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第十三話 婚約破棄記念日、ケーキが戦力
「……おはよう、レティシア。昨夜はよく眠れたか?」
翌朝のダイニングルーム。 私が席に着くと、先にコーヒーを飲んでいたクロード様が、いつになく艶のある声で話しかけてきた。 その表情は相変わらず鉄仮面のように涼しいが、纏っている空気は春の陽だまりのように柔らかく、そしてどこか満足げだ。
「……おはようございます、クロード様」
私は視線を少し逸らしながら挨拶を返した。 昨夜の馬車での一件――「嫉妬したから一晩中離さない」という宣言通り、屋敷に着いてから私が眠りにつくまで、彼は私の膝枕ならぬ「全身枕」となり、ずっと髪を撫で続けていたのだ。 おかげで悪夢を見ることもなく熟睡できたけれど、起きた時の気恥ずかしさは筆舌に尽くしがたい。
「顔が赤いぞ。熱でもあるのか?」
「……誰のせいだと思っているんですか」
私が小声で抗議すると、クロード様は不思議そうに首を傾げた。
「私のせい? 心外だな。私は君の安眠をサポートするために、最適な体温とリズムでタッピングを行っていただけだが」
「それを『甘やかし』と言うんですよ……」
まったく、この無自覚な溺愛公爵様には敵わない。 私は深呼吸をして、気を取り直した。 今日は、私にとって少し特別な日なのだ。
「クロード様。今日が何の日か、ご存知ですか?」
「今日? ……ああ、もちろん把握している」
彼は即答した。 さすが宰相補佐。暦の管理も完璧らしい。
「今日は、君が王太子の婚約者という苦行から解放されて、ちょうど一ヶ月目の記念日だ」
「正解です! よく覚えていらっしゃいましたね」
「忘れるはずがない。君が私のものになった日でもあるのだから」
さらりと甘い言葉を混ぜ込んでくる。 私は照れ隠しに咳払いを一つした。
「そ、そうです。祝杯をあげたあの日から一ヶ月。私、今日はその記念に、ささやかなお祝いをしたいと思いまして」
「お祝いか。いい心がけだ。何が望みだ? 宝石か? それとも南の島を一つ買い取るか?」
「規模が大きすぎます! ……ケーキです。美味しいケーキを食べて、この一ヶ月の幸せを噛み締めたいんです」
王宮にいた頃は、甘いものを食べる時間すら惜しんで働いていた。 「太るから」とリオネル殿下に嫌味を言われるのも嫌で、糖分を控えていたのだ。 でも今は違う。 私は自由で、甘やかされている。
「ケーキか。……承知した」
クロード様は真剣な顔で頷くと、パチンと指を鳴らした。
「セバス。作戦コード『スイート・リベンジ』を発動せよ」
「はっ。直ちに」
控えていた執事のセバスが、恭しく一礼して厨房の方へ消えていく。 ……作戦コード? 嫌な予感がした。 私が頼んだのは、カットケーキ一つ分くらいの、ささやかな幸せなのだが。
◇
三十分後のティータイム。 私の目の前に運ばれてきたのは、ケーキではなく『要塞』だった。
「……あの、クロード様」
「何だ?」
「これは……何かの儀式でしょうか?」
テーブルの上には、三段重ねのホールケーキタワーが鎮座していた。 それだけではない。 サイドには色とりどりのタルト、マカロン、シュークリーム、ゼリーが隙間なく並べられ、テーブルの表面が見えないほどだ。 甘い香りが部屋中に充満し、まるで『お菓子の家』に迷い込んだかのよう。
「君が『ケーキを食べたい』と言ったからな。王都で腕利きのパティシエを三人呼び寄せ、君の好みを分析させた上で、全種類のスイーツを作らせた」
クロード様は胸を張って言った。
「テーマは『過去の欠乏を埋める圧倒的糖分』だ」
「圧倒的すぎます! こんなに食べられません!」
