8 / 20
第8話 隣国の皇太子、来訪
しおりを挟む
「さあ、出発ですわよ!」
翌朝。ベルシュタイン領の境界線にある『断罪の峠』へと向かう山道に、私の元気な声が響き渡った。
今日の私は、いつものドラゴン皮の作業着ではなく、少しだけフォーマルさを意識した『戦闘用メイド服(特注)』に身を包んでいる。 黒を基調としたシックなデザインだが、スカートのスリットは深く、動きやすさは抜群だ。 エプロンのポケットには、クッキーではなく手裏剣が入っているけれど。
「へい、総長! 荷物持ちなら任せてくだせぇ!」
背後には、ボブたち雑用部隊が続いている。 彼らが背負っている巨大なリュックサックからは、食欲をそそる香ばしい匂いが漂っていた。 中身は、昨日の収穫祭で作った『特製魔獣肉弁当』と『爆裂ジャガイモのポテトサラダ』、そして『鋼鉄カボチャの冷製スープ』だ。 騎士団の皆さんへの、心ばかりの差し入れである。
「お嬢様、峠まではあと少しです。……先ほどから、風に乗って腐敗臭のようなものが漂ってきておりますが」
隣を歩くセバスチャンが、ハンカチで鼻を覆いながら顔をしかめた。
「あら、それは騎士団の方々の体臭かもしれませんわね。数日間お風呂に入っていないと聞きましたし」
「なるほど。それは少々、気の毒でございますな」
「ええ。だからこそ、栄養満点のご飯を食べて、元気を出してもらわないと。私、困っている人を見ると放っておけない性格ですもの」
私が聖女のような微笑みを浮かべると、ボブたちが「いや、あんたが原因だろうが」と言いたげな顔で視線を逸らした。 失礼な人たちだ。
◇
峠の頂上に到着すると、眼下には哀れな光景が広がっていた。
かつては白銀に輝いていたであろう王国の精鋭騎士団の鎧は、泥と煤で薄汚れ、見る影もない。 馬たちは痩せ細り、騎士たちは虚ろな目で地面に座り込んでいる。 彼らを取り囲むように、ベルシュタイン家の民兵たちが焚き火を囲み、楽しそうに肉を焼いていた。 完全な包囲網である。
「ごきげんよう、皆様!」
私は崖の上から、よく通る声で挨拶をした。
ビクッ!
騎士たちが一斉に跳ね起きる。 彼らの視線が私に集中する。 そこには、恐怖と、警戒と、そして一縷の希望(食料への)が入り混じっていた。
「あ、あれは……エレオノーラ様……!?」 「くそっ、悪魔が現れたぞ!」 「でも……なんか凄くいい匂いがする……」
騎士団の列が割れ、指揮官であるガレイン卿が姿を現した。 彼はやつれていた。 頬はこけ、目の下のクマは深淵のように濃い。 私を見ると、彼は剣の柄に手をかけつつ、複雑な表情で敬礼した。
「……エレオノーラ嬢。まさかご自身で出向いてくるとは」
「ええ、お久しぶりですわ、ガレイン様。部下の方々がお腹を空かせていると伺いましたので、お弁当を持ってきましたの」
私が指を鳴らすと、ボブたちが「ほらよ!」とリュックを下ろし、中から巨大なおにぎり(バスケットボール大)と、肉の塊を配り始めた。
「ど、毒が入っているかもしれんぞ!」 一人の騎士が叫ぶ。
「毒なんて入れませんわ。調味料は岩塩とハーブだけ。さあ、冷めないうちにどうぞ」
私が一つ、自分でおにぎりを頬張って見せると、騎士たちの理性は決壊した。
「うおおおおお! 飯だぁぁぁ!」 「肉だ! 本物の肉だぁぁ!」
彼らは獣のように食料に群がった。 涙を流しながらおにぎりを貪り食う姿は、王国の精鋭としての誇りなど微塵も感じられない。 まあ、空腹は背に腹は代えられないということだ。
ガレイン卿も、差し出されたおにぎりを前に喉を鳴らしていたが、指揮官としての意地か、必死に耐えているようだ。
「……何のつもりだ。我々は貴公を捕縛しに来たのだぞ」
「あら、そんな物騒な。私はただ、スローライフのお裾分けをしているだけですわ」
私はニッコリと笑った。
「それに、お腹が空いていては戦もできないでしょう? まずは食べて、元気になってから話し合いましょうよ」
「ぐぬぬ……」
ガレイン卿が葛藤していると、馬車の中から金切り声が響いてきた。
「ちょっとぉ! 何なのこの匂いは!? 臭いんですけどぉ!」
ドアが乱暴に開かれ、聖女ミリアが飛び出してきた。 彼女は高価なドレスを着ているが、裾は泥だらけで、髪もボサボサだ。 私を見ると、般若のような形相で睨みつけてきた。
「エレオノーラ! あんたね! 私にこんな屈辱を味わわせて、タダで済むと思ってるの!?」
「あら、ミリア様。ごきげんよう。ずいぶんとワイルドな装いですこと。森ガールへのイメチェンですか?」
「ふざけないで! あんたのせいで、お風呂にも入れないし、ご飯も不味いし、最悪なのよ! 今すぐ土下座して謝りなさいよ!」
ミリアは地団駄を踏んだ。 その様子を、食事中の騎士たちが冷ややかな目で見ていることに、彼女は気づいていないようだ。
「謝罪、ですか。……私は何も悪いことはしておりませんけれど」
「嘘つき! あんたが柱を盗んだせいで、王都は大変なことになってるのよ! 魔獣が出るわ、建物は傾くわ、私の評判は落ちるわ……全部あんたのせいよ!」
最後のが本音だろう。 彼女は自分の無能さを私のせいにしたいだけだ。
「それは残念でしたわね。でも、自業自得という言葉をご存知?」
「キィィィィッ!! もう許さない! こうなったら、力ずくでも思い知らせてやるんだから!」
ミリアは懐から、紫色の液体が入った小瓶を取り出した。 昨夜、ボブたちが目撃したという、あの怪しげな薬だ。
「ミリア様、それは……?」 ガレイン卿が不審げに声をかける。
「ふふん、見てなさい! これを使えば、この辺りの魔獣は全部私の下僕よ! あんたたちなんて、魔獣の餌食にしてやるわ!」
ミリアは狂ったように笑いながら、小瓶を地面に叩きつけた。
パリンッ!!
