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愚直で迂遠な自己紹介
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「……」
ユンドラは、黙って耳を傾けていた。
ぐうの音もでなかった。
言い訳なら、いくらでも浮かぶのだが、だからこそ、口を開く事ができなかった。
「もし説教に聞こえたなら、認識を改めてくれよ。俺は、『他人に教えを説く』なんていう『損しかしないようなマネ』は絶対にしない。今のはただの一般論さ。『生き物ってバカだよねぇ』くらい言ってもいいだろ?」
センは、滔々と、
「ユンドラ・エルドラド。ここから出たいんだろ? なら、抗ってみたらどうだ? 言っておくが、俺はお前を助けはしない。人は勝手に助かるだけ、とかそんな話じゃないぞ。俺は、どんな時でも、他者の問題に対して、過剰な手出しはしないと決めているってだけの話。面白半分で手を出す事はあるけどな」
文章にしたら最悪だな、俺――と、小さく呟いてから、
「もしかしたら、これは、千載一遇にして、唯一最後のチャンスかもしれないぞ。もちろん、俺はお前に対して、『運命に抗え』なんてカッコイー言葉を使うつもりはない。別に教唆するつもりも命令するつもりも毛頭ない――が、」
「……」
「望むなら、アダムの力を貸してやる。俺自身が何かをすることはないが、すでに闘っているアダムの意識を少し弄るくらいの事ならしてやる。それならば、面白半分の範疇だからな。俺が命令すれば、アダムは死力を尽くして、お前のサポートをするだろう。後はお前の努力しだいになる。どうする? 自由に決めな」
「二つ聞いていいかしら」
「よくばりさんだな。で?」
「まず、一つ……彼女とあなたの関係は? なぜ、あなたは、あれほどの強者に命令ができるの? ワタシはセブンスアイという目を持っている。同等である彼女の力は見えなかったけれど、あなたなら全てを見通せる。あなたは弱い。なんの力も持たない凡人。……なのに、なぜ、彼女を――」
「惚れた方の負けだから。ほら、俺っていい男だろ? アダムがメスで良かったぜ。おかげで、あれだけの力を使役する事ができた」
「……」
「何か言いたげな目だな。文句があるなら聞こうじゃないか」
ユンドラは、その何か言いたげな目を、閉じる事でおさえつけた。
スゥっと息を吸って、
「確かに、彼女が全力で力を貸してくれるのならば……可能性はあるのかもしれない。彼女の強さは異常。あの強さがあれば、もしかしたら……本当に……共に力を出し切って闘えば、アレを破壊できるかもしれない」
ユンドラは、目を開けて、センを見る。
「二つ目の質問よ……なぜ、彼女の力を貸してくれるの?」
「面白半分の内訳が聞きたいって? 答えてもいいんだが、まずはお前の意見を聞かせてくれや。なぜだと思う? ……ああ、ちなみに、これは、ごまかすために質問に質問で返している訳じゃないぜ。お前がどう思っているかが分かっていないと答えられない質問を、お前が俺に投げかけたってだけの話さ」
「……ワタシを助けたいから……ではないわよね? 自分でもさっきそう言っていたし」
「もちろんだ。この行動は、決して高尚な正義感なんかじゃない。俺は、少年マンガやラノベの主人公じゃないんでね。たとえ、面白半分であろうと、俺に救ってもらえるのは、畢竟、俺の役に立てるヤツだけさ。『可哀そう』という理由で動くほど、俺は狂っちゃいない。『偽善は必要悪』だから嫌いじゃないし、場合によっちゃあ尊いとすら思う――が、残念ながら、俺の趣味じゃない」
「……見事な自己紹介ね。あなたの人となりが、よく理解できたわ」
(ラノベにも無反応……どうやら、興味ない単語はスルーしていくスタイルっぽいな。状況が状況ってだけの話かもしれんが、どっちにしろ、こうなりゃ、探りの会話は意味をなさねぇ。ま、つまるところ……しゃーねぇって事で)
「で、対価として、ワタシに何を要求するつもり?」
センは、ニっと微笑んで、
「お前にインプットされている『情報』ってのが欲しい。ここを出たら、お前の全てを俺によこせ」
「……」
「代わりに、アレを殺せる可能性をくれてやる。拒絶したいなら、別にそれでも構わねぇよ。俺はさほど困らない」
そう言いながらも、心の中では、
(俺も大概めんどうくさい性格しているよなぁ……)
と、つぶやいていた。
ユンドラは、黙って耳を傾けていた。
