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第7話 畑を耕そう(魔獣を使って)
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小鳥のさえずりが聞こえる。 爽やかな朝の光がカーテンの隙間から差し込み、私の瞼を優しく撫でる。
「んっ……ふぁぁ……」
私はベッドの上で大きく伸びをした。 最高の目覚めだ。 王都にいた頃のように、コルセットの締め付けで息苦しくなることもなければ、嫌味な貴族たちとの朝食会を憂鬱に思う必要もない。
今日は農作業の日。 スローライフの代名詞とも言える、土との触れ合いが私を待っている。
「おはようございます、お嬢様」
私が着替え(もちろんドラゴン皮の作業着だ)を済ませて部屋を出ると、セバスチャンが完璧なタイミングで冷たいおしぼりを差し出してきた。
「おはよう、セバスチャン。今日の天気は?」
「快晴でございます。絶好の開墾日和かと」
「それはよかったわ。ボブたちは?」
「すでに現場にて待機しております。……少々、顔色が優れませんが」
「あら、昨日の飲み過ぎかしら? 運動すれば治るわよ」
私は軽やかな足取りで屋敷を出た。
◇
屋敷の裏手、温泉地から少し下った先に広がるのは、見渡す限りの荒野だった。 かつてはここも農地だったらしいが、魔獣の襲撃や厳しい気候のせいで放棄され、今ではペンペン草すら生えない不毛の大地となっている。 地面はひび割れ、岩のように硬く乾燥していた。
そこに、ボブたち雑用部隊の面々が整列していた。 手には真新しいツルハシやクワが握られているが、彼らの表情は一様に暗い。
「おはようみんな! やる気満々ね!」
私が声をかけると、ボブが泣きそうな顔で振り返った。
「お、おはようございます総長……。あの、本当にここを耕すんですか?」
「ええ、そうよ。ここにトマトやキュウリを植えて、自家製サラダを作るの」
「いや、でも……見てくださいよ、この地面」
ボブがツルハシを振り上げ、地面に叩きつけた。
ガギィィン!!
甲高い金属音が響き、火花が散る。 ツルハシの先端は見事にひしゃげ、地面には傷一つついていなかった。
「……これ、土じゃなくて岩盤ですよ。アダマンタイト級に硬ぇっす」
「私たちの領地の土は、魔力を含んで硬質化しているのよ。だからこそ、ここで育つ野菜は栄養満点なの」
私はこともなげに言った。 ベルシュタイン領の特産品『鋼鉄カボチャ』や『爆裂ジャガイモ』は、この過酷な土壌だからこそ育つのだ。 普通の農法が通用しないのは百も承知である。
「さて、まずは土を柔らかくしないといけませんわね」
私は腕組みをして考えた。 私の拳で耕すことも可能だが、それだと土が粉末状になりすぎてしまい、保水力がなくなってしまう。 もっと空気を含ませながら、深く、広範囲を撹拌(かくはん)する必要がある。
「うーん……やっぱり、アレを使うしかないかしら」
「ア、アレ……?」
ボブが警戒心バリバリの声で尋ねる。
「ええ。『土を耕す専門家』にお願いしましょう」
私はニッコリと微笑み、森の奥――昨日とは違う、湿地帯の方角を指差した。
「さあ、みんな。捕獲に行きますわよ」
◇
私たち一行が到着したのは、領地の外れにある『腐海の沼地』と呼ばれるエリアだった。 常に紫色の霧が立ち込め、地面はドロドロとぬかるんでいる。 鼻をつくような腐敗臭と、メタンガスの匂いが充満していた。
「くっさ……! なんだここ……」 「姐さん、こんなところに何の用が……?」
ボブたちが鼻をつまんで顔をしかめる。 私は構わず、ズカズカと沼の縁まで進んだ。
「ここにはね、とっても働き者の虫さんが住んでいるのよ」
「虫……?」
「そう。土を食べて、排泄物として栄養満点の土を吐き出してくれる、エコな益虫(えきちゅう)よ」
言いながら、私は足元の巨大な岩を拾い上げ、沼の中心に向かって思い切り投げ込んだ。
ドッポォォォォン!!
泥水が高く跳ね上がる。 その直後。
ゴボッ……ゴボボボボ……。
沼の表面が泡立ち始めた。 そして、地面が激しく揺れ動く。
ズオオオオオオオオッ!!