瓶が割れ、紫色の煙がモクモクと立ち昇る。 甘ったるく、それでいて吐き気を催すような異臭が周囲に広がった。
「な、なんだこの臭いは……!?」 騎士たちが鼻を押さえる。
次の瞬間。
ギャアアアアアアオオオオオオッ!!
頭上から、空気を切り裂くような咆哮が降り注いだ。 雲を突き破り、巨大な翼を持つ影が次々と現れる。
「ワ、ワイバーンだッ!!」 「一匹じゃないぞ! 群れだ!」
現れたのは、飛竜ワイバーンの大群だった。 数は二十……いや、三十はいるだろうか。 彼らは紫色の煙に引き寄せられるように、目を血走らせて急降下してくる。
「ははは! 来たわね! さあ、あいつらをやっつけなさい!」
ミリアが私を指差して命令する。 しかし。 ワイバーンたちはミリアの命令など聞く耳を持たず、無差別に襲いかかってきた。 それどころか、最も強い魔力反応(誘引香)を放っているミリア自身に向かって、鋭い爪を伸ばしてくる。
「えっ……? きゃあああああ!? こっちに来ないでぇぇ!」
ミリアが悲鳴を上げて逃げ惑う。 誘引薬は「魔獣を呼び寄せる」だけで、「従わせる」効果は術者の力量次第なのだ。 魔力スカスカのミリアに制御できるはずがない。
「総員、戦闘態勢ッ! 聖女様を守れ!」
ガレイン卿が叫び、剣を抜く。 騎士たちも慌てておにぎりを置き、武器を構えるが、空からの強襲に足並みが揃わない。
ズガァァァン!
ワイバーンの一匹が地面に激突し、馬車を粉砕した。 炎のブレスが吐き出され、周囲の木々が燃え上がる。 阿鼻叫喚の地獄絵図だ。
「やれやれ……。食事の邪魔をするなんて、マナー違反もいいところですわ」
私はため息をつき、スカートの埃を払った。 「ボブ、お弁当を守りなさい。私はちょっと、ハエ叩きをしてきます」
「へい! お気をつけて!」
私が一歩踏み出そうとした、その時だった。
ヒュンッ!!
鋭い風切り音と共に、銀色の閃光が走った。 ザシュッ!
先頭を飛んでいたワイバーンの首が、一瞬にして宙を舞った。 鮮血が花火のように散る。
「……え?」
私が動きを止めると、峠の反対側――隣国へ続く街道の方から、一人の青年が馬に乗って駆け込んできた。
燃えるような赤髪。 精悍な顔立ちに、意志の強そうな碧眼。 身につけているのは実用性を重視した旅装だが、その腰に帯びた剣は、名匠が鍛え上げた業物(わざもの)であることが一目で分かる。
彼は馬上で剣を振り払い、血糊を飛ばした。
「食事中に騒がしいと思えば……随分と珍しい客人が来ているようだな」
その声は低く、よく響いた。 彼は単騎でワイバーンの群れの中に突っ込んでいく。
「はっ!」
気合一閃。 彼の剣技は洗練されていた。 無駄のない動きで、襲い来る爪や牙をいなし、的確に急所を貫いていく。 強い。 王都の騎士団長であるガレイン卿よりも、数段上の実力者だ。
「あれは……隣国の皇太子、ジークフリート殿下!?」
ガレイン卿が驚愕の声を上げた。 ジークフリート・フォン・ドラグノフ。 北の軍事大国、ドラグノフ帝国の皇太子にして、『剣聖』の異名を持つ武人。 なぜ彼がこんなところに?
「くっ、数が多いな……!」
ジークフリート殿下が顔をしかめる。 彼の剣技は素晴らしいが、いかんせん多勢に無勢だ。 三十頭のワイバーンが、彼を新たな獲物と認識し、包囲し始めていた。 さらに、ミリアが撒き散らした誘引香の効果で、森の奥から別の魔獣たちも集まりつつある。
四方八方から迫る牙と炎。 絶体絶命のピンチ。
しかし、私はその光景を見て、うっとりと頬を染めた。
「あら……素敵」
もちろん、彼に惚れたわけではない。 ワイバーンの群れが、一箇所に固まってくれたことに感動したのだ。
「あそこなら、まとめて一網打尽にできますわ!」
私はスカートの裾を少し持ち上げ、軽く屈伸した。 ターゲット、ロックオン。 距離、五十メートル。 風向き、良好。
「どいてくださいまし、殿下!」
私は叫ぶと同時に、地面を蹴った。
ドォォォォォンッ!!