「案ずるな。余った分は空間保存魔法で鮮度を維持したまま保管できる。一年かけて食べればいい」
「一年!?」
あまりのスケールに呆然としていると、私の背後でエマが深い溜息をついた。
「奥様。旦那様の辞書に『適量』という言葉はございません。諦めて、一番美味しそうなところから召し上がってください」
「エマ……貴女も止めてよ……」
「無理です。旦那様は『彼女の笑顔のエネルギー源だ』と仰って、最高級の砂糖を樽で発注されていましたから」
ケーキは戦力。 糖分はエネルギー。 クロード様の思考回路は、どこまでも効率的で、そして愛が重い。
私は観念して、一番上の段にあるショートケーキにフォークを入れた。 ふわふわのスポンジと、真っ赤な苺。 一口食べると、上品な甘さが口いっぱいに広がる。
「……んっ、美味しい……!」
思わず頬が緩む。 王宮で食べていたパサパサの乾パン(忙しい時の主食だった)とは雲泥の差だ。 これが、自由の味。幸せの味。
「いい顔だ」
クロード様が、私を見つめて目を細める。 彼自身は甘いものを好まないはずなのに、私が食べているのを見るだけで、最高級のワインを飲んでいるかのようにうっとりとしている。
「レティシア。君がそうして幸せそうに食べている姿を見ると、私はリオネル殿下に感謝したくなる」
「え? 感謝、ですか?」
「ああ。彼が君を捨ててくれたおかげで、私は君という至宝を手に入れ、こうして餌付け……いや、食事を共にする権利を得たのだからな」
彼はフォークで私の口元のクリームを拭い、それを自分の口に含んだ。 ……間接キスだとか、そういう常識的なツッコミをする気力も奪われるほど、その仕草は自然で艶かしかった。
「……もう、クロード様ったら」
「事実だ。君はこの一ヶ月で随分と健康的な顔色になった。私の『甘やかし計画』は順調に推移していると言える」
平和だ。 窓の外は穏やかな春の日差し。 目の前には甘いケーキと、甘い婚約者。 ずっとこの時間が続けばいいのに。
そう思った矢先のことだった。
「旦那様、レティシア様。……失礼いたします」
重厚な扉が開き、セバスが入ってきた。 その手には、銀色の盆に乗せられた一通の手紙がある。 いつも冷静なセバスの表情が、少しだけ強張っていた。
「どうした、セバス。今は重要な『糖分補給会議』の最中だぞ」
クロード様が不機嫌そうに眉を寄せる。
「申し訳ございません。ですが、王宮より『至急』の使者が参りまして……こちらを」
「王宮?」
私の背筋が伸びる。 リオネル殿下からの個人的な手紙なら、門前で燃やされているはずだ(クロード様の指示で)。 それがここまで通されたということは。
クロード様が手紙を受け取り、封蝋を確認する。 そこには、王太子の紋章ではなく、さらに上位の――『国王』を示す双頭の鷲の紋章が押されていた。
「……チッ」
クロード様が小さく舌打ちをした。 彼がそんな下品な音を出すのを初めて聞いた。
「クロード様、それは……」
「国王陛下からの親展だ。……中身を見るまでもないが」
彼はペーパーナイフで封を切り、中の羊皮紙を取り出した。 素早く目を通すと、その表情から「甘さ」が消え、いつもの「氷の公爵」の顔に戻った。 いや、それ以上に冷たく、鋭い刃物のような気配を漂わせている。
「レティシア。……どうやら、あちら側も最後の悪あがきに出たようだ」
「悪あがき?」
「ああ。リオネル殿下が陛下に泣きついたらしい。『クロード公爵が不正な魔法で記録を改竄し、私を陥れようとしている』とな」
「なっ……! まだそんなことを!」
呆れを通り越して、怒りが湧いてくる。 自分の無能さを認めるどころか、国の重鎮であるクロード様を「不正者」呼ばわりするなんて。