泥を噴き上げながら姿を現したのは、巨大なミミズのような生物だった。 いや、ミミズと呼ぶにはあまりにも巨大すぎる。 太さは馬車二台分、長さは推定三十メートル以上。 体表はヌメヌメとした粘液に覆われ、先端にある口――のような穴には、無数の鋭利な牙が回転ノコギリのように並んでいる。
「ひ、ひぃぃぃぃぃ!!」 「『グランドワーム』だぁぁぁ! しかもキングサイズだぁぁ!」
雑用部隊が悲鳴を上げて逃げ惑う。 S級魔獣、グランドワーム。 地中を高速で移動し、獲物を足元から丸飲みにする、大地の捕食者だ。
ワームは私たちの方を向くと、耳障りな咆哮(キシャァァァ!)を上げ、その巨大な口を開いて襲いかかってきた。
「あら、元気な子ね」
私は逃げるどころか、嬉々として前に出た。
「いいサイズ感だわ。これなら畑一枚、三十分で耕せそう」
ワームが頭上から降ってくる。 その口は、私を丸呑みにしようと大きく開かれている。 牙の間から、消化液がポタポタと落ちてくるのが見えた。
私は一歩も引かず、右手を天に突き上げた。
「お座りッ!!」
ズドォォォォォォォン!!
私の拳が、ワームのアゴ(下顎?)を強打した。 グギャッ!?
ワームの巨体が、まるでエビ反りのように跳ね上がる。 数十トンの質量が宙に浮く。 私はすかさず跳躍し、空中でワームの胴体をガシッと掴んだ。
「さあ、お仕事の時間ですよ!」
私はそのまま、ワームを一本背負いの要領で地面に叩きつけた。
ズガァァァン!!
湿地帯全体が揺れるほどの衝撃。 ワームは白目を剥いて(目はないが)痙攣している。
「ふぅ……意外と活きがいいわね。暴れると危ないから、少し大人しくしてもらいましょう」
私は気絶しているワームの胴体を掴むと、器用に蝶々結びにした。 ヌルヌルしていて滑るが、握力でねじ伏せる。
「完成! これなら逃げられないわね」
目の前には、巨大な肉団子のような塊が出来上がっていた。 ボブたちが、岩陰から恐る恐る顔を出す。
「……あ、あの、総長」
「何かしら?」
「それ、どうやって運ぶんですか?」
「え? もちろん、引っ張って帰るのよ」
私はワームの尻尾(?)の部分を掴み、肩に担いだ。 「さあ、行くわよ! 畑が待っているわ!」
ズルズル……ズズズ……。
私は巨大なワームを引きずりながら、鼻歌交じりで歩き出した。 背後でボブたちが「この世の光景じゃねぇ……」「もう何も考えたくねぇ……」と呟いているのが聞こえたが、きっと感動しているのだろう。
◇
荒野に戻ってきた私は、さっそくワームの結び目を解いて解放した。
「キシャァッ!?」
目を覚ましたワームが威嚇音を上げる。 しかし、私の顔を見た瞬間、その動きがピタリと止まった。 本能が告げているのだろう。「こいつには勝てない」と。
「いい子ね。私の言うことが分かるかしら?」
私はワームの頭(らしき部分)を撫でた。 ワームがビクゥッ!と震える。
「選択肢は二つあります。一つは、この荒れ地を端から端までフカフカに耕して、私に美味しい野菜を作らせてくれること」
私はニッコリと笑い、もう一方の手で愛用のミスリルナイフを取り出した。
「もう一つは、今ここで輪切りにされて、私の晩御飯のおかず――『ワームの蒲焼き』になること。どっちがいいかしら?」
ワームは一瞬で理解したらしい。 猛烈な勢いで首(?)を縦に振った。
「素晴らしいわ! 交渉成立ね!」
私はナイフをしまい、畑の範囲を指定した。
「あそこの岩から、向こうの木まで。深さは二メートルくらいで、空気を含ませるように攪拌してね。あと、貴方の体液は優れた肥料になるから、出し惜しみしないでたっぷり混ぜ込んでちょうだい」
ギュイイイイイイイッ!!
ワームが雄叫びを上げ、地面に頭を突っ込んだ。 まるで水に飛び込むかのように、硬い岩盤へと潜っていく。
ゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!
