている。一般開放するのは下流の方だ。この源泉(一番風呂)は、ベルシュタイン家の特権として独占させてもらおう」
父はそう言って、私が飲み干した牛乳瓶を見て喉を鳴らした。
「セバスチャン! わしにもその白い酒……じゃなくて牛乳をくれ!」 「俺にもだ! フルーツを入れてくれ!」
「かしこまりました」
こうして、ベルシュタイン家の午後は、温泉と牛乳と筋肉談義で更けていった。 平和で、暖かで、暴力的なまでに健康的な時間。 王都での窮屈な日々が、まるで遠い過去の出来事のように思えた。 ジェラルド殿下やミリア嬢の顔など、湯気と共にどこかへ消えてしまったかのようだ。
◇
しかし。 私がスローライフを満喫しているその裏で、世界は確実に動き始めていた。 それも、私が望まない方向へと。
場所は変わって、ベルシュタイン領へと続く唯一の街道、『断罪の峠』。 切り立った崖と深い森に囲まれた、天然の要害である。
そこに、煌びやかな鎧に身を包んだ一団が進軍していた。 王都から派遣された、王国騎士団の精鋭部隊だ。 その数、およそ五百。 指揮を執るのは、騎士団長のガレイン。
「はぁ……はぁ……なんなのだ、この道は……」
ガレインは愛馬の上で息を切らしていた。 道中、まともな道はほとんどなかった。 落石、土砂崩れ、そして異常発生した魔獣の襲撃。 王都を出発してまだ三日目だというのに、すでに部隊の士気はガタ落ちだった。
「団長ぉ~、まだ着かないんですかぁ? 私、もう疲れちゃいましたぁ」 「足が痛いですぅ。お風呂に入りたいですぅ」
馬車の中から、甘ったるい文句が聞こえてくる。 聖女ミリアだ。 彼女は豪華な馬車に揺られながら、お菓子をボリボリと食べているだけだが、文句だけは一丁前だった。
「ミリア様、もう少しのご辛抱を。地図によれば、この峠を越えればベルシュタイン領です」
ガレインは額に青筋を浮かべながら、努めて冷静に答えた。 心の中では「このアマ、ここに置いていってやろうか」と思っていたが、王子の命令がある以上、そうもいかない。
「え~、まだ峠を越えるんですかぁ? 私の『祈り』でワープとかできないんですかぁ?」
「……聖女様の御力でも、空間転移は不可能かと存じます」
「ちぇっ、使えないなぁ」
ミリアが悪態をつく。 周囲の騎士たちがイラッとした表情を見せる。 その時だった。
ヒュンッ!
風を切る音がしたかと思うと、先頭を歩いていた騎士の足元に、巨大な矢が突き刺さった。 矢というよりは、杭に近いサイズだ。
「敵襲ッ!!」
ガレインが叫ぶ。 全員が武器を構える。
峠の上から、野太い声が響いてきた。
「止まれェェェ! ここから先はベルシュタイン辺境伯領! 許可なき者の立ち入りは禁ずる!」
見上げると、崖の上に数人の男たちが立っていた。 彼らは正規の兵士ではない。 獣の皮をまとい、顔に戦化粧を施した、見るからに野蛮な山岳民族……ではなく、ベルシュタイン領の『自警団(民兵)』だ。
「我々は王家の勅命を受けた騎士団だ! 道を開けろ!」
ガレインが大声で名乗りを上げる。 王家の威光があれば、辺境の民などひれ伏すはずだ。 そう思っていた。
しかし。
「王家だぁ? 知らねぇな! 俺たちが従うのは、バルバロス様と、帰ってきたお嬢様(エリー)だけだ!」 「そうだそうだ! お嬢様をいじめた王都の奴らは敵だ!」 「帰れ! さもなくば、この岩を落とすぞ!」
彼らは巨大な岩(直径二メートル級)をゴロゴロと転がし始めた。
「な、なんだあの怪力は……! 民兵だぞ!? なんであんな岩を軽々と……!」
騎士たちが動揺する。 ベルシュタイン領の住民は、日常的に魔獣と戦っているため、平均的な戦闘力が王都の騎士よりも高いという事実を、彼らは知らなかったのだ。 いわば、領民全員がレベル50越えのバーサーカーである。
「ひぃぃぃ! 野蛮人ですぅ! 怖いぃぃ!」
ミリアが馬車の窓を閉める。
「くそっ、引くな! 盾を構えろ! 突破するぞ!」
ガレインが号令をかけるが、その声には悲壮感が漂っていた。 まさか、領地に入る前からこんな抵抗に遭うとは。
