緊急! 超獣鋼猟 ウイークエンダー・ラビット ~パーフェクト朱墨の山~

リューガ

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50.スラッグヴォンズ

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 まず、アーリンくんがたのんだのは。
「レターセットを、もらっていいですか?」
 武志さんが「はい」と速答して、店のすみにあるテーブルへとりにいった。
 となりにはポストもあるよ。
 まったく使ったことないけど、この店のセットは達美さんこだわりの一式なの。
 持ってこられたのは、便せんと万年筆。
 便せんは白地に線の入っただけのシンプルなものだけど、インクが染みにくい。
 万年筆も書き心地バツグンの高級品らしいよ。
 本来は、ここに藤の花が書かれた封筒がつくの。
 暗号世界ではインターネットや電話がなくても、不思議じゃないの。
 にたようなのがあっても、規格が違ってつながらない。
 人の手から手へ運ばれる手紙が、一番確実にとどくんだよ。
 
 アーリンくんはお礼を言って受け取った。
 そして便せんを広げ、ペンを手にする。
「僕は、この世界の核兵器は大陸にしかないとにらんでいます」
 デリケートな問題きたな! 
 ・・・・・・こらえる。
 みんな、今度は無言だった。
「その根拠だと思うのは、スラッグヴォンズというハンターです」
 万年筆をはしらせる。
 そこに描かれたのは・・・・・・。
 なんだかわからないぐにゃぐにゃの線だった。
「201X年に太平洋の静岡県沖に出現したこれは、一目散に上陸。
 真っ先に原子力発電所を襲い、放射性物質を食べつくしました。
 その後、自衛隊の攻撃をものともせず東京へ向かいます」
 これ、地図なの?
 それとも、スラッグヴォンズ?
 どっちだか分からないや。
 他のみんなは、困惑の表情を浮かべてる。
 よかった。私だけじゃない。
「東京からは、列島を縦断しました。
 その後はーー」

『スラッグヴォンズは、201X年5月14日に太平洋側、福島県沖から出現した大型怪獣です』
 割り込んできた声は、デジタル緞帳だ。 
 そこに写されたのは、灰色のゆがんだ景色。
 嵐にさらされた、沿岸の町だった。
「あいまいなのは、嫌いなの」
 達美さんだ。
「達美ちゃん・・・・・・」
 恋人に心苦しそうに言われて、達美さんは。
「考えるののジャマはしないよ」
 まあ、よかったと思う。
 朱墨ちゃんは映像を見て、驚いていた。
 何の話をしてたかがわかったんだ。
 
 怪獣は、ハテノ市以外でも出現する。
 数は少ないけどね。
 そのときは、自然発生する大きな力がポルタの役割をすることがあるの。 
 嵐とか。

 沿岸部を写す監視カメラの映像に、海が盛り上がる。
 波しぶきをあげて、黒みがかった青い巨体が現れる。
 そそり立つ二本の塔のようなもの。
 あの先には、一つづつ目がある。
 西洋のヨロイ兜、クローズドヘルム、だったっけ?
 目の部分がはね上がる兜。
 それを思わせるマブタをもつ、目だよ。
 全身が、そんなヨロイを思わせるウロコでおおわれてる。
 その目をのせた胴体は、太く後ろに伸びている。
 その姿は確かにスラッグ(ナメクジ)を思わせる。
 だけど。
『ゴャオーン!!』
 目の下には、口がある。
『ゴオーン!!』
 鋭い牙がならび、上下に開く獣の口が。
 海から上がり、あわてて息を吸ったからかな。
『ゴャオーン!!』
 激しい叫びを続ける。
胴体を支えるのは、ゾウのような四本の足。
 たちまち、進行方向の家をなぎ払う!
 なぐさめがあるのは、この上陸が察知されていて、すでに避難が終わっていること。
 それだけ。
 胴体の後ろから、二本のしっぽが現れる。
 ヴォン、ヴォンと、激しく振り回されている。
 その音が複数あるから、ヴォンに複数なのを示すズをつけて、ヴォンズ。
 そのしっぽの先から、鋭く撒き散らされるものがあった。
 スラッグの意味は、ナメクジだけじゃないの。
 散弾、銃で撃つと、細かい弾がいくつも飛びだし、広範囲に破壊をもたらす。
 それもスラッグと言う。
 家が、町が、次々に打ち砕かれていく!
 全長89メートル。体重70000トン。
 それが悲劇の始まりだった。
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