地面が爆発し、クレーターができる。 私は砲弾となって空へ舞い上がった。 その速度はワイバーンの飛翔速度を遥かに凌駕する。
「なっ……!?」
ジークフリート殿下が驚いて見上げる視線の先で、私は太陽を背に、空中で右拳を振りかぶっていた。
ワイバーンたちが気づいて見上げた時には、もう遅い。 私の拳には、大気中のマナが渦を巻き、圧縮されて光り輝いていた。
「ベルシュタイン流対空迎撃術・奥義」
私はニッコリと笑った。
「『流星落とし(メテオ・ストライク)』ッ!!」
ズドンッ!!
私は拳を振り下ろした。 直接殴ったわけではない。 拳圧によって生じた衝撃波の塊が、巨大な鉄槌となってワイバーンの群れを上空から押し潰したのだ。
グシャァァァァァァッ!!
断末魔すら上げる暇もなかった。 三十頭のワイバーンは、まるでハエ叩きで叩かれた蚊のように、一瞬にして地面へと叩きつけられた。 ズズズズズ……ンッ!!
凄まじい地響きと共に、地面に巨大なクレーターが誕生する。 ワイバーンたちはその中心で、折り重なるようにしてピクピクと痙攣していた。 全滅である。
私はフワリと着地した。 土煙が舞う中、メイド服の裾を直し、乱れた前髪を指で整える。
「ふぅ……少しやりすぎましたかしら? お肉がミンチになっていないといいのですけれど」
静寂。 完全なる静寂が場を支配していた。 騎士たちも、ミリアも、そしてジークフリート殿下も、時間を止められたかのように固まっている。
やがて、土煙が晴れ、私の姿が露わになると、ジークフリート殿下がゆっくりと馬を降りて近づいてきた。 彼は鞘に剣を納めると、信じられないものを見る目で私を見つめた。
「……信じられん」
彼は呟いた。
「ワイバーンの群れを、魔法も使わずに……素手の一撃で?」
「あら、魔法なら使いましたわよ? 『身体強化』を少々」
私が答えると、彼は首を横に振った。
「いや、そういう次元ではない。今の動き……完璧な重心移動、無駄のない力の伝達、そして何より……」
彼の瞳が、熱を帯びていくのが分かった。 それは恐怖ではなく、純粋な賞賛と、憧憬の色だった。
「美しい……」
「はい?」
私は首を傾げた。 今、なんと?
「圧倒的な力は、美そのものだ。私は長年、武の道を極めようとしてきたが……これほどまでに完成された『暴力』を見たのは初めてだ」
ジークフリート殿下は、私の手を取り、その場に膝をついた。 まるで王子様が姫に求婚するようなポーズだ。 いや、彼は本物の皇太子なのだが。
「貴女の名は? 麗しの破壊神よ」
「……破壊神はやめていただけます? 私はエレオノーラ・ベルシュタイン。ただの『か弱い』令嬢ですわ」
「か弱い……? クックッ、ハハハハハ!」
彼は腹を抱えて笑い出した。 爽やかな、見ていて気持ちのいい笑い方だ。
「面白い! 気に入ったぞ、エレオノーラ嬢! 私の名はジークフリート。隣国の皇太子だが、今はただの一武人として、貴女に敬意を表したい」
彼は立ち上がると、私の手を強く握りしめた。
「どうだろう、エレオノーラ嬢。貴女のその強さの秘訣、じっくりと教えてもらえないだろうか? できれば、手合わせも含めて」
彼の目はキラキラと輝いている。 どうやら、とんでもない『筋肉マニア』に見込まれてしまったらしい。 ジェラルド殿下のような嫉妬や嫌悪感は微塵もなく、ただ純粋な好奇心と好意が向けられている。 悪い気はしない。
「ええ、構いませんわ。ちょうど、お茶の時間にしようと思っていましたの」
私は微笑み返した。
「ですがその前に……ゴミ掃除を終わらせませんと」
私は視線をミリアの方へ向けた。 彼女は腰を抜かし、ガタガタと震えながら後ずさっている。 自分の切り札が、私の一撃で紙くずのように吹き飛ばされた現実を、受け入れられないようだ。
「ひ、ひぃ……バケモノ……あんたなんか人間じゃないわ……!」
「失礼ね。これでも毎朝スキンケアは欠かしてませんのよ」
私が一歩近づくと、彼女は「ギャァァァ!」と悲鳴を上げて気絶した。 やれやれ、打たれ弱いことだ。
ガレイン卿が、疲労困憊の体で進み出てきた。 彼は深々と頭を下げた。
