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オーラドール・アバターラ
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センは、ズンズンと、肩を揺らして歩く。
優雅さのかけらもない、怒りが滲み出ている歩みで、サイケルの目の前まで歩を進めると、
「あれだけ偉そうに守ると宣言していたのに、目の前でむざむざ殺されて……いやぁ、焦ったわ……一瞬……本当に一瞬だけだったが、頭が真っ白になった…………いやぁ、はは……本当に……おそれいった」
「そこのゴミ、何をブツブツ言っている? 私の偉大さに触れて、頭がおかしくなってしまったか? さもありなん。私の後光は、虫ケラの目にはいささか強すぎる」
(さて、アダムのコアオーラの回収方法だが……うーん、これはウゼェなぁ……キッチリ、同化しちまっているじゃねぇか。流石に、これを分解するのは少し時間がかかるな……混じってもいいなら一瞬でいけるんだが……アダムは、完全な状態で回収したい。……こういう、細かい作業は苦手なんだが……んなこと、言ってらんねぇわなぁ)
「貴様も頭が高い。理解できぬであろうが、私は神。完成した命。最強にして至上の個。これより『全て』になるもの。つまりは――」
「最強ねぇ」
センは、サイケルの発言を遮って、
「まあ、最強っちゃあ最強か……にしては、少し耀きすぎているような気がするが」
「神が輝くのは当たり前の事。貴様は何を言っている。本当に頭がおかしくなったのか? ならば、相手にする価値はなし」
「一つ、聞いていいか、サイなんとか」
センは、返事を待たずに、
「お前には、俺がどう見える?」
「無能」
「そうかい。……これならどうだ?」
そこで、センは、右手の中に、二枚の札を具現化させる。
一枚には杯が、もう一枚には桜が描かれている小さな札。
その二枚の札を天に放り投げながら、
「……花見で一杯」
宣言すると、二枚の札は空中で、無数のハナビラとなって、ヒラヒラと幻想的に舞い落ちる。
と同時に、
「――ほう」
サイケルは、ユンドラの首から手を放した。
足下で、ユンドラがゲホゲホ言っているが、既にそんなもの眼中にはない。
サイケルは、正式に、センへと意識を向ける。
正確に言うと、センの横に現れた、もう一人のセンに。
センの横に出現した、もう一人のセン。
その『センB』は、強大なオーラを発していた。
「驚いたな。単なるアダムの下男かと思ったが……どうやら、ただのカスではないらしい」
(アダムを奪っておきながら、アダムの知識はなし……か。身のこなしから察するに、戦闘力もかなりお粗末……おそらく、奪ったのはステータスだけ……典型的な愚行……アホ確定)
「凶悪な能力じゃないか。分身とは違うな。特殊なオーラドール……ふふ、分からないな。『花見で一杯』……だったか? 知らない力。……許可してやる。説明しろ。それは、どういう力だ?」
「説明ねぇ……」
センは、現世に降りた際、自動で、無数の制限がかかるように己に縛りをかけている(どうあがいても制限する事ができない力も多々あるため、ぶっちゃけ、あまり意味はないのだが)。
それらを部分的に解除するシステムが、この『朧華札』。
『花見で一杯』によって解除される縛りは、『アバターラの使用』。
「そうだな……なんて言ったらいいか……俺の努力の結晶……かな?」
「ふっ……」
サイケルは薄く笑って、
「まさか届くと思っているのか? ふふ、そうであろうな。そうでなければ詳細は隠すまい。貴様は、その、必死に磨いてきた力が、私に届くと勘違いしている。だから、当然、タネは明かさない。愚かしい事だ」
サイケルは、全身に魔力を送り込みながら、
「たしかに、凄まじい力。アダムですら及ばない狂気の力。見事と言ってやろう。――しかし、しかしだ! 教えてやろう。神の前では、全てが児戯であると」
『オーラドール・アバターラ』
オーラドールの上位互換。
七割性能の自分を最大で20体出現させる事ができる。
ステータスは七割だが、『戦闘力』は五割以下になってしまうので、実質的な強さは、本体の六割弱といったところ。
他の神が使用するオーラドール・アバターラでは、もっとゴミみたいな人形を10体までしか作れない。
神からすれば、使い物にならない『ハズレ技』だが、『オプションの数にモノをいわす闘い方』が大好きなセンは、途方もない執念を原動力に、並はずれた努力を積んで、アバターラの力を極限まで底上げさせる事に成功した。
数百年単位で修行した結果、センのアバターラは、
究極超神を相手に、なんと、『6秒』も持つほどの力を得たのだ!!
