異世界転生はもう飽きた。100回転生した結果、レベル10兆になった俺が神を殺す話

閃幽零

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ズラっと並べられたチートと『オマケ』

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しばらくメソメソしていたシグレだったが、




「もうええわ……同級生にバレたとかやったら、首をくくるしかないけど……どうせ、相手は神様やし……」







 ふっきれた顔で、センの目を見て、







「それより、さっきの、神様の反応から察するに、あたしってマジで最大値だしたん?」 







「ぇ……ぁ、ああ……ん~……ああ、うん、そうだな」







 ハッキリ言えば違うのだが、説明するのが面倒くさかったので、

 センは、シグレの言葉をテキトーに肯定した。







「おぉ、やっばぁ。なぁ、すごない? 確率で言うたら、18兆分の1とかやろ? ほんま、あたし、すごない? 今、あたし、自分で自分に引いてる!」




 はしゃいでいるシグレを横目に、センは、




(こいつの異常性はどうかしている……俺を見通す目、第一アルファ人でありながら異常に低いステータス……そして、Dアイデンティティに干渉した『何か』……)




 考えてみる。

 この女の正体。

 いったい、何者なのか。




(……ちっ。際立っているのは異常性ばかりで、解読するヒントは何もねぇ……ウッゼェなぁ。……そもそも、俺は、こういう謎解きが好きじゃねぇんだよ……)




 センは、苦い顔で舌を打ち、




(ヒントはないが、カギはある……この女の存在自体がカギ。……ナメられたままで終わるつもりはねぇ。俺にケンカを売ってきたんだ。きっちりとツケを払わせてやる。そのためにも……こいつは泳がせておく必要があるな)




 決断すると、




「シグレ。左手を出せ」




「ぇ……ぅん、はい」




 少しだけ逡巡したあと、しかし素直に差し出してきた左手に、センは己の右手をかざして、




「恩恵、ランク1000……《魔解体》レンタルギフト」




 シグレの手がパアっと淡く光った。

 直後、全ての指にサイズピッタリの指輪がハマっていた。

 どれも、宝石などはついていない、リングだけの簡素なタイプ。




「20ミリオンスライムと、スリーピース・カースソルジャーと、ウイング・ケルベロスゼロ(EW)の召喚が出来るようになる指輪。そして、浄化・武装魔化(ただの服や武器に魔法効果を付与できる)・言語取得・アイテムボックスなどの便利魔法が使えるようになる指輪。――最後のもうひとつは、オマケだ。レベル20になったら使えるようにしてある」




「おぉ! 気前ええなぁ。で、どんなオマケなん?」




「秘密だ。自分で確かめろ」




「焦らすなぁ。まあ、ええわ。レベル20とか、すぐに行ける感じの数字やし」




「あとはカネ、この世界の金貨98枚」




 『ラムドが所持していた金貨』の全てをそのまま渡すと、




「これ聞きたかったんやけど、この中途半端な数字なんなん? あと、借金の場合は一万枚やのに、もらえるんは98枚ってどういう事?」




「お前にやった指輪は、どれも、金貨一万なんて次元じゃない価値がある。正確に言えば、『七つ』ほど国が買える。98って数字は、単に手持ちがそれしかなかったからだ。他意はない」




「常時ポケットに百万円をしのばせとる神様……スゴいんかスゴくないんか、イマイチよぉ分からんな」




「それと、こいつだ。第三の眼鏡」




「これも、ほんまは質問したかってん。これ、どういうメガネ?」




 受け取ったのは、シャープなスクエア型のメガネ。

 セルフレームのナイロールで非常に軽い。




「サードアイというスキルが使えるようになる魔道具だ。簡単に言えばアナログなスカウターだな」




「なるほど。数値で見えるわけやないけど、相手の強さとかが分かるってことやね。もしかして、これだけでも結構なチート?」




「サードアイを使えるヤツの割合は、日本における国立大卒と同じくらいだと考えると理解がしやすい」




「頑張らな使えんけど、使えるヤツは結構おるってこと?」




「そうだな。そして、もちろん、東大理Ⅲとそれ以外では大きな差があるように、同じサードアイでも、練度によって性能が大きく異なる。お前にやった第三の眼鏡は、俺が今、この場で創った。即席とはいえ、この俺作の魔道具。当然、最高クラスの練度で使えるようにしてある」




「おぉ。つまり、今のあたしは、東大理Ⅲ卒の看板を背負ったみたいなもんなんやな? きた。メインエリートきた。これで勝つる」




「もちろん、その精度の魔道具にしてやったのは最高値を出したからだ。流石に、102なんか出る訳がないと思ったから、最高値のギフト設定は色々とハメを外しちまった。……不可解な点はあるが、ルールはルールだ。最初に決めた報酬をそのままくれてやる」




「不可解?」




「気にするな。こっちの話だ」




「ふーん、まあええけど」




「ついでに忠告しておいてやる。サードアイを信用しすぎるな。存在値……レベルの高いヤツは、大概、サードアイを騙すためのスキル、フェイクオーラってのが使える。第三の眼鏡なら、この世界に存在する『大概のヤツ』のフェイクオーラを見通せるが、幾人か、サードアイでは見通せないヤツもいる」




「フェイクオーラかぁ……それが使えるようになるアイテムはもらえんの?」




「お前にくれてやったモノには、金貨以外すべて、神でなければ見通せないフェイクオーラがかけられている。自分自身の力は、自分で訓練して隠せ」




「まあ、なんもかんも負んぶに抱っこって訳にもいかんわな」




 そこで、シグレは、第三の眼鏡を装着し、自分のモノになった指輪を眺めながら、




「……ふふ」




 と、笑みをこぼす。




「夢みたいや……異世界にこられて……チートもゲット……こっから、あたしの物語が、はじまるんやな」

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