「……エレオノーラ殿。完敗だ。我々の負けだ」
「あら、勝負をした覚えはありませんけれど」
「精神的な敗北だ。貴女の実力、そして民兵たちの士気の高さ……今の我々に、貴女を捕縛することなど不可能だと思い知らされた」
彼はちらりとミリアの方を見た。
「それに、聖女様のあの暴挙……。これ以上、我々がここに留まる大義名分もない」
「賢明なご判断ですわ」
私は頷いた。
「お腹いっぱい食べたら、お帰りくださいまし。王都の皆様によろしくお伝えください。『二度と私のスローライフを邪魔するな』と」
「……承知した。必ず伝える」
ガレイン卿は、どこか憑き物が落ちたような顔をしていた。 彼も、王宮での板挟みに疲れていたのだろう。
「さて、ジークフリート殿下。我が家へご案内いたしますわ。粗茶ですが、歓迎させていただきます」
「ああ、楽しみにしている。……ところで、あのワイバーンの山はどうするんだ?」
彼がクレーターを指差す。
「もちろん、お持ち帰りですわ。ワイバーンの肉は少し硬いですけど、唐揚げにすると絶品なんですの」
「唐揚げ……か。フッ、ますます気に入った」
ジークフリート殿下は楽しそうに笑った。
こうして、当初の予定通り(?)、隣国の皇太子をお客様として招くことになった。 騎士団は敗走し、聖女は失態を晒し、私は新たな食材と、強力な理解者(ファン)を手に入れた。
帰り道。 ボブたちが、ワイバーンを解体しながら運んでいる。 セバスチャンが「今夜のメニューはワイバーン尽くしですな」と嬉しそうに呟く。 そして隣には、私の筋肉……じゃなくて強さに熱い視線を送るイケメン皇太子。
なんだか、スローライフがさらに賑やかになりそうな予感がする。 ――しかし、私はまだ気づいていなかった。 ジークフリート殿下の「気に入った」という言葉が、単なる武人としての興味だけでなく、もっと別の、甘酸っぱい(?)感情を含んでいるかもしれないことに。
まあ、私にとっては、彼の剣技よりも、彼が持参しているであろう「お土産(隣国の銘菓)」の方が気になるところなのだが。
翌朝。ベルシュタイン領の境界線にある『断罪の峠』へと向かう山道に、私の元気な声が響き渡った。
今日の私は、いつものドラゴン皮の作業着ではなく、少しだけフォーマルさを意識した『戦闘用メイド服(特注)』に身を包んでいる。 黒を基調としたシックなデザインだが、スカートのスリットは深く、動きやすさは抜群だ。 エプロンのポケットには、クッキーではなく手裏剣が入っているけれど。
「へい、総長! 荷物持ちなら任せてくだせぇ!」
背後には、ボブたち雑用部隊が続いている。 彼らが背負っている巨大なリュックサックからは、食欲をそそる香ばしい匂いが漂っていた。 中身は、昨日の収穫祭で作った『特製魔獣肉弁当』と『爆裂ジャガイモのポテトサラダ』、そして『鋼鉄カボチャの冷製スープ』だ。 騎士団の皆さんへの、心ばかりの差し入れである。
「お嬢様、峠まではあと少しです。……先ほどから、風に乗って腐敗臭のようなものが漂ってきておりますが」
隣を歩くセバスチャンが、ハンカチで鼻を覆いながら顔をしかめた。
「あら、それは騎士団の方々の体臭かもしれませんわね。数日間お風呂に入っていないと聞きましたし」
「なるほど。それは少々、気の毒でございますな」
「ええ。だからこそ、栄養満点のご飯を食べて、元気を出してもらわないと。私、困っている人を見ると放っておけない性格ですもの」
私が聖女のような微笑みを浮かべると、ボブたちが「いや、あんたが原因だろうが」と言いたげな顔で視線を逸らした。 失礼な人たちだ。
◇
峠の頂上に到着すると、眼下には哀れな光景が広がっていた。
かつては白銀に輝いていたであろう王国の精鋭騎士団の鎧は、泥と煤で薄汚れ、見る影もない。 馬たちは痩せ細り、騎士たちは虚ろな目で地面に座り込んでいる。 彼らを取り囲むように、ベルシュタイン家の民兵たちが焚き火を囲み、楽しそうに肉を焼いていた。 完全な包囲網である。
「ごきげんよう、皆様!」
私は崖の上から、よく通る声で挨拶をした。
ビクッ!