そして、彼らはまだ知らない。 この先に待ち受けているのが、単なる民兵だけでなく、温泉と美味しいお肉でパワーアップした『元盗賊特殊部隊(リーダー・ボブ)』や、お腹を空かせた『ペット(魔獣)』たちであることを。
◇
――くしゅんっ。
湯上がりの休憩所で、私は可愛らしくくしゃみをした。
「おや、お嬢様。お風邪ですか? 湯冷めなさいませんよう」
「いいえ、大丈夫よセバスチャン。きっと誰かが私の噂をしているのね」
私はガウンを羽織り、夜風に当たった。 星が綺麗だ。
「さて、温泉も完成したし、英気も養ったわ」
私は拳を握りしめた。 力がみなぎっている。 今の私なら、山脈の一つくらい更地にできそうだ。
「次は……畑ね」
スローライフ第二弾。 自給自足の基本、農業だ。 「美味しい野菜が食べたいわ。トマトにキュウリ、ナスにジャガイモ。新鮮な野菜サラダを、自家製ドレッシングで食べるの」
想像するだけで涎が出そうになる。 しかし、領地の土壌は痩せていて硬い荒野が多い。 普通の農法では、作物が育つまでに何年もかかるだろう。
「ふふふ……でも、私には秘策がありますの」
私はボブたちの方を振り返った。 彼らは温泉とお酒ですっかり出来上がって、宴会騒ぎをしている。
「明日は早起きですよ、みんな。今度は『土いじり』の時間です」
私の呟きに、宴会の騒音がピタリと止まり、全員の背筋に悪寒が走ったようだった。
こうして、私のスローライフ計画は着々と進行していく。 王国の騎士団が、涙目で撤退を余儀なくされる未来など知る由もなく、私は明日の朝食のメニュー(野菜たっぷりのサンドイッチ)を夢見て、ふかふかのベッドへと潜り込むのだった。
スパァァァァァァン!!
小気味よい音が、ベルシュタイン領北部の山岳地帯に響き渡る。 私が右手を振り下ろすと、目の前にあった巨大な花崗岩(かこうがん)が、まるで豆腐のように綺麗に真っ二つに割れた。
「うん、いい断面ですわ。これなら肌触りの良い浴槽になりそうです」
私は切断面を指先でなぞり、満足げに頷いた。 やすり掛けをする必要もないほど、鏡のように滑らかな仕上がりだ。 これは私の特技の一つ、『研磨手刀(ポリッシュ・チョップ)』による成果である。
昨日、私の拳によって劇的に開湯した『ベルシュタイン温泉』。 今日はその周辺施設を整えるための、楽しいDIY(という名の土木工事)の日である。
「さあ、ボブ! 次はこの岩をあちらへ運んで! ジョニーは配管用の溝を掘ってちょうだい! マイクは休憩所の屋根に使う木材を調達してきて!」
私が手を叩いて指示を飛ばすと、元盗賊の雑用部隊たちが「アイアイサーッ!!」と勇ましい声を上げて散っていく。
彼らの肉体は、ここ数日の『ベルシュタイン式ブートキャンプ』……もとい、スローライフのおかげで、見違えるほど逞しくなっていた。 最初は私の動きについてこれず、泡を吹いて倒れていた彼らだが、S級魔獣の肉を食べ、私のスパルタ指導(愛の鞭)を受けた結果、今では百キロの岩を軽々と担いで走り回れるようになっている。 人間、やればできるものである。
「姐さん! いや、総長! こっちの脱衣所用の岩組み、完了しました!」
ボブが全身から湯気を立てながら報告に来る。 その上腕二頭筋は、以前の倍ほどに膨れ上がっていた。
「あら、仕事が早いわね。素晴らしいわ、ボブ」
「へへっ、褒められると照れますね……。なんか最近、体を動かすのが楽しくて仕方ねぇんです。昨日の夜なんて、寝てる間に筋肉が成長する音が聞こえた気がして……」
「ええ、それは『マッスル・ウィスパー(筋肉の囁き)』よ。筋肉と対話ができるようになった証拠ね。おめでとう」
「あざっす!!」
ボブは感極まったように敬礼した。 完全にこちらの世界(脳筋)の住人になったようで何よりだ。
さて、私も負けてはいられない。 メインとなる大浴場の仕上げだ。
私は切り出した巨大な一枚岩の中央に立ち、深呼吸をした。 イメージするのは、王都のスパにあるような軟弱なジャグジーではない。 もっと野性的で、しかし優雅さを兼ね備えた、貴族のための至高の湯船。
「ふんっ!!」
気合と共に、私は岩の表面を撫でるように連打を叩き込んだ。
ドドドドドドドドドドッ!!