ぐうの音もでなかった。
言い訳なら、いくらでも浮かぶのだが、だからこそ、口を開く事ができなかった。
「もし説教に聞こえたなら、認識を改めてくれよ。俺は、『他人に教えを説く』なんていう『損しかしないようなマネ』は絶対にしない。今のはただの一般論さ。『生き物ってバカだよねぇ』くらい言ってもいいだろ?」
センは、滔々と、
「ユンドラ・エルドラド。ここから出たいんだろ? なら、抗ってみたらどうだ? 言っておくが、俺はお前を助けはしない。人は勝手に助かるだけ、とかそんな話じゃないぞ。俺は、どんな時でも、他者の問題に対して、過剰な手出しはしないと決めているってだけの話。面白半分で手を出す事はあるけどな」
文章にしたら最悪だな、俺――と、小さく呟いてから、
「もしかしたら、これは、千載一遇にして、唯一最後のチャンスかもしれないぞ。もちろん、俺はお前に対して、『運命に抗え』なんてカッコイー言葉を使うつもりはない。別に教唆するつもりも命令するつもりも毛頭ない――が、」
「……」
「望むなら、アダムの力を貸してやる。俺自身が何かをすることはないが、すでに闘っているアダムの意識を少し弄るくらいの事ならしてやる。それならば、面白半分の範疇だからな。俺が命令すれば、アダムは死力を尽くして、お前のサポートをするだろう。後はお前の努力しだいになる。どうする? 自由に決めな」
「二つ聞いていいかしら」
「よくばりさんだな。で?」
「まず、一つ……彼女とあなたの関係は? なぜ、あなたは、あれほどの強者に命令ができるの? ワタシはセブンスアイという目を持っている。同等である彼女の力は見えなかったけれど、あなたなら全てを見通せる。あなたは弱い。なんの力も持たない凡人。……なのに、なぜ、彼女を――」
「惚れた方の負けだから。ほら、俺っていい男だろ? アダムがメスで良かったぜ。おかげで、あれだけの力を使役する事ができた」
「……」
「何か言いたげな目だな。文句があるなら聞こうじゃないか」
ユンドラは、その何か言いたげな目を、閉じる事でおさえつけた。
スゥっと息を吸って、
「確かに、彼女が全力で力を貸してくれるのならば……可能性はあるのかもしれない。彼女の強さは異常。あの強さがあれば、もしかしたら……本当に……共に力を出し切って闘えば、アレを破壊できるかもしれない」
ユンドラは、目を開けて、センを見る。
「二つ目の質問よ……なぜ、彼女の力を貸してくれるの?」
「面白半分の内訳が聞きたいって? 答えてもいいんだが、まずはお前の意見を聞かせてくれや。なぜだと思う? ……ああ、ちなみに、これは、ごまかすために質問に質問で返している訳じゃないぜ。お前がどう思っているかが分かっていないと答えられない質問を、お前が俺に投げかけたってだけの話さ」
「……ワタシを助けたいから……ではないわよね? 自分でもさっきそう言っていたし」
「もちろんだ。この行動は、決して高尚な正義感なんかじゃない。俺は、少年マンガやラノベの主人公じゃないんでね。たとえ、面白半分であろうと、俺に救ってもらえるのは、畢竟、俺の役に立てるヤツだけさ。『可哀そう』という理由で動くほど、俺は狂っちゃいない。『偽善は必要悪』だから嫌いじゃないし、場合によっちゃあ尊いとすら思う――が、残念ながら、俺の趣味じゃない」
「……見事な自己紹介ね。あなたの人となりが、よく理解できたわ」
(ラノベにも無反応……どうやら、興味ない単語はスルーしていくスタイルっぽいな。状況が状況ってだけの話かもしれんが、どっちにしろ、こうなりゃ、探りの会話は意味をなさねぇ。ま、つまるところ……しゃーねぇって事で)
「で、対価として、ワタシに何を要求するつもり?」
センは、ニっと微笑んで、
「お前にインプットされている『情報』ってのが欲しい。ここを出たら、お前の全てを俺によこせ」
「……」
「代わりに、アレを殺せる可能性をくれてやる。拒絶したいなら、別にそれでも構わねぇよ。俺はさほど困らない」
そう言いながらも、心の中では、
(俺も大概めんどうくさい性格しているよなぁ……)
と、つぶやいていた。
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*投稿周期は基本的には不定期です、3日に1度を目安にやりたいと思いますので生暖かく見守って下さい
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