騎士たちが一斉に跳ね起きる。 彼らの視線が私に集中する。 そこには、恐怖と、警戒と、そして一縷の希望(食料への)が入り混じっていた。
「あ、あれは……エレオノーラ様……!?」 「くそっ、悪魔が現れたぞ!」 「でも……なんか凄くいい匂いがする……」
騎士団の列が割れ、指揮官であるガレイン卿が姿を現した。 彼はやつれていた。 頬はこけ、目の下のクマは深淵のように濃い。 私を見ると、彼は剣の柄に手をかけつつ、複雑な表情で敬礼した。
「……エレオノーラ嬢。まさかご自身で出向いてくるとは」
「ええ、お久しぶりですわ、ガレイン様。部下の方々がお腹を空かせていると伺いましたので、お弁当を持ってきましたの」
私が指を鳴らすと、ボブたちが「ほらよ!」とリュックを下ろし、中から巨大なおにぎり(バスケットボール大)と、肉の塊を配り始めた。
「ど、毒が入っているかもしれんぞ!」 一人の騎士が叫ぶ。
「毒なんて入れませんわ。調味料は岩塩とハーブだけ。さあ、冷めないうちにどうぞ」
私が一つ、自分でおにぎりを頬張って見せると、騎士たちの理性は決壊した。
「うおおおおお! 飯だぁぁぁ!」 「肉だ! 本物の肉だぁぁ!」
彼らは獣のように食料に群がった。 涙を流しながらおにぎりを貪り食う姿は、王国の精鋭としての誇りなど微塵も感じられない。 まあ、空腹は背に腹は代えられないということだ。
ガレイン卿も、差し出されたおにぎりを前に喉を鳴らしていたが、指揮官としての意地か、必死に耐えているようだ。
「……何のつもりだ。我々は貴公を捕縛しに来たのだぞ」
「あら、そんな物騒な。私はただ、スローライフのお裾分けをしているだけですわ」
私はニッコリと笑った。
「それに、お腹が空いていては戦もできないでしょう? まずは食べて、元気になってから話し合いましょうよ」
「ぐぬぬ……」
ガレイン卿が葛藤していると、馬車の中から金切り声が響いてきた。
「ちょっとぉ! 何なのこの匂いは!? 臭いんですけどぉ!」
ドアが乱暴に開かれ、聖女ミリアが飛び出してきた。 彼女は高価なドレスを着ているが、裾は泥だらけで、髪もボサボサだ。 私を見ると、般若のような形相で睨みつけてきた。
「エレオノーラ! あんたね! 私にこんな屈辱を味わわせて、タダで済むと思ってるの!?」
「あら、ミリア様。ごきげんよう。ずいぶんとワイルドな装いですこと。森ガールへのイメチェンですか?」
「ふざけないで! あんたのせいで、お風呂にも入れないし、ご飯も不味いし、最悪なのよ! 今すぐ土下座して謝りなさいよ!」
ミリアは地団駄を踏んだ。 その様子を、食事中の騎士たちが冷ややかな目で見ていることに、彼女は気づいていないようだ。
「謝罪、ですか。……私は何も悪いことはしておりませんけれど」
「嘘つき! あんたが柱を盗んだせいで、王都は大変なことになってるのよ! 魔獣が出るわ、建物は傾くわ、私の評判は落ちるわ……全部あんたのせいよ!」
最後のが本音だろう。 彼女は自分の無能さを私のせいにしたいだけだ。
「それは残念でしたわね。でも、自業自得という言葉をご存知?」
「キィィィィッ!! もう許さない! こうなったら、力ずくでも思い知らせてやるんだから!」
ミリアは懐から、紫色の液体が入った小瓶を取り出した。 昨夜、ボブたちが目撃したという、あの怪しげな薬だ。
「ミリア様、それは……?」 ガレイン卿が不審げに声をかける。
「ふふん、見てなさい! これを使えば、この辺りの魔獣は全部私の下僕よ! あんたたちなんて、魔獣の餌食にしてやるわ!」
ミリアは狂ったように笑いながら、小瓶を地面に叩きつけた。
パリンッ!!
瓶が割れ、紫色の煙がモクモクと立ち昇る。 甘ったるく、それでいて吐き気を催すような異臭が周囲に広がった。
「な、なんだこの臭いは……!?」 騎士たちが鼻を押さえる。
次の瞬間。
ギャアアアアアアオオオオオオッ!!
頭上から、空気を切り裂くような咆哮が降り注いだ。 雲を突き破り、巨大な翼を持つ影が次々と現れる。
「ワ、ワイバーンだッ!!」 「一匹じゃないぞ! 群れだ!」
現れたのは、飛竜ワイバーンの大群だった。 数は二十……いや、三十はいるだろうか。 彼らは紫色の煙に引き寄せられるように、目を血走らせて急降下してくる。
「ははは! 来たわね! さあ、あいつらをやっつけなさい!」
ミリアが私を指差して命令する。 しかし。 ワイバーンたちはミリアの命令など聞く耳を持たず、無差別に襲いかかってきた。 それどころか、最も強い魔力反応(誘引香)を放っているミリア自身に向かって、鋭い爪を伸ばしてくる。
「えっ……? きゃあああああ!? こっちに来ないでぇぇ!」
ミリアが悲鳴を上げて逃げ惑う。 誘引薬は「魔獣を呼び寄せる」だけで、「従わせる」効果は術者の力量次第なのだ。 魔力スカスカのミリアに制御できるはずがない。
「総員、戦闘態勢ッ! 聖女様を守れ!」
ガレイン卿が叫び、剣を抜く。 騎士たちも慌てておにぎりを置き、武器を構えるが、空からの強襲に足並みが揃わない。
ズガァァァン!
ワイバーンの一匹が地面に激突し、馬車を粉砕した。 炎のブレスが吐き出され、周囲の木々が燃え上がる。 阿鼻叫喚の地獄絵図だ。
「やれやれ……。食事の邪魔をするなんて、マナー違反もいいところですわ」
私はため息をつき、スカートの埃を払った。 「ボブ、お弁当を守りなさい。私はちょっと、ハエ叩きをしてきます」
「へい! お気をつけて!」
私が一歩踏み出そうとした、その時だった。
ヒュンッ!!
鋭い風切り音と共に、銀色の閃光が走った。 ザシュッ!