「陛下も、愚息の訴えを鵜呑みにしているわけではないだろう。だが、王太子と宰相補佐が対立している状況は国益に関わる。……よって、白黒はっきりさせるための場を設けるとのことだ」
クロード様は手紙をテーブルに置き、私を見た。
「三日後。王宮の大広間にて、『公開調査会』が開かれる。そこで改めて、婚約破棄の正当性と、一連の騒動の真実を審議するそうだ」
公開調査会。 それはつまり、貴族たちが全員見ている前で、私たちが吊るし上げられる可能性があるということだ。 もし失敗すれば、クロード様の名誉も傷つくことになる。
不安で胸が押しつぶされそうになった私に、クロード様は椅子から立ち上がり、近づいてきた。 そして、私の肩に手を置き、力強く告げた。
「案ずるな、レティシア」
「クロード様……」
「これは好機だ。密室の査問会ではなく、衆人環視の『公開』の場を用意してくれたのだからな」
彼の唇が、冷酷な笑みの形に歪む。 それは敵にとっては死刑宣告に等しい、美しくも恐ろしい笑みだった。
「全貴族の前で、殿下の無能さと罪を暴き、完膚なきまでに叩き潰す絶好のステージだ。……ふふ、楽しみになってきた」
「……あ、あの、クロード様? 目が据わっています」
「おっと、失礼。……レティシア、君は堂々としていればいい。当日は最高のドレスを用意しよう。君の美しさで、会場を圧倒してくれ」
「はい。……分かりました」
私は覚悟を決めた。 甘いケーキの時間は終わりだ。 次は、王宮という戦場で、私が私の手で「過去」に決着をつける番だ。
「行きましょう、クロード様。……あの『後悔箱』の封印を解く時が来たようです」
「ほう? あのガラクタ箱か。いいだろう、全て叩き返してやろう」
私たちは視線を交わし、不敵に微笑み合った。 甘やかされるだけのヒロインは、もう卒業だ。 三日後、王宮は知ることになるだろう。 敵に回した「悪役令嬢」と「冷徹公爵」が、どれほど恐ろしいコンビネーションを発揮するかを。
翌朝のダイニングルーム。 私が席に着くと、先にコーヒーを飲んでいたクロード様が、いつになく艶のある声で話しかけてきた。 その表情は相変わらず鉄仮面のように涼しいが、纏っている空気は春の陽だまりのように柔らかく、そしてどこか満足げだ。
「……おはようございます、クロード様」
私は視線を少し逸らしながら挨拶を返した。 昨夜の馬車での一件――「嫉妬したから一晩中離さない」という宣言通り、屋敷に着いてから私が眠りにつくまで、彼は私の膝枕ならぬ「全身枕」となり、ずっと髪を撫で続けていたのだ。 おかげで悪夢を見ることもなく熟睡できたけれど、起きた時の気恥ずかしさは筆舌に尽くしがたい。
「顔が赤いぞ。熱でもあるのか?」
「……誰のせいだと思っているんですか」
私が小声で抗議すると、クロード様は不思議そうに首を傾げた。
「私のせい? 心外だな。私は君の安眠をサポートするために、最適な体温とリズムでタッピングを行っていただけだが」
「それを『甘やかし』と言うんですよ……」
まったく、この無自覚な溺愛公爵様には敵わない。 私は深呼吸をして、気を取り直した。 今日は、私にとって少し特別な日なのだ。
「クロード様。今日が何の日か、ご存知ですか?」
「今日? ……ああ、もちろん把握している」
彼は即答した。 さすが宰相補佐。暦の管理も完璧らしい。
「今日は、君が王太子の婚約者という苦行から解放されて、ちょうど一ヶ月目の記念日だ」
「正解です! よく覚えていらっしゃいましたね」
「忘れるはずがない。君が私のものになった日でもあるのだから」
さらりと甘い言葉を混ぜ込んでくる。 私は照れ隠しに咳払いを一つした。
「そ、そうです。祝杯をあげたあの日から一ヶ月。私、今日はその記念に、ささやかなお祝いをしたいと思いまして」