目にも止まらぬ高速の突きが、岩を削り取っていく。 削られた石粉が風に乗って舞い上がり、瞬く間に岩の中央が窪んでいく。 ただ穴を掘るだけではない。 背中を預けるのに最適なカーブ、足を伸ばせる深さ、そして半身浴を楽しむための段差。 すべてを計算し尽くした、人間工学に基づいた彫刻だ。
「仕上げに……」
私は指先に熱を集中させ、浴槽の底に魔法陣(という名の溝)を刻んだ。 これは『自動保温』と『自動循環』の効果を持たせるための、私のオリジナル術式(物理的な溝の配置による対流制御)だ。
「よし、完成!」
所要時間、十分。 そこには、二十人は一度に入れる広々とした岩風呂が出来上がっていた。
「セバスチャン、引湯(いんとう)をお願い!」
「御意」
控えていたセバスチャンが、昨日私が開けた源泉の栓(巨大な岩)を、小指一本でポンと抜く。
ドッバァァァァァァッ!!
白濁した熱湯が、私が作った石のパイプを通って浴槽へと注ぎ込まれる。 モウモウと立ち込める湯気。 硫黄の香りと、微かな薬草のような香りが混じり合い、辺り一面が幻想的な霧に包まれる。
お湯が溢れ出し、岩の縁からサラサラと流れ落ちる。 その音を聞いているだけで、肩の力が抜けていくようだ。
「……素晴らしい」
私は自画自賛した。 目の前には、絶景の山々を望む露天風呂。 背後には、魔界樹(鉄より硬い木)を組み上げて作った、ログハウス風の休憩所。 完璧だ。これぞ、私が求めていたスローライフの拠点。
「総長! こりゃすげぇ! 王都の高級リゾートホテルより豪華ですよ!」 「このお湯、近くにいるだけで傷が治っていく気がします!」
部下たちも大興奮だ。
「ふふ、そうでしょう? さあ、今日は工事完了の祝賀会よ! みんなも入っていいわ。ただし――」
私は釘を刺すように人差し指を立てた。
「私は一番風呂をいただきますから、あなたたちはその後よ。それと、男湯はあっちの岩陰に作っておいたから、そっちを使いなさい。覗いたら……分かっていますわね?」
私がニッコリと微笑みながら、手元の余った岩を握りつぶす(バキィッ)と、全員が青ざめて首を縦に振った。
◇
更衣室(もちろん、私が丸太を素手でくり抜いて作った個室だ)で、ドラゴン皮の作業着を脱ぎ捨てる。 鏡に映る自分の肌は、連日の肉体労働と魔獣肉のおかげか、以前よりもハリとツヤが増している気がする。 やはり、ドレスの中に押し込められているより、自然の中で呼吸する方が肌に良いのだ。
タオルを一枚巻き、湯気の中へと足を踏み入れる。 外気は少し肌寒いが、足元から伝わる温泉の熱が心地よい。
ちゃぽん。
かけ湯をしてから、ゆっくりと肩までお湯に浸かる。
「はぁぁぁぁぁぁ~……」
思わず、おっさんのような声が漏れた。 しかし、誰も聞いていないから問題ない。 これだ。この瞬間だ。 全身の毛穴が開き、蓄積された疲労物質が溶け出していく感覚。
「極楽、極楽ですわ~」
私は浴槽の縁に頭を預け、空を見上げた。 青い空を、ワイバーンの群れが悠々と飛んでいくのが見える。 平和だ。
この温泉、ただのお湯ではない。 肌に触れた瞬間、ピリピリとした心地よい刺激が走る。 分析するに、地下深くのマナ溜まりを経由して湧き出している『高濃度魔力泉』だ。 入浴するだけで、魔力回路が洗浄され、身体能力が活性化する効果があるようだ。 いわば、天然のドーピング剤である。
「これなら、明日の筋肉痛も心配ありませんわね」
私はお湯をすくい上げ、顔を洗った。 お湯に含まれるミネラル成分が、肌をコーティングしてくれる。 湯上がりたまご肌、間違いなしだ。
三十分ほど堪能しただろうか。 体が十分に温まったところで、私は「ふぅ」と息を吐いて立ち上がった。 湯上がりの楽しみが、まだ残っている。
休憩所に移動すると、セバスチャンが氷の入った桶を用意して待っていた。 桶の中には、ガラス瓶に入った白い液体が冷やされている。
「お風呂上がりの一杯、ご用意しております」
「さすがね、セバスチャン。分かっているわ」
それは、領地の牧場で採れたての『ハイランド・カウ』の特濃ミルクだ。 乳脂肪分が高く、まるで生クリームのように濃厚だが、後味はスッキリとしている奇跡の牛乳。 私は腰に手を当て、瓶の蓋をポンと開けた。 そして、一気に煽る。