地面が波打つ。 ワームは超高速で地中を掘り進み、土を噛み砕き、体内で分解して排泄するというサイクルを秒単位で行っているようだ。 土煙が舞い上がり、岩盤が次々と粉砕されていく。 その光景は、もはや農業というよりは、大規模な災害か、あるいは怪獣映画のワンシーンだ。
「す、すげぇ……」 「あの硬い地面が、まるでプリンみたいに……」
ボブたちが見守る中、わずか一時間足らずで、広大な荒野は見事な黒土の畑へと変貌を遂げた。 土はふんわりと空気を含み、ワームの粘液によって適度な湿り気と栄養分を帯びている。
「お疲れ様! 最高の仕事だったわ!」
地中から顔を出したワームに、私はご褒美として、とっておきの『魔獣用ジャーキー(ドラゴンの尻尾製)』を与えた。 ワームはそれを嬉しそうに丸呑みにすると、満足げに地中深くへと帰っていった。 どうやら、私のペット第二号に認定されたようだ(一号はフェンリルだが、今は父と狩りに出ている)。
「さて、これで下準備は完了ね」
私は満足げに黒土を踏みしめた。 フカフカだ。最高の感触。
「ボブ、種を持ってきて」
「は、はい!」
ボブが持ってきたのは、王都の種屋で買っておいた野菜の種セットだ。 トマト、ナス、キャベツ、トウモロコシなど、定番の夏野菜が揃っている。
「普通なら収穫まで数ヶ月はかかるけれど……この土なら、もっと早いはずよ」
私はパラパラと種を撒いた。 そして、セバスチャンがジョウロで水を撒く。 水は昨日の温泉水(冷ましたもの)だ。魔力たっぷりの水である。
その瞬間だった。
ボコッ! ニョキニョキニョキッ!!
マンガのような音がして、土から緑色の芽が飛び出した。 いや、芽ではない。 もはや蔦(つた)だ。 植物たちは恐ろしい速度で成長を始めた。 茎が太くなり、葉が茂り、花が咲き、そして実がなる。 その間、わずか数十秒。
「うわあああっ!? なんだこれ!?」 「逃げろ! 植物に襲われるぞ!」
近くにいた部下が、急成長したキュウリのツルに足を絡め取られ、空中に吊り上げられた。
「助けてくれぇぇ! キュウリに食われるぅぅ!」
「あらあら、元気すぎて困っちゃうわね」
私はツルを手刀で切り払い、部下を救出した。 目の前には、ジャングルのように鬱蒼と茂る野菜の森が出来上がっていた。 トマトは人の頭ほどの大きさになり、赤く輝いている。 ナスは棍棒のように太く、トウモロコシは槍のように鋭い。
「……ちょっと、栄養過多だったかしら?」
私は巨大トマトをもぎ取り、ガブリとかじった。
ジュワッ!
「んん~っ! 甘い! まるでフルーツみたい!」
見た目は凶悪だが、味は絶品だった。 グランドワームの肥料と温泉水の効果は絶大だったようだ。 これなら、食糧難とは無縁の生活が送れるだろう。
「みんな、収穫よ! 今日は野菜祭りね!」
「お、おう……!」 「野菜って、こんなに凶暴だったっけ……?」
ボブたちは、襲いかかってくるナスの枝を避けながら、必死に収穫作業を開始した。 スローライフとは、かくも命がけの営みなのである。
◇
一方その頃。 ベルシュタイン領への入り口、『断罪の峠』では、別の意味で過酷なサバイバルが繰り広げられていた。
王国騎士団の野営地。 煌びやかだったテントは泥にまみれ、騎士たちの鎧は煤けていた。 彼らはここ数日、一歩も前に進めずにいた。
原因は、民兵たちによる徹底的なゲリラ戦術……というよりは、嫌がらせだった。
道に落とし穴(深さ五メートル)を掘る。 夜中に奇声(オークの求愛の声)を上げて睡眠を妨害する。 そして何より、風上から「焼き肉の匂い」を漂わせてくるのだ。
「ぐぅぅ……いい匂いがする……」 「あれは、ガーリックソースの香りだ……こっちは乾パンと干し肉だけだっていうのに……」
騎士たちの士気は限界まで低下していた。 空腹と疲労、そして見えない敵への恐怖。 そんな中、中央の豪華なテントから、ヒステリックな声が響いてくる。
「イヤァァァッ! もう耐えられないわ!」