「お祝いか。いい心がけだ。何が望みだ? 宝石か? それとも南の島を一つ買い取るか?」
「規模が大きすぎます! ……ケーキです。美味しいケーキを食べて、この一ヶ月の幸せを噛み締めたいんです」
王宮にいた頃は、甘いものを食べる時間すら惜しんで働いていた。 「太るから」とリオネル殿下に嫌味を言われるのも嫌で、糖分を控えていたのだ。 でも今は違う。 私は自由で、甘やかされている。
「ケーキか。……承知した」
クロード様は真剣な顔で頷くと、パチンと指を鳴らした。
「セバス。作戦コード『スイート・リベンジ』を発動せよ」
「はっ。直ちに」
控えていた執事のセバスが、恭しく一礼して厨房の方へ消えていく。 ……作戦コード? 嫌な予感がした。 私が頼んだのは、カットケーキ一つ分くらいの、ささやかな幸せなのだが。
◇
三十分後のティータイム。 私の目の前に運ばれてきたのは、ケーキではなく『要塞』だった。
「……あの、クロード様」
「何だ?」
「これは……何かの儀式でしょうか?」
テーブルの上には、三段重ねのホールケーキタワーが鎮座していた。 それだけではない。 サイドには色とりどりのタルト、マカロン、シュークリーム、ゼリーが隙間なく並べられ、テーブルの表面が見えないほどだ。 甘い香りが部屋中に充満し、まるで『お菓子の家』に迷い込んだかのよう。
「君が『ケーキを食べたい』と言ったからな。王都で腕利きのパティシエを三人呼び寄せ、君の好みを分析させた上で、全種類のスイーツを作らせた」
クロード様は胸を張って言った。
「テーマは『過去の欠乏を埋める圧倒的糖分』だ」
「圧倒的すぎます! こんなに食べられません!」
「案ずるな。余った分は空間保存魔法で鮮度を維持したまま保管できる。一年かけて食べればいい」
「一年!?」
あまりのスケールに呆然としていると、私の背後でエマが深い溜息をついた。
「奥様。旦那様の辞書に『適量』という言葉はございません。諦めて、一番美味しそうなところから召し上がってください」
「エマ……貴女も止めてよ……」
「無理です。旦那様は『彼女の笑顔のエネルギー源だ』と仰って、最高級の砂糖を樽で発注されていましたから」
ケーキは戦力。 糖分はエネルギー。 クロード様の思考回路は、どこまでも効率的で、そして愛が重い。
私は観念して、一番上の段にあるショートケーキにフォークを入れた。 ふわふわのスポンジと、真っ赤な苺。 一口食べると、上品な甘さが口いっぱいに広がる。
「……んっ、美味しい……!」
思わず頬が緩む。 王宮で食べていたパサパサの乾パン(忙しい時の主食だった)とは雲泥の差だ。 これが、自由の味。幸せの味。
「いい顔だ」
クロード様が、私を見つめて目を細める。 彼自身は甘いものを好まないはずなのに、私が食べているのを見るだけで、最高級のワインを飲んでいるかのようにうっとりとしている。
「レティシア。君がそうして幸せそうに食べている姿を見ると、私はリオネル殿下に感謝したくなる」
「え? 感謝、ですか?」
「ああ。彼が君を捨ててくれたおかげで、私は君という至宝を手に入れ、こうして餌付け……いや、食事を共にする権利を得たのだからな」
彼はフォークで私の口元のクリームを拭い、それを自分の口に含んだ。 ……間接キスだとか、そういう常識的なツッコミをする気力も奪われるほど、その仕草は自然で艶かしかった。
「……もう、クロード様ったら」
「事実だ。君はこの一ヶ月で随分と健康的な顔色になった。私の『甘やかし計画』は順調に推移していると言える」
平和だ。 窓の外は穏やかな春の日差し。 目の前には甘いケーキと、甘い婚約者。 ずっとこの時間が続けばいいのに。
そう思った矢先のことだった。
「旦那様、レティシア様。……失礼いたします」
重厚な扉が開き、セバスが入ってきた。 その手には、銀色の盆に乗せられた一通の手紙がある。 いつも冷静なセバスの表情が、少しだけ強張っていた。
「どうした、セバス。今は重要な『糖分補給会議』の最中だぞ」
クロード様が不機嫌そうに眉を寄せる。
「申し訳ございません。ですが、王宮より『至急』の使者が参りまして……こちらを」
「王宮?」
私の背筋が伸びる。 リオネル殿下からの個人的な手紙なら、門前で燃やされているはずだ(クロード様の指示で)。 それがここまで通されたということは。
クロード様が手紙を受け取り、封蝋を確認する。 そこには、王太子の紋章ではなく、さらに上位の――『国王』を示す双頭の鷲の紋章が押されていた。
「……チッ」
クロード様が小さく舌打ちをした。 彼がそんな下品な音を出すのを初めて聞いた。
「クロード様、それは……」
「国王陛下からの親展だ。……中身を見るまでもないが」
彼はペーパーナイフで封を切り、中の羊皮紙を取り出した。 素早く目を通すと、その表情から「甘さ」が消え、いつもの「氷の公爵」の顔に戻った。 いや、それ以上に冷たく、鋭い刃物のような気配を漂わせている。
「レティシア。……どうやら、あちら側も最後の悪あがきに出たようだ」
「悪あがき?」
「ああ。リオネル殿下が陛下に泣きついたらしい。『クロード公爵が不正な魔法で記録を改竄し、私を陥れようとしている』とな」
「なっ……! まだそんなことを!」
呆れを通り越して、怒りが湧いてくる。 自分の無能さを認めるどころか、国の重鎮であるクロード様を「不正者」呼ばわりするなんて。
「陛下も、愚息の訴えを鵜呑みにしているわけではないだろう。だが、王太子と宰相補佐が対立している状況は国益に関わる。……よって、白黒はっきりさせるための場を設けるとのことだ」
クロード様は手紙をテーブルに置き、私を見た。
「三日後。王宮の大広間にて、『公開調査会』が開かれる。そこで改めて、婚約破棄の正当性と、一連の騒動の真実を審議するそうだ」
公開調査会。 それはつまり、貴族たちが全員見ている前で、私たちが吊るし上げられる可能性があるということだ。 もし失敗すれば、クロード様の名誉も傷つくことになる。
不安で胸が押しつぶされそうになった私に、クロード様は椅子から立ち上がり、近づいてきた。 そして、私の肩に手を置き、力強く告げた。
「案ずるな、レティシア」
「クロード様……」
「これは好機だ。密室の査問会ではなく、衆人環視の『公開』の場を用意してくれたのだからな」
彼の唇が、冷酷な笑みの形に歪む。 それは敵にとっては死刑宣告に等しい、美しくも恐ろしい笑みだった。
「全貴族の前で、殿下の無能さと罪を暴き、完膚なきまでに叩き潰す絶好のステージだ。……ふふ、楽しみになってきた」
「……あ、あの、クロード様? 目が据わっています」
「おっと、失礼。……レティシア、君は堂々としていればいい。当日は最高のドレスを用意しよう。君の美しさで、会場を圧倒してくれ」
「はい。……分かりました」
私は覚悟を決めた。 甘いケーキの時間は終わりだ。 次は、王宮という戦場で、私が私の手で「過去」に決着をつける番だ。
「行きましょう、クロード様。……あの『後悔箱』の封印を解く時が来たようです」
「ほう? あのガラクタ箱か。いいだろう、全て叩き返してやろう」
私たちは視線を交わし、不敵に微笑み合った。 甘やかされるだけのヒロインは、もう卒業だ。 三日後、王宮は知ることになるだろう。 敵に回した「悪役令嬢」と「冷徹公爵」が、どれほど恐ろしいコンビネーションを発揮するかを。
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