ゴクッ、ゴクッ、ゴクッ……。
冷たい液体が、火照った喉を通り抜けていく。 濃厚な甘みとコクが口いっぱいに広がり、脳が痺れるほどの幸福感が押し寄せる。
「プハァァァッ!!」
私は空になった瓶をテーブルに置いた。 口元に白い髭がついているが、気にしない。
「最高……! これ以上の幸せが、この世にあるかしら!」
「お嬢様がご満足そうで何よりです。……おや、旦那様たちが到着されたようですな」
セバスチャンの視線の先、男湯の方からドスドスという地響きが近づいてきた。
「ガハハハハ! エリー! いい湯を掘り当てたな!」 「ああ、これは凄ぇぞ! 古傷の痛みが一発で消え失せた!」
父バルバロスと兄ヴォルフガングだ。 二人は腰に巨大なタオル(というかテント用の布)を巻いただけの姿で、筋肉を見せつけながら現れた。 その肌は茹でダコのように赤くなっており、頭からはもうもうと湯気を上げている。
「お父様、お兄様。気に入っていただけました?」
「気に入るもなにも、これは革命だぞ!」
父が興奮気味に鼻息を荒くする。
「ただ温まるだけじゃない。筋肉の繊維一本一本が引き締まり、魔力の巡りが良くなっている。これを毎日兵士たちに入浴させれば、我が軍の戦闘力は三割増しになるぞ!」
「商売としてもいけますね」 兄が冷静な、しかし鋭い眼光で補足する。 「『奇跡の湯』として売り出せば、王都の貴族どもが大金を払ってでも入りたがるでしょう。療養地として開発すれば、莫大な利益が見込めます」
「まあ、商魂たくましいことですこと」
私は苦笑した。 「でも、ここは私のプライベート・リゾートですのよ? あまり騒がしくなるのは困りますわ」
「ガハハ、分かっている。一般開放するのは下流の方だ。この源泉(一番風呂)は、ベルシュタイン家の特権として独占させてもらおう」
父はそう言って、私が飲み干した牛乳瓶を見て喉を鳴らした。
「セバスチャン! わしにもその白い酒……じゃなくて牛乳をくれ!」 「俺にもだ! フルーツを入れてくれ!」
「かしこまりました」
こうして、ベルシュタイン家の午後は、温泉と牛乳と筋肉談義で更けていった。 平和で、暖かで、暴力的なまでに健康的な時間。 王都での窮屈な日々が、まるで遠い過去の出来事のように思えた。 ジェラルド殿下やミリア嬢の顔など、湯気と共にどこかへ消えてしまったかのようだ。
◇
しかし。 私がスローライフを満喫しているその裏で、世界は確実に動き始めていた。 それも、私が望まない方向へと。
場所は変わって、ベルシュタイン領へと続く唯一の街道、『断罪の峠』。 切り立った崖と深い森に囲まれた、天然の要害である。
そこに、煌びやかな鎧に身を包んだ一団が進軍していた。 王都から派遣された、王国騎士団の精鋭部隊だ。 その数、およそ五百。 指揮を執るのは、騎士団長のガレイン。
「はぁ……はぁ……なんなのだ、この道は……」
ガレインは愛馬の上で息を切らしていた。 道中、まともな道はほとんどなかった。 落石、土砂崩れ、そして異常発生した魔獣の襲撃。 王都を出発してまだ三日目だというのに、すでに部隊の士気はガタ落ちだった。
「団長ぉ~、まだ着かないんですかぁ? 私、もう疲れちゃいましたぁ」 「足が痛いですぅ。お風呂に入りたいですぅ」
馬車の中から、甘ったるい文句が聞こえてくる。 聖女ミリアだ。 彼女は豪華な馬車に揺られながら、お菓子をボリボリと食べているだけだが、文句だけは一丁前だった。
「ミリア様、もう少しのご辛抱を。地図によれば、この峠を越えればベルシュタイン領です」
ガレインは額に青筋を浮かべながら、努めて冷静に答えた。 心の中では「このアマ、ここに置いていってやろうか」と思っていたが、王子の命令がある以上、そうもいかない。
「え~、まだ峠を越えるんですかぁ? 私の『祈り』でワープとかできないんですかぁ?」
「……聖女様の御力でも、空間転移は不可能かと存じます」
「ちぇっ、使えないなぁ」
ミリアが悪態をつく。 周囲の騎士たちがイラッとした表情を見せる。 その時だった。
ヒュンッ!
