異世界帰りの彼は、1500キロのストレートが投げられるようになった野球魔人。どうやら甲子園5連覇をめざすようです。

閃幽零

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なるほど

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 あの日あったことの説明を受けた古宮は、

「ふふ……なるほどね。初見で、あなたが全力投球にビビっていることに気づくなんて、流石だわ。しかも、それだけでは飽き足らず、その瞬間的精神萎縮を瞬殺で矯正させるなんて。選手としてだけではなく、コーチ・監督としてもすぐれる。さすがは、田中東志。本当にすごい人ね」

(知識には脱帽するが、しかし、そのほかに関しては、パンピーレベルだろ。……確かに、宣言通りに打たれはした。それは驚くべき結果。しかし、あれは、コースと球種を誘導されたから。どこにどんな球がくるかわかっていれば、最低限のバットコントロールと少しの運だけでも、あの結果を出すことは不可能じゃない)

「で、その田中くんは?」

「ブルペンで、いつもの二人と調整しているそうだ」

「調整?」

 ★

「とりあえず、今日から、ツカムにも投手調整してもらう」

「ぴよぴよ(あなたと三分だけではダメだということ?)」

「まあ、そういうこっちゃ。てか、単純に、高校野球で投手二人はありえん。初戦負け上等のチームなら、二人でも十分やけど、ウチは五連覇せなあかんから、最低でも三人はいる。てか、ほんまは、それでも少なすぎんねんけど、さすがに、ウチみたいなチームに、まともな投手が三人以上おるんはおかしいからな」

「で、僕はどういうピッチングをすればいいんですか?」

「とりあえず、球速調整は必須。140以下の球を投げられるように調整しとってくれ。基本的に、お前の出番はセットアッパーで、使う魔球は、幻覚系が基本となる。最悪、メタル系の魔球で相手の投手の腕をへし折ることも視野に――」

「僕、幻覚系もメタル系も投げられませんけど」

「は?」

「というか、魔球はミラージュファイアとシャドウジャイロくらいしか投げられません」

「はぁ? なんや、それ……え、ちなみに、ホウマ、お前は?」

「ぴよぴよ(私も、魔球なんてほとんど投げらないわ。ミラージュファイアとナイトメアライズくらいかな。カオスカーブは二段階で投げられるけれど、コントロールはできない)」

「えぇ……マジで? えぇ……」

「トウシくん、まさか、野手特化の魔人も魔球全部投げられると思っていたんですか?」

「キレはともかく、投げるだけやったら、二人とも、全球種余裕やとおもとった……うわぁ、あかん……調整しなおしや……メタル・幻覚・支配の魔球を投げられんのはきっついなぁ……」

 頭を抱えながら、

「ツカム、お前、どうにか、練習して、ドミネートナックルぐらい投げれるようになれへんかな?」

「魔人は練習無意味って言っていませんでしたっけ?」

「あぁ、そうやったぁ! あー、もー、なんやねん。なんで、こんな、うまくいかんかなぁ、なんもかんも……うーん……あーん……じゃ、じゃあ……えっと……あー、もー、くそ、こうなったら、しゃぁない――」
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