先頭を飛んでいたワイバーンの首が、一瞬にして宙を舞った。 鮮血が花火のように散る。
「……え?」
私が動きを止めると、峠の反対側――隣国へ続く街道の方から、一人の青年が馬に乗って駆け込んできた。
燃えるような赤髪。 精悍な顔立ちに、意志の強そうな碧眼。 身につけているのは実用性を重視した旅装だが、その腰に帯びた剣は、名匠が鍛え上げた業物(わざもの)であることが一目で分かる。
彼は馬上で剣を振り払い、血糊を飛ばした。
「食事中に騒がしいと思えば……随分と珍しい客人が来ているようだな」
その声は低く、よく響いた。 彼は単騎でワイバーンの群れの中に突っ込んでいく。
「はっ!」
気合一閃。 彼の剣技は洗練されていた。 無駄のない動きで、襲い来る爪や牙をいなし、的確に急所を貫いていく。 強い。 王都の騎士団長であるガレイン卿よりも、数段上の実力者だ。
「あれは……隣国の皇太子、ジークフリート殿下!?」
ガレイン卿が驚愕の声を上げた。 ジークフリート・フォン・ドラグノフ。 北の軍事大国、ドラグノフ帝国の皇太子にして、『剣聖』の異名を持つ武人。 なぜ彼がこんなところに?
「くっ、数が多いな……!」
ジークフリート殿下が顔をしかめる。 彼の剣技は素晴らしいが、いかんせん多勢に無勢だ。 三十頭のワイバーンが、彼を新たな獲物と認識し、包囲し始めていた。 さらに、ミリアが撒き散らした誘引香の効果で、森の奥から別の魔獣たちも集まりつつある。
四方八方から迫る牙と炎。 絶体絶命のピンチ。
しかし、私はその光景を見て、うっとりと頬を染めた。
「あら……素敵」
もちろん、彼に惚れたわけではない。 ワイバーンの群れが、一箇所に固まってくれたことに感動したのだ。
「あそこなら、まとめて一網打尽にできますわ!」
私はスカートの裾を少し持ち上げ、軽く屈伸した。 ターゲット、ロックオン。 距離、五十メートル。 風向き、良好。
「どいてくださいまし、殿下!」
私は叫ぶと同時に、地面を蹴った。
ドォォォォォンッ!!
地面が爆発し、クレーターができる。 私は砲弾となって空へ舞い上がった。 その速度はワイバーンの飛翔速度を遥かに凌駕する。
「なっ……!?」
ジークフリート殿下が驚いて見上げる視線の先で、私は太陽を背に、空中で右拳を振りかぶっていた。
ワイバーンたちが気づいて見上げた時には、もう遅い。 私の拳には、大気中のマナが渦を巻き、圧縮されて光り輝いていた。
「ベルシュタイン流対空迎撃術・奥義」
私はニッコリと笑った。
「『流星落とし(メテオ・ストライク)』ッ!!」
ズドンッ!!
私は拳を振り下ろした。 直接殴ったわけではない。 拳圧によって生じた衝撃波の塊が、巨大な鉄槌となってワイバーンの群れを上空から押し潰したのだ。
グシャァァァァァァッ!!
断末魔すら上げる暇もなかった。 三十頭のワイバーンは、まるでハエ叩きで叩かれた蚊のように、一瞬にして地面へと叩きつけられた。 ズズズズズ……ンッ!!
凄まじい地響きと共に、地面に巨大なクレーターが誕生する。 ワイバーンたちはその中心で、折り重なるようにしてピクピクと痙攣していた。 全滅である。
私はフワリと着地した。 土煙が舞う中、メイド服の裾を直し、乱れた前髪を指で整える。
「ふぅ……少しやりすぎましたかしら? お肉がミンチになっていないといいのですけれど」
静寂。 完全なる静寂が場を支配していた。 騎士たちも、ミリアも、そしてジークフリート殿下も、時間を止められたかのように固まっている。
やがて、土煙が晴れ、私の姿が露わになると、ジークフリート殿下がゆっくりと馬を降りて近づいてきた。 彼は鞘に剣を納めると、信じられないものを見る目で私を見つめた。
「……信じられん」
彼は呟いた。
「ワイバーンの群れを、魔法も使わずに……素手の一撃で?」
「あら、魔法なら使いましたわよ? 『身体強化』を少々」
私が答えると、彼は首を横に振った。
「いや、そういう次元ではない。今の動き……完璧な重心移動、無駄のない力の伝達、そして何より……」
彼の瞳が、熱を帯びていくのが分かった。 それは恐怖ではなく、純粋な賞賛と、憧憬の色だった。
「美しい……」
「はい?」
私は首を傾げた。 今、なんと?