聖女ミリアだ。 彼女はクッションを投げつけ、騎士団長のガレインに当たり散らしていた。
「お風呂に入りたい! フカフカのベッドで寝たい! 甘いケーキが食べたい! なんで私がこんな目に遭わなきゃいけないのよぉぉ!」
「聖女様、どうかご自重を……。兵たちも疲弊しております」
ガレインはげっそりとした顔で宥める。 彼の胃には、すでに穴が三つくらい空いていそうだった。
「知らないわよ! あんたたちが無能だからいけないんでしょ! さっさとあの野蛮人どもを蹴散らして、屋敷まで案内しなさいよ!」
「それができれば苦労は……」
ガレインは言葉を飲み込んだ。 先ほど偵察に出した部隊が、泣きながら戻ってきたのだ。 なんでも、峠の向こうから「巨大なミミズに乗った銀髪の悪魔」が見えたとか、うわ言のように繰り返していた。 おそらく幻覚だろうと判断したが、嫌な予感は拭えない。
「それに、あのエレオノーラとかいう女! 私にこんな苦労をさせるなんて、絶対に許さないんだから!」
ミリアは爪を噛みながら、憎悪に満ちた目で北の空を睨んだ。 その表情は、聖女とは程遠い、醜悪なものだった。
「見てなさいよ……私には『切り札』があるんだから……」
彼女は懐に隠し持っていた小瓶を握りしめた。 中には、怪しげな紫色の液体が入っている。 それは、彼女が裏のルート(隣国の工作員)から手に入れた、魔獣を凶暴化させ、意のままに操るための禁断の薬だった。
「これを使えば、どんなに強い魔獣だって私の下僕よ。あの女の領地ごと、魔獣の群れで踏み潰してやるわ」
ミリアは歪んだ笑みを浮かべた。 彼女の暴走が、事態をさらなる混沌へと導こうとしていることに、ガレインは気づいていなかった。
◇
夕方。 収穫を終えた私たちは、採れたての野菜を使って夕食を作っていた。
メニューは、巨大トマトとナスのラタトゥイユ、キュウリと熊肉の炒め物、そしてトウモロコシのポタージュだ。 どれも素材の味が濃厚で、調味料がほとんどいらないほどだった。
「ん~っ、美味しい! やっぱり自分で育てた野菜は格別ですわね!」
私はスプーンを運びながら、満面の笑みを浮かべた。 労働の後の食事は最高だ。
ボブたちも、疲れ切ってはいるものの、その表情は明るかった。
「へへっ、俺たちが育てた野菜……なんか、愛着が湧くなぁ」 「盗みじゃなくて、自分の手で作ったものを食うって、こんなに美味いんだな」
彼らは更生への道を順調に歩んでいるようだ。 スローライフは、人の心をも浄化する。素晴らしいことだ。
父と兄も、野菜料理に舌鼓を打っていた。
「うむ、このトマトの酸味、筋肉に染みるわ」 「ナスもいい。これなら戦場での携行食としても優秀だ」
相変わらず基準が戦闘よりだが、好評なようで何よりだ。
「そういえば、エリー」
兄がスープを飲みながら切り出した。
「峠の方で、王都の騎士団が立ち往生しているらしいぞ。ガレイン団長が率いているそうだ」
「あら、ガレイン団長? 懐かしい名前ね」
ガレイン卿は、私が王都にいた頃、何度か手合わせ(という名の稽古)をした相手だ。 真面目で堅物だが、剣の腕は確かだった。 もっとも、私の『素手による剣戟受け止め』の前には無力だったが。
「彼ら、食料が尽きかけているらしい。どうする? 追い返すか?」
「うーん……」
私は少し考えた。 ガレイン卿個人には恨みはない。 それに、せっかく美味しい野菜がたくさん採れたのだ。 お裾分けくらいしてあげてもいいかもしれない。
「そうですわね。……あちらが礼儀正しくお願いしてくるなら、話くらいは聞いてあげてもよくてよ?」
私は悪戯っぽく微笑んだ。
「ただし、それなりの『誠意』を見せてもらわないとね。たとえば、あの煩わしい聖女様を黙らせるとか」
父がニヤリと笑う。
「ガハハ! 違いない。よし、明日は峠まで『差し入れ』を持って行ってやろうか。我々のスローライフの成果を見せつけてやるのも一興だ」
こうして、明日の予定が決まった。 騎士団との接触。 それはきっと、感動的で……そして、一方的な再会になることだろう。
私は最後のポタージュを飲み干し、夜空を見上げた。 明日もきっと、楽しい一日になる。 そんな確信と共に、私はスローライフな夜を満喫するのだった。
「んっ……ふぁぁ……」
私はベッドの上で大きく伸びをした。 最高の目覚めだ。 王都にいた頃のように、コルセットの締め付けで息苦しくなることもなければ、嫌味な貴族たちとの朝食会を憂鬱に思う必要もない。
今日は農作業の日。 スローライフの代名詞とも言える、土との触れ合いが私を待っている。
「おはようございます、お嬢様」
私が着替え(もちろんドラゴン皮の作業着だ)を済ませて部屋を出ると、セバスチャンが完璧なタイミングで冷たいおしぼりを差し出してきた。
「おはよう、セバスチャン。今日の天気は?」
「快晴でございます。絶好の開墾日和かと」
「それはよかったわ。ボブたちは?」
「すでに現場にて待機しております。……少々、顔色が優れませんが」
「あら、昨日の飲み過ぎかしら? 運動すれば治るわよ」
私は軽やかな足取りで屋敷を出た。
◇
屋敷の裏手、温泉地から少し下った先に広がるのは、見渡す限りの荒野だった。 かつてはここも農地だったらしいが、魔獣の襲撃や厳しい気候のせいで放棄され、今ではペンペン草すら生えない不毛の大地となっている。 地面はひび割れ、岩のように硬く乾燥していた。
そこに、ボブたち雑用部隊の面々が整列していた。 手には真新しいツルハシやクワが握られているが、彼らの表情は一様に暗い。
「おはようみんな! やる気満々ね!」
私が声をかけると、ボブが泣きそうな顔で振り返った。
「お、おはようございます総長……。あの、本当にここを耕すんですか?」
「ええ、そうよ。ここにトマトやキュウリを植えて、自家製サラダを作るの」
「いや、でも……見てくださいよ、この地面」
ボブがツルハシを振り上げ、地面に叩きつけた。
ガギィィン!!
甲高い金属音が響き、火花が散る。 ツルハシの先端は見事にひしゃげ、地面には傷一つついていなかった。
「……これ、土じゃなくて岩盤ですよ。アダマンタイト級に硬ぇっす」
「私たちの領地の土は、魔力を含んで硬質化しているのよ。だからこそ、ここで育つ野菜は栄養満点なの」
私はこともなげに言った。 ベルシュタイン領の特産品『鋼鉄カボチャ』や『爆裂ジャガイモ』は、この過酷な土壌だからこそ育つのだ。 普通の農法が通用しないのは百も承知である。
「さて、まずは土を柔らかくしないといけませんわね」
私は腕組みをして考えた。 私の拳で耕すことも可能だが、それだと土が粉末状になりすぎてしまい、保水力がなくなってしまう。 もっと空気を含ませながら、深く、広範囲を撹拌(かくはん)する必要がある。
「うーん……やっぱり、アレを使うしかないかしら」
「ア、アレ……?」
ボブが警戒心バリバリの声で尋ねる。
「ええ。『土を耕す専門家』にお願いしましょう」
私はニッコリと微笑み、森の奥――昨日とは違う、湿地帯の方角を指差した。
「さあ、みんな。捕獲に行きますわよ」
◇
私たち一行が到着したのは、領地の外れにある『腐海の沼地』と呼ばれるエリアだった。 常に紫色の霧が立ち込め、地面はドロドロとぬかるんでいる。 鼻をつくような腐敗臭と、メタンガスの匂いが充満していた。
「くっさ……! なんだここ……」 「姐さん、こんなところに何の用が……?」
ボブたちが鼻をつまんで顔をしかめる。 私は構わず、ズカズカと沼の縁まで進んだ。
「ここにはね、とっても働き者の虫さんが住んでいるのよ」
「虫……?」
「そう。土を食べて、排泄物として栄養満点の土を吐き出してくれる、エコな益虫(えきちゅう)よ」
言いながら、私は足元の巨大な岩を拾い上げ、沼の中心に向かって思い切り投げ込んだ。
ドッポォォォォン!!
泥水が高く跳ね上がる。 その直後。
ゴボッ……ゴボボボボ……。
沼の表面が泡立ち始めた。 そして、地面が激しく揺れ動く。
ズオオオオオオオオッ!!
