異世界転生はもう飽きた。100回転生した結果、レベル10兆になった俺が神を殺す話

閃幽零

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ロリコン疑惑

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ハルスは、ニーを注視しながら、心の中で、




(しかし、ほんと強ぇな……神獣扱いも頷ける……)




 ボソっとそう呟いてから、シグレの顔に視線を向けて、




(それに引き換え、この女は弱ぇ……とても、これほどの『魔』と契約が結べる召喚士とは思えない……おそらく、自力で契約した訳じゃないな……召喚獣側から選ばれただけの線が濃厚)




 そういう事も、ままある。




 力以外の特別な資質が認められたり、その血族に代々伝わっていたりなどなど、様々な理由で、『高位の召喚獣』が、その存在値にそぐわない者と契約するという事も、ない話ではない。




(ここらじゃ見かけねぇ服装から察するに、フーマーの東方に隠れ住んでいるって噂の希少民族、その上位者の直系ってところか? 東方は、妙な力を持った連中の巣窟だって噂だからなぁ……俺の目では分からない何かを持っている可能性は高い。こいつの妙な喋り方や服装、感じる品位から推測するに、ありそうな線は……『次の長』となる者が、『掟か何か』で力を示さなくてはいけなくなり、『代々伝わる聖獣』を従えて冒険者試験を受けにきた……ってところか? まあ、当たらずとも遠からずってところだろうぜ)




 シグレのバックボーンを予測していると、




「黙ってへんで、そっちも名乗ってや」




 そう言われて、ハルスは、コンマ数秒だけ思案してから、




「……ハルス。魔人」




 簡素に自己紹介をした。




 ハルス・レイアード・セファイルメトスならばともかく、ハルスという名前だけなら、珍しくはない。

 『ハルス』という名は、王族だけが名乗れる特別な名前などではなく、世界中を探せば万単位で見つかる、普通の名前。




「ハルスやな。よろしく。そっちの子は?」




 シグレに問われると、セイラは立ちあがり、




「セイラです。はじめまして。一応、魔法使いです」




「へぇ、ほんま? めっちゃ若いのに、凄いなぁ。もしかして、見た目と違って、実は中身お婆ちゃんとか?」




「ぁ、いえ、普通に十歳です」




「十歳で、魔法とか使えるんや。凄いなぁ。尊敬するわ」




「バカか、てめぇ」




 ハルスから飛んできた言葉に、シグレはピクっと額をひくつかせた。




(……バカ? 初対面の他人に、よぉ、そんなこと言えんな……)




 シグレの心中などおかまいなしに、ハルスは続ける。




「素質さえあれば、二歳のガキでも魔法は使える。大事なのは、どのランクの魔法が使えるか。その点で言えば、このガキはカスだ」




「は、ハルスが凄すぎるだけで、私は、カスじゃないよ」




 ハルスの袖をくいくいと引きながら、不満をあらわにするセイラ。




 ハルスは顔をゆがませて、




「いちいち、さわってくんな。鬱陶しい」




 セイラの腕を払った。










「むぅ~」










 セイラは、さらに不満顔を加速させた。




 その直後、ニっとイタズラな笑顔で微笑んで、




「ハルス、私を抱っこしなさい」




「なっ……」




 セイラの『命令』を受けて、ハルスはビクっと体を震わせる。




「ぬ……て、てめぇ……」




「ハルス、はやく。これは命令」




「……ぐぬぅ……」




 苦い顔を浮かべながら、ハルスは、向かい合う形で、セイラを膝の上にのせて、しっかりと抱きしめた。




「えへへへ」




 ハルスの胸に顔をうずめて、嬉しそうに微笑むセイラ。




「……何がしたいんだ、クソが……つぅか、もういいだろ、降りろ、セイラ」




「短い……もっと」




「なんなんだ、てめぇは。秒単位でウザくなっていきやがってぇ……ぁあ、殺してぇ……殺して自由になりてぇ……昨日までの俺に対する嫉妬が止まらねぇ……なんで、こんな事になっちまったんだ……」




 その二人の姿を見て、シグレが、




「もしかして、ロリコ……」




 と言いかけたその瞬間、ハルスから、尋常じゃない殺気が飛んできた。




「それを口にしたら戦争だ……本気で敵と認定する」







「恐ぁ……ちょっと確認しようとしただけやん。そんなキレんなや、なんやねん」




 シグレは、少しイラついた顔で、しかし、一応、低姿勢で、




「わかった、わかった。別におちょくったりせぇへんから、睨むんやめてぇや」







「二度とナメた口をきくな。詮索もするな。俺がここにいる理由、このガキを守っている理由、その他、何もかも、俺に関する情報を得ようとするな。この条件をのむなら、雇われてやる。分かったら、返事しろや、クソアマ」




「……」




 プチっと、静かに、切れる音がした。




 シグレは、グっと前に身をのりだして、




「理由は聞かん。あんたの態度から、ロリコンって訳でもないんやろう。もろもろ、興味ないって訳やないけど、聞かれたくない言うなら聞かん。けどなぁ、それは人としてのマナー。人間関係で当然の事……別に、それを守るんは、あたしにとって礼儀の一つ。けど、事実として、あんたは、あたしに、それを要求した。……ほな、あんたもそれにならえや」




 キっと睨みつけて、




「おどれ、ずっと、態度、おかしいやろ。なんやねん、クソアマて。それが、雇用主に対する態度か、ボケぇ。へりくだれとは言わんけど、今のあんたは、既に、あたしにメシを食わせてもらっとる立場やど。キャラでやっとんか素なんか知らんけど、最低限の態度っちゅうもんがあるやろ。雇われてやる、やと? この状況で言えるセリフか? ぁあ? ちょっとは考えてモノ喋れや」

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