「圧倒的な力は、美そのものだ。私は長年、武の道を極めようとしてきたが……これほどまでに完成された『暴力』を見たのは初めてだ」
ジークフリート殿下は、私の手を取り、その場に膝をついた。 まるで王子様が姫に求婚するようなポーズだ。 いや、彼は本物の皇太子なのだが。
「貴女の名は? 麗しの破壊神よ」
「……破壊神はやめていただけます? 私はエレオノーラ・ベルシュタイン。ただの『か弱い』令嬢ですわ」
「か弱い……? クックッ、ハハハハハ!」
彼は腹を抱えて笑い出した。 爽やかな、見ていて気持ちのいい笑い方だ。
「面白い! 気に入ったぞ、エレオノーラ嬢! 私の名はジークフリート。隣国の皇太子だが、今はただの一武人として、貴女に敬意を表したい」
彼は立ち上がると、私の手を強く握りしめた。
「どうだろう、エレオノーラ嬢。貴女のその強さの秘訣、じっくりと教えてもらえないだろうか? できれば、手合わせも含めて」
彼の目はキラキラと輝いている。 どうやら、とんでもない『筋肉マニア』に見込まれてしまったらしい。 ジェラルド殿下のような嫉妬や嫌悪感は微塵もなく、ただ純粋な好奇心と好意が向けられている。 悪い気はしない。
「ええ、構いませんわ。ちょうど、お茶の時間にしようと思っていましたの」
私は微笑み返した。
「ですがその前に……ゴミ掃除を終わらせませんと」
私は視線をミリアの方へ向けた。 彼女は腰を抜かし、ガタガタと震えながら後ずさっている。 自分の切り札が、私の一撃で紙くずのように吹き飛ばされた現実を、受け入れられないようだ。
「ひ、ひぃ……バケモノ……あんたなんか人間じゃないわ……!」
「失礼ね。これでも毎朝スキンケアは欠かしてませんのよ」
私が一歩近づくと、彼女は「ギャァァァ!」と悲鳴を上げて気絶した。 やれやれ、打たれ弱いことだ。
ガレイン卿が、疲労困憊の体で進み出てきた。 彼は深々と頭を下げた。
「……エレオノーラ殿。完敗だ。我々の負けだ」
「あら、勝負をした覚えはありませんけれど」
「精神的な敗北だ。貴女の実力、そして民兵たちの士気の高さ……今の我々に、貴女を捕縛することなど不可能だと思い知らされた」
彼はちらりとミリアの方を見た。
「それに、聖女様のあの暴挙……。これ以上、我々がここに留まる大義名分もない」
「賢明なご判断ですわ」
私は頷いた。
「お腹いっぱい食べたら、お帰りくださいまし。王都の皆様によろしくお伝えください。『二度と私のスローライフを邪魔するな』と」
「……承知した。必ず伝える」
ガレイン卿は、どこか憑き物が落ちたような顔をしていた。 彼も、王宮での板挟みに疲れていたのだろう。
「さて、ジークフリート殿下。我が家へご案内いたしますわ。粗茶ですが、歓迎させていただきます」
「ああ、楽しみにしている。……ところで、あのワイバーンの山はどうするんだ?」
彼がクレーターを指差す。
「もちろん、お持ち帰りですわ。ワイバーンの肉は少し硬いですけど、唐揚げにすると絶品なんですの」
「唐揚げ……か。フッ、ますます気に入った」
ジークフリート殿下は楽しそうに笑った。
こうして、当初の予定通り(?)、隣国の皇太子をお客様として招くことになった。 騎士団は敗走し、聖女は失態を晒し、私は新たな食材と、強力な理解者(ファン)を手に入れた。
帰り道。 ボブたちが、ワイバーンを解体しながら運んでいる。 セバスチャンが「今夜のメニューはワイバーン尽くしですな」と嬉しそうに呟く。 そして隣には、私の筋肉……じゃなくて強さに熱い視線を送るイケメン皇太子。
なんだか、スローライフがさらに賑やかになりそうな予感がする。 ――しかし、私はまだ気づいていなかった。 ジークフリート殿下の「気に入った」という言葉が、単なる武人としての興味だけでなく、もっと別の、甘酸っぱい(?)感情を含んでいるかもしれないことに。
まあ、私にとっては、彼の剣技よりも、彼が持参しているであろう「お土産(隣国の銘菓)」の方が気になるところなのだが。
101
あなたにおすすめの小説
辺境に追放されたガリガリ令嬢ですが、助けた男が第三王子だったので人生逆転しました。~実家は危機ですが、助ける義理もありません~
香木陽灯
恋愛
「そんなに気に食わないなら、お前がこの家を出ていけ!」
実の父と義妹に虐げられ、着の身着のままで辺境のボロ家に追放された伯爵令嬢カタリーナ。食べるものもなく、泥水のようなスープですすり、ガリガリに痩せ細った彼女が庭で拾ったのは、金色の瞳を持つ美しい男・ギルだった。
「……見知らぬ人間を招き入れるなんて、馬鹿なのか?」
「一人で食べるのは味気ないわ。手当てのお礼に一緒に食べてくれると嬉しいんだけど」
二人の奇妙な共同生活が始まる。ギルが獲ってくる肉を食べ、共に笑い、カタリーナは本来の瑞々しい美しさを取り戻していく。しかしカタリーナは知らなかった。彼が王位継承争いから身を隠していた最強の第三王子であることを――。
※ふんわり設定です。
※他サイトにも掲載中です。
追放先の辺境で前世の農業知識を思い出した悪役令嬢、奇跡の果実で大逆転。いつの間にか世界経済の中心になっていました。
緋村ルナ
ファンタジー
「お前のような女は王妃にふさわしくない!」――才色兼備でありながら“冷酷な野心家”のレッテルを貼られ、無能な王太子から婚約破棄されたアメリア。国外追放の末にたどり着いたのは、痩せた土地が広がる辺境の村だった。しかし、そこで彼女が見つけた一つの奇妙な種が、運命を、そして世界を根底から覆す。
前世である農業研究員の知識を武器に、新種の果物「ヴェリーナ」を誕生させたアメリア。それは甘美な味だけでなく、世界経済を揺るがすほどの価値を秘めていた。
これは、一人の追放された令嬢が、たった一つの果実で自らの運命を切り開き、かつて自分を捨てた者たちに痛快なリベンジを果たし、やがて世界の覇権を握るまでの物語。「食」と「経済」で世界を変える、壮大な逆転ファンタジー、開幕!