泥を噴き上げながら姿を現したのは、巨大なミミズのような生物だった。 いや、ミミズと呼ぶにはあまりにも巨大すぎる。 太さは馬車二台分、長さは推定三十メートル以上。 体表はヌメヌメとした粘液に覆われ、先端にある口――のような穴には、無数の鋭利な牙が回転ノコギリのように並んでいる。
「ひ、ひぃぃぃぃぃ!!」 「『グランドワーム』だぁぁぁ! しかもキングサイズだぁぁ!」
雑用部隊が悲鳴を上げて逃げ惑う。 S級魔獣、グランドワーム。 地中を高速で移動し、獲物を足元から丸飲みにする、大地の捕食者だ。
ワームは私たちの方を向くと、耳障りな咆哮(キシャァァァ!)を上げ、その巨大な口を開いて襲いかかってきた。
「あら、元気な子ね」
私は逃げるどころか、嬉々として前に出た。
「いいサイズ感だわ。これなら畑一枚、三十分で耕せそう」
ワームが頭上から降ってくる。 その口は、私を丸呑みにしようと大きく開かれている。 牙の間から、消化液がポタポタと落ちてくるのが見えた。
私は一歩も引かず、右手を天に突き上げた。
「お座りッ!!」
ズドォォォォォォォン!!
私の拳が、ワームのアゴ(下顎?)を強打した。 グギャッ!?
ワームの巨体が、まるでエビ反りのように跳ね上がる。 数十トンの質量が宙に浮く。 私はすかさず跳躍し、空中でワームの胴体をガシッと掴んだ。
「さあ、お仕事の時間ですよ!」
私はそのまま、ワームを一本背負いの要領で地面に叩きつけた。
ズガァァァン!!
湿地帯全体が揺れるほどの衝撃。 ワームは白目を剥いて(目はないが)痙攣している。
「ふぅ……意外と活きがいいわね。暴れると危ないから、少し大人しくしてもらいましょう」
私は気絶しているワームの胴体を掴むと、器用に蝶々結びにした。 ヌルヌルしていて滑るが、握力でねじ伏せる。
「完成! これなら逃げられないわね」
目の前には、巨大な肉団子のような塊が出来上がっていた。 ボブたちが、岩陰から恐る恐る顔を出す。
「……あ、あの、総長」
「何かしら?」
「それ、どうやって運ぶんですか?」
「え? もちろん、引っ張って帰るのよ」
私はワームの尻尾(?)の部分を掴み、肩に担いだ。 「さあ、行くわよ! 畑が待っているわ!」
ズルズル……ズズズ……。
私は巨大なワームを引きずりながら、鼻歌交じりで歩き出した。 背後でボブたちが「この世の光景じゃねぇ……」「もう何も考えたくねぇ……」と呟いているのが聞こえたが、きっと感動しているのだろう。
◇
荒野に戻ってきた私は、さっそくワームの結び目を解いて解放した。
「キシャァッ!?」
目を覚ましたワームが威嚇音を上げる。 しかし、私の顔を見た瞬間、その動きがピタリと止まった。 本能が告げているのだろう。「こいつには勝てない」と。
「いい子ね。私の言うことが分かるかしら?」
私はワームの頭(らしき部分)を撫でた。 ワームがビクゥッ!と震える。
「選択肢は二つあります。一つは、この荒れ地を端から端までフカフカに耕して、私に美味しい野菜を作らせてくれること」
私はニッコリと笑い、もう一方の手で愛用のミスリルナイフを取り出した。
「もう一つは、今ここで輪切りにされて、私の晩御飯のおかず――『ワームの蒲焼き』になること。どっちがいいかしら?」
ワームは一瞬で理解したらしい。 猛烈な勢いで首(?)を縦に振った。
「素晴らしいわ! 交渉成立ね!」
私はナイフをしまい、畑の範囲を指定した。
「あそこの岩から、向こうの木まで。深さは二メートルくらいで、空気を含ませるように攪拌してね。あと、貴方の体液は優れた肥料になるから、出し惜しみしないでたっぷり混ぜ込んでちょうだい」
ギュイイイイイイイッ!!
ワームが雄叫びを上げ、地面に頭を突っ込んだ。 まるで水に飛び込むかのように、硬い岩盤へと潜っていく。
ゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!