余談だが、センは、かつて、知り合いの究極超神相手に、アバターラをフルで投入し、
サックサク殺される様を目の当たりにして心折れ、普通に泣いた事がある。
『ダメだ……どんだけ鍛えても、究極超神同士の闘いでは使い物にならねぇ……ひどぅい』
優雅さのかけらもない、怒りが滲み出ている歩みで、サイケルの目の前まで歩を進めると、
「あれだけ偉そうに守ると宣言していたのに、目の前でむざむざ殺されて……いやぁ、焦ったわ……一瞬……本当に一瞬だけだったが、頭が真っ白になった…………いやぁ、はは……本当に……おそれいった」
「そこのゴミ、何をブツブツ言っている? 私の偉大さに触れて、頭がおかしくなってしまったか? さもありなん。私の後光は、虫ケラの目にはいささか強すぎる」
(さて、アダムのコアオーラの回収方法だが……うーん、これはウゼェなぁ……キッチリ、同化しちまっているじゃねぇか。流石に、これを分解するのは少し時間がかかるな……混じってもいいなら一瞬でいけるんだが……アダムは、完全な状態で回収したい。……こういう、細かい作業は苦手なんだが……んなこと、言ってらんねぇわなぁ)
「貴様も頭が高い。理解できぬであろうが、私は神。完成した命。最強にして至上の個。これより『全て』になるもの。つまりは――」
「最強ねぇ」
センは、サイケルの発言を遮って、
「まあ、最強っちゃあ最強か……にしては、少し耀きすぎているような気がするが」
「神が輝くのは当たり前の事。貴様は何を言っている。本当に頭がおかしくなったのか? ならば、相手にする価値はなし」
「一つ、聞いていいか、サイなんとか」
センは、返事を待たずに、
「お前には、俺がどう見える?」
「無能」
「そうかい。……これならどうだ?」
そこで、センは、右手の中に、二枚の札を具現化させる。
一枚には杯が、もう一枚には桜が描かれている小さな札。
その二枚の札を天に放り投げながら、
「……花見で一杯」
宣言すると、二枚の札は空中で、無数のハナビラとなって、ヒラヒラと幻想的に舞い落ちる。
と同時に、
「――ほう」
サイケルは、ユンドラの首から手を放した。
足下で、ユンドラがゲホゲホ言っているが、既にそんなもの眼中にはない。
サイケルは、正式に、センへと意識を向ける。
正確に言うと、センの横に現れた、もう一人のセンに。
センの横に出現した、もう一人のセン。
その『センB』は、強大なオーラを発していた。
「驚いたな。単なるアダムの下男かと思ったが……どうやら、ただのカスではないらしい」
(アダムを奪っておきながら、アダムの知識はなし……か。身のこなしから察するに、戦闘力もかなりお粗末……おそらく、奪ったのはステータスだけ……典型的な愚行……アホ確定)
「凶悪な能力じゃないか。分身とは違うな。特殊なオーラドール……ふふ、分からないな。『花見で一杯』……だったか? 知らない力。……許可してやる。説明しろ。それは、どういう力だ?」
「説明ねぇ……」
センは、現世に降りた際、自動で、無数の制限がかかるように己に縛りをかけている(どうあがいても制限する事ができない力も多々あるため、ぶっちゃけ、あまり意味はないのだが)。
それらを部分的に解除するシステムが、この『朧華札』。
『花見で一杯』によって解除される縛りは、『アバターラの使用』。
「そうだな……なんて言ったらいいか……俺の努力の結晶……かな?」
「ふっ……」
サイケルは薄く笑って、
「まさか届くと思っているのか? ふふ、そうであろうな。そうでなければ詳細は隠すまい。貴様は、その、必死に磨いてきた力が、私に届くと勘違いしている。だから、当然、タネは明かさない。愚かしい事だ」
サイケルは、全身に魔力を送り込みながら、
「たしかに、凄まじい力。アダムですら及ばない狂気の力。見事と言ってやろう。――しかし、しかしだ! 教えてやろう。神の前では、全てが児戯であると」
『オーラドール・アバターラ』
オーラドールの上位互換。
七割性能の自分を最大で20体出現させる事ができる。
ステータスは七割だが、『戦闘力』は五割以下になってしまうので、実質的な強さは、本体の六割弱といったところ。
他の神が使用するオーラドール・アバターラでは、もっとゴミみたいな人形を10体までしか作れない。
神からすれば、使い物にならない『ハズレ技』だが、『オプションの数にモノをいわす闘い方』が大好きなセンは、途方もない執念を原動力に、並はずれた努力を積んで、アバターラの力を極限まで底上げさせる事に成功した。
数百年単位で修行した結果、センのアバターラは、
究極超神を相手に、なんと、『6秒』も持つほどの力を得たのだ!!
余談だが、センは、かつて、知り合いの究極超神相手に、アバターラをフルで投入し、
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