離婚と追放された悪役令嬢ですが、前世の農業知識で辺境の村を大改革!気づいた元夫が後悔の涙を流しても、隣国の王子様と幸せになります
黒崎隼人
ファンタジー
公爵令嬢リセラは、夫である王子ルドルフから突然の離婚を宣告される。理由は、異世界から現れた聖女セリーナへの愛。前世が農業大学の学生だった記憶を持つリセラは、ゲームのシナリオ通り悪役令嬢として処刑される運命を回避し、慰謝料として手に入れた辺境の荒れ地で第二の人生をスタートさせる!
前世の知識を活かした農業改革で、貧しい村はみるみる豊かに。美味しい作物と加工品は評判を呼び、やがて隣国の知的な王子アレクサンダーの目にも留まる。
「君の作る未来を、そばで見ていたい」――穏やかで誠実な彼に惹かれていくリセラ。
一方、リセラを捨てた元夫は彼女の成功を耳にし、後悔の念に駆られ始めるが……?
これは、捨てられた悪役令嬢が、農業で華麗に成り上がり、真実の愛と幸せを掴む、痛快サクセス・ラブストーリー!
婚約破棄されましたが、帝国皇女なので元婚約者は投獄します
けんゆう
ファンタジー
「お前のような下級貴族の養女など、もう不要だ!」
婚約者として五年間尽くしたフィリップに、冷たく告げられたソフィア。
他の貴族たちからも嘲笑と罵倒を浴び、社交界から追放されかける。
だが、彼らは知らなかった――。
ソフィアは、ただの下級貴族の養女ではない。
そんな彼女の元に届いたのは、隣国からお兄様が、貿易利権を手土産にやってくる知らせ。
「フィリップ様、あなたが何を捨てたのかーー思い知らせて差し上げますわ!」
逆襲を決意し、華麗に着飾ってパーティーに乗り込んだソフィア。
「妹を侮辱しただと? 極刑にすべきはお前たちだ!」
ブチギレるお兄様。
貴族たちは青ざめ、王国は崩壊寸前!?
「ざまぁ」どころか 国家存亡の危機 に!?
果たしてソフィアはお兄様の暴走を止め、自由な未来を手に入れられるか?
「私の未来は、私が決めます!」
皇女の誇りをかけた逆転劇、ここに開幕!
「偽物の聖女は要らない」と追放された私、隣国で本物の奇跡を起こしたら元の国が滅びかけていた件
歩人
ファンタジー
聖女リーゼロッテは、王太子カールに「お前の加護は偽物だ」と断じられ、
婚約を破棄された。代わりに聖女の座に就いたのは、愛らしく微笑む男爵令嬢エルゼ。
追放されたリーゼロッテが隣国に辿り着いたとき、その地は疫病に苦しんでいた。
彼女が祈ると、枯れた泉が蘇り、病は癒え、荒野に花が咲いた。
——本物の聖女の力が、ようやく枷を外されて目覚めたのだ。
一方、リーゼロッテを失った王国では結界が綻び始め、魔物が溢れ出す。
カールは今さら「戻ってくれ」と使者を送るが、リーゼロッテの隣には、
彼女の力を最初から信じていた隣国の若き王がいた。
「あの国に戻る理由が、もう一つもないのです」
「冷酷で理屈っぽい」と捨てられましたが、この国を影から支えていたの、実は私なんです
水上
恋愛
【全7話完結】
「冷酷で理屈っぽい」
そう断じられ婚約破棄されたヴィオラ。
しかし、追放先の辺境で、その知識を用いて泥沼の街道を舗装し、極上のチーズや保湿クリームを開発して大活躍!
一方、彼女を捨てたことで、王都では様々な問題が発生する。
馬車が揺れを制御できなくなり、隣国の大使が王都で嘔吐。
それが外交問題に発展して……。
追放された悪役令嬢、規格外魔力でもふもふ聖獣を手懐け隣国の王子に溺愛される
黒崎隼人
ファンタジー
「ようやく、この息苦しい生活から解放される!」
無実の罪で婚約破棄され、国外追放を言い渡された公爵令嬢エレオノーラ。しかし彼女は、悲しむどころか心の中で歓喜の声をあげていた。完璧な淑女の仮面の下に隠していたのは、国一番と謳われた祖母譲りの規格外な魔力。追放先の「魔の森」で力を解放した彼女の周りには、伝説の聖獣グリフォンをはじめ、可愛いもふもふ達が次々と集まってきて……!?
自由気ままなスローライフを満喫する元悪役令嬢と、彼女のありのままの姿に惹かれた「氷の王子」。二人の出会いが、やがて二つの国の運命を大きく動かすことになる。
窮屈な世界から解き放たれた少女が、本当の自分と最高の幸せを見つける、溺愛と逆転の異世界ファンタジー、ここに開幕!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる