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6.ショックダイル

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「ハンターの呼称はショックダイル。
 衝撃のショックと、ワニを英語でいうクロコダイルを合わせました」
 映像は一時停止。
「上アゴと下アゴから震動波を放ち、任意の距離で合わせる事で強力な震動波に変えます」
 ショックダイルの3Dモデルに切り替わる。
 となりには全高53,1メートルの巨人ウイークエンダー・ラビットと、全長17メートルのキツネ、北辰のモデルが立つ。
 私たちのモデルと比べると、ショックダイルの高さは40メートルほど。
 ウイークエンダーの肩ぐらいある。
 長さは80 メートルぐらいね。
 なんとも四角い姿だね。
 巨大な箱型の胴体とトゲだらけのアゴについては、もう話したね。
 シッポも四角い。
 胴体よりわずかに細いだけの、まるで動くダムだね。
「エサは火山のエネルギーです。
 ただし、地熱などではありません。
 霊山としての、いわゆる神の力です」
 20年以上前なら、ここで笑い声が起こったかもしれないね。
 昔のファンタジーアニメではそうだった。
 でも私は生まれてから、そんな光景にあった事はないね。
 映像が、山の地図に変わる。
 本当に山しかない、広大な山地の地図。
 さっきの映像での戦闘場所から、ショックダイルの歩いた跡が線として表示されるの。
 線の最初、地図ではそこに池がある。
 山頂の、昔の噴火口跡が。
 ショックダイルによって破壊された、懐かしい光景がね。
「ショックダイルの出現地点はここ、霊山の山頂です、
 ここから地下へ巨大な穴を開けました。
 およそ30分かけて、マグマが見えるほどの垂直の穴です。
 あの山は活火山です。
 山頂の岩の押さえがなくなれば、噴火の恐れもありました。
 そのため、九尾 九尾さんたち瑞獣たちは、穴をふさぐために残ったのです」

――◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆――

 狩場の映像に戻る。
 山が、黒い欠片となって巻き上がる。
 岩を切り、並べた階段が、巻き添えになって砕けた。
 人がいなかったのは、本当に幸運だよ。

 ショックダイルの振動波は、本当にすさまじい。
 それに巻き込まれた味方がいなかったのは良かった。
 ホクシン・フォクシスは2機づつ左右に分かれて、私はそのうちの2機と一緒に走った。
 あっという間に置いていかれたよ。
 振動波の破壊は、私たちを追い立てるために急激に方向を変える。
 まるで機関銃のSの字掃射だね。
 私はもう一度、ウイークエンダーをジャンプさせた。
 準備しておいた背中のコンテナ。120ミリ連装滑空砲を今度こそ放つ!
 爆炎はショックダイルのアゴに2つ、たじろがせる!
 岩が砕けるのが、止まる。
『よっしゃ。ここからは任せて!』
 朱墨が言った。
『全機、接近戦、開始!』
『『『了解!』』』
 そして、ここからが見せ場なの。

――◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆――

「4機の北辰が加速します。
 その足に、ご注目ください」
 加速が始まる。
 足は青い光が炎のように揺らめいて宿る。
 その走りは、足で踏みだす走りじゃない。
 上下の振動がなくなった。
 スキーやスノーボードのように、滑る動き。
「通称、鬼火。化学元素調整装置です。
 空気の元素、この場合はもっとも多い成分のチッ素、の形づくる力を調整しています。
 今は空気の靴をはいて、地面から浮いて滑っているような状態です」
 鬼火は、その際に発生する青い力場から、異星人のメーカーが付けた商品名。
 ちょっと怖いわね。
 北極星の呼び名の1つ北辰といい、日本の文化に合わせたんだろうけど。
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