風を切る音がしたかと思うと、先頭を歩いていた騎士の足元に、巨大な矢が突き刺さった。 矢というよりは、杭に近いサイズだ。
「敵襲ッ!!」
ガレインが叫ぶ。 全員が武器を構える。
峠の上から、野太い声が響いてきた。
「止まれェェェ! ここから先はベルシュタイン辺境伯領! 許可なき者の立ち入りは禁ずる!」
見上げると、崖の上に数人の男たちが立っていた。 彼らは正規の兵士ではない。 獣の皮をまとい、顔に戦化粧を施した、見るからに野蛮な山岳民族……ではなく、ベルシュタイン領の『自警団(民兵)』だ。
「我々は王家の勅命を受けた騎士団だ! 道を開けろ!」
ガレインが大声で名乗りを上げる。 王家の威光があれば、辺境の民などひれ伏すはずだ。 そう思っていた。
しかし。
「王家だぁ? 知らねぇな! 俺たちが従うのは、バルバロス様と、帰ってきたお嬢様(エリー)だけだ!」 「そうだそうだ! お嬢様をいじめた王都の奴らは敵だ!」 「帰れ! さもなくば、この岩を落とすぞ!」
彼らは巨大な岩(直径二メートル級)をゴロゴロと転がし始めた。
「な、なんだあの怪力は……! 民兵だぞ!? なんであんな岩を軽々と……!」
騎士たちが動揺する。 ベルシュタイン領の住民は、日常的に魔獣と戦っているため、平均的な戦闘力が王都の騎士よりも高いという事実を、彼らは知らなかったのだ。 いわば、領民全員がレベル50越えのバーサーカーである。
「ひぃぃぃ! 野蛮人ですぅ! 怖いぃぃ!」
ミリアが馬車の窓を閉める。
「くそっ、引くな! 盾を構えろ! 突破するぞ!」
ガレインが号令をかけるが、その声には悲壮感が漂っていた。 まさか、領地に入る前からこんな抵抗に遭うとは。
そして、彼らはまだ知らない。 この先に待ち受けているのが、単なる民兵だけでなく、温泉と美味しいお肉でパワーアップした『元盗賊特殊部隊(リーダー・ボブ)』や、お腹を空かせた『ペット(魔獣)』たちであることを。
◇
――くしゅんっ。
湯上がりの休憩所で、私は可愛らしくくしゃみをした。
「おや、お嬢様。お風邪ですか? 湯冷めなさいませんよう」
「いいえ、大丈夫よセバスチャン。きっと誰かが私の噂をしているのね」
私はガウンを羽織り、夜風に当たった。 星が綺麗だ。
「さて、温泉も完成したし、英気も養ったわ」
私は拳を握りしめた。 力がみなぎっている。 今の私なら、山脈の一つくらい更地にできそうだ。
「次は……畑ね」
スローライフ第二弾。 自給自足の基本、農業だ。 「美味しい野菜が食べたいわ。トマトにキュウリ、ナスにジャガイモ。新鮮な野菜サラダを、自家製ドレッシングで食べるの」
想像するだけで涎が出そうになる。 しかし、領地の土壌は痩せていて硬い荒野が多い。 普通の農法では、作物が育つまでに何年もかかるだろう。
「ふふふ……でも、私には秘策がありますの」
私はボブたちの方を振り返った。 彼らは温泉とお酒ですっかり出来上がって、宴会騒ぎをしている。
「明日は早起きですよ、みんな。今度は『土いじり』の時間です」
私の呟きに、宴会の騒音がピタリと止まり、全員の背筋に悪寒が走ったようだった。
こうして、私のスローライフ計画は着々と進行していく。 王国の騎士団が、涙目で撤退を余儀なくされる未来など知る由もなく、私は明日の朝食のメニュー(野菜たっぷりのサンドイッチ)を夢見て、ふかふかのベッドへと潜り込むのだった。
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