地面が波打つ。 ワームは超高速で地中を掘り進み、土を噛み砕き、体内で分解して排泄するというサイクルを秒単位で行っているようだ。 土煙が舞い上がり、岩盤が次々と粉砕されていく。 その光景は、もはや農業というよりは、大規模な災害か、あるいは怪獣映画のワンシーンだ。
「す、すげぇ……」 「あの硬い地面が、まるでプリンみたいに……」
ボブたちが見守る中、わずか一時間足らずで、広大な荒野は見事な黒土の畑へと変貌を遂げた。 土はふんわりと空気を含み、ワームの粘液によって適度な湿り気と栄養分を帯びている。
「お疲れ様! 最高の仕事だったわ!」
地中から顔を出したワームに、私はご褒美として、とっておきの『魔獣用ジャーキー(ドラゴンの尻尾製)』を与えた。 ワームはそれを嬉しそうに丸呑みにすると、満足げに地中深くへと帰っていった。 どうやら、私のペット第二号に認定されたようだ(一号はフェンリルだが、今は父と狩りに出ている)。
「さて、これで下準備は完了ね」
私は満足げに黒土を踏みしめた。 フカフカだ。最高の感触。
「ボブ、種を持ってきて」
「は、はい!」
ボブが持ってきたのは、王都の種屋で買っておいた野菜の種セットだ。 トマト、ナス、キャベツ、トウモロコシなど、定番の夏野菜が揃っている。
「普通なら収穫まで数ヶ月はかかるけれど……この土なら、もっと早いはずよ」
私はパラパラと種を撒いた。 そして、セバスチャンがジョウロで水を撒く。 水は昨日の温泉水(冷ましたもの)だ。魔力たっぷりの水である。
その瞬間だった。
ボコッ! ニョキニョキニョキッ!!
マンガのような音がして、土から緑色の芽が飛び出した。 いや、芽ではない。 もはや蔦(つた)だ。 植物たちは恐ろしい速度で成長を始めた。 茎が太くなり、葉が茂り、花が咲き、そして実がなる。 その間、わずか数十秒。
「うわあああっ!? なんだこれ!?」 「逃げろ! 植物に襲われるぞ!」
近くにいた部下が、急成長したキュウリのツルに足を絡め取られ、空中に吊り上げられた。
「助けてくれぇぇ! キュウリに食われるぅぅ!」
「あらあら、元気すぎて困っちゃうわね」
私はツルを手刀で切り払い、部下を救出した。 目の前には、ジャングルのように鬱蒼と茂る野菜の森が出来上がっていた。 トマトは人の頭ほどの大きさになり、赤く輝いている。 ナスは棍棒のように太く、トウモロコシは槍のように鋭い。
「……ちょっと、栄養過多だったかしら?」
私は巨大トマトをもぎ取り、ガブリとかじった。
ジュワッ!
「んん~っ! 甘い! まるでフルーツみたい!」
見た目は凶悪だが、味は絶品だった。 グランドワームの肥料と温泉水の効果は絶大だったようだ。 これなら、食糧難とは無縁の生活が送れるだろう。
「みんな、収穫よ! 今日は野菜祭りね!」
「お、おう……!」 「野菜って、こんなに凶暴だったっけ……?」
ボブたちは、襲いかかってくるナスの枝を避けながら、必死に収穫作業を開始した。 スローライフとは、かくも命がけの営みなのである。
◇
一方その頃。 ベルシュタイン領への入り口、『断罪の峠』では、別の意味で過酷なサバイバルが繰り広げられていた。
王国騎士団の野営地。 煌びやかだったテントは泥にまみれ、騎士たちの鎧は煤けていた。 彼らはここ数日、一歩も前に進めずにいた。
原因は、民兵たちによる徹底的なゲリラ戦術……というよりは、嫌がらせだった。
道に落とし穴(深さ五メートル)を掘る。 夜中に奇声(オークの求愛の声)を上げて睡眠を妨害する。 そして何より、風上から「焼き肉の匂い」を漂わせてくるのだ。
「ぐぅぅ……いい匂いがする……」 「あれは、ガーリックソースの香りだ……こっちは乾パンと干し肉だけだっていうのに……」
騎士たちの士気は限界まで低下していた。 空腹と疲労、そして見えない敵への恐怖。 そんな中、中央の豪華なテントから、ヒステリックな声が響いてくる。
「イヤァァァッ! もう耐えられないわ!」
聖女ミリアだ。 彼女はクッションを投げつけ、騎士団長のガレインに当たり散らしていた。
「お風呂に入りたい! フカフカのベッドで寝たい! 甘いケーキが食べたい! なんで私がこんな目に遭わなきゃいけないのよぉぉ!」
「聖女様、どうかご自重を……。兵たちも疲弊しております」
ガレインはげっそりとした顔で宥める。 彼の胃には、すでに穴が三つくらい空いていそうだった。
「知らないわよ! あんたたちが無能だからいけないんでしょ! さっさとあの野蛮人どもを蹴散らして、屋敷まで案内しなさいよ!」
「それができれば苦労は……」
ガレインは言葉を飲み込んだ。 先ほど偵察に出した部隊が、泣きながら戻ってきたのだ。 なんでも、峠の向こうから「巨大なミミズに乗った銀髪の悪魔」が見えたとか、うわ言のように繰り返していた。 おそらく幻覚だろうと判断したが、嫌な予感は拭えない。
「それに、あのエレオノーラとかいう女! 私にこんな苦労をさせるなんて、絶対に許さないんだから!」
ミリアは爪を噛みながら、憎悪に満ちた目で北の空を睨んだ。 その表情は、聖女とは程遠い、醜悪なものだった。
「見てなさいよ……私には『切り札』があるんだから……」
彼女は懐に隠し持っていた小瓶を握りしめた。 中には、怪しげな紫色の液体が入っている。 それは、彼女が裏のルート(隣国の工作員)から手に入れた、魔獣を凶暴化させ、意のままに操るための禁断の薬だった。
「これを使えば、どんなに強い魔獣だって私の下僕よ。あの女の領地ごと、魔獣の群れで踏み潰してやるわ」
ミリアは歪んだ笑みを浮かべた。 彼女の暴走が、事態をさらなる混沌へと導こうとしていることに、ガレインは気づいていなかった。
◇
夕方。 収穫を終えた私たちは、採れたての野菜を使って夕食を作っていた。
メニューは、巨大トマトとナスのラタトゥイユ、キュウリと熊肉の炒め物、そしてトウモロコシのポタージュだ。 どれも素材の味が濃厚で、調味料がほとんどいらないほどだった。
「ん~っ、美味しい! やっぱり自分で育てた野菜は格別ですわね!」
私はスプーンを運びながら、満面の笑みを浮かべた。 労働の後の食事は最高だ。
ボブたちも、疲れ切ってはいるものの、その表情は明るかった。
「へへっ、俺たちが育てた野菜……なんか、愛着が湧くなぁ」 「盗みじゃなくて、自分の手で作ったものを食うって、こんなに美味いんだな」
彼らは更生への道を順調に歩んでいるようだ。 スローライフは、人の心をも浄化する。素晴らしいことだ。
父と兄も、野菜料理に舌鼓を打っていた。
「うむ、このトマトの酸味、筋肉に染みるわ」 「ナスもいい。これなら戦場での携行食としても優秀だ」
相変わらず基準が戦闘よりだが、好評なようで何よりだ。
「そういえば、エリー」
兄がスープを飲みながら切り出した。
「峠の方で、王都の騎士団が立ち往生しているらしいぞ。ガレイン団長が率いているそうだ」
「あら、ガレイン団長? 懐かしい名前ね」
ガレイン卿は、私が王都にいた頃、何度か手合わせ(という名の稽古)をした相手だ。 真面目で堅物だが、剣の腕は確かだった。 もっとも、私の『素手による剣戟受け止め』の前には無力だったが。
「彼ら、食料が尽きかけているらしい。どうする? 追い返すか?」
「うーん……」
私は少し考えた。 ガレイン卿個人には恨みはない。 それに、せっかく美味しい野菜がたくさん採れたのだ。 お裾分けくらいしてあげてもいいかもしれない。
「そうですわね。……あちらが礼儀正しくお願いしてくるなら、話くらいは聞いてあげてもよくてよ?」
私は悪戯っぽく微笑んだ。
「ただし、それなりの『誠意』を見せてもらわないとね。たとえば、あの煩わしい聖女様を黙らせるとか」
父がニヤリと笑う。
「ガハハ! 違いない。よし、明日は峠まで『差し入れ』を持って行ってやろうか。我々のスローライフの成果を見せつけてやるのも一興だ」
こうして、明日の予定が決まった。 騎士団との接触。 それはきっと、感動的で……そして、一方的な再会になることだろう。
私は最後のポタージュを飲み干し、夜空を見上げた。 明日もきっと、楽しい一日になる。 そんな確信と共に、私はスローライフな夜を満喫するのだった。
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