緊急! 超獣鋼猟 ウイークエンダー・ラビット ~パーフェクト朱墨の山~

リューガ

文字の大きさ
84 / 124

84.ドロ試合の予感

しおりを挟む
 雨の空がかき回される。
 黒い炎の巨人が宙を舞うから。
 失った腰からロケットのように黒い火を吐きながら。
 前から見ると1つ目に、頭の左右にもついたは、丸い窓、のような目は無表情のままだよ。
 その牙のならんだ口からは、雨にも雷にも負けず。
「うわあああ!!! 」
 困惑の叫びを、数秒遅れでひびかせる。
 そのままの勢いで落下するのは嫌なのか。
 絶妙のバランスで炎を地面に向けている。
 良い腕だって思うよ。
「当分、落ちてくることはないでしょう」
 はーちゃんがAIらしからぬアバウトな説明をした。
 いえ、それは偏見かもしれないな。

 それにしても、あの巨人。
 なんと言うか、実用的な知識を持ってない感じ?
 彼らを鍛えた、閻魔 文華。
 いえ、鍛えたと言えるのかな?
 はーちゃんを送り込んだのは、閻魔 文華。
 だけど、こん棒エンジェルスたちは、閻魔 文華を探せと言う。
 どうも、はっきりわからない。
 そんな曖昧なもののために、みんなが苦しんでる。
 怖くて、腹が立って、身も凍る。

『凍ってないで、自力で降りてくれない? 』
 背中から、今は下になってる部分から声をかけられた。
 真脇 達美さんの声だ。
 灰色のスリムな人型ロボット、七星が、2機がかりで横倒しになったウイークエンダーを支えてくれる。
 ウイークエンダーは足を黒い魔法炎にいれたまま。
 これは珍しい状態だといえるかも。 
 ウイークエンダーの身長は50メートル。
 七星の人型形態は20メートル。
「はい」
 ・・・・・・恥ずかしくなった私は、背中がわに手をついた。
 川の水位が、上がってた。
 待てよ、この水って。
『君のキャプチャーが塞き止めたんだよ。
 早く水を流さないと、あふれでちゃう! 』
 鷲矢 武志さんに慌てて言われた。

 そうか。
 さっきこん棒エンジェルスのせいで流れ込んだ海水は、大分流れきったと思う。
 けど、このままじゃ二の舞だよ。
 急がないと!
 
 そう言えば、ここから海まで10キロメートルはあるんだ。
 そこまで、こん棒エンジェルスのポルタはフラフラ飛んでいったんだ。
 そんなドジにテンヤワンヤされたと思うと、余計イライラしてくる。

『お姉ちゃん、手を上げて! 』
 言われた通り、両手を空に上げる。
 そしたら、手をつかまれて、スゴく大きな力で持ち上げられた。
「みつき! 」
 安菜が気づいた。
 さしのべられた、白い大きな腕に。
 ディメンション・フルムーンに引き上げられる。
「あんた、こん棒エンジェルスはどうしたの?! 」
 そう、あのしがみついていた大群!
 それが知りたい!
『なんとか、ちぎっては投げしてきた。
 戦いは決した、というのかな? 』

 振り向けば、七星くらいの大きさの黒い巨人が、倒れこんだまま山積みになっていた。
 
 ディメンションがウイークエンダーを川辺におく。
 大人が小さい子を運びあげるように。
「ありがと」

 草が切り揃えられて、大きめの駐車場が整備された、河川敷の公園だよ。

 見れば、2機の七星も背中にぶら下がっていた。
 川の勢いは、ただ立ってるだけの七星を押し流すほどになったんだ。
「キャプチャーを消すよ。
 その前に、警告ってだせますか? 」
『市が協力してくれるけど、時間かかるよ」
 達美さんの言う通りだろう。
 でも、おねがいします。
『キャプチャーと言っても、意味がわからないだろうね。
 土砂くずれで川がふさがって、それをずらさないと町がしずむ。とつたえるよ』
 そういう気の使い方もあるんだ。
「いきなりキャプチャーを消す選択肢はないでしょう。
 おねがいします」
『・・・・・・よし、つたえた。
 ところで、機体の方は良いの? 』
「火器はなくなりましたが、機体は大丈夫です。
 だいぶ痛めつけられたはずなんですけど。
 これがMCOの能力なんでしょうか」
 ありがたいと思った。

 だけどね、今まで無能力者のパイロットとして働いていた身としてはね。
 今まで一緒だと思ってたパイロット仲間はそれなりにいる。
 そんなみんなとの間に、壁とか格差ができるとか、変化が起こりそう。
 それが、不安な気持ちにさせる。

 いえ、今はそれどころじゃない。
 ここは落ち着いてきたけど。
 街は、まだ襲われてる最中なんだ。
「みつき、急速充電をおねがい! 」
 背中のソケットを開くと、ディメンションの右手が差し込まれる。
 バッテリーの電力が一気に満ちてきた。

 でも、焦りがつのる。
 目の前に広がるのは、住宅街。
 そのなかに目立つ白いビル、病院だってあるんだよ。
 ほっとけない。

「その心配は、すこしへりそう」
 安菜が気づいた。
「ボルケーナ先輩が来てる。
 上に! 」 

 空では、相変わらず巨人の上半身が
さ迷っている。
 そのさらに上から、赤と白の巨影が雲を貫いて襲い掛かった。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。 不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。